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モンスターセイバーズ  作者: 短髪
2/16

1話~10話 


1話/謎の怪物は顔〇しみたい


「め~ん!!」

ここは光ヶ丘学院。そして部室中にひびきわたる声、剣崎は初心者相手でも容赦はしなかった。ここは放課後の剣道部。部長である剣崎は部員たちを鍛え上げていた。

?:「剣崎さん、僕とお手合わせしていただけませんか?」

彼の名は昨日転校してきた一年の速水智也だ。

竜牙:「いいぜ、じゃあ一本勝負で。」

速水:「それじゃ、お願いします!」

彼らが構えている間に自己紹介。剣崎竜牙、ただいま高校二年生。運動神経抜群でスポーツはおてのものだが、学力がかなり低い。特に剣道の腕がズバ抜けており、二年生ながら部長を務めあげる実力者だ。

※ちなみに作者は剣道を知りません。

っとそんな話をしている間に始まった!

剣崎は速水に向かって直進し素早く竹刀を振り下ろした!

しかし、速水はその攻撃を予測していたかと思わせる速度で回避。剣崎の背中に回り込んだ。

竜牙:「なっ、なに?!」

速水:「終わりです、剣崎さん・・め~ん!」

部員誰しもが剣崎の負けだと感じていたが、速水が竹刀を振り下ろすわずかな間・・。剣崎は瞬時に間合いを取り、速水のお面を打ち抜いた!

バッシィィン!


速水:「ふぅ、完敗です。さすがは二年で剣道部部長を務めるだけはあります。あの反応速度と体の柔軟な動きには驚きましたよ。」

竜牙:「一年で俺と渡り合うお前もスゲェよ。前の学校で剣道部に入ってたのか?」

速水:「いえ、前は陸上部に入ってました。」

竜牙:「あ~下半身がスゲェムキムキなわけだわ。」

キーンコーンカーンコーン。

夏海:「どうしたらこんなに仕事がたまるのよ。ハァ~。」

桜:「お疲れ~夏海、今日も疲れたねぇ。」

今作品のヒロイン、木嶋夏海。竜牙の幼馴染みにして光ヶ丘学院第十七期の生徒会長を務める。容姿端麗で成績は学年トップ、周囲からの人望も厚い!しかし、運動神経は皆無。まさに竜牙と真反対の特徴を備えている。そしてお隣の可愛い子ちゃんは桜優香。生徒会副会長を務める夏海の親友だ。だいたい何でもフツーにやりこなす。成績も飛び抜けて優秀なわけではないが、普通。だが、重度の機械オンチ。この現代でパソコンすらまともに扱えないのは、ス〇パーマ〇オの序盤で大体出てくるク〇ボー並みに需要がないんじゃ・・?

夏海:「その元気はどこから出てくるのよ、私なんてもうヘトヘトよ。」

桜:「元気だけが取り柄ですから~。」

竜牙:「あれ?夏海。もうとっくに下校時刻過ぎてるんじゃ・・?」

夏海:「あら、竜じゃない。ご覧の通り、書類を片づけるのに時間かかってたのよ。」

桜:「けっ、剣崎先輩!こ、こんばんわ~。」

竜牙:「おう、こんばんは、桜。」

夏海:「あれ、一緒に来てる彼は?」

竜牙:「ああ、一年の速水智也だ。さっき剣道部に入部してくれたんだ。」

速水:「よ、よろしくお願いします・・。」

夏海:「はじめまして、よろしくね!」

竜牙:「速水、顔が真っ赤だぞ?」

速水:「あ、いや・・その・・すいません!」

     「グォォォォォッ!」

桜:「な、何?!今の声・・。」

速水:「気のせいじゃないですね。」

夏海:「もう八時回ってるし・・もしかしたら・・。」

桜:「ヒィィッ!」

竜牙:「俺、見てくるよ。」

速水:「け、剣崎さん?!」

桜:「せ、先輩・・あ、危ないですって!」

竜牙:「え、でも・・。」

?:「グォォォォォッッ!」

竜牙:「ば、化け物だぁぁぁっ!」

夏海:「な、何よあれ!」

速水:「あんなの見たことありませんよ!」

その怪物は180センチぐらいの身長の人型で、オ〇マ大統領みたいな輪郭をしている。何より顔〇しみたいなお面をつけていて、トカゲみたいなしっぽがウネウネしていた。何コイツ・・気持ちワルッ!

ハンター:「あれはモンスターだ!」

竜牙:「だ、誰だ!」

ハンター:「自己紹介は置いといて、剣崎くん、これを使ってくれ。」

竜牙:「ちょっ、なんなんだよあんた・・どうして俺の名前を知ってんだよ!」

ハンター:「いいから、ほら!」

竜牙は先が鋭く尖った鉄の竹刀を渡された・・。というよりは剣を渡された。ダ〇の〇険に出てきそう。

竜牙:「ええっと、つまり俺にあの化け物と戦えっていうのか?」

竜牙に最早選択の余地はない。なぜなら、背後には怯えている夏海と魂が抜けた桜。震え上がっている速水ィ。お前、男だろォ・・。そしていかにも自分は戦わないと言わんばかりの表情を見せる見知らぬ男。前から突進してきた怪物。逃げ道は・・ない。

竜牙:「う、うぉぉぉぉっ!」

竜牙は命がけで怪物に向かっていった・・その時!

その剣から青き龍が飛び出してきた。

ハンター:「あれは・・伝説の必殺技、ドラゴンソード!!」

竜牙:「くらえ、化け物ォ!ドラゴンソード!」

ズバッ!

?:「グォォォ・・・。」

怪物は真っ二つに割れて消え去った。

ハンター:「す、素晴らしい!」

夏海:「竜、凄っ・・。」

速水:「剣崎さん・・あの化け物を倒しちゃったよ。」

竜牙:「俺がやったのか・・嘘だろ・・。」


2話/モンスターセイバーズなんかやってられるか


ハンター:「すばらしいよ、剣崎くん。ここまでやってくれるなんて期待以上だ!」

竜牙:「いやいや、あんた誰だよ!」

ハンター:「あ~ごめんごめん。僕の名前はハンター。モンスターセイバーズなんだ。」

竜牙:「モンスターセイバーズ?」

ハンター:「さっきみたいな奴を倒す人の事を言うんだよ。」

夏海:「聞いたことないわね。」

ハンター:「それで、ぜひ君をモンスターセイバーズにスカウトしたいんだけど・・。」

竜牙:「はぁ?なんで俺が・・。」

ハンター:「あ、セイバーズとは言っても日常生活に支障はないよ。モンスターが現れたら討伐してほしいんだ。」

竜牙:「支障ありまくりだろ!そんなのお断りだぜ、危ないにもほどがある。」

夏海:「竜の言う通りよ、あなた頭がおかしいんじゃないの?」

竜牙:「行こうぜ、みんな!」

ハンター:「・・剣崎くん。」

翌日

竜牙:「昨日の化け物、なんだったんだろう。」

バン!

竜牙:「いってっ・・!」

夏海:「おはよ!・・どうしたの冴えない顔して・・。」

竜牙:「・・・。」

夏海:「気になるの?昨日のこと・・。」

竜牙:「・・まぁ。」

夏海:「思い詰めても仕方がないわよ。現実離れしすぎていて私も未だに状況が整理できていないわ。とにかく、今は考えても仕方がないんじゃない?」

竜牙:「そうだな、ありがとう夏海。」

夏海:「どういたしまして。」


生徒会室

桜:「夏海、先輩大丈夫かな?」

夏海:「大丈夫よ、竜は。」

桜:「・・幼馴染みって凄いなぁ。」

夏海:「どうしたの?」

桜:「なんか言わなくても伝わるものがあるっていうか・・。」

夏海:「なにそれ・・うける。」

桜:「ちょっ!人が真剣に話しているのに~。」

夏海:「でも、竜の幼馴染みは私だけじゃないのよ?」

桜:「え、そうなの?」


剣道部

速水:「これからは部長と呼ばせていただきますね!」

竜牙:「唐突になんだよ。びっくりしただろ・・。」

速水:「それに昨日の部長を見てたら、感激しちゃって。自分もこんな風になりたいって思ったんです。だから敬意をこめてそう呼ばせていただきます!」

竜牙:「変な奴だなぁ。・・昨日の・・か・・。」

速水:「ハンターとか名乗っていましたね。また来るんじゃないんですか、彼・・。」

竜牙:「とりあえずは考えないようにしてたけど、速水もそう思うか?」

速水:「あんな怪物、二度と出てきてほしくないですけど。これで終わりだとは僕は思えないです。だからと言って部長が責任感じてモンスターセイバーズ?とやらになる必要はないと僕は思いますけど。」

竜牙:「それなんだよ。あ~いうのがまた出てきたらって・・考えちゃうよな。」

 「ギシャァァアア!」

速水:「部長!」

竜牙:「ああ、生徒会室の方向だ!」


生徒会室前

桜:「あ、あれって・・昨日のやつみたいな。」

夏海:「こ、こっちに来るわ!」

ガシッ!

桜:「な、夏海!」

鳥型のモンスターに夏海は捕まってしった。

夏海:「キャァァアア!」

速水:「やっぱりモンスター!」

桜:「!先輩に速水くん・・。」

竜牙:「夏海のやつ、捕まってんじゃねェか!」

ハンター:「どうやら今回は鳥型のようだね。」

竜牙:「そのようだな・・ってか、お前!」

ハンター:「よっ!」

速水:「と、とりあえず捕まってる木嶋さんを助けないと部長!」

竜牙:「ああ、分かってる!」

ハンター:「剣崎くん、これを!」

竜牙:「今は・・あいつを助ける!」

ガシッ。

ドラゴンソードを受け取った竜牙は付近の木に登り、反動をつけて鳥型のモンスターの背中に乗った!

ドサッ!

竜牙:「ぐっ、着地はどうにか成功だな。大丈夫か、夏海!」

夏海:「えぇ、なんとか・・。」

竜牙:「おらっ、くっ!」

ドラゴンソードを夏海を捕まえてる巨大な足の間にえぐりこませて隙間をつくり、竜牙は夏海を上に引っ張りあげてゆく。

?:「「ギシャァァアア!」

夏海:「キャッ!」

竜牙:「ぐっ、この怪物、バランスを崩して・・!」

夏海:「このままじゃ私たち二人とも落下するわよ!」

竜牙:「まだだ・・俺の手を離すんじゃねぇぞ!」

巨大な鳥型モンスターは光が丘学院付近の海辺を迂回しはじめる。

竜牙:「今だ!飛び降りるぞ。」

夏海:「嘘・・え・・ええええええっ!」

竜牙に引っ張られ、夏海はそのまま落下していく!

また2人が滑り落ちた反動でモンスターはそのまま地面に勢いよく落下し、足先に挟んでいたドラゴンソードの剣先がモンスターの腹を貫通する!

?:「ギシャ・・ァ・・。」

ハンター:「剣崎くん!」

速水:「部長ぉぉぉ!」

桜:「夏海ぃぃっ!」

駆け付けた3人は2人の安否を確認しようとするが、辺りに見当たらない。

速水:「嘘だろ・・まさか・・海の中に・・。」

桜:「!見て・・。」

竜牙:「ぷはっ!はぁはぁ・・。」

水中の中から2人が顔を出す。

夏海:「か、間一髪だったわね・・。」

ハンター:「やっぱり君は凄いな・・剣崎くん。」

速水:「ぶっちょぉぉぉっ!」

竜牙:「うわっ、飛び込んでくるな!」

速水:「おっと!あはは、ついつい。とにかくお二人が無事でよかったです。木嶋先輩、捕まって!」

速水は水の中に飛び込む寸前で足を止めて、夏海に手を差し出す。

夏海:「うん・・ありがとう速水くん。」

桜:「よかった、二人・・生きてた・・っ!」

竜牙:「よっこいしょっと・・ん?」

ハンター:「怪我はないかい?剣崎くん。」

竜牙:「お前・・怪我どころか死んでもおかしくない状況だったんだぞ!」

ハンター:「・・・。」

竜牙:「だから俺・・。」

ハンター:「無理強いをして悪かったよ・・。だからこの件は・・!」

竜牙:「やるよ・・モンスターセイバーズ。」

ハンター:「・・本当かい?」

竜牙:「ああ、今日の戦いで身に染みたよ。ほかにもモンスターに襲われる人が出てくると思うと・・。」

速水:「れ、冷静になってください!言ったじゃないですか、部長がそんな責務を負う必要はないじゃないですか!」

竜牙:「ニュースや新聞でこいつらの目撃情報はない。ということは今のところこいつらはこの学院内でしか現れてないってことだよな。なら、またこういう状況に出くわす可能性がある。」

速水:「あ・・。」

竜牙:「借りるぞこの剣。こんなわけのわからないやつらに殺されてたまるかよ。」

ハンター:「いや、返す必要はないよ。」

竜牙:「え、でも・・。」

ハンター:「その剣はもう君のものだ。これからも頼むよ、モンスターセイバーズ!」

夏海:「竜・・。」


3話/変わっていく学園生活は恐らく楽しめているからだ!!


竜牙たちが通う高校・光ヶ丘学院はスーパー名門校。多大な学費がかかるセレブ高校だ。偏差値もなかなか高い。だが、我らが主人公はお金持ちの家に生まれているわけじゃない。彼は中学時に剣道の腕を先生に評価されスポーツ推薦で入学している。竜牙のような生徒は学費が半額になるがゆえ、普通の私立高校並みの学費はかかってくるものの学校には入学できるというわけだ。

夏海:「おはよう、竜。」

竜牙:「おはよう。」

ちなみに夏海は大手電機メーカーの社長令嬢だ。

竜牙:「どうしたんだそのバッグ・・パンパンじゃないか。」

夏海:「う~ん、生徒会の仕事がたまっててさ。その書類を持ち帰ってたから荷物が・・ね?」

竜牙:「大変だな・・光ヶ丘の生徒会って。」

夏海は竜牙を見つめ物思いにふけっている。

竜牙:「俺の顔に・・何かついてる?」

夏海:「あ、ううん!なんでもない。」

竜牙:「?」

クラス内 教室

市原:「竜牙、今日の体育はお前に任せたぜ!」

竜牙:「ああ、クラスマッチだっけ?」

(色んなことがありすぎて忘れてたわ・・。)

市原:「余裕だなお前。」

竜牙:「サッカーよりかは剣道の方が好きなんだけどなぁ。」

市原:「バカか、クラスマッチといえば球技だろ。」

女性陣:「「頑張ってね、剣崎くん!!」」

竜牙:「!っくりした・・ああ、ありがとう。」

夏海:「竜って、本当に人気者よね。」

市原:「くそリア充めが・・。羨ましいぜ。」

(見てろよ、つ〇さくんも驚く俺のテクニックみせてやる。)

市原:「ボールはマブダチだぜ!」

竜牙:「・・そんな台詞吐いてたっけ?つ〇さくん・・。」


3限目 クラスマッチ

※当時はイ〇ズマイ〇ブンがブームでした。

市原:「さぁ俺のファ〇アト〇ネード見せてやる。」

竜牙:「そんなシュートできねぇよ、どこの超次元サッカーだ。」

?:「グッグッグ・・。」

市原:「?!」

竜牙:「いくぞ勇太郎、試合が始まる。」

市原:「り・・ゅうが・・。」

竜牙:「どうした?」

市原:「体育館の外に・・なんか見えるんだけど・・。」

竜牙:「!も、モンスター・・なんで。」

(おいおい体育の時間だぞ、ドラゴンソード部室に置いてきたってのに!)

夏海:「竜!また出たのね・・。」

竜牙:「夏海?!おまっ、早く逃げろ!」

夏海:「私たちだけが奴の存在を知っているのよ?みんなの意識がクラスマッチに集中しているうちに私たちは逃げるより先にあの怪物を少しでも遠くに誘導した方がいいんじゃない?」

竜牙:「え・・ちょっ、お前・・待てって!」

市原:「え・・お前、試合始まるぞ!」

竜牙:「悪りぃ!腹壊したみてェだ。・・保健室行ってくる!!」

市原:「あいつ・・まさかあの未確認生物のところに行ったんじゃ・・。」

二人は駆け出す、ひと気のないところまで!

竜牙:「はぁ、はぁ・・。」

夏海:「ついてきてくれたみたいね・・。」

?:「グッグッグ・・。」

夏海:「竜、倒すわよ・・。」

竜牙:「それが、ドラゴンソード部室に置いてて・・。」

夏海:「あら、そうなの?じゃあ今日は私のデビュー戦ってことかしら・・。」

ガシャッ。

竜牙:「!なんだよお前、その拳銃・・。」

ハンター:「いや、木嶋さんはもうセイバーズだよ。」

竜牙:「・・は?」

夏海:「準備万端。覚悟しなさい、モンスター・・!」

カチッ。


ドッカァアアアン!!


竜牙:「うわっ!」

ハンター:「これは第一の弾丸・・強大な火力を放つ火炎弾だね。」

?:「グゥ・・。」

モンスターはひるみ、その場に立ちすくむ。

夏海:「休む暇なんて与えないわよ。」

?:「グググッ!」

モンスターは構え、夏海の銃撃に備える。

夏海:「へぇ、私を挑発してるのかしら?」

バァアン!  バァァアン!

竜牙:「あいつ・・早ぇ!」

ハンター:「見事に弾丸の軌道を見切っているね。」

夏海:「さすがに狙いが定まらないわ。」

竜牙:「言ってる場合かよ!どうするんだよ・・。」

夏海:「慌てないで・・そろそろかしら?」

?:「!」

モンスターは膝をつき・・態勢を崩す・・。

竜牙:「?どうしたんだ・・あいつ・・。」

夏海:「私が放った弾丸には撃たれた箇所がやけどする副作用が付くのよ。」

(これで・・トドメよ。)


4話/クラスマッチで優勝したとしても思い出になってなければ意味がないと思う


昨日の夜。

ハンター:「それにしてもモンスターは・・何処から出現しているんだ?」

夏海:「あ、あの・・。」

ハンター:「えっと、君は確か剣崎くんと一緒にいた・・。」

夏海:「木嶋夏海です。それでその・・お願いがあるんですが・・。」

ハンター:「?」

夏海:「ハンター、私もモンスターセイバーズに入るよ。」

ハンター:「木嶋さん?!」

夏海:「私、このままだと竜の足を引っ張ると思うんです。だから、せめて竜の力になりたいんです!」

ハンター:「参ったなぁ・・。じゃあこの武器を使ってください。」

夏海:「これは・・銃?」

ハンター:「うん、この銃は木嶋さんの剣崎くんへの助けたいっていう思いが強ければ強いほど大きな力を発揮します。」

(思いの強さが比例する特殊な拳銃。僕のもう一つの武器だったけど・・仕方がない。それに、この武器をもっていれば、彼女自身が己の身を守ることもできる。)



夏海:「第一の弾・火炎弾!」


竜牙:「やったじゃないか!」

夏海:「倒した・・。」

ハンター:「うん、凄いよ。君もまたモンスターセイバーズになるにふさわしい器を持ってるね!」

夏海:「拳銃なんて初めて使うから正直怖かったわ。」

竜牙:「本当だぜ、お前何考えてんだ!」

ハンター:「い、いや・・これはその・・。」

夏海:「私が志願したのよ。こんな危険な戦い、竜一人で背負う必要なんてないわ。」

竜牙:「お前分かってるのか?死ぬかもしれないんだぞ・・。」

夏海:「竜だって分かってるの?その台詞、そのまま返すわ。」

竜牙:「うっ・・。」

夏海:「そもそも剣や拳銃を使ったり、所持しているだけで私たちはもう銃刀法違反で捕まったっておかしくないわ。」

竜牙:「けど、やらなきゃ・・はっきり言って、俺らはもう死んでいたっておかしくないんだぞ!」

夏海:「その状況が今後も続くのよ、一番詳しそうなハンターが原因を把握できていない以上、私たちは戦う術を身に着ける必要があるんじゃないかしら?自分自身や大切な人を守る為に・・。」

竜牙:「それは・・。」

夏海:「ほら、戻るわよ。みんな心配してるだろうから。」

ハンター:「この3日間のモンスターたちの動きを見た冷静かつ懸命な判断だと僕は思う。それに、2人で協力しあえば、今まで以上にモンスターの討伐はしやすくなるとも思うよ。」

竜牙:「・・無茶だけはするなよ。」

夏海:「お互いにね。」

そして放課後。

授業を終えた竜牙は部室に行く途中、夏海に会った。

竜牙:「お、おう夏海。」

夏海:「優勝おめでとう、竜。」

竜牙:「何が?」

夏海:「クラスマッチよ。」

竜牙:「あ・・いや、まさか俺が不在のまま決勝まで進んでいるとは思わなかったけどな。」

夏海:「決勝での市原くんとの連携プレーにクラスの女子たちはシビレていたわよ。」

竜牙:「俺は何もしてねェよ。優勝したのは市原を含むクラスみんなで勝ち取ったものだ。」

夏海:「そういうところだけは大人よね。それにあなたは活躍していたわ、そこまで謙遜する必要はないんじゃない?」

竜牙:「いや、俺はほとんどクラスマッチに参加できてねェし・・。」

夏海:「学院の外でちゃんと守っているじゃない、私たちの学園生活を。」

竜牙:「あ、あんまりこういうところで話すなよ。誰が聞いてるかわからねェぞ?」

夏海:「あ、それもそうね・・ごめんなさい、私ったら。」

竜牙:「ありがとな・・。」

竜牙は夏海の横を通りすぎてゆく。

夏海:「あ、行っちゃった・・。」

桜:「あれ、夏海・・どうしたの?」

夏海:「あら優香、2話以来ね!」

桜:「そういうメタ的な発言はいいから・・。ところで先輩だよね、さっきの。」

夏海:「うん。」

桜:「何・・話してたの?」


5話/生徒会長だって恋をすると思うよ、だって人間だから


桜:「何・・話してたの?」

夏海:「な、なんで半泣き・・。」

桜:「じ~。」

夏海:「あ、そうか!優香は竜の事が大好きだったわよね。」

桜:「思い出すの遅くない?!」

夏海:「大丈夫よ、そんな心配しなくても。」

桜:「ほんとに?夏海が先輩の事を好きになったら・・私には勝ち目なんてないんだから。」

夏海:「あるわけないじゃない、そんなこと。」

桜:「でも最近2人でよく話してるし。なんか信頼し合ってて羨ましい・・。」

夏海:「もう、嫉妬してるの?ほら、生徒会室に行くわよ、私たちには仕事があるんだから。」

桜:「・・そうだね。」

剣道部

速水:「部長、動きにキレがましてきましたね!」

竜牙:「速水だって前より上達してるじゃないか。」

速水:「あはは、ありがとうございます。」

竜牙:「しっかし、ここんとこいろいろあって疲れが取れねェな。」

速水:「そういえば部長って好きな人とかいないんですか?」

竜牙:「あはは、そんな余裕ねェよ。」

速水:「でも木嶋さんと仲がいいですよね。」

竜牙:「まぁ幼馴染みだからな。腐れ縁ってやつだよ。」

速水:「・・本当人生の勝ち組みですよね。」

竜牙:「なんだよ、急に。」

速水:「だって木嶋夏海と言えば容姿端麗で成績トップ。何より名門、光ヶ丘学院の生徒会長ですよ。この学院に通ってて知らない人はいない超有名人ってやつです。この学院の紹介パンフレットの表紙も飾ってましたし。そんな人と幼馴染みだなんて・・これはもう部長は爆発するしかないですよ。」

竜牙:「そんな理由でいちいち爆発してられるかよ。」

速水:「本当に異性として何の魅力も感じてないんですかぁ?」

竜牙:「・・お前な、俺の事信じてないだろ。」

速水:「もちろん、信じてないに決まってるじゃないですか!」

竜牙:(信じてないのかよ・・。尊敬してるなら俺の事ぐらい信頼してくれ・・。)

生徒会室

桜:「夏海はさ、好きな人とかいないの?」

夏海:「喋ってる暇があったら手を動かしなさい。」

桜:「もう!だってこう気持ちがモヤモヤするっていうか・・とにかく落ち着かないのよ!」

夏海:「さっき返答したじゃない。また言わないとダメ?」

桜:「で、でもさ・・この前もサッカー部のキャプテン・秋山蓮から告られてたじゃない?」

夏海:「秋山先輩のお気持ちは丁重にお断りしたわよ。」

桜:「なんで?!3学年でも指折りのイケメンなのに。」

夏海:「確かに第一印象って大事だけど、私は面食いじゃないのよ。」

桜:「くっ・・なにこの余裕。じ、じゃあ毎日3通は入ってる下駄箱のラブレターは?」

夏海:「最初は嬉しかったけど、こう毎日何通も来られたら身の危険を感じるわ。それにこのご時世に恋文ってなんなのよ、男ならもっと堂々と正面きって気持ち伝えなさいよ!って私は思うけどね。というか、なんでそんなことまで知ってるのよ。プライバシーの侵害じゃない?」

桜:「もう!高校二年生にもなって色恋沙汰に興味がないなんて、本当にJKなの?!」

夏海:「学生の本分は勉強よ、光ヶ丘は試験も楽じゃないんだから。優香も気を付けないと足下救われるわよ?それにね、好きでもない人と私はお付き合いしたくないの!」

カタカタ・・・ガタッ!

夏海:「ふぅ、やっと追いついた。これで今週分の書類は片づけたわよ。」

桜:「な・・私と会話しつつ、ブラインドタッチでパソコン内の書類を淡々と片づけるなんて・・。」

(まだ高校生・・よね?)

夏海:「仕事も終わったし、何か食べにいこ!」

こうして夏海と桜は学院付近のファミレスに行くことになった。

竜牙:「あれ?夏海と桜・・。」

速水:「この方向ってファミレスですよね。」

竜牙:「俺らも食べにいくか?部活終わりで腹も減ったし。」

速水:「いいですね、いきましょ!」

竜牙:「?」

(なんだ・・様子がおかしくないか?)

ファミレス前

男:「あれ、君たちかっわいいねぇ。」

桜:「・・な・なつみ・・。」

夏海:「ちょっと、何なんですか・!」

メガネ男:「あれ、この制服・・光ヶ丘じゃないですか?」

見るからにヤバそうな二人組がこちらに寄ってくる。

桜:「なんなんですか・・あなたたちは・・。」

メガネ男:「通りすがりの者ですが?」

桜:(見ればわかるっつーの!)

夏海:「失礼します!いくよ、優香。」

男:「おっと!へへへ。まってよ、お嬢さん方?」

メガネ男:「これから俺らと遊ばね?」

夏海:「ちょっと、離してよ!」


「めん!」


バシィィッ!

男:「うがぁっ!」

メガネ男:「あ、兄貴・・。」

バシィッ!

竹刀で足の筋を打たれたメガネ男はその場に立ちすくむ。

速水:「外道が・・。」

竜牙:「大丈夫か、夏海、桜!」

男:「やろうォ・・ふざけんな!」

竜牙は男が振り下ろした手首を掴み、そのまま引っ張りあげる!

ガシィッ・・シュゥゥ・・。

男:「うぉっ?!」

そのまま、半身に避けぞり、首ねっこを掴んで男を思いっきり叩きつけた!

ガッシャァアアン!

竜牙:「高校生相手に大人気ねェな。男が女泣かせてんじゃねェよ・・。」

速水:「部長、警察の方々が到着したみたいです。」

竜牙:「前もって通報しといて正解だったな。ちゃんと罪は償えよ・・おっさん!」

桜:「せぇんばぁいぃっ!」

泣きながら竜牙に抱きつく桜。

部長:「あの・・僕もいるんですが・・。」

夏海:「・・・。」

警察:「警視庁の者です。ご報告感謝いたします。」

竜牙:「ああ、頼んます。」

夏海:「・・・。」

竜牙:「ん?何ジロジロ見てんだよ。怪我はないか?」

夏海:「へ・・あ、うん!ダイジョブ・・あ、あはは。」

桜:「・・・。」

速水:「部長、こうなってしまった以上もう食事ができませんね。」

竜牙:「そうだな、とりあえず二人を送り届けるか。」

警察:「あ~君たち、事情聴取をお願いしたいんだけど。」

竜牙・速水:「「げ・・。」」

桜:「夏海。」

夏海:「・・・。」

桜:「・・・。」

バシィッ!

夏海:「うごっ!」

桜:「何わかりやすく見とれてんのよ・・。」

夏海:「な、何のこと・・?」

桜:「この前の怪物の件といい、今回の件といい・・あんな姿の先輩みたら確かにわからんでもない。事実、私もドキドキしてるし・・。」

夏海:「だから何の話を・・。」

桜:「鈍感。」

夏海:「?!」

桜:「今すっごいドキドキしてるでしょ?」

夏海:「うん、連れて行かれるかと思ってヒヤヒヤした・・。」

桜:「はぁ?」

夏海:「へ・・なに?」

桜:「ん~じゃあ、先輩の事見てかっこいいなって思ったでしょ?」

夏海:「は?!//・・えっ・・なに・・?」

桜:「こりゃあダメだ。夏海、そのドキドキはお得意の分析じゃ理解できないからね?」

夏海:「は・・さっきから何を言ってるの・・?」

桜:「ほら、警察の方々が待ってるよ!」

夏海:「な・・なんなのよ・・。」


6話/竜牙の幼馴染みってなんだか少し知りたくない?


もうすぐ夏休みを控えた光ヶ丘学院、学院内では生徒たちがソワソワし始めている。というのもこの高校は6月下旬から9月中旬までの長い期間で夏休みが設けられる特殊な高校だ。これだけ長い期間のお休みならば生徒たちが浮つくのも無理はないだろう。

竜牙:「もう少しで夏休みかぁ。今年は色々とありそうだ・・。」

(ん?あの後ろ姿は夏海かな?)

竜牙:「よう、夏海!」

夏海:「?!」

竜牙:「な、なんだよ・・そんなに驚かなくても。」

夏海:「あ・・えと・・お、おは・・おはヨ・・。」

赤面する夏海。

竜牙:「だ、大丈夫か・・?」

夏海:「え・・えと・・あ、あ~わ、わたしもう行かないと!」

バシュゥゥウン・・。

竜牙:「・・どうしたんだ、あいつ・・。」

桜:「せ~んぱい!おはよ。」

竜牙:「ああ、おはよう。」

桜:「ところで先輩?」

竜牙:「?」

桜:「前から気になっていたんですけど、幼馴染みって夏海だけじゃないんですね。」

竜牙:「ん、ああ。別に珍しくはないだろ・・。ってか夏海から聞いたのか?」

桜:「はい、この前すこ~しだけ。」

竜牙:「あいつの言うように他に3人にいる。うち1人は俺らと同じように福岡に住んでんだ。」

桜:「あれあと2人は違うんですか?」

竜牙:「ああ、うち1人は東京。もう1人はオーロラ島ってところに移住している。」

桜:「みなさん、バラバラなんですね。」

(オーロラ島って・・どこ?)

竜牙:「ああ。昔はみんなオーロラ島に住んでいたんだよ、夏海も含めてな。」

キーンコーンカーンコーン。

竜牙:「やべぇ、ホームルームが始まる・・。いくぞ桜!」

桜:「あ、はい・・!」

数時間後の生徒会室

夏海:「・・・。」


ー私、どうしたの?!胸がざわつく・・竜を見るたびに心臓バクバク・・ど、どうしちゃったの。ー


桜:「ねぇ、夏海?」

夏海:(このままじゃダメよね・・避けられてると思われるよね・・でもどうしたら・・。)

桜:「夏海!」

夏海:「は、はいィッ!」

桜:「ふぅ~。無視しないでもらえますか?ず~っと声掛けてるんだけど・・。」

夏海:「あ、ご・・ごめん。」

桜:「でさ、前に夏海が教えてくれたじゃん!」

夏海:「何を?」

桜:「2人の幼馴染みの話よ!」

夏海:「あ~。ってかなんでそんな事気になってるの?」

桜:「5人はオーロラ島に住んでいたのよね、昔は。」

夏海:「あなたねぇ・・駄目よ、人のプライベートな話をぺらぺらと・・。」

桜:「だってさ、気になるじゃん!」

夏海:「まぁ別にいいんだけど。私たちは幼稚園の頃から一緒だったわ。でもある時、オーロラ島で大きな地震が起きた。観測された震度は7、その日島では初の避難警告が発令されたの。だから私たちだけじゃなく、島の人たちみんなバラバラになっちゃったんだ。」

桜:「え、でも1人はオーロラ島に残っているんじゃないの?」

夏海:「彼の家庭は先祖代々オーロラ島に住んでて、ご両親が島を離れることを拒んだそうよ。一族の墓もすべてここにあるから、離れるわけにはいかないって。」

桜:「それで今に至るのか・・。」

夏海:「私たちはそんな彼の為に決めたの。夏休みのうち一週間は予定を合わせてなるべく幼馴染み全員でオーロラ島で過ごそうって。」

桜:「へぇ〜なんか5人の絆って強いんだなぁ・・。幼馴染み、いいなぁ・・。」

夏海:「満足した?もうこういう詮索はやめてね。」

桜:「いいなぁ夏海は・・。」

夏海:「?」

桜:「夏休みのうち1週間は確実に先輩を独り占めかぁ。」

夏海:「な?!・・・ひ・・独り占めって・・何を考えて・・。」

桜:「あれれぇ?最近までの生徒会長さんなら、何言ってるのよ、5人で過ごすって言ったでしょ?って受け流すと思ったのに?・・おっかしぃなぁ・・?」

夏海:「っ・・しまった。竜のことを意識しすぎていて・・つい・・。」

桜:「最近の夏海は先輩の顔を見るたびに赤面するし、先輩の前だと明らかに挙動不審だし・・。」

夏海:「あ・・う・・。」

桜:「うすうす気づいてるんじゃない?・・そろそろ認めたらどうなの?」

夏海:「ちがう!ちがうちがうちがうちがう・・・ちがうったらちがうっ!」

桜:「正直に申しなさい、夏海。」

夏海:「だからっ!・・そんなんじゃ・・。」

桜:「・・・・。」

夏海:「こ、この前・・変な男につれていかれそうになった時に必死で私たちを守ろうとしてくれた時からき、こう…心臓がドキドキして・・か・・かおが真っ赤になって・・。」


桜:「ようは惚れてしまったのね。」


夏海:「!」

桜:「じ~。」

顔をそむける夏海に合わせて顔を近づける桜。

夏海:「ん~もう!優香が・・そう思うならそうなんでしょうね・・。そのこれがその・・。」

桜:「恋でしょ、どう考えったって!なんなのよその純情乙女な反応は!」

夏海:「・・ごめん。優香がずっと前から竜のこと好きなこと・・知っていたはずなのに・・。」

桜:「あのね?恋愛って頭であーだこーだ考えてするものじゃないから。はぁ、これで恐れていた最強のライバル誕生かぁ。」

夏海:「その・・ほんとに・・ごめんね。」

桜:「でもま、好きになってしまったらその人しか見えなくなっちゃうから仕方がないよ。」

バシィッ!

桜は夏海を指さす!

桜:「こ~なったら、どっちが先に先輩を落とすか競争だね?夏海。」

夏海:「怒らないの?」

桜:「同じ人を好きになったってしょーがないよ。それだけ先輩が魅力的だってことでしょ?流石は私が見込んだ男だ、うん。」

夏海:「優香・・。」

桜:「せっかく、恋したんだしさ・・恋愛を楽しまないと・・ね?」


7話/ファーストラブ 木嶋夏海


クラス内

先生:「みんな、今日はこのクラスに転校生がやってくるよ。」

早朝一番の先生の一言目にクラス全員が驚いた!

先生:「それでは橘くん、入っておいで。」

橘:「今日からこのクラスに入ることになった橘一たちばな・はじめだ。みんなと仲良くしていきたいな~みたいなことを一応考えているのでこれからよろしく頼むよ。」

竜牙:「なんだあいつ、やけに素直じゃないな・・。」

夏海:「じ~。」

竜牙:「夏海、お前はどう思う?」

夏海:「うわっ、びっくりした~。そうね、変わってるよね。」

竜牙:「?」

どうやら夏海は竜牙のことをじっと見つめていたらしい。ちなみに二人の席並びは前後。前が竜牙。後ろが夏海だ。

夏海:(すごい、竜から声かけてもらっただけでほっこりする。これが恋・・。)

橘:「!」

テクテクテク・・。

橘は無言で夏海の前まで足を進めていく。

先生:「あれ、ちょっと?」

橘:「初めまして、橘一です。よろしくお願いいたします。」

夏海:「え、ええ。よ、よろしく・・。」

先生:「橘くん席はあってるけど、ちゃんと私の指示が出るまで待ちなさい。木嶋?彼はあなたの後ろの席になるから仲良くしてあげてね。」

クラスの奴らはざわつく・・。

(おい、なんで真っ先に木嶋さんに声かけやがったんだあいつ・・。)

(ふつ~隣の席の佐々木に声掛けるだろ。」

(あいつ、まさか・・。)

ゴゴゴゴゴ・・・。

休み時間

橘:「あの、彼女の名前を・・。」

市原:「ああ、彼女は木嶋夏海。この学院の生徒会長を務めているスーパー美少女だよ。」

橘:「な、なんと!生徒会長さんだったのか・・。」

(あの女神のような微笑・・そしてこの美貌!いかん・・俺としたことが女子に心を奪われるだなんて。・・)

市原:「あ、ちなみに俺は市原勇太郎っていうんだ。よろしく!」

橘:「お前の名前は聞いてないが・・まぁ覚えておく・・・ん?!」

(なんだあのさわやかイケメンは・・。木嶋さんと親しそうに話している・・!)

市原:「ん?ああ、竜牙だよ。剣崎竜牙、めちゃめちゃ運動神経が良くてさ~この前のクラスマッチでも絶妙のタイミングでセンタリングしてくれてよ、もう大活躍だったぜ。」

橘:「つまり・・・・リア充か・・!!」

市原:「な、なんだこいつ・・。」

橘:「あいつと木嶋さんの関係はなんなんだ!」

市原:「幼馴染みだってさ。いやぁでもクラスの中ではもう恋人なんじゃないかってもっぱら噂だぜ?そりゃああれだけ親しそうに話してたら勘違いしてもしゃ~ないわな、羨ましいやつだぜ。」

橘:「恋人・・こ・・こい・・。」

市原:「いや・・あの・・橘?」

放課後

橘:「あ、あのすいませんが生徒会室ってどこにありますか?」

桜:「?生徒会に何か御用ですか。」

橘:「ええ。まぁ・・。」

桜:「それなら私、副会長なのでご案内しましょうか?」

橘:「あ、生徒会の副会長さんだったんですね!お願いします。」

生徒会室

桜:「着きました、ここが生徒会室です。」

橘:「な、なんだこの扉は・・想像以上にでかい。」

桜:「夏海~あなたに用事があるんですって。」

夏海:「?客人の予約は受けてないけど・・。」

竜牙:「あれ、お前は確か転校してきた・・。」

桜:「せんぱ~い!来てるなら教えてくださいよっ!」

夏海:「橘くんだったかしら?ご用件はなに?」

橘:「・・・その、あなたに一目惚れしました、付き合ってください!」

竜牙・桜:「「?!」」

夏海:「お断りします。」

グサッ!

橘:「あうっ・・。」

竜牙:「俺らが驚く間もなく振られたな・・。」

桜:「う~ん、あれは夏海でなくても振るんじゃないかな・・。」

橘:「どうしてですか!」

夏海:「あなたね、初対面の人からいきなりそんな事言われて私も!とかなるわけないでしょうが!」

(なんなのよこいつ・・竜の前で・・。)

桜:「はぁ~、先輩私たちはもう出ましょ。なんか気まずいですし。」

竜牙:「あれ、生徒会室に用はないのか?」

桜:「麗華・・あ、いや・・書記の人に頼まれていた書類を私は取りに来ただけなんです。」

竜牙:「そうだったのか。俺も夏海のノート写し終わったし帰ろっかな。」

夏海:「竜、その・・ちゃんと授業は受けなさいよ?寝る時間じゃないんだから。」

竜牙:「悪りぃ、悪りぃ・・。行こうぜ桜。」

2人は生徒会室を後にする。

橘:「えと・・木嶋さん!」

夏海:「まだいたの?ハァ〜私には好きな人がいるので、お付き合いはできません!分かったらもう出ていって。」

グサッ!グサッ!

橘:「な・・なんと・・。」

ガチャッ。

?:「あれ、夏海・・優香は?」

夏海:「さっきあなたのところに向かったわよ。すれ違ったみたいね。」

?:「あちゃ~・・ん?この倒れこんでいる男は何なんだ?」

夏海:「あ~連れ出してもらえる?ここにいられたら邪魔だし。」


8話/モンスターが手ごわくなっても新たな必殺技とか編み出せばそれでいいんじゃない?


速水:「う~ん、にしてもこの学校は広いなぁ。」

(この転校してからの一か月間でどれだけ迷ったのか計り知れない。)

速水:「小学生じゃないけど、学校を探索してどこにどんな設備があるのか知っておく必要があるよな。」

夏海:「あら、速水くん。」

速水:「木嶋さん?ちょうどよかった。その未だにこの学院・・慣れないのでいろいろと教えていただけないかなと。」

夏海:「速水くん、一ヶ月そこらでこの学院を把握するなんて多分、無理よ。」

速水:「え・・。」

夏海:「考えてもみなさい、グラウンドが東京ドームの3分の一の大きさを誇るのよ?」

速水:「え・・・えええええっ?!」

夏海:「あれ、まだ体育の授業でグランドを使用した経験はない?」

速水:「体育館はふつーの大きさだったじゃないですか?」

夏海:「あれは球技専用の体育館。もう一つ武道専用の体育館が武道場とは別に完備されているわ。」

速水:「は?」

夏海:「まぁお金持ちの学校だからね。」

速水:「前言撤回です。学校の探索・・やめときます。」

夏海:「まぁ休み時間を使って気軽に探索はできないわね。」

速水:「無駄に設備投資しすぎじゃないですかね・・。」

夏海:「長い人生で学生に費やする時間って本当に短いのよ。学校側はせめて私たちが光ヶ丘の生徒である限りは各々が伸び伸びとやりたい事を学べるように様々な施設、様々な部門のプロフェッショナルを備えているらしいわ。子供の夢は日本の将来、チャレンジできる環境づくりは大人の責務だって言ってたわ。それがこの学院の教育方針。ほんと、無茶苦茶よね。」

速水:「すごい高校だ・・。」

夏海:「速水くん、あなただってどのような経緯であれ、この学院に入学できた生徒の一人。このチャンス、無駄にしたらたぶん後悔するわよ。こんな高校そうそうないわ、頑張ってね。」

速水:「はい・・僕、頑張ります!」

?:「グィシャァァ!」

速水:「!」

夏海:「あら、4話以来ね・・モンスター。そのゴリラみたいな容姿は何?」

?:「グィシャアアア!!」

速水:「火に油を注ぎますね・・木嶋さん。」

夏海:「速水くん、ここは私に任せて。」

速水:「え?」

夏海:「第一の弾・火炎弾!」

ドカァァアン!

速水:「か、交わされましたよ?」

夏海:「うそっ?!」

速水:「あいつ、けっこう素早いみたいですね。」

夏海:「次は・・必ず当てる!」

速水:「って・・あいつどこにいきました?」

?:「グィシャアアア!」

速水:「はっ!」

夏海:「くっ・・間合いを詰められたっ!」

竜牙:「ドラゴンソード!」

ズババッ!

?:「グシャァッ?!」

ドカァアン!

竜牙:「何やってんだ、油断は大敵だぞ。」

夏海:「竜!」

速水:「部長、僕も戦います。」

竹刀を構えて速水は静止する。

竜牙:「いや、ちょうど試したいことがある、ここは俺に任せてくれ。」

速水:「え?」

ハンター:「剣崎くん、間に合ったかい?」

竜牙:「ああ、どうにかな!」

夏海:「あらハンター、3話以来ね。」

ハンター:「今はそういうのいいから!」

竜牙:「夏海、俺はこの一撃に集中したい。お前は火炎弾で奴がこっちに向かってこないように視界を奪ってくれ。」

夏海:「何か策があるのね、分かったわ。」

?:「グィシャァア・・。」

夏海:「第一の弾・火炎弾!」

ドッカァアアアン!

速水:「うわっ!」

夏海:「よし、この煙なら・・。」

竜牙:「今だ・・。」

竜牙は意識を剣の先に集中させて剣先を突き上げる!

ゴゴゴゴ・・。

ハンター:「あれは・・!」

竜牙:「イナズマドラゴン!」

竜牙が剣を振り下ろすと、稲光でつくられた竜の残像がモンスターを貫く!

ビリリり・・ズバァアアアン!!

夏海:「凄い、その剣ってそんな事もできるの?」

速水:「いやそれよりか普通に稲光とか操らないでくださいよ。部長、何者・・。」

ハンター:「あれは・・イナズマドラゴン?!技の発動の仕方なんて教えたかな・・。」

竜牙:「あー夢の中で見たんだよ。イナズマドラゴンを放つ俺の姿を。そのイメージにそって剣に意識を集中させたらなんかできた。」

夏海:「何それ・・どんな理屈?」

竜牙:「俺にもよく分かんねぇ。」

ハンター:(まさか青龍が・・?いや・・まさかな。)

竜牙:「さ、モンスターもいなくなったしいこうぜ?」

速水:「あ、終業式ですよね。」

夏海:「あー!もうそろそろ始まるじゃない。急がないと!!」


9話/オーロラ島へ!こんなに人はいらないけど出発しよう、それが近道!


先生:「それじゃあみんな、夏休みを有意義に過ごしてね。」

二年の一学期全過程を終了したその放課後。

生徒会室

桜:「終わったぁぁああ!」

夏海:「なんか、体感的にはかなり長かった気がする・・。」

桜:「夏海と先輩は夏季休暇の間にオーロラ島に行くんだよね?」

夏海:「そうよ~毎年恒例だからね。」

桜:「じ~。」

夏海:「な・・なによ・・。」

桜:「ニヤニヤしちゃって・・随分と嬉しそうじゃない。」

夏海:「そりゃあ昔から馴染み深い5人が集まるんだもん、楽しみにしてるんだから。」

桜:「はいはい、先輩もいるから尚更嬉しいよね、生徒会長さん?」

夏海:「うっ・・そうね・・今までとはちょっと違うかも。」

桜:「まぁ、意地っ張りで奥手な夏海がこの機会に先輩と急接近!とか間違ってもないとは思うけどね。」

夏海:「わ、分からないわよ?決めつけはよくないわ。」

桜:「そうね、恋敵に警戒はおこたらないようにしないと。」

桜はチケットを夏海に見せつける。

夏海:「それ、オーロラ島行きの?!」

桜:「私だってお嬢様なんだから。これぐらい安いものよ。」

夏海:「あ、あんたまさか・・。」

桜:「抜け駆けなんてさせないから。」

剣道部

速水:「部長はこの機会にどこかに出かけたりするんですか?」

竜牙:「ああ、オーロラ島には行く予定だけど。」

速水:「お、オーロラ島行きの便って結構お高いんじゃ・・。」

竜牙:「ああ、俺は小遣い貯金して毎年顔を出してるよ。一応、ふるさとだしな。」

速水:「オーロラ島に住んでいたんですか?」

竜牙:「昔な。速水は予定立ててるのか?」

速水:「僕は親がいるアメリカに行こうと思います。片親がアメリカにいるんですよ~。」

そして時は経ち・・搭乗口

夏海:「おはよう、竜。」

竜牙:「おう・・ん?桜じゃないか。」

桜:「私も同行させてくださ~い!」

竜牙:「俺は構わないけど、大和たちには伝えたのか?」

夏海:「ええ、問題ないそうよ。」

竜牙:「そっか、じゃあよろしくな桜。」

桜:「うん!と言いたいところだけど・・。」

夏海:「?」

桜:「夏海んとこの専用プライベートジェット機で行くだなんて聞いてないよ?!」

竜牙:「夏海んとこは超がつくお金持ちだからな。俺も助かってるよ。」

夏海:「そうよ、チケット代だって私が格安にしてもらってるんだから。」

桜:「早く言ってよ!私、自腹なのに~。」

竜牙:「例年のごとく、みんな現地集合だよな?」

夏海:「そうらしいわ。私たちの方が早く着陸するかもね。優香、チケット代は私が払い戻して上げるからあなたもこっちに来たら?」

桜:「ホント?!私、わくわくしてきちゃった。」

市原:「待ってくれ!」

竜牙:「勇太郎に・・橘?」

夏海:「げ・・。」

市原:「その・・お前がオーロラ島に行くって話をしたら橘のやつ俺も行く!って聞かなくて・・。」

橘:「抜け駆けはさせん!」

竜牙:「なんでこうなる・・。」

市原:「俺らも同行したいんだけどいいか?失礼なのは重々承知の上なんだけど・・チケット代は一応払ってる。桜みたいに木嶋家のお力で話通してくれたら助かるんだけど。」

夏海:「市原くんだけならいいわよ。」

市原:「あ、ありが「お、おれは~?!!」」

竜牙:「こんな状態の橘を置いていったら色んな意味で危険だろうな・・。」

桜:「とりあえず、荷物持ち係にはなるんだし同行させたらどう?」

夏海:「う~ん、まぁ・・そうね。」

こうして5人はオーロラ島に旅立った。


一方、その頃・・速水は・・。

速水:「やっぱ日本とは違うなぁ・・。」

グランドキャニオンに足を運んでいた。

速水:「さてと・・ラスベガスに行きますか。」


木嶋家プライベートジェット内

桜:「夏海~今どの辺り?」

夏海:「えっと、マダガスカルとチャゴス諸島の間あたりかしら?」

竜牙:「オーロラ島って南半球にある島だからなぁ。」

市原:「すげぇな、見晴し最高じゃないか!」

橘:「木嶋さん、オーロラ島についたら俺とどこかに・・。」

夏海:「行かないわよ。」

ズバッ!

橘:「ぐっ・・めげない・・めげないぞ・・。」

竜牙:「俺はちょっと体を休めるよ。朝からバタバタしててさ。」

桜:「え、なんですか先輩。そのカードキー・・。」

竜牙:「夏海のプライベートジェットは2部屋ぐらい個室があるんだよ。そこにベットとか一式揃ってるから仮眠がとれるぜ?」

桜:「え?あの扉がついている部屋ってトイレじゃないの?!夏海のおじさんって大手電機メーカーの社長さんだったわよね?な、なんでこんな飛行機買えるだけのお金を・・?」

夏海:「うちの両親、毎年忙しくてオーロラ島に一緒にいけないって悔やんでいたわ。そーいう意味合いも合ってせめて私や竜が移動しやすいようにってこの飛行機をつくってくれたの。」

市原:「いや、空港をその為だけに貸切るなんて・・、金持ちの感覚って・・。ってか特注かよ。」

竜牙:「だよな。でもお前ら、この程度で驚いていたら身が持たないぞ。俺を見たらわかるだろ?」

橘:「か、格差社会・・。」

そして一向はオーロラ島に到着した。

竜牙:「着いたな、相変わらず気温が高けぇな。」

夏海:「早いとこ大和の家に向かいましょう。」

桜:「大和さんって例の幼馴染みの・・?」

夏海:「ええ。黄河大和って言う名前なのよ。」

市原:「お、おい・・聞いたことあるぞ。」

橘:「こ、黄河家財閥の御曹司!」

黄河大和は黄河家財閥の御曹司で木嶋家を遥かに凌ぐボンボンである。黄河自身も英才教育を受けており勉強、スポーツもおてのもの。はっきり言って竜牙や夏海以上にものごとをやりこなす・・がそんな彼にも欠点はある。それはまた後程紹介します。


ラスベガス・カジノ

速水:「僕の勝ちですね。」

外人:「ノォォォォオオ!!」

速水:「これで100億ってところですか?日本の賭場よりか遥かに稼げますね。」

(ま、日本では賭博法があるから賭け事はできないけど。)

ディーラー:「ウィナー!トモヤ・ハヤミ。」

?:「さすがね智也。この短時間で100億、誰に似たのかしら?」

速水:「お、お母さん・・。」

(やっぱり・・カジノで勝ち上がっていけば会えるとは思ったけど・・。)

ディーラー:「オゥ・・ヨウコ・・ヨウコ・ハヤミ!」

観客:「「「YEAAAAAA!!」」

速水洋子は速水の母親であり、ラスベガスの女王とまで呼ばれる魔女である。99.9%の確率でありとあらゆる賭け事を制するまさに強運の持ち主である。

速水:「僕の前に現れたってことはやるんですよね?」

洋子:「ここはラスベガスよ?その100億・・私が根こそぎ削り落としてあげる。」


コン、コン・・。

夏海:「やまと~夏海よ。扉を開けてくれる?」

ガチャ・・。

黄河:「おおう、遠くからよう来たな。」

竜牙:「久しぶりだな、大和。」

夏海:「ほんと、久しぶり!」

黄河:「ん?後ろの方々は・・。」

桜:「初めまして、桜優香と申します。」

市原:「あ、市原勇太郎です。すみません、幼馴染みみずいらずのところお邪魔して・・。」

橘:「橘一だ。世話になる・・。」

黄河:「ああ!話は聞いてるよ、俺は黄河大和だ。よろしく!」

黄河家

桜:「すごいわ・・豪邸・・。」

市原:「舞踏会でも開かれるんじゃないかってぐらい広いな・・。」

橘:「す、すごい・・。」

黄河:「彼らは竜牙たちの同級生なんだよな。」

竜牙:「なんか押しかける感じで邪魔したよな。悪りぃ・・。」

黄河:「気にするな。丁度親が旅行してて家を空けている、問題はないさ。」

ピンポーン。

黄河:「来客だな、お前たちは掛けていてくれ。」

林:「遅れてごめんよ、大。」

黄河:「雄介、よう来たなぁ。」

林:「あれ?竜に夏!やっぱ2人の方が早かったんだね~。」

彼の名前は林雄介。福岡に住んでいる幼馴染みとは彼の事。父親が国際警察に所属しており、彼もまたなかなかのボンボン。友達や幼馴染みを漢字の頭文字で呼ぶのが特徴である。

林:「おや、お友達かい?」

3人は自己紹介をする。

林:「じゃあ右から優ちゃん、勇くん?・・うーんかぶるなぁ、うん!勇太くん、そして一くんだね!」

市原:「お、おかしな呼び方するなぁ。」

(俺勇太郎なんだけど・・。)

黄河:「あと一人合流する予定だがまだかかると連絡があった。せっかくしビーチバレーでもやるか?」

林:「お、名案だね。」

夏海:「私もやる!竜は・・?」

竜牙:「当然、やるに決まってるじゃないか。」

桜:「私も!」

市原:「面白そう!」

橘:「ま、まぁ暇つぶし程度にはなるか。」


10話/奇跡というものは絶対絶命という時に必ず助けてくれる、そういうものだから信じろ!


ここはラスベガス・カジノ。観客たちが揃って見つめている先には速水親子がいた。

彼らの勝負種目はルーレットである。そして速水はこの時点で20億失っているようだ。

速水:「さすがお母さん・・僕の残りは80億・・。」

洋子:「らしくないわね、ちまちまと・・。」

速水:「あなたが相手だったらだいたいみんな警戒するでしょうよ・・。」

(まずいな、お母さんは8回ずつ張って、そのうち1回は確実にラインペット(5倍付け)以上の所を当てている。そしてラインペット後、あの人は7回外したから恐らく次は・・。)

洋子:「言い忘れていたけど、負けたら夏休み期間中は私の手となり足となって、アメリカでこき使うわよ?ふふふ・・。」

速水:「はぁ?!」

(冗談じゃない!貴重な夏休みを召使いで終わらせてたまるか。)

洋子:「私は残り120億、智也は80億。私を相手にしているのに対してこの差は大きいわよ?」

速水:(っ・・選択すべき色は黒か赤・・。ここで差を広げたらきつい、一発勝負にかけるか?)


オーロラ島

林:「じゃあチーム分けをしようか。」

桜:「私先輩と組みたいです!」

橘:「木嶋さん一択!」

市原:「まぁ気心知れてる竜牙とが俺もいいな。」

夏海:「わ、私!橘くんと組むのだけは絶対嫌だからね!!」

桜:「あちゃ〜本気で嫌がってるわね。」

橘:「めげない・・めげないぞ・・。グスッ・・。」

黄河:「竜牙、人気者だなぁ。」

林:「ここは公平にジャンケンで決めるというのはどうだい?」

その時、一部の目つきが変わった!

夏海:(ここで竜と組んで、か弱い一面を見せられれば竜の私への意識が変わるかもしれない。)

桜:(とか考えていそうね夏海。いずれにしろ、夏海と先輩を組ませるわけにはいかないわ。神様、仏様どうかお力添えを・・。)

市原:(う~ん、まだ初対面の林さんや黄河さんと組むのはやっぱやりづれぇもんな。)

橘:(木嶋さん、木嶋さん、木嶋さん、木嶋さん・・!)

夏海:「ぞくっ!」

夏海の背中に悪寒が走る。

全員:「「最初はグー、シャンケンポン!!」」

組み合わせ結果


〇市原・剣崎・木嶋ペア

市原:「よろしくな!」

竜牙:「ああ、よろしく!」

夏海:「がんばろうね!」


〇黄河・林・桜ペア

桜:「ま、負けた・・。」

黄河:「桜さん、まだ試合は始まってないが?」

林:「よろしくね、二人とも。」


橘:「あれ・・?」


〇補欠  橘

橘:「ろ、ローテしてくれるよね?ね、ね?」


全員がボールをはじいて遊んでる中・・涙を流して体操座りをしている男子高校生が約一名。

橘:「くぅぅぅっ・・・!」


竜牙:「ん?携帯が鳴ってる・・。」

夏海:「どうしたの?」

竜牙:「悪りぃ、ちょっと抜けるわ。」

市原:「あ、じゃあ橘入れよ。」

橘:「ど・ん・で・ん・が・え・しキタぁぁぁっ!」

夏海:「やる以上は役に立ちなさいよ、橘くん。」

橘:「はいっ!ご期待にお答えできるよう粉骨砕身の覚悟でっ!!」

市原:「いや、ふつ~ビーチバレーしてくれたらいいから。」


竜牙:「もしもし・・あ~速水。え、赤と黒どっちの色が好きかって?・・ん~俺は赤かな。」

(え、なんでこんなこと聞くの?)


ラスベガス

速水:「部長、単刀直入に聞きますけど赤と黒どちらの色がお好みですか?」

洋子:「ちょっと、勝負中に失礼じゃない?」

速水:「わかりました。あ、はいそれだけです・・それじゃ!」

洋子:「智也、なかなかいい度胸してるじゃない。」

速水:「僕は残り80億をすべて使って 黒 にかけます!」

洋子:「なっ!」

ルーレットの上を玉は転がり・・黒に転がり落ちる。

コトン・・。

洋子:「出玉は・・く・・ろ・・。」

ディーラー:「エクセレントッ・・ウィナー!トモヤ・ハヤミ。」

観客:「「「YEAAAAAA!!」」

速水:(すみません、部長・・。)

洋子:「あ・・もう用意してたお金がないわ。やるじゃない、智也。」

速水:「ギリギリだったけどね。」

洋子:「お祝いに私が色々とご馳走するわ、出るわよ。」


オーロラ島

夏海:「あら、おかえり竜。」

市原:「橘のやつ燃え尽きて倒れちまった。」

橘:「あ・・ぁぁ・・。」

夏海:「すでに3点取ってくれたんだし、休ませてあげましょ。」

市原:「粉骨砕身やべェ・・。」

竜牙:「さっきの電話なんだったんだろう・・ま、いいや。」

林:「先行は竜たちからでいいよ。」

竜牙:「後悔するな・・よっ!」

バン!

竜牙は自慢の跳躍力でラインギリギリのところに打ち込んだが、同じく運動神経のいい黄河が打ち上げて林がそれを打ち返す!

林:「そらっ!」

夏海:「予測済みよ!」

バン!

林:「うっそ、あの角度から打ち返す?!」

市原:「木嶋、ナイス!」

竜牙:「あとはまかせ・・ろっ!」

バン!

竜牙が見事ボールを叩きつけ、追加点を決める。

黄河:「まさか夏海がここまでやるとはな。」

桜:「恋する乙女の底力ってやつです。」

ゴゴゴゴ・・。

林:「お、優ちゃん燃えてるね~。」


アメリカ・市街地

速水:「アメリカのマ〇ドナ〇ドって高っ!」

洋子:「そうね、何てったって世界一高いと評されてるからね。」

速水:「さすがは本場・・。」

洋子:「好きなだけ食べなさい。あなた、ファーストフード大好きでしょ?」

速水:「う、美味めぇぇっ!」

洋子:「智也はこれからどうするの?」

速水:「この後の予定?とりあえず、生活資金は稼いだから・・ごくっ。ロサンゼルス空港に行って、お父さんに顔見せた後、日本に帰国しようかなって。」

洋子:「そう。」

スッ。

速水:「?」

洋子:「あなたのポッケの中に空港までの往復代を入れておいたわ。後で財布に入れ直しなさい。アメリカはスリが多いから気を付けてね。」

速水:「いいの?」

洋子:「マ〇ク代も往復代もこの後倍になって帰ってくるから問題ないわ、ふふふ・・。」

速水:「相変わらず金に目が眩んでますね・・、」

洋子:「私の生きがいよ。そういう言い方はやめてよね。光ヶ丘での学園ライフはどうなの?」

速水:「所属している剣道部の部長に色々とお世話してもらってる。まだ半年ぐらいだけど楽しいよ。」

洋子:「そう。それなら安心だわ!あ、養育費足りなかったらちゃんと知らせてね?」

速水:「ちゃんと働いて稼ぎなよ。」

洋子:「智也、金は人を変えるのよ?日本とかもう正直住んでいられないわ。」

速水:「・・・。」


オーロラ島での夜

林:「5対3か・・う~ん、なかなかに強かった。」

竜牙:「前半で橘が点を取ってくれたおかげで勝てたようなもんだぜ。」

市原:「あいつ、エンジン全開!って感じだったからな。」

黄河:「お疲れの所、申し訳ないが・・。」

ドン!

桜:「うわっ、すっご~い!」

夏海:「これ花火じゃない!」

黄河:「人数が増えると聞いてうちの使用人に頼んでおたいたものだ。遠慮はいらん、夜を楽しもう!」

林:「それならこの付近に海岸があるからそこでやっちゃおうか。」

オーロラ島海岸

夏海:「り、竜!」

竜牙:「ん?」

夏海:「一緒にやらない?・・花火。」

竜牙:「おう!」

桜:「あ!油断も隙もないわね~先輩!」

竜牙:「桜も一緒にするか?」

橘:「木嶋さん!線香花火もってきました・・。」

夏海:「あら気が利くじゃない。ん?」

ポトッ。

夏海:「火をつけた瞬間に落っこちたんだけど・・。」

橘:「と、取ってきます!」

竜牙:「あいつだいぶはしゃいでるなぁ。」

桜:「橘くん、ストーカー気質だけど一途なんでしょうね。」

橘:「線香花火が・・ない!」

市原:「あ~今やってるわ。」

橘:「おらぁ、市原ぁぁっ!木嶋さんがする分がないじゃないかぁぁあ!」

市原:「あ~もう、うるせぇよ。」

黄河:「橘くん、線香花火なら昼間ビーチボールを直した倉庫の中にまだ置いてあると思う。持ってきたらいいよ、鍵は空いてるよ。」

橘:「あざます!」

林:「彼、すっごい速さで駆け抜けたね。」

市原:「またオーバーヒートするんじゃねぇか?」

竜牙:「そういえば朱里はまだ来てないのか?」

黄河:「ああ、大分遅れてはいるが明日には到着するらしい。」

桜:「あ、3人目の幼馴染み?」

夏海:「・・・。」

桜:「夏海?」

林:「そういえば朱との婚約の話はどうなったの、竜?」

桜:「え”?」

市原:「こ、婚約?!」

竜牙:「ゆ、雄介ェ・・。」

林:「あれ、話してないの?」


~to be continued

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