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モンスターセイバーズ  作者: 短髪
16/16

大空輝介&剣崎竜牙 主役交代のチェンジアップ!

この大長編は続編である

「モンスターセイバーズREVOLUTION」が完結した後も未来の竜牙視点で作品が読めるようになっております。完結する前と完結した後で読み終えた後の感想も変わってくると思うので、ぜひ読んで見て下さい!

未来の竜牙:「神業・飛来竜聖斬!!」

ズバババッ!!

凶牙:「ぐああああっ!!」

(なんて強さだ・・。噂には聞いていたがこれほどまでとはっ・・!)

未来の竜牙:「息子の誕生日までには決着(ケリ)をつけたい。悪いが、この辺で仕留めさせてもらう。」

凶牙:「うぐっ・・調子に乗るなよ・・。」

シュッ!

ガタイのいい中年の親父はそう言いの残し姿を暗ました!

未来の竜牙:「ついにこの日が来たか。とりあえずはハンターから麒麟に伝えてもらうしかねぇよな。過去の時間軸にいるグレイドブースデッドドラゴンを過去の輝介の元に送るように。」

未来の竜牙は侍形態(サムライフォルマ)を解く。

未来の竜牙:「いつの日か凶牙が俺を襲撃することは分かっていたが、どれだけ強くなっても仕留める事はできないか。まぁ歴史の流れに逆らうことはできないんだろうな、きっと。後はあいつに託すしかねェ・・。」

凶牙:「ちぃぃ・・忌々しい剣崎竜牙めぇ~分かっているな!お前たち!!」

「「はい、凶牙総帥!!」」

凶牙:「私自身が唯一無二の破壊者として君臨する為に最強のモンスターを復活させる。」

炎牙:「アーマーレックウドラゴン・・!」

凶牙:「そうだ、それともう一体。今から15年前、アーマーレックウドラゴンをも凌ぐ最強のモンスターが世界を崩壊させようとしていた。」

風牙:「聞いたことがあります。伝説によると名前はデストロイヤ、今では存在自体が幻とされている伝説のモンスターですよね?」

凶牙:「流石だな風牙。私はアーマーレックウドラゴンとデストロイヤを取り込み、私自身が最強の破壊者としてここ・・世界に君臨する。2体の竜の力をこの手中に収めてな。」

風牙:「ですが総帥。デストロイヤはこの時代にはもう存在しません。12年前、剣崎竜牙が率いる証を持ったレジェンドセイバーズたちの手によってデストロイヤはこの世から姿を消してしまいました。」

凶牙:「百も承知だ。だからこそ、このタイムマシンを使って時間を遡る。」

風牙:「あのタイムマシンを使うのですか?!」

凶牙:「ああ、歴史に揺さぶりをかける。実に腹立たしいが、この時代に生きる剣崎竜牙は次元が違う。今の私の力では遠く及ばない・・だが、過去の剣崎竜牙なら赤子の手をひねるのと変わらん。」

炎牙:「歴史の・・改変!」

風牙:「しかし!・・万が一の場合、我らの歴史にも影響が・・!」

凶牙:「タイムパラドックスか・・構うものか!私は自分の欲望の為なら手段を問わない。」



現在。

大空:「ここが・・憧れの光ヶ丘学院!」

松木:「去年新しく校舎を立て直したらしいぜ、この学院。」

大空:「それでもあの人の母校に変わりはない!正直、俺がこの学院に入学できるなんて今でも信じられないよ。」

松木:「今からそんな浮き足立ってどうするんだよ。入学式はまだ先だぜ?」

大空:「分かってるよ。けど、気持ちを抑えられないんだ、楽しみでさ!」

松木:「ま、よかったじゃないか。俺はさっさと必要なモン買ってサッカー部でも見に行くよ。」

大空:「ああ、分かった。」

立石:「輝介!」

大空:「美優?」

松木:「お、ガールフレンドの登場か。」

大空:「なーに言ってんだよ、美優はただの幼馴染みだよ。」

松木:「・・ほんと鈍感だな。」

大空:「え?」

松木:「ま、後は立石に任せるか。」

立石:「輝介、なんで返事してくれないの?」

大空:「うわっ、いつの間に!」

立石:「何その台詞、影が薄いとでも言いたいの?」

大空:「い、いや・・さっきまで松木と話しててさ・・ってあれ?!」

松木の姿は見当たらない・・。

立石:「松木?いないじゃない・・。」

大空:「えーさっきまでここにいたのに。」

立石:「あ、あの・・さ?」

大空:「どうした?」

立石:「昔みたいに輝ちゃんって呼んでもいい?」

大空:「え?」

立石:「ダメ?」

大空:「いや別にかまわないけど・・。」

立石:「ホント?!ありがとう!」

大空:「でも意外だな、美優がこの学院に来るなんて。」

立石:「ここには輝ちゃんの憧れの人もいたけど、私にとっての憧れの人もいたからね。」

大空:「!じゃあ美優が憧れている人って・・。」

立石:「光ヶ丘学院第十七期前期生徒会長で大手電気メーカー木嶋電気社長秘書の木嶋夏海さん!」

大空:「やっぱりな・・。」

立石:「そういう輝ちゃんの憧れはあの人よね?」

大空:「伝説の剣道部部長にして日本全国に道場を設ける剣道の申し子、剣崎竜牙!今や剣道知ってる人でこの人の名前を知らない人はいないぐらいの有名なインストラクターだ。」

竜牙:「なんか・・照れるな。」

大空:「え?!こ、この声は・・!」

竜牙:「改築したばかりの母校の様子を見に行こうと思って来てみたら・・こんな後輩に会えるとはな。」

大空:「剣崎さん!」

竜牙:「初めましてだよな、名前は?」

大空:「お、大空輝介といいます!」

竜牙:「大空か・・よろしく。」

夏海:「ってか、あまり調子に乗せない方がいいわよ。竜は馬鹿だから。」

竜牙:「うっせ!一言余計なんだよ。」

立石:「あーっ!木嶋電気の!!」

夏海:「しーしー!指を差さないで、あと大声で叫ばないで!」


剣崎竜牙・木嶋夏海共に現在23歳。4年前、20歳になると同時に結婚。現在もイチャイチャしている。また、結婚をしている為名字も現在剣崎夏海となっているが、仕事上では旧姓の木嶋を使っているようだ。


立石:「うわぁ、剣崎さんホントにかっこいいですね。」

竜牙:「んなことねぇよ。それに人の良し悪しは外見で決まるものじゃない。」

夏海:「よく言うわ。」

大空:「今日はお二人ともお休みなんですか?」

夏海:「ええ、改築した光ヶ丘学院の様子を見に行こうって前々から言っててね。休みを合わせたの。」

竜牙:「じゃあ二人ともゆっくりしていけよ。俺は用があるからさ。」

夏海:「そうね、私もこれで・・。」

竜牙:「夏海、用が済んだら連絡するよ。」

夏海:「分かった。」

大空:「あ、あの!」

竜牙:「ん?」

大空:「もしかして剣道部に行ったりしますか?」

竜牙:「よく分かったな。」

大空:「お、俺・・剣道部に入部しようと思ってて!」

竜牙:「そうなのか。速水のやつもきっと喜ぶぞ。」

大空:「え、お知り合いがいるんですか?」


剣道部。

竜牙:「よ、速水!」

速水:「!ぶ、部長?!」


速水智也、現在22歳。3年前光ヶ丘学院卒業後、現在は教師を目指して大学に通いつつ母校であるこの学院に研修生として実習をしにきている。剣道部にも顔を出し、後輩たちに指導をしているようだ。


竜牙:「ってかさ、俺はもうお前の部長じゃない。その呼び方は・・。」

速水:「何言ってるんですか!俺にとって部長はいくつになっても部長なんですよ。」

竜牙:「なんか大人になったな。声も低くなったし、喋り方だって前は一人称”僕”だったろ?」

速水:「俺も色々あったんですよ、部長と会ってない間にね。」

竜牙:「そっか・・。」

速水:「それで?お連れの方は親戚の子ですか?」

竜牙:「あ、いや・・入部希望者を連れてきたんだ。今日は見学に来たらしい。」

速水:「本当ですか!ということは今年入学予定の新入生か。」

竜牙:「ああ。期待の新人だぜ!」

大空:「こ、こんにちは!」

速水:「フフッ、歩き方がすり足になってる。君、剣道の経験者かな?」

大空:「あ、はい!」

速水:「そっか。これからが楽しみだよ。」


ドッカァァアン!!


竜牙:「な、なんだ?!」

速水:「これは・・グランドの方から?!」

大空:「すごい振動っ・・!」

竜牙:「とにかく様子を見にいくぞ。」


光ヶ丘学院グラウンド。

炎牙:「あーここが光ヶ丘か。」

竜牙:「なんだ、あいつ!」

速水:「全身が炎で包まれている?!」

炎牙:「見つけたぜ、伝説のセイバーズ剣崎竜牙。」

竜牙:「俺のことを知ってる?モンスター絡みのやつか?!」

炎牙:「ククク・・。」

大空:「あ、あの・・。」

速水:「君は下がってて!」

大空:「あ、はいっ!!」

炎牙:「さてと、この時代のあんたの力がどれほどなのか見せてもらおうか!」

竜牙:「何っ?!」

炎牙:「ボンバーアクセルッ!!」

シュッ、ドカァァッ!!

炎牙の攻撃が竜牙を殴り飛ばした!

速水:「部長っ!」

大空:「剣崎さん!」

竜牙:「なんつー瞬発力だよ。この感じ、思わずあの頃を思い出してしまったぜ。」

炎牙:「鎧で防いだが・・。」

速水:「!ドラグアーマールインモード。すべての打撃攻撃を無効化する鎧・・!」

大空:「なんだあれ・・スゲェ・・。」

竜牙:「俺を狙っているようだが、何者だ?」

炎牙:「俺たちは未来からやって来た時空を超える犯罪者集団、鬼一族!」

竜牙:「鬼一族?聞いたことがない・・。」

炎牙:「今日、俺がここに来たのは他でもない。お前に宣戦布告をする為だァ。」

竜牙:「!」

炎牙:「これから俺たちはお前の過去に遡っていく。力をつける前のお前を潰す為になァ・・そうすればこの時代のお前も俺たちの時代に存在するお前も消えて無くなる。」

速水:「歴史を塗り替えるとでも言いたいのか?!」

竜牙:「そんなこと・・できるわけがないだろ!」

炎牙:「時期に分かるさ・・ま、残された時間を有意義に過ごすんだな。」

シュッ!

竜牙:「消えた?!」

速水:「あいつ、本当に未来から来たんですかね?」

竜牙:「分かんねェ、でも俺たちはそういう非現実的な光景を今まで見てきた。嘘を言ってるようにも見えねぇな。」

速水:「でもどうしたらいいんですか?時空を超えるなんて・・さすがに無理なんじゃ・・。」

竜牙:「ハンターに聞くしかねぇだろ。きっとまだモンスターワールドにいるはずだ。」

大空:「!剣崎さん、空から何か降って・・。」

ドカァァァアン!

突如として現れた一筋の光が大空を包み込んだ!

大空:「な、なんだ・・?!」

竜牙:「お、大空?!」

速水:「今度は何ですか?!」

グレイド:「会いたかったぜ、相棒!」

大空:「う、うわぁ・・か、怪物?!」

グレイド:「失礼な奴だな。」

ストッ。

モンスターはその場に足をつける。

グレイド:「俺の名はグレイド。モンスターワールドからやってきた。」

速水:「どういう事ですか?モンスターワールドと人間界はもう繋がってないはずじゃ・・。」

グレイド:「見た感じだとあいつらの方が早かったみたいだな。」

竜牙:「お前、色々と知っているみたいだな。」

グレイド:「お、剣崎竜牙じゃねぇか。お前のおかげで事が上手いこと進んでいるぞ。」

竜牙:「何の話だよ?」

グレイド:「あ、いや・・こっちの話だ。」

(麒麟に連絡をよこしたのは凶牙たちの時代にいる剣崎竜牙か。)

竜牙:「説明してくれないか?何が起こっているのか。」

グレイド:「説明している時間はない。とりあえず俺らも過去に飛ばないと。いいか?このままだと、剣崎竜牙・・そして、そこにいる速水智也も含めて剣崎竜牙と関わったやつら全員が鬼一族に殺されてしまう。」

竜牙:「何だって!」

速水:「だからあいつはあの時、部長が消えてなくなるって・・。」

グレイド:「ああ。過去のお前たちが消されてしまえば、今の時代を生きているお前たちは存在することができなくなってしまう。」

速水:「タイムパラドックス現象・・!」

竜牙:「つってもな、どうしたらいいんだよ。」

グレイド:「俺と相棒がお前たちを過去に連れて行く。」

竜牙・速水:「「?!」」

竜牙:「相棒って・・?」

グレイド:「名前は?」

大空:「お、オレ?!お、大空輝介・・。」

グレイド:「輝介が俺の相棒だ。」

大空:「か、勝手に決めんなよ!」

グレイド:「お前なら俺を使いこなせるはずだ。」

竜牙:「けど、大空には戦う力なんて・・。」

グレイド:「どうする、相棒?」

大空:「どうするって言ったって・・。」

(剣崎さんの力、あの怪物の言っている事もよく分かんねぇけど俺が動かないとダメなんだって事だけは分かった。動かないと剣崎さんが消えてしまう・・!)

大空:「俺・・やりますよ。」

竜牙:「大空?!」

大空:「どうすればいいんだよ、怪物。」

グレイド:「グレイドと呼べ、相棒。」

大空:「グレイド、力を貸してくれ。」

グレイド:「へっ・・ほらよ。」

グレイドは光輝く石を大空に手渡した。

大空:「これは?」

グレイド:「タイムスリップストーン。こいつを空に投げてみろ。」

大空:「こうか?」

大空が石を投げると、光り輝く時空の裂け目が出現した!

竜牙:「な、なんだ・・この空間?!」

速水:「次元の狭間とはまた違う・・。」

グレイド:「ここを潜ればやつらの跡を追える。」

竜牙:「あいつがどの時間軸に飛んだのか分かるのか?」

グレイド:「さっき交戦していた鬼一族の特徴を教えてほしい。」

竜牙:「炎だ、炎で身を包んでいた。」

グレイド:「炎牙か・・あいつが狙うとすれば・・。」

速水:「部長、もしかしてあの日じゃないですか?」

グレイド:「あの日?」

速水:「部長がモンスターセイバーズになるきっかけをつくったあの日です。」

グレイド:「それはいつ頃の話になるんだ?」

竜牙:「高校二年生の時の春だ。」

グレイド:「なるほど・・っし、先を急ごう。」

速水:「部長、俺も行きます!」

竜牙:「速水・・。」

速水:「俺だって元セイバーズです。モンスターが関わっているなら見過ごせない!」

竜牙:「・・分かった。」

大空:「えっと・・。」

グレイド:「モタモタするな、お前も来るんだよ。この戦いの鍵を握るのはお前だ、相棒。」

大空:「俺が?」

竜牙:「なんだかよく分かんねぇけど力を貸してくれ大空。」

大空:「っ・・分かりました。」

グレイド:「行くぞ!」

過去の竜牙:「ば、化け物だぁぁぁっ!」

過去の夏海:「な、何よあれ!」

過去の速水:「あんなの見たことありませんよ!」

ハンター:「あれはモンスターだ!」

過去の竜牙:「だ、誰だ!」

過去のハンター:「自己紹介は置いといて、剣崎くん、これを使ってくれ。」

過去の竜牙:「ちょっ、なんなんだよあんた・・どうして俺の名前を知ってんだよ!」

過去のハンター:「いいから、ほら!」

過去の竜牙:「う、うぉぉぉぉっ!」

過去の竜牙は命がけで怪物に向かっていった・・その時!

スッ。

過去の竜牙:「え?!」

炎牙:「フン、その剣を振るう必要はない。」

過去の竜牙:「なんだ・・お前・・。」

炎牙:「ボンバーアクセル!」

炎の回し蹴りが顔〇しみたいなモンスターを消し飛ばした!

モンスター:「グァァァアアアアァァッ!!」

過去の竜牙:「あの怪物を・・倒したのか?!」

過去のハンター:「お、お前は・・何者なんだ?」

炎牙:「キングダムセイバーズの三島和人か。丁度いい、お前もここで始末してやる。コイツを殺した後でな。」

過去の竜牙:「!・・俺の事を言ってるのか?」

過去のハンター:「剣崎くんを殺す気なのか?!」

過去の速水:「ぶ、部長が危ない!」

炎牙:「死ね、バーストスナップ!」

過去のハンター:「ガイアフォースリフレクト!!」

ピカァァァアン!!

炎牙:「うっ・・眩しっ・・!」

過去のハンター:「剣崎くん!こっちに!!」

過去の竜牙:「っ・・何なんだよほんとに・・!」

竜牙:「お前の相手はこの俺だ!」

炎牙:「なにっ・・!!」

竜牙はハヤブサランニングストームで炎牙に体当たりし、そのまま突っ切っていく!

過去のハンター:「だ、誰だ?!」

速水:「あいつは俺たちが引き受けます、あなたは彼らを連れて安全な場所に!」

過去のハンター:「っ・・誰だか知らないけど、恩にきるよ。逃げるよみんな!」

炎牙:「邪魔をしやがって!」

バシィッ!

竜牙:「っ・・!」

炎牙:「剣崎竜牙、まさか時間を超えてまで追ってくるとは・・。」

竜牙:「消されるわけにはいかないからな。」

炎牙:「邪魔なんだよ!」

ボォォォォウ!!

竜牙:「!」

(炎の出力が上がった?!)

炎牙:「ボンバーアクセル!」

ドカァァアン!!

速水:「!」

グレイド:「どうなったんだ?!」

大空:「ハァハァ・・。」

速水:「部長、大丈夫ですか?!!」

炎牙:「速水智也か・・。」

スタッ!

速水:「まさか、ここでやられたりはしてないですよね?」

竜牙:「ったりめーだ、こっからだ。」

速水:「俺も助太刀しますよ。」

炎牙:「チィッ、面倒な・・。いいだろう、お前から先に始末してやるよ。速水智也ァ・・。」

シュッ!

速水:「また消えた・・!」

竜牙:「ホントに逃げ足の速い野郎だな・・。」

グレイド:「間に合ったか?」

竜牙:「ハンターが足を止めてくれたおかげでな。けど、俺がセイバーズになるきっかけがなくなっちまった。」

速水:「ですね・・このまま過去の部長がセイバーズにならなかったら・・部長が戦う力を無くしてしまう。」

大空:「俺が・・モタモタしていたせいで・・。」

竜牙:「それだけじゃない、あの口ぶり・・あいつは次に狙うのは速水・・お前の可能性が高い。」

グレイド:「なら早急にこの時代を出た方がいいな。」

速水:「ま、待って!せめてこの時代の部長がちゃんとセイバーズになるかだけでも見届けてからでも・。」

竜牙:「う~ん・・あれ、大丈夫かもしれないぞ。」

速水:「え?」

竜牙:「あの顔〇しみたいなモンスターと戦った後、確か鳥型のモンスターと遭遇するんだ。その時に連れ去られた夏海を助けたことがきっかけで俺はセイバーズになったはず。」

大空:「で、でも・・さっきの騒動であいつが歴史に揺さぶりをかけたからそうなるとは限らないんじゃ・・。」

速水:「確かに。」

竜牙:「大丈夫だ。」

速水:「なんでそう言い切れるんですか?」

竜牙:「何があってもきっと俺はセイバーズになると思うよ。目の前で誰かがモンスターに襲われていたら俺は絶対にじっとしていない。自分のことだからよく分かんだ。」

速水:「部長・・。」

竜牙:「さ、行こうぜ。過去の速水を助けによ。」

グレイド:「よし、頼むぞ相棒。」

大空:「あ、ああ・・。」

椎名:「ねぇ智也君!」

過去の速水:「し、椎名さん。ホント、あんまりくっつかれるのは・・。」

グスッ・・。

過去の速水:「?!」

椎名:「どうして・・そんなこと言うの?」

過去の速水:「な、泣かないでくださ・・え?」

椎名の後ろで影がうごめく・・。

椎名:「どうしたの?」

過去の速水:「椎名さん!」

過去の速水は椎名を押し出す!

モンスター:「グルルアア!」

ズバァッ!

過去の速水:「あ”あっ!!」

椎名:「は、速水くんっ?!!」

過去の速水:「なんでっ・・モンスターが・・。落ち着け、僕!椎名さん。とりあえず、部長に連絡をす・・!」

過去の速水が顔を上げるとモンスターが椎名を取り押さえていた。

椎名:「ヒィッ・・!」

過去の速水:「ま、まずい・・。部長を呼んでいる場合じゃないぞこれ・・!」

(僕が・・セイバーズだったら!ちくしょう・・どうすれば・・。)

ジー:「これを使え。」

過去の速水:「!えっ・・。」

過去の速水は見知らぬ男から剣を渡される。

過去の速水:「これ・・!」

ジー:「モタモタしている場合じゃないだろ、早くいけ!」

過去の速水:「あ、はいっ!」

過去の速水は剣を持ち直し、モンスターに突っ込んでいく・・その時!

ピカァン・・。

過去の速水:「うわっ?!なんだ!!」

椎名:「眩しっ・・!」

モンスター:「グゥゥッ!」

過去の速水が手にしていた剣が光り輝く!

ジー:「それはハイゼルセイバー、人のイメージを力に変える剣だ。」

過去の速水:「イメージを力に・・。」

(だったら・・部長の動きをイメージすれば・・!)

モンスター:「グルルアア!」

速水:「ハヤブサランニング!」

スッ!!

速水は低姿勢のまま、高速移動でモンスターの背後に回り込む!!

モンスター:「?!」

過去の速水に気を取られていたモンスターは椎名から手を放す!

過去の速水:「!チャンスだ、ハイゼルセイバーッ!!」

スッ。

過去の速水:「!」

(ハイゼルセイバーが止められた・・?!)

炎牙:「安心しろよ、こいつは俺が殺る。」

バシィッ!

過去の速水:「ぐはっ・・!」

炎牙は過去の速水の溝に拳を撃ちこんだ!

ジー:「何者だ。」

炎牙:「名乗るほどのモンじゃねぇよ。」

ジーは過去の速水の元に駆けつけ、ハイゼルセイバーを手に取る。

ジー:「こいつには近づけさせん。」

炎牙:「確かてめぇもキングダムセイバーズだったなァ・・。」

モンスター:「グゥゥッ!」

炎牙:「うぜぇ!」

炎牙の拳がモンスターを消し飛ばした!

ジー:「一撃で・・!」

炎牙:「ボンバーアクセル!」

ドカァァアン!!

ジー:「ぐああああっ!!」

炎牙:「このまま決めてやるぜ。」

ジー:「・・・。」

炎牙:「・・・動かない?」

(足下が・・凍って!)

ジー:「・・氷河転結・氷流獄。」

炎牙:「てめぇ!」

ジー:「少年、その娘を連れて隠れてなさい!」

過去の速水:「あ、はい!」

椎名を担いで速水はゆっくりと前進していく。

炎牙:「ほう・・邪魔をするか。」

ジー:「超必殺技・ハイパーブリザード。」

シュゥッ・・・・・・フォォォォォオォォォウウウ!!

急激に冷えた空気が炎牙にぶつかる!!

炎牙:「無駄だァ・・オレの炎で燃やし尽くしてくれる。」

ボォォォォウウ!!

ジー:「体内の炎を暴発させて体温を上昇させたか。」

炎牙:「ボンバーアクセル!」

ジー:「バカ正直に猪突猛進か。戦場では一番最初に死ぬタイプの人間だな。」

炎牙:「おらぁぁぁっ!!」

バシィッ!

炎牙:「痛っ・・!!」

ジー:「Ⅹ技・氷輪盾。」

炎牙:「目には見えない盾だと・・っ!」

ジー:「フン!」

ズババッ!!

炎牙:「ぐああああっ!!」

ジー:「刀身を凍結させたハイゼルセイバーのキレ味は身に染みるだろ?」

炎牙:「ぐっ・・強い・・っ!」

速水:「斬ハイゼルセイバー!」

炎牙:「!」

カキン!

炎牙:「追ってきたか・・。」

速水:「ジーさん!コイツの相手は俺たちが引き受けます!」

ジー:「!・・さっきの少年?!いや、身長が違う・・どういうことだ。」

速水:「説明している暇はありません。とにかく、その剣をさっきの男の子に!もしかしたらまだ怪物が潜んでいるかもしれませんよ。」

ジー:「!そうだな・・誰だか知らんがソイツは任せたぞ。」

竜牙:「いいのかよ、適当な事を言って。」

速水:「どんな形であれ、ジーさんがこの時間の俺にハイゼルセイバーを譲渡しないと俺はここで戦う力を失ってしまいますからね。」

竜牙:「まぁ確かにそうだな。」

炎牙:「チッ・・しつこいやつらだ。」

速水:「これ以上、コイツを自由にはさせておけません。」

竜牙:「速水、油断するなよ。相手の実力は未知数だ。」

炎牙:「ボンバーアクセルッ!!」

ボォォォォウウ!!

速水:「ターンランニング!」

炎牙:「っ!」

(俺の攻撃をギリギリで回避した?!)

速水:「奥義・プリズムエンペラークロー!!」

ズババッ!

炎牙の胴を分裂した3本のハイゼルセイバーが貫いた。

炎牙:「がは・・っ・・。」

大空:「す、すごい・・。」

グレイド:「相棒、よく見とけ。あれがモンスターセイバーズの戦いだ。」

大空:「モンスターセイバーズ?」

グレイド:「・・そうか、あの世界恐慌の記憶は失われているのか。簡単に説明するならば怪物を討伐する力を持った人間といったところだ。」

大空:「2人が・・そのモンスターセイバーズだったなんて。」

グレイド:「だが、鬼一族は様々な時代で猛威を振るう犯罪者集団。一筋縄ではいかないはず・・。」

竜牙:「グレイド・・だっけか?鬼一族(あいつら)の目的は何なんだ、俺を消そうとしているのには理由があるんだろ?」

グレイド:「相棒たちのいた時間から数年後、モンスターワールドである異変が起きてしまう。ダークセイバーズというセイバーズの亜種のような存在がこの世界を脅かすんだ。」

竜牙:「ダークセイバーズ?」

グレイド:「歴史に影響を及ぼす為、断片的にしか話せないがそいつらはセイバーズ同様に戦う力を備えておきながら無差別に人やモンスターを襲う。」

竜牙:「な・・!」

グレイド:「よーはデストロイヤが保険をかけていたんだ。自分が倒されても大丈夫なようにあの世界恐慌が起こった日、殺された身寄りのない人間の屍をかき集めて、モンスターワールドのとある場所に封じ込めていた。自身の力の欠片を屍に注ぎ込んで・・ね。」

竜牙:「んだよそれ・・。」

速水:「戦いは・・終わってない?!」

竜牙:「その未来は避けては通れないのか?」

グレイド:「炎牙がちょっと歴史を改変してもお前たちが消えなかったように、過去に起こった出来事はそう簡単に書き換えることができない。当然、訪れる未来も・・。」

竜牙:「んだよそれ・・俺たちだっていつまでも戦えるわけじゃないんだぞ。」

グレイド:「その為に俺がここに来た、そして相棒をここに連れて来たんだ。」

竜牙:「え?」

グレイド:「麒麟はこれからの脅威に備えるべく、新たな力を持ったセイバーズを生み出すつもりだ。名はレボリューションセイバーズ。」

竜牙:「レボリューション・・セイバーズ・・?」

グレイド:「その名の如く革命を起こす新たな世代のセイバーズたちだ。」

竜牙:「なんかもうわけ分かんねぇな。」

グレイド:「奴らを野放しにすると、剣崎竜牙を含む伝説のセイバーズたちのいない世界でダークセイバーズが猛威を振るうことになる。それこそ未来では鬼一族が世界を支配してしまうだろう。この訪れてはいけない未来を並行して回避する為にもこいつらは俺たちの手で討伐しなければならない。」

竜牙:「ちょっと待てって!過去の俺たちが消えてしまったらそれこそ”デストロイヤ”が復活するんじゃないのか?」

グレイド:「勘違いしているようだがそれは違う。消滅してしまうのは現代(いま)の時間を生きるお前たちとそこから先の未来にいたはずのお前たちだけだ。」

竜牙:「!」

グレイド:「あくまでお前たちはタイムスリップした先で鬼一族(こいつら)に倒されたという扱いで時間は進んで行く。過去のお前たちが消えることはない。」

竜牙:「そうなのか?」

グレイド:「そうしたいのなら放っから現代(いま)の世にやってきて宣戦布告をするのではなく、過去の剣崎竜牙を殺すべきだったんだ。現代(いま)を生きるお前たちが過去にやってきたことでお前たちは同姓同名の別の人間として過去の時間軸で処理されているわけだ。」

竜牙:「つまり、さっきまで起こった出来事が今の時間軸として流れているから、歴史の改変は起きないってことなのか?」

グレイド:「やつらが過去の剣崎竜牙たちに危害を加える前に俺たちが歴史に干渉してるからな。これこそが未来の剣崎竜牙の狙いだ。こうすることで歴史には多少影響を及ぼすが、俺たちが死なない限り過去の剣崎竜牙たちが殺されることはない。炎牙のやつもそこまで頭が回らなかったんだろう。」

炎牙:「痛っ・・やってくれるじゃねぇか。」

速水:「!」

炎牙:「おらぁぁっ!」

バシィッ!

炎牙の拳が速水の溝を貫く!!

速水:「うぐっ・・!」

炎牙:「態勢が崩れたな、ふっ飛べ速水智也ァ!!」

速水:「まずい・・受け身がとれな・・!」

竜牙:「速水!」

グレイド:「相棒、俺の尻尾を掴んでフォルムチェンジと叫べ!」

大空:「唐突に?!な、なんで俺が・・。」

グレイド:「あの火力だと速水智也と言えど無事じゃ済まない。早く!」

大空:「ふ、フォルムチェンジ!」

大空の叫びと共にグレイドが剣に形を変えていく!

竜牙:「モンスターが武器になった?!」

大空:「なんだこの剣・・頭の中に使い方が・・イメージが・・湧いてくる。」

グレイド:「さァ、必殺技をお見舞いしてやれ!」

大空:「グレイドソード・発動ガイアスラッシャー!!」

大空がグレイソードを振り下ろすと、光り輝く暴風が炎牙を弾き飛ばした!!

炎牙:「ぐあっ!!」

速水:「な・・大空くん?!」

竜牙:「なんっう威力だ・・。」

炎牙:「てめぇ・・調子に乗るなァ!!」

グレイド:「来るぞ!」

大空:「お、おう・・!」

炎牙:「バーストスナップ!!」

グレイド:「速水智也、心の証を相棒に渡せ!」

速水:「え?」

グレイド:「早く!」

速水:「わ、分かった・・!」

速水は覚悟の証を大空に向けて投げる!

パシッ!

大空は:「これは?」

グレイド:「グレイソードに心の証を近づけてみろ。」

大空:「こ、こうか?」

シュルルッ・・。

覚悟の証はグレイソードに吸収された!

速水・大空:「「?!」」

炎牙:「死ねぇぇぇ!」

大空:「グレイソード・解禁氷河転結・絶対零度!」

カチカチカチ・・。

炎牙:「な・・っ!」

速水:「あれは・・俺の技?!」

グレイド:「トドメだ相棒!」

大空:「グレイソード・発動オーディンストーム!!」

炎牙:「うぐっ・・!」

(ま・・まずいっ!!)

金色の光を纏った強風が炎牙に襲い掛かる!

ズバババン!!

大空:「ハァ・・ハァ・・。」

竜牙:「やったのか・・?」

大空:「フォルムオープン・・。」

グレイドは剣から元の姿に戻っていく。

グレイド:「炎牙は完全に消滅したようだな。」

大空:「速水さん、これ。」

大空は覚悟の証を速水に返した。

グレイド:「これがレボリューションセイバーズの新たな力だ。モンスターを武器化して戦うことができる。心の証の力を使えば、所有者の通常技をアレンジして発動することも可能だ。」

竜牙:「俺たちと違う新たな力・・!」

速水:「レボリューションセイバーズ・・!」

グレイド:「長々と話し込んでいる時間はないぞ。鬼一族は炎牙だけじゃない、あいつを討伐したことで鬼一族の動きも活発になるはず。」

竜牙:「・・いや、一度俺たちのいた時間に戻ろう。」

グレイド:「え?」

竜牙:「大空の力は確かに強力だけど、一度使ってしまった以上あいつらにも情報が知れ渡っているはずだ。だからこそ元いた時間に戻る。戻ってみんなに声をかけるぞ。」

速水:「で、でも・・神谷さんは今海外にいるはず。銀河さんだって福岡にはもういませんよ?」

竜牙:「ハンターに頼んでおいたんだ。」

速水:「え?」

竜牙:「タイムスリップする前にハンターにラ〇ンを残しておいた。全員を光ヶ丘学院に集めておてくれって。もう一度セイバーズとして戦わなければいけない時が来たってな。」

速水:「!」

竜牙:「戻る頃にはもう何人か集まってるんじゃないか?」

速水:「流石部長!」

竜牙:「部長は止めろって・・。」

グレイド:「レジェンドセイバーズか・・頼もしいな。相棒、俺たちも足を引っ張らないよう頑張るぞ。」

大空:「んなこと言われても・・。」

竜牙:「つってもあいつらがいつアクションを起こすか分からないのも確かだし・・速水。」

速水:「あ、はい!」

竜牙:「大空と一緒に残りの鬼一族を探してくれ、現代(むこう)に戻るのは俺だけでいい。」

速水:「了解です、気をつけて。」


一方その頃・・。

光牙:「炎牙がやられたか・・。」

氷牙:「情けない、一族の恥さらしめ。」

光牙:「そうとも言い切れん。どうやら剣崎竜牙に手を貸しているやつがいるようだ。」

氷牙:「フン、粉々にしてやる・・。」


光ヶ丘学院グラウンド。

グレイド:「!」

速水:「部長は元の時間に戻れたんでしょうか。」

グレイド:「戻れているはずだ。それより、剣崎竜牙が戻ってくるまで死ぬ気でこの入口を守るぞ。」

大空:「?」

グレイド:「追手だ!」

氷牙:「会えて嬉しいよ、セイバーズ。」

速水:「っ・・今度は全身が凍っている・・。」

氷牙:「フリーズストーム!」

速水:「究極必殺技・デュオスソルジャー!」

ガタン!ガタンガタン!!

大空:「?!地面から鉄の破片が・・!!」

速水:「俺はハイゼルセイバーの力を地面に流し込むことでハイゼルセイバーの刀身を再現した鉄の破片を地面から生やすことができる。」

氷牙:「そんなもので私の攻撃を防ぐつもりか?」

速水:「防ぐんじゃない、威力を半減させる為の盾だ!」

氷牙:「何っ!」

速水:「俺に吹雪を当てたのは間違いだったな、その冷気をそのまま利用させてもらう!超必殺技・ハイパーブリザード!!」

シュゥッ・・・・・・フォォォォォオォォォウウウ!!

氷牙:「!」

(空気中の水分が凍ってヒョウみたいに変化した?!!)

速水:「そのまま返してやる、いけぇぇぇ!」

シュツ!ズバズバズバズバズバッ!

無数のヒョウが氷牙の体を貫いていく!!

氷牙:「ぐあああああああっ!!」

速水:「やったか?」

氷牙:「フン・・私の体はこの程度の攻撃ではかすりもせん、愚か者が。」

(一筋縄ではいかないか、速水智也。)

グレイド:「あいつは・・氷牙!」

大空:「もしかしてあいつも・・。」

グレイド:「鬼一族の一人だ。」

氷牙:「茶番はここまでだ。」

速水:「っ・・。」

シュッ・・。

速水:「消えた?!」

バシィッ!

速水:「ぐあっ!」

氷牙:「アイスブラスト!!」

バシィッ!

速水:「がは・・っ!!」

(姿が見えない・・っ!)

氷牙:「私の能力 姿霍乱(すがたかくらん)。蜃気楼で自身の姿を隠し、体術で攻め倒す技だ。そしてアイスブラストには追加攻撃がある。」

速水:「!あいつの拳が当たった個所が凍ってる・・?!」

ドクン!

速水:「うぐ・・っ・・冷気で体の内部が冷えていく・・・。」

大空:「速水さん!」

氷牙:「王手だ、デスブリザード!!」

大空:「氷の弾丸?!!」

バン!バン!バァン!

速水:「ぐああああああっ!!」

大空:「速水先輩っ!!」

氷牙:「これでしばらくは立てないはず、次はお前だ。」

大空:「くっ・・グレイド!」

グレイド:「ああ!」

大空:「フォルムチェンジ!」

大空の叫びと共にグレイドが剣に形を変えていく!

氷牙:「モンスターが武器になった?!」

大空:「グレイドソード・発動ガイアスラッシャー!!」

大空がグレイソードを振り下ろすと、光り輝く暴風が氷牙に襲い掛かる!

氷牙:「大した威力だ、スノウディフェンス!!」

バァアアン!!

大空:「防がれた?!」

氷牙:「炎牙のようにはいかんぞ。」

大空:「だったら・・グレイソード・発動オーディンストーム!!」

氷牙:「スノウディフェンス!!」

バァアアン!!

大空:「オーディンストームでも破壊できないなんて・・。」

氷牙:「戦闘経験は皆無のようだな。いかに強力な力を持っていようと使用者が扱いきれなければ力の持ち腐されだ。」

グレイド:「おい相棒、しっかりしろ!」

大空:「ってもよ・・足がすくんで・・。」

氷牙:「どうした?来ないのか、なら・・こっちから行くぞ!」

大空:「くそっ・・どうしたら・・!」

(あれ・・また必殺技のイメージが!)

グレイド:「相棒、もう一回フォルムチェンジだ!」

大空:「よし、グレイドフォルムチェンジ!」

グレイド:「グレイガントレット!」

氷牙:「!さっきと違う姿に変わった・・。」

大空:「おおーっ!」

グレイド:「こいつを纏った拳であいつの氷を粉砕しろ!」

氷牙:「お手並み拝見といこうか。」

大空:「イメージを・・っし、グレイガントレット・発動ソニックドラゴンヘッド!!」

氷牙:「スノウディフェンス!!」

ドカァァァン!

氷牙:「ぐは・・っ!」

大空:「よし、当たった!」

氷牙:「っ・・馬鹿なっ・・!」

(スノウディフェンスが破られた・・!)

大空:「もう一発っ!!」

ドカァァァン!

氷牙:「舐めんじゃねぇぞ、クソガキ!」

速水:「雰囲気が変わった・・まずい!」

大空:「効いてる、これなら!」

グレイド:「油断するな相棒!」

シュゥ!

大空・グレイド:「「?!」」

(目の前に!)

氷牙:「アイスブラストォォ!!」

氷牙の拳が大空を殴り飛ばした!

大空:「ぐあっ!」

氷牙:「まだだ・・制裁は終わらんぞ。」

大空:「!」

(また高速で間合いを・・!)

氷牙:「まずはその右腕を使えなくしてやる、アイスブラストォォ!!」

大空に向けて拳を突き出そうとする氷牙の不意を突くかの如くレバーフローが追い打ちをかける!

小池:「究極奥義・ブラックエーストライアルLV2!」

氷牙:「なにっ・・!」

バッシィィンン!!

氷牙:「がは・・っ!」

大空:「え・・。」

小池:「怪我はないか?」

大空:「あ、あなたは・・?」

氷牙:「私のボディがえぐれてる?!き、貴様・・何者だ?」

小池:「小池共士郎。これからお前を倒すセイバーズの名ぐらい覚えておくといいぜ。」

速水:「小池先輩!」

小池:「遅くなった、待たせたな速水。」

氷牙:「伝説のセイバーズの一人か。」

姿霍乱(すがたかくらん)。)

スッ・・。

大空:「またこの技・・!」

速水:「蜃気楼で小池先輩の視界を奪う気か!」

小池:「舐めるなよ、モンスター。」

小池は目を瞑り、音に耳をすませる。

小池:「ここだな。」

氷牙:「!」

(馬鹿なっ・・見えていないはず。なのに・・私のところに向かってくる!)

小池:「超必殺技・ソウルブレイク!」

バシィッ!

氷牙:「ぐあああっ!!」

大空:「な、なんであいつの居場所が分かったんですか?!」

小池:「音だ。」

氷牙:「音?!」

小池:「ボクシングしてりゃあ人の呼吸や足の動きには多少なり敏感になるんだよ。俺はお前の動く音を感じて攻撃に対応しただけだ。」

氷牙:「なんて奴だ・・なら、広範囲攻撃で一気に仕留める!デスブリザード!!」

小池:「氷の弾丸か、そんなの相殺すればいいだけだ。」

小池はアルティメットフォームに姿を変える。

小池:「黒炎弾!」

複数の黒い炎弾が氷の弾丸に向けて解き放たれる!

ドカァアン!

氷牙:「な・・!」

(私の弾丸を燃やし尽くした?!)

小池:「黒炎弾の方が質量が軽い分、お前の氷の弾丸の飛来速度を上回る。それに・・氷と炎がぶつかり合えば、当然固形物である氷の弾丸の方が溶けてなくなる。」

氷牙:「っ・・私にとっては随分と分が悪い相手というわけですか、厄介な。」

シュッ!

小池:「そういうことだ、バーニングモード!」

氷牙:「くっ・・動きも素早いっ・・アイスブラスト!」

バシッ!バシッ!バシッ!

2人の拳が激しくぶつかり合う!

大空:「すげぇ・・なんつぅ攻防だ。」

グレイド:「小池共士郎が纏っている力はベルゴンザの闇の力だ。あの力を持ってしても奴のガードは簡単に崩せないか。」

小池:「久々だぜ、この感覚!」

氷牙:「こいつ・・私の攻撃を交わしつつも確実に自身の拳を当ててくる。動体視力もさることながら一つ一つの動きに無駄がない・・常日頃から下半身の筋肉を鍛えていなければできない動きだ、動きが柔軟で軌道が読みづらいっ!」

小池:「なるほどな・・。」

氷牙:「?」

小池:「お前の装甲は確かに頑丈だ。だが、重量が増している分相手の手数が多ければ多いほど、動きに遅れが生じる。つまり・・。」

バシィィッ!!

氷牙:「ぐあああっ!!」

小池:「接近戦にはめっぽう弱いんだろ?」

氷牙:「くっ・・このままではやられる!一度撤退して態勢を立て直す!!」

小池:「奥義・レジェンドライブ!!」

シュルルルルッ!

小池は青く体を光らせながら高速回転し、氷牙のボディを削っていく!!

氷牙:「ぐああああっ!!」

小池:「はぁぁぁぁっ!!」

ズバァァッ!!

小池:「ハァハァ・・。」

氷牙:「この・・私が・・!」

氷牙の姿が消えて逝った・・。

大空:「凄い・・。」

小池:「あいつは何者なんだ、一体何が起きてる?!」

速水:「説明すると長くなるんですが・・。」

速水は小池にこれまでの出来事を話す。

小池:「!過去の剣崎を消す為に未来からやってきたっていうのか・・。」

速水:「はい。実際に氷牙の仲間が過去の部長を消そうとしているところを目撃しました。」

小池:「にわかには信じられねぇが、俺たちはこれまでも非現実的な経験を沢山してきたからな・・。」

速水:「部長も同じことを言ってました。」

小池:「剣崎が消されれば、俺たちが戦ってきた時間が無かったことにされてしまう。そんなことあっちゃいけない、俺にも一枚噛ませろ。」

大空:「この人が味方に・・心強い!!」

小池:「お前がタイムスリップのキーマンか、名前は?」

大空:「えと・・大空・・輝介です。」

小池:「小池共士郎だ、よろしくな。」

大空:「こちらこそです!」

小池:「とりあえず速水、お前は止血してしばらく安静にしておけ。」

速水:「ありがとうございます。」

風牙:「流石に手強いな、小池共士郎。だが、我らの時代に生きる小池共士郎に比べればまだ付け入る隙はある。」

小池:「!」

大空:「全身を包み込むように風が渦巻いている・・ということは・・。」

グレイド:「次から次へと・・あいつは鬼一族の風牙だ。」

パチッ。

風牙は指を鳴らす。

リヴァイアA:「ギシャァァ!」

大空:「な、なんだ・・。」

速水:「大量のモンスターが!」

風牙:「リヴァイアモンスター。過去の時代より採取したモンスターの細胞、それを使った品種改良によって生まれた我らの殺人兵器だ。」

小池:「面倒なことになってきたな。」

速水:「くっ・・。」

小池:「速水、お前はそこで待機してろ。大空、モンスターたちを無理に倒す必要はない。道を切り開け、この手のやつらは一体一体倒してもキリがない。親であるあの男を倒さない限り自体は収拾しない。」

大空:「分かりました、小池さんが風牙の元に辿りつくようアシストします。」

風牙:「丁度いい、炎牙を倒した小僧と氷牙を倒した男・・まとめて相手をしてやる。」

大空:「グレイド、リターンフォルムチェンジ!」

(また勝手に言葉が!)

グレイド:「グレイソード!」

大空はガントレットからソードに形を変えたグレイドを手に持ち、構える。

小池:「頼むぞ、大空!」

小池はビースト細胞を発動する!

大空:「グレイソード・発動オーディンストーム!!」

シュルルルッ・・バァアアン!!

強風がリヴァイアモンスターたちを吹き飛ばしていく!

小池:「!なんて威力だ・・白鳥のクリアストームシンフォニーと同等かそれ以上か?!」

大空:「小池さん、今の内に!!」

小池:「ああ!」

タッタッタッ!!

風牙:「バイオレンスエンド。」

ズババッ!

小池:「がは・・っ!」

(何が・・起こった・・!)

大空:「小池さん!」

速水:「一瞬で小池先輩が目には見えない”何か”に貫かれた?!」

風牙:「俺は空気をあらゆるものに変えることができる。例えば・・小池共士郎を囲む空気を鋭い刃に変えるとかな。」

小池:「なに・・っ!」

速水:「空気を・・!」

グレイド:「なんつう初見殺しだ・・。」

風牙:「俺は直接手を下さない、なんせ空気というものはそこらじゅうにあふれているからなぁ。そこの小僧みたいにモンスターを武器化する必要もないわけだ。」

風牙:「リング!」

ガシッ!ガシッ!ガシッ!

小池:「くっ!」

(目には見えない”何か”で両手両足を固定された?)

風牙:「お前はそこでおとなしくしてろ。それにしてもリヴァイアモンスターたちを一瞬で吹き飛ばすその力、気に入った。強き力は皆総帥にこそふさわしい。」

大空:「お、おいグレイド!こっちに来てる!!」

スペード:「究極奥義・レッドクジャクバイオレンスLV2!!」

ドッカァァァアン!!

風牙:「うぐっ!!」

(これは・・重力で体が地面に叩きつけられてっ・・!)

スペード:「助っ人登場!」

小池:「フッ・・遅いんだよ。」

速水:「銀河先輩!」

白鳥:「風の力で固定しているなら、私の力で解除できるはず。」

バン!

小池:「体が動く!・・すまない、白鳥。」

白鳥:「いえ!遅くなってしまって申し訳ないです。」

大空:「まさか、この人たちも!」

竜牙:「よく耐えたな、大空。お前が入り口を死守してくれたおかげでみんなをこの時間に飛ばせた。」

竜牙は大空の肩を軽く叩いた。

大空:「剣崎さん!」

神谷:「それにしてもとんでもない力ね。」

風牙:「!女王守護(セイバーズクイーン)っ・・厄介な。」

竜牙:「朱里、速水の回復を頼む。」

神谷:「速水くん、こっちに。アルフォースゾーン!」

速水:「すみません、神谷先輩。」

神谷:「気にしないで、よくここまで耐え抜いたわ。」

炎斬:「けどよ、どうする?・・あいつ相当厄介だぞ。」

本田:「ああ、迂闊に近づけないからな。」

竜牙:「大丈夫だ。剣舞眼でやつの弱点は見抜いてる。」

夏海:「さすがに仕事が早いわね。」

竜牙:「ああ、あいつが小池の動きを封じる時に見ておいた。」

速水:「あれ、覇王は?」

竜牙:「ハンターも覇王もデストロイヤエリアの復興で手が離せないんだとよ。けど、これだけの面子が集まったんだ。負ける気はしねぇ!」

風牙:「レジェンドセイバーズたち・・これも運命(さだめ)か。」

ピシュゥゥン!

ピシュゥゥン!

ピシュゥゥン!

夏海:「空気の弾丸!」

白鳥:「それ、私の力と被るんでやめてもらえますか?」

白鳥は両手を上に上げる!

白鳥:「奥義・スカイカリバーァァッ!!」

白鳥は巨大な竜巻を螺旋状に変化させ、先を尖らせた状態に形を変えて風牙にそのまま投げつけた!!

風牙:「なにっ・・!」

シュゥッ・・バァアン!

夏海:「あんたね、少しは加減しなさいよ!」

白鳥:「先手必勝ですよ、相手が手練れなら銀河先輩が抑えている内に仕留めないと。そんなことも分からないなんて、外見だけしか成長してないんじゃないんですかァ?」

夏海:「ハァ?見た目も中身も成長してないあんたに言われたくないわよ。」

白鳥:「聞き捨て成りませんね、先輩の目は節穴ですか?ちゃんと見て下さい、このキューティクル補修で生まれ変わった艶やかな髪を。それにほら!女性として成長すべき部分もちゃんと成長してるんです!こう見えても私、モテるんで。先輩こそ、後輩にちょっと煽られただけで我を忘れるなんて人としての器が小さいままなんじゃないんですかァ?」

夏海:「この・・!その減らず口はホントどうにかしないと今後の就職活動にひ・び・く・わ・よ?」

白鳥:「お・あ・い・に・く!社会人としてのマナーは心得ておりますのでお気遣いなく。」

竜牙:「なんでお前らは顔を合わせるたびに喧嘩が勃発するんだ・・。」

夏海・白鳥:「「フン!」」

スペード:「こいつら変わんねぇ・・。」

本田:「久々に会ったっていうのに緊張感のねぇやつらだな。」

神谷:「フフッ。なんか懐かしいわね、この感じ。」

速水:「ですね、なんか昔を思い出しちゃいました。」

風牙:「総帥、レジェンドセイバーズは俺が足止めしておきます。」

風牙は小型無線通信機のスイッチを切る。

竜牙:「総帥?」

風牙:「さて、歴史に名を残すレジェンドセイバーズたちよ・・かかってくるがいい。」

シュッ!

本田:「スパークリングサンダー!」

炎斬:「ファイアガントレッド!」

風牙:「ほう・・。」

(数秒の間に間を詰められたか。)

バシィッ!

本田:「ぐあっ!」

バシッ!

炎斬:「うぐっ!」

速水:「2人の拳が繰り出される前に利き手を弾いた?!」

竜牙:「いや、本田と正一の利き足を空気で弾いたんだ。バランスを崩した2人が倒れこめば互いの攻撃で相撃ちに・・!」

ドッカァアン!

本田・炎斬:「ぐあああっ!!」

風牙:「スピードで翻弄できるほど俺は甘くないぞ。」

竜牙:「速水。」

速水:「?」

・・・。

速水:「分かりました、だったら・・。」

白鳥:「いくわよ、速水くん!」

速水:「ハヤブサランニング!」

タッ!

白鳥:「究極必殺技・サイクロンバズーカ!」

ボォォォォウ!

サイクロンバズーカが速水を一気に押し出す!

速水:「思ってたより威力が強っ!・・くそっ、狙いを定めろ、氷河転結・絶対零度!」

バシィッ!

風牙:「ぐあっ!」

カチカチカチ・・。

風牙:「!これは・・。」

(両手が凍りついた?!)

速水:「お前は空気を扱う時、手を使う。これで攻撃はできないはず!」

風牙:「ほう・・。」

バシィッ!

速水:「ぐあ・・っ!」

夏海:「足?!」

風牙:「両手を塞がれた際の対策を練ってないとでも思ったか?」

小池:「究極必殺技・激震滅!」

小池は地面に拳を叩きつける!

ゴゴゴゴゴッ!!

風牙:「っ!」

(足場が!)

小池:「これでどうだ!」

竜牙:「ナイスだ、小池!」

グレイド:「相棒、俺たちも行くぞ!」

大空:「お、オウ!」

タッ!

タッ!

竜牙:「ドラゴンソード零式!」

大空:「グレイソード・発動ガイアスラッシャー!」

風牙:「フン!」

ボォォォ!

風牙の体で渦巻いていた風が風牙を包み込み、2人の攻撃を弾く!

竜牙:「ぐあっ!」

大空:「風力が強すぎて力で弾かれたっ!」

風牙:「万が一でもお前たちの攻撃が俺に当たることはない。」

風牙はリングを大空と竜牙にかける!

ガシッ!ガシッ!ガシッ!

大空:「しまっ・・!」

竜牙:「なめんじゃねぇ!」

ボォォオォォウウ!!

竜牙はドラグアーマーを身に纏い、炎を噴射させてリングを破壊する!

風牙:「!」

竜牙:「みんな!ここを任せてもいいか?」

速水:「大元を叩きにいくんですよね。」

竜牙:「ああ。コイツ、通信機を使って誰かと連絡を取っていた。恐らく、そいつが鬼一族の総帥(リーダー)だ。」

スペード:「コイツよりもやばいやつが控えてるのかよ。」

炎斬:「こっちばかり人員は避けられないな。」

夏海:「私たちの中で竜と同等クラスの力を持つ人物と言えば・・。」

小池:「なんだ・・。」

夏海:「小池くん、竜と一緒にこいつらのボスを倒してきて!」

小池:「!」

竜牙:「小池まで抜いちまっていいのか?あいつは相当手練れだぞ。」

神谷:「大丈夫よ、私がいることを忘れないでよね。」

竜牙:「朱里・・。」

白鳥は大空のリングを解除する。

白鳥:「あなたも先輩たちと一緒に行って。」

大空:「あ、ありがとうございます!」

速水:「大空くん、くれぐれも無茶だけはしないように。戦闘は剣崎先輩と小池先輩に極力任せて、君は後方支援に徹するんだ。君はまだセイバーズとしての戦闘経験が浅い、それを承知の上で君を同行させる理由、それは君がタイムスリップのキーマンだからだ。分かってるね?」

大空:「・・はい!」

風牙:「ふざけるな、誰一人として先にはいかせん!」

神谷:「究極奥義・ディフェンスゴットブレイカーLV2!」

夏海:「究極奥義・第七の弾・無限弾LV2っ!!」

夏海の放った弾丸が四方八方に分散し、神谷の魔法陣が風牙の動きを封じこむ!

風牙:「っ!・・なんだ・・これっ!」

バァン!バァン!バァン!!

風牙:「ぐぉぉぉぉっ!!」

大空はタイムスリップストーンを投げる!

竜牙:「行くぞ、小池、大空!」

シュッ!

3人は時空間を飛び越えた。

風牙:「チッ・・まぁいい。俺がやるべきなのは計画の妨げになるレジェンドセイバーズたちの抹殺だ。」

(俺の空気の力(エアーフォース)の力、この力は総帥にも匹敵する。)

風牙の意識が散った瞬間を狙って速水が剣を引き抜く!

風牙:「見えてるぞ。」

バシィッ!

速水:「痛っ・・風で弾かれっ・・!」

風牙:「弾けろ!!」

バァァァン!!

速水:「ぐあああっ!!」

スペード:「速水!」

風牙:「空砲。」

バァァァン!!

夏海:「キャッ!」

神谷:「夏海!」

風牙:「放出。」

ドカァァァン!

風牙は身にまとっていた風の力で神谷の魔法陣を粉々に砕いた!

神谷:「!」

風牙:「一撃必殺を持つ剣崎竜牙がいない今、俺を倒す可能性を持った者はこの場からいなくなったも同然。お前たちはここで死ぬ。」

神谷:「竜くんのことを随分と調べ上げているのね。」

風牙:「当然だ。お前たちは分かるまい。あの男は未来では手が付けられないぐらいの手練れになっている。奴の持つ真聖剣舞眼と剣術。あの強さは別次元だ・・。」

速水:「真聖剣舞眼?」

風牙:「フン、俺としたことが少々喋りすぎてしまったようだ。まぁいい、これからコイツらの息の根を止めればいいだけのこと。」

デストロイヤエリア・殺離(さくり)ロード。


過去の小池:「何とか防ぎきったか・・。」

デストロイヤ:「ほう・・俺のファイナルデストロイヤを防いだか。」

過去の小池:「!!」

本田:「空から何か来るぞ!!」

シュッ・・ドスゥゥンン!!

デストロイヤ:「鬼ごっこは終わりだ。」

ハンター:「デストロイヤっ・・!」

過去の小池:「コイツが・・!」

炎斬:「っ・・なんだこの威圧感・・。」

スペード:「怯んだらダメだ、あいつは人の恐怖心をエネルギーに変えっちまうらしい。」

炎斬:「は?!い、意味が分かんねェ・・どういう原理だよ!」

スペード:「知るか!」

瞳:「あの時よりも遥かにデカい・・!」

(それだけ人の恐怖心をエネルギーに変換し、大きくなったってこと?!)

デストロイヤ:「インフィニティヒドラ。」

デストロイヤが口を開くと強大なエネルギーが一転に集中していく・・!

デストロイヤ:「くらえっ!!」

ドカァァァァァアン!!

ハンター:「くっ・・み、みんなっ!」

神谷:「な、なんとか間に合ったわね・・。」

デストロイヤ:「この半透明なドーム型の檻・・四聖獣、玄武の力か。」

ハンター:「それにしてもあの攻撃を防いだのか?!」

神谷:「ええ、これが私の持つ四聖獣の力、防御玄武(パーフェクトシールド)。」

デストロイヤ:「フン!雑魚が何匹増えようと俺の優勢に変わりはない。」

覇王:「分かっているな、これが俺たちの最後の戦いだ。持てる力のすべてを奴に叩きつけるぞ!」

デストロイヤ:「ゾークネスダブルウイング!!」

シュッ・・。

デストロイヤの背中にある巨大な翼が黒く光ると一瞬で覇王を引き裂いた!!

ズバァッ!!

覇王:「がはっ・・!!」

白鳥:「覇王っ!!」

デストロイヤ:「さァ・・開戦だ。」

覇王:「問題ないっ・・攻撃を叩き込め!」

速水:「氷河転結・絶対零度!!」

白鳥:「究極奥義・クリアストームシンフォニー!」

白鳥の風力に載った速水の攻撃がデストロイヤの翼を一瞬で凍結させた!

デストロイヤ:「ククク・・。」

速水:「翼は封じました!」

スペード:「ああ、追撃する。超グラビティブレード!」

炎斬:「っし・・爆フレイムソード!」

ズバッ!ズバッ!!

2人の刃がデストロイヤの右足と左足を引き裂く!!

デストロイヤ:「ぐあっ!!」

デストロイヤの態勢が崩れた瞬間を小池は見逃さなかった!

過去の小池:「破壊白虎(デストロイバースト)!」

ドッカァァアアアアアン!!

小池の繰り出した正拳はデストロイヤの腹部を粉々に砕く!

デストロイヤ:「ぐぁぁぁああああああっ!!」

本田:「な、なんだ・・あの威力っ・・!」

瞳:「デストロイヤの腹部が粉々に砕けて・・!」

夏海:「まさかあれも四聖獣の力・・?!」

ハンター:「すごい力だ・・これなら!」

デストロイヤ:「ギガブラスターエンド。」

デストロイヤの背後で空気中の塵が光り出す・・。

ハンター「!まずい・・神谷さん、小池くんを守るんだ!!」

光出した塵が無数の砲撃の如く放出されていく!!

過去の小池:「!!」

神谷:「間に合って、防御玄武(パーフェクトシールド)!!」

半透明の壁が小池への攻撃を遮断した!

過去の小池:「た、助かった・・。」

神谷:「大丈夫みたいね・・それにしてもこれだけ高威力かつ広範囲を狙える技を間髪入れずに撃ってくるなんて・・。」

過去の小池:「!あいつの傷が治っている?!」

小池の張り上げた声に合わせて全員がデストロイヤの方に目を向ける。すると先ほどまで与えたはずのダメージが見る見る内に完治されていく信じられない光景が目に映った。

全員が息を呑むなかハンターが口を開く。

ハンター:「デストロイヤが君たちの恐怖心をエネルギーに変えているんだ。圧倒的な移動速度に攻撃力、自然治癒力はそのエネルギーが原動力となって生まれている。」

夏海:「私たちが無意識の内にデストロイヤに力を与えてるってこと?!」

ハンター:「うん・・君たちはデストロイヤの圧倒的な存在感に気圧されているんだよ、攻撃に力が入り切れてないのが何よりの証拠だ。」

速水:「そんなこと言ったって・・。」

炎斬:「覇王を一瞬で仕留めたあの攻撃を見せられて気圧されするなと言う方が無理があるぜ・・。」

ハンター:「そうか!一番最初に覇王を狙ったのは君たちの中にデストロイヤは強敵、攻撃が当たれば即死っていう暗示を刷り込ませる為の一撃だったんだ・・流石に自分の力の使い方を分かってるね、厄介なことになった。みんなが攻撃を躊躇えば躊躇うほどデストロイヤがこの戦いの主導権を握ってしまうことになる。」

デストロイヤの力に圧倒されているハンターたちの様子を遠くから伺う凶牙は呟く。

凶牙:「素晴らしい・・これがデストロイヤの力!」

小池:「悪いが、そっちにお前を向かわせるわけにはいかない。」

凶牙:「!」

小池:「デストロイヤはこの時間の俺たちがこのまま仕留める。お前の出る幕はない。」

竜牙:「お前が鬼一族のリーダーか。」

凶牙:「凶牙だ。よくここまでたどり着いたな、レジェンドセイバーズたちよ。」

スッ・・。

竜牙:「消えた?!」

小池はアルティメットフォームに姿を変える!

大空:「!お2人とも、下です!!」

小池:「なに!」

凶牙:「デススペルキャノン!!」

バァアン!バァアン!

小池:「ぐああああっ!!」

竜牙:「うわぁぁぁっ!!」

(地面から砲撃だと・・っ!)

凶牙:「グランドウォール!!」

小池:「地面が津波みたいに変形して・・!」

竜牙:「このままじゃ飲み込まれっちまう!小池、地面のプレートが変形して襲い掛かっているならこのままだとコンクリート化待ったなしだ。力技で押し切るぞ!」

小池:「ああ!超必殺技・鬼ソウルブレイク!」

竜牙:「超必殺技・ドラグアーマー・バーストモード!!」

二人の拳が変形して押しかかる地面に穴を空ける!!

凶牙:「強引に突破したか。」

竜牙:「剣舞眼で見抜いた。あいつの能力は物質一体化だ。」

小池:「物質一体化?」

竜牙:「物体の中に潜り込み、意のままに操ることができる力だ。あいつはさっき姿を消したわけじゃなく地面の中に潜って俺たちに攻撃していたんだ。」

小池:「な・・なんだそのふざけた力は・・。」

竜牙:「使い方によっては様々な戦い方ができる厄介な力だ。気を抜くなよ、小池!」

凶牙:「ほう流石は剣舞眼。覚醒してない状態でも瞬時に俺の能力の正体を見切ったか。だが、私たちの時代にいる剣崎竜牙に比べればお前はまだ付け入る隙はある。」

大空:「なんだあいつ・・おっかねぇ。」

グレイド:「相棒、気を抜くなよ。奴の攻撃はどこから来るか分からない、油断するな。」

大空はグレイドをグレイソードにフォルムチェンジさせて掴む。

大空:「っても・・俺がつけ入る隙があるのか・・。」

小池:「剣崎、奴の弱点は?」

竜牙:「いや・・剣舞眼の視界にあいつが入ってないと弱点を知ることは出来ない。あいつが色んな物に移り込んでいく以上、まずはあいつを引きづり出さないと。」

小池:「そういうことか、究極必殺技・激震滅!」

ゴゴゴゴゴッ!!

小池は地面を殴りつける!

凶牙:「くっ!」

(俺を地面からぶり出す気か!)

小池:「コイツ、この振動でも耐久出来るのか。」

竜牙:「いや、効いてるはずだ。地面の動きが鈍ってる。」

凶牙:「小癪な・・デススペルキャノン!」

小池:「X技・レボリューションサーガ改!!」

シュゥゥゥゥン・・ドカァァアン!!

竜牙:「超必殺技・ドラグアーマー・バーストモード!!」

ボォォォウウッ!!

竜牙は片手を広げて、ドラグアーマーの炎を一点に手中させる。

竜牙:「くらえっ!」

ボォォォゥ!!

凶牙:「グランドウォール!」

バァァァアン!

竜牙:「!地面を押し上げて盾にしたのか・・。」

凶牙:「フン!」

ドカドカドカッ!!

竜牙:「!がは・・っ・・。」

小池:「剣崎!」

竜牙:「地面がバネのように伸びて・・っ・・。」

凶牙:「もう一発!」

竜牙:「超必殺技・ドラグアーマー・ルインモード!!」

ドカドカドカッ!!

凶牙:「!・・私の攻撃が全く効いてないだと・・。」

竜牙:「ルインモードは全ての物理攻撃を無効化する。」

凶牙:「ほう・・それは有効打になりそうだ。」

凶牙は地面から竜牙のドラグアーマーに乗り移る!

竜牙:「なにっ!」

凶牙:「これでこの竜装は私の意のままに操れる。」

竜牙:「くっ・・体が勝手に!」

バシィツ!

竜牙の拳が小池を殴り飛ばした!

小池:「ぐあっ!」

竜牙:「くそっ・・体が言うことを効かない!小池ェ・・。」

小池:「ごほっ・・ごほっ!まさか、剣崎の竜装に憑依したのか!」

竜牙:「くそっ!小池、竜装がルインモードの状態を保っている以上、お前の拳もカウンターも届かない。」

小池:「俺の天敵というわけか・・厄介な。」

凶牙:「仲間同士で殺し合うがいい、セイバーズたちよ。」

大空:「まだ動いちゃ駄目なのか!このままだと2人が!」

グレイド:「落ち着け、打開策もなしに突っ込めば事態がより悪化する!」

シュッ!シュッ!

速水:「くっ・・コイツまるで隙がない。」

(攻撃を最小限の動きで交わしている。そこらじゅうに目でもあるのか?!)

炎斬:「つーかよ、元々の身体能力が高い・・それに加えてあいつを覆っている風が俺たちの動きを制限してくる・・。」

風牙:「両方とも動きに癖がある。剣道のようなしなやかな動き・・だからこそ動きが読みやすい!捕縛!!」

速水:「!」

炎斬:「風が巻きついて・・くっ!」

風牙:「落下。」


バァァアン!!


白鳥:「ヒッ!」

本田:「地面に叩きつけやがった・・あの野郎っ・・!」

夏海:「・・速水くんと炎斬くんが時間を稼いでくれたおかげで玉の補充が出来たわ。」

本田:「?」

夏海:「2人には間髪入れずにあいつに攻めてほしいと前もってお願いしてたの。時間稼ぎとあいつの隙がどのタイミングで生じるのかを測る為に。」

本田:「攻めるだけなら俺にも言ってくれれば・・。」

夏海:「拳で攻める本田くんだと、見分けづらいのよ。剣をメインに戦う2人だからこそ意味がる。剣を使った攻撃はどうしても刀身の部分でわずかな隙が生じる。そこを利用してあいつを保護している風力が働く間合いを調べていたわ。結論としては、至近距離ギリギリじゃないとオートで発生する風力の防御は発動しない。それは風牙が必要以上に速水くんと炎斬くんとの間合いを開けて攻撃していている点からでも明らかよ。私の狙い通りになった。ほどよく攻め入ることができる2人に意識を散らすことであいつの弱点が憶測から明確になったんだから。」

神谷:「流石の分析力ね・・けど、これからどうするの?」

夏海:「竜が教えてくれたあいつの弱点を私が撃ち抜く。」

スペード:「竜牙が?そんな素振りをあいつが見せていた様子はなかったけど・・。」

夏海:「竜は口で伝えず行動で示してくれたわ、あいつの弱点が何なのかを。そして、そこを突けるのはこの中で唯一一人、私しかいない。」

白鳥:「大した自信ですね、もったいぶらずに教えてくださいよ。」

神谷:「夏海には何か意図があるんでしょ?いいじゃない、あいつを倒せるなら必要以上の情報はいらないわ。」

夏海:「ありがとう朱里。みんなにはフォローをお願いしたい。あいつを相手に同じ手は何度も通用しない、一発勝負よ。」

速水:「ゲホッ・・。くっ、骨が・・。」

炎斬:「大丈夫か、速水・・!」

速水:「ええ・・でもだいぶ時間は稼げたんじゃないでしょうか?」

炎斬:「違いねェ・・けど、ダメ押しで動きを封じるぞ。骨が逝っちまってる俺たちにできることはあいつの動きを鈍らせることぐらいだ。」

速水:「はいっ!氷河転結・絶対零度!!」

カチカチカチ!!

速水の氷河転結・絶対零度が風牙の足を止める!

風牙:「!」

炎斬:「奥義・ジャッチメントバーナー!!」

ボォォォォウウウッ!!

炎斬の片手から青い炎が勢いよく飛び出す!!

風牙:「旋風!」

風牙の叫びと共に背中で大量の風が乱回転し、強風を生み出していく!

炎斬:「ぐっ・・!炎が消し飛ばされるっ・・!!」

速水:「なんて威力だっ・・凍らせた足場が削られて・・!」

白鳥:「本当に自分の力に自信を無くしちゃいますよ・その風力、利用させてもらいます!」

スペード:「超必殺技・アメイジングトルネード!」

スペードの巻き起こした竜巻に乗って白鳥が宙に舞う!

白鳥:「究極必殺技!」

白鳥が両手を広げて前に突き出す!

白鳥:「私の力をすべて注ぎ込みます!サイクロンバズーカ!!」

ドカァァァン!!

白鳥の空気砲が風牙の風で待っていた風力ごと押し倒す!!

風牙:「ぐは・・っ!!」

ドカァァァアアン!!

炎斬:「サイクロンバズーカで・・。」

速水:「地面が粉々に・・っ・・・。」

風牙:「小娘がァ・・!」

ビリリッ!!

風牙:「痛っ・・!地面から電気が流れて・・。」

本田:「うぉぉぉぉ!」

風牙が振り返ると、ギャラクシーボルテックスで地面に電撃を流し続ける本田の姿が映った!

風牙:「くそが・・ァ・・体が痺れて・・空気の力(エアーフォース)が扱えない・・っ!」

夏海:「ライトニングレーザー!」

バァン!バァン!

夏海のライトニングレーザーが風牙の右腕と左腕を消し飛ばした!

風牙:「ぐああああああああああああああああああああっ!!」

夏海:「これで・・あなたは空気の力(エアーフォース)を扱えないわ。」

風牙:「っ・・!」

夏海:「あなたの唯一の弱点・・それは背中よ。空気の力(エアーフォース)を発動できるのは対象の相手が視界に入っている時のみ。それに気づいた竜はあなたの背中を攻撃する上で見抜く必要があったオートで発生する風の防御、その発動範囲を調べる必要があったわ。それを確かめるべく竜はあの時、あえて攻めに徹してそれを見極めようとした。」

竜牙:「ドラゴンソード零式!」

大空:「グレイソード・発動ガイアスラッシャー!」

風牙:「フン!」

ボォォォ!

風牙の体で渦巻いていた風が風牙を包み込み、2人の攻撃を弾く!

風牙:「流石は剣舞眼・・だがやつはそれを伝えている素振りは見せてなかったはず・・!」

夏海:「いや、竜はちゃんと私に伝えていたわよ。」

竜牙:「大丈夫だ。剣舞眼でやつの弱点は見抜いてる。」

夏海:「さすがに仕事が早いわね。」

竜牙:「ああ、あいつが小池の動きを封じる時に見ておいた。」

夏海:「竜は、小池くんとあなたの戦闘を予め剣舞眼で見ていたわ。つまり、物理攻撃が意味を成さないことを知っていたのよ。にもかかわらず、ドラゴンソードで攻めに入ったのには何か理由(わけ)がある。私はそう考えてあなたを分析していたの。一定の間合いを取っていたわよね?」

風牙:「くそがぁぁ・・。」

夏海:「私の読み通り炎斬くんと速水くんに意識が集中しているあなたは空気の力(エアーフォース)を発動する際に背後からの攻撃に対する反応が遅れた。白鳥さんのサイクロンバズーカはただでさえ、初見殺しできる程の威力がある空気砲。その力があなたの力と混ざり合えばあなたの力はあなた自身を抑え込む抑止力になる。あと、あなたを覆う風の力はあなたが対象物を認知してからおよそ2秒で発動する。そこに気づいた私はライトニングレーザーならその隙を突くことができると判断したわ。」

風牙:「手の平で転がされていたとでもいうのか・・俺がっ!」

夏海:「ここまでよ・・。」

風牙:「・・このままでは終われん!」

風牙は震える右手を広げる・・。

スペード:「!まずいっ・・。」

風牙:「バイオレンスエンド。」

ズバババッ!!

夏海:「!」

夏海を押し倒したスペードの腹に風牙のバイオレンスエンドが突き刺さる!

スペード:「ぐは・・・っ!!

夏海:「スペード!!」

神谷:「くっ!超必殺技・ヘブンズゲート。」

神谷が両手を重ねて唱えると円形のヘブンズゲートが出現した!

神谷:「本田くん!」

本田:「ああ!究極必殺技・スパークヘルハリケーン!!」

シュゥツ・・ドカカカッカッ!!

本田が右手を突きだして手を広げると、落雷が竜巻の如く回転しながら地面をえぐりつつ手負いの風牙をゲートに押し込んだ!

風牙:「チィッ・・だが・・今更俺がやられたところで総帥の計画に支障はない!」

ゲートの入り口が閉じ、姿を消していく・・。

夏海:「スペード!大丈夫?!」

スペード:「心配いらねぇ・・それよりか・・あれ・・。」

風牙がいた場所にタイムスリップストーンが落ちていた。

神谷:「それを使えば時空間を移動できるわ。ひとまず元の時代に戻りましょう。」

夏海:「・・。」

白鳥:「どうしたんですか?」

夏海:「・・・このままじゃだめだわ。」

神谷:「どういうこと?」

夏海:「鬼一族たちのいる時代に・・未来に行ってあいつらの計画の全貌を知らなければまずい気がする。」

神谷:「・・そうはいってもみんな負傷しているわ。戦力が不足しているでしょ?」

夏海:「ええ。だから元の時代に戻ったら朱里はみんなの回復に集中して。私はそのまま未来に向かうわ。」

速水:「一人でですか?!危険すぎますよ!」

夏海:「一人では向かわないわ。いるじゃない、隠密捜査のプロが私たちの仲間に。」

本田:「なるほどな・・。覇王が同行の上でなら木嶋の考えに俺も賛同する。なんせ敵のボスは今、剣崎たちが抑えている。今ならあいつらの懐に潜って情報を手に入れることができるかもしれない。」

夏海:「うん。私たち全員を抹殺するだけならわざわざ敵のボスが風牙たちと別行動する必要がないもの。同時進行で”何か”をしようと動いている・・その”何か”を知る為には未来に向かうのが手っ取り早いわ。」

小池:「ぐはっ・・!」

竜牙:「くそっ・・このままじゃラチが明かねぇ・・。」

凶牙:「何をしようと無駄だ、お前の自由は私が支配している。」

竜牙:「小池・・。」

竜牙は視線をドラゴンソードの入った鞘に落とす。

小池:「!・・やってみる。」

凶牙:「ん?」

竜牙はドラグアーマーの炎を噴射させて突っ込む!

小池:「うぉぉぉぉっ!」

凶牙:「ソウルブレイクとかいう技か・・なら、ルインモードでまた無効化するだけのこと!」

スッ!

対して小池は態勢を落とし、屈んだ状態で竜牙との間合いを詰める!

凶牙:「なに・・っ!」

小池は竜牙の腰についている鞘からドラゴンソードを引き抜く!

スッ・・!

竜牙:「っし!」

引き抜いたドラゴンソードを小池は待ち直し、体を反転させ・・構える!

小池:「イナズマドラゴン!!」

振り下ろしたドラゴンソードから流れる電撃がドラグアーマーに流れ込む!!

ビリリリッ!!

竜牙・凶牙:「「ぐあああああっ!!」」

小池:「ここで仕留める!ベルゴンザのエネルギーをドラゴンソードに流し込めば・・!」

小池の持つドラゴンソードの刀身が紫色に変化していく!

小池:「ドラゴンソードPS(パープルスラッシュ)!!」

ズバババッ!!

紫の斬撃がドラグアーマーを引き裂いた!!

竜牙:「ぐああっ!!」

凶牙:「ぐあっ!」

(しまった・・!)

竜牙:「痛っ・・ようやく出てきやがったな、剣舞眼!」

凶牙:「見られたか・・くそっ、こいつらの相手をしている時間はない!」

スッ!

大空:「消えた?!」

小池:「剣崎、コイツを返す。」

小池はドラゴンソードを竜牙に渡す。

竜牙:「助かったぞ、小池。」

小池:「いやお前が目で合図してくれたおかげだ。急ぐぞ、あいつはおそらくデストロイヤの元に向かったはずだ!」

竜牙:「!あいつの姿が見当たらない・・まさかまた時間を飛んだのか?!」

小池:「だとしたら今の時間よりも先の時間に飛んだ可能性が高いな。」

竜牙:「どうしてそう思うんだよ?」

小池:「この時間の先で待っている出来事といえば・・剣崎、お前とデストロイヤが空の彼方で一対一になる展開だ。」

竜牙:「!」

小池:「あいつはデストロイヤの力を狙っている・・なら、その時間に飛ぶ可能性が高い。」

竜牙:「大空、その時間まで俺たちを飛ばしてくれ!」

大空:「あ、はい!」

デストロイヤエリア・上空。


過去の竜牙:「!・・暴風どころか風が吹いていない・・もしかしてここが核か?!」

デストロイヤ:「来たか、剣崎竜牙。」

過去の竜牙:「その声は・・デストロイヤ!」

(お得意のテレパシーか!)

デストロイヤ:「仲間の力を借りてここまで辿り着いたか。わざわざ私の中に飛び込んでくるとは馬鹿な男だ、このまま肉体ごと取り込んでやる!」

凶牙:「取り込まれるのはお前の方だ、デストロイヤ。」

デストロイヤ:「何?」

過去の竜牙:「うわっ・・な、なんだ?!」

ガタイのいい中年の親父がデストロイヤの前に立ちはだかる。

デストロイヤ:「何者かは知らんが、私に刃向うとはいい度胸だ。」

凶牙:「どちらがこの世の支配者にふさわしいか・・私の中で加える指もなく見届けるがいい・・ドレインハンド!!」

凶牙が右手を広げると見る見るうちにデストロイヤが吸収されていく・・!

過去の竜牙:「な・・!」

デストロイヤ:「くっ・・馬鹿なっ!私がこいつの力に吸収されているだと・・!!」

凶牙:「素晴らしい・・吸引しても吸引しても溢れ出す力の塊!さァ伝説のモンスターよ、私の一部となれ!」

過去の竜牙:「な、何が起こってるんだ・・。」

(デストロイヤを吸収している・・?!とにかく、今の内にコイツを仕留めないと!)

凶牙:「おっと、おなしくしてもらおうか・・この時間の剣崎竜牙よ。」

過去の竜牙:「!俺のことを知っている・・あんた、何物なんだ?」

凶牙:「知る必要のないことだ。」

過去の竜牙:「真ドラゴンソード!」

ガシッ!

過去の竜牙:「っ・・!人差し指と中指で受け止めただと・・。」

凶牙:「フン!」

過去の竜牙は押し戻される!

過去の竜牙:「ぐっ・・コイツ・・!」

青龍:(剣崎竜牙、証を通じて皆の思いを感じていると言っていたな。)

過去の竜牙:「青龍?!・・ああ、今でも伝わってるぜ。みんなの思いが。」

青龍:(俺がその力をすべてドラゴンソードに集める。)

過去の竜牙:「!」

ドラゴンソードの刀身が太くなり、大きな大剣となる!

青龍:(俺がしてやれるのはここまでだ、あくまで俺の勘だがこの男を野放しにしてはまずい。ここで仕留めろ剣崎竜牙!)

過去の竜牙:「スゲェ・・これが・・みんなの・・!」

(これだけ大きな剣なのにこんなに軽いなんて・・。)

竜牙:「くらえ!ドラゴンソード零式っ!!」

シュゥッ・・

               ズバァァッ!!

凶牙:「痛っ・・この・・っ!」

(ベルフェウスソード!!)

凶牙は左腕から黒い刃を出して竜牙のドラゴンソード零式を弾き返した!

カキン!!

過去の竜牙:「うわっ・・!」

(嘘だろ・・あの大剣をあんな小さな刃で弾いたのか?!)

凶牙:「さて・・・ようやく吸引完了といったところか。」

過去の竜牙:「デストロイヤが・・!」

凶牙:「さてと・・剣崎竜牙、ここで貴様を始末すれば厄介なあの男を間接的に未来で消すことができる。」

過去の竜牙:「くそっ・・なんなんだコイツ・・!」

凶牙:「さァ・・私の新たなる姿をお見せしよう。」

ピキッ・・ピキッ・・。

凶牙は背中にデストロイヤの翼と尻尾を生やし、体格が見る見る内に大きくなっていく・・。

そして瞳が赤く染めあがった・・。

凶牙:「これが私のダークネスモードだ。」

過去の竜牙:「なんだ・・これ・・やばい・・!」

(足が震えて・・!)

凶牙:「クックック・・感じるぞ、貴様が感じている恐怖心を!私の力が増幅していくぅ・・イィ~最高だァ~。」

過去の竜牙:「くそっ・・逃げないとっ・・せめて兄貴がいるところまで戻ることができれば・・!」

(足がすくんで・・動かないっ!)

凶牙:「デススペルキャノン!!」

小池:「こっちだ!」

ドッカァァアン!!

凶牙:「消えた?!」

(まぁいい・・未来へと戻るか。)

過去の竜牙:「痛って・・。」

小池:「間一髪だったな・・。」

過去の竜牙:「小池?!でも・・なんか顔つきが違う・・。」

小池:「当たり前だ。俺は未来から来たんだからな。」

過去の竜牙:「未来?!」

小池:「奴は歴史を塗り替えようとしている。本来ならば、あの後・・お前がデストロイヤを討伐し世界に平和が訪れる。だが、奴がデストロイヤを取り込んだことでその歴史がすり替わり、今は無かったことになってる。」

過去の竜牙:「あいつの目的はなんなんだ?」

小池:「奴の部下が俺たちを抹殺することだと言っていた・・。」

過去の竜牙:「!そうだ・・あいつ・・どちらがこの世の支配者にふさわしいかとかなんとか言っていた。」

小池:「支配者?・・・そういうことか!」

過去の竜牙:「お、おい・・!」

小池:「仲間を待たしている。俺はこのまま未来に飛ぶ、時間がない!」

過去の竜牙:「お、俺も行く!」

小池:「は?何言ってんだ・・駄目だ、歴史が滅茶苦茶になってしまう。」

過去の竜牙:「あいつを倒せば改変した歴史や時間の流れが元に戻るんじゃないか?時の流れを戻す方法はきっとあるはずだ。じゃないと未来で生まれたあのオッサンたちも無事では済まないはずだ。きっと未来の時間で存在しているオッサンのアジトに行けば何か掴める。どちらにしてももう時間は無茶苦茶だ。今更俺が未来の時間に関与したところで何も変わらねぇよ。」

小池:「だとしてもお前に何が出来る?!それにだ、もしこの時間のお前が消されたりでもすれば俺たちの時間軸にいる剣崎も未来の剣崎も消えてしまうんだぞ!」

過去の竜牙:「相変わらずお堅いねぇ~じゃあ取引といこうぜ。俺はあいつの弱点を知っている。」

小池:「な・・!」

過去の竜牙:「足はすくんで動かなかったが、剣舞眼で弱点ぐらいは見抜いておいたんだ。俺を連れていけ、代わりにあんたたちとこの情報を共有する。どうだ?」

小池:「コイツ・・ったく・・足下を見られっちまった・・。」

過去の竜牙:「フフン~交渉成立だな。」

夏海:「ここが未来・・。」

白鳥:「何だか思ってたよりフツーですね、ドラ〇もんのような未来都市を想像してました。」

夏海:「なんでついて来てるのよ。」

白鳥:「夏海先輩だけじゃ心配ですからね~。」

夏海:「風牙との戦いで体力をだいぶ消耗してるでしょ、無理についてくる必要はなかったのに。」

本田:「俺と白鳥は大技を連発したものの、致命傷は受けてないからな。」

夏海:「あんまり無茶はしないでよね?」

白鳥:「それ、先輩が言います?」

夏海:「とにかく、覇王が一足早くこの時代に足を運んでいるはずだわ。合流しないと。」

一般人:「あんたら何やってんだ!早く逃げないと!!」

本田:「?」

一般人:「巨大な鉄竜が暴れてるんだ!!」

白鳥:「鉄竜?」

夏海:「この先ね、行くわよ!!」

タッタッタッ!!

本田:「なんだ・・コイツ!」

白鳥:「私、天候が悪いなぁとは思ってたんですよ。雲ってるなぁて・・でもまさか。」

夏海:「空一面を巨大な竜が覆っていたなんて・・!!」

アーマーレックウドラゴン:「ゴガァァァアアア!!」

本田:「今のところ、危害を加えているようには見えないが・・。」

夏海:「不必要な戦闘は極力避けるべきだわ、今は覇王との合流を優先しましょ!」

リヴァイアB:「ギシャァァ!」

リヴァイアC:「ギシャァァ!」

本田:「!こいつ等・・。」

夏海:「名前は確かリヴァイアモンスターだったかしら?モンスターの細胞を品種改良し、人工的に造られた鬼一族の殺人兵器・・!」

白鳥:「1、2体どころじゃないみたいですよ。」

夏海:「ということはこの先に鬼一族に関する情報があるかもしれない。」

本田:「奥に扉がある・・あそこから先に進めるみたいだな。」

白鳥:「こんなやつら、私が一気になぎ払いますよ。」

夏海:「引っ込んでなさい。」

白鳥:「な!」

夏海:「神秘の守りを張っておきなさい、私がこの場を一瞬で収めてあげる。」

白鳥:「一体、何をするつもりですか・・。」

夏海:「超必殺技・第三の弾・竜巻弾!」

ドカァアン、シュルルルル!

夏海は竜巻弾を地面に放ち、その反動で回転しながら上空を舞う!

本田:「!あれは爆裂弾のマーカー・・?!」

白鳥:「竜巻弾の風圧で爆裂弾が四方八方に散らばっていく・・!」

夏海:「X技・第四の弾・爆裂弾!!」

ビュゥン・・ドカァァァァアアアアアアアアアアン!!

ドカァン!ドカァン!

爆裂弾で放った爆発に投げたマーカーは連鎖反応を起こし、四方八方に散らばったマーカーによる小規模の爆発が巻き起こっていく!

白鳥:「ちょっと!」

夏海:「リヴァイアモンスターは質量が軽い、これだけ派手な爆発を起こせば一気に制圧できる。そして・・!」

ゴゴゴゴッ!!

本田:「奥の扉が開いた?!」

スタッ。

夏海は地面に降り立つ。

夏海:「あの扉の左右だけ壁の色が違っていたわ。その正体は上から塗装されている煙感知器よ。」

本田:「煙感知器?!」

白鳥:「火災報知器みたいなものですか?」

夏海:「家庭用の火災報知器とは違うわ。現にセンサーが反応するとあの扉のオートロックが解除される仕組みになっていた。特注の煙感知器ね、つまりあの扉は非常用の出入り口として造られている特殊な扉なんじゃないかしら?この空間の中に潜んでいたリヴァイアモンスターの数に加えて、備え付けられた煙感知器。きっとこの施設では火災がいつ起こってもおかしくないことが行われていたんじゃないかしら?例えば・・リヴァイアモンスターを使った実験とか・・ね?」

本田:「!」

白鳥:「!」

夏海:「煙探知器の光を発する部分のことを光源というんだけど・・その光源から発せられた光は、澄んだ空気中では直進するの。そのため光源と受光素子の間に設けられた遮蔽板の存在が、受光素子への光の到達を妨げてしまう。でもね、火災などで煙が派生した環境では光源から発せられた光は煙の中の微粒子によって乱反射を起こす。乱反射した光は遮蔽板で守られていた受光部にも到達することとなり、受光素子自体が反応してしまう。この乱反射した光を検知する器具、それが煙検知器なの。」

白鳥:「あの~何を言ってるかさっぱり分からないんですが・・。」

夏海:「ハァ~説明が難しいわね。とにかく受光素子っていうのは、光があたると反応をおこしそれを電気信号などに変換することのできる特殊な素子なの。つまりこの扉は、受光素子の構造を利用した高度なオートロックシステムを用いていて造られているわ。」

本田:「よく気づいたな・・そんなこと。」

夏海:「先の戦いで・・。」

グレイド:「グレイソード!」

大空はガントレットからソードに形を変えたグレイドを手に持ち、構える。

小池:「頼むぞ、大空!」

小池はビースト細胞を発動する!

大空:「グレイソード・発動オーディンストーム!!」

シュルルルッ・・バァアアン!!

強風がリヴァイアモンスターたちを吹き飛ばしていく!

夏海:「大空くんのオーディンストームがいかに高威力といってもあまりにもリヴァイアモンスターが簡単に吹き飛んでいたと思わない?つまり、リヴァイアモンスターは今まで戦ってきたモンスターとは違い”戦闘を目的としてつくられた怪物”ではないということよ。」

本田:「!」

夏海:「私の見立てでは吹き飛ぶことを前提でつくられていると思うの。・・そうね、例えるならボウリングのピンが分かり易いかしら?」

白鳥:「そのリヴァイアモンスターを使って鬼一族がここで”何か”をしていた・・?」

夏海:「これも私の憶測でしかないけれど、鬼一族のメンバーがこの空間でリヴァイアモンスターを使った戦闘訓練をしていたとしたらどう?」

本田・白鳥:「「!!」」

夏海:「氷に風。竜からの情報によれば炎を使う者もいたそうだし・・それらの能力をより洗練したものに仕上げるために威力を可視化しやすいリヴァイアモンスターを生み出して、使い捨ての標的(ターゲット)にしていた可能性があるわ。それに鬼一族の面々がこの空間を修練場として使っていたとすればここに煙探知器が備え付けられていたのにも納得がいくわ。」

本田:「おいおい、ということは・・ずっと前から企てていたんじゃないのか?!時空を超えて歴史を改変する今回の一連の計画を。」

白鳥:「その計画をいつの日か実行する為に、彼らはここで各々の力をより洗練されたものに仕上げるべくここで鍛錬を積み重ねていた?だとしたら、この先に絶対ありますよ!鬼一族の企てている計画の全貌が!だってこの施設はその計画を遂行する為に造られているってことですよね。」

夏海:「そうなるわね。後は覇王が何か掴んでいれば・・。」

覇王:「夏海?」

夏海:「覇王!」

例の扉から姿を見せたのは・・あの足速師覇王だ。

本田:「無事に合流できたようだな。」

覇王:「本田に白鳥も・・とにかく、こっちに来い!」


鬼一族のアジト・最深部。

夏海:「なに・・この装置・・?!」

白鳥:「まさか・・タイムマシン?!」

覇王:「その通りだ、正式名称は時空転移システム。そして、そこに設定されてある日付はそのタイムマシンの行き先を示している。」

夏海:「!この日付・・。」

覇王:「ん?この日付に何か思い当たる節があるのか?」

夏海:「朱里の・・誕生日・・?!」

本田:「え?偶然じゃないのか?」

夏海:「指定してある年が夏海の生まれた年と同じなの・・単なる偶然にしては出来過ぎてない?」

覇王:「神谷と言えばは女王守護者(セイバーズクイーン)・・・まさか!」

白鳥:「見て下さい、この機械に埋め込まれているのって・・。」

夏海:「タイムスリップストーン・・!」

覇王:「ちょっと違うな。この時代の竜牙が凶牙の時空間移動を阻止する為にこの装置の一部を削り取ったんだ。その破片の名称がタイムスリップストーンだ。この欠けた部分の修復には数カ月かかるそうだ、ここに保管してある研究資料の中にそう記されていた。だから凶牙は竜牙に邪魔をさせないために自分の部下を過去の竜牙の元に送りつけた。そうすることでこの時代の竜牙を間接的に消そうとしたんだ。だが、タイムスリップストーンを使用すれば歴史に大きく干渉してしまうことになる。この時代の竜牙はそれを阻止する為にグレイドブースデッドドラゴンに石の欠片を渡したんだ。」

夏海:「グレイドって・・大空くんと一緒にいたあのモンスターのことよね?」

覇王:「鬼一族が干渉しようとしているのは、竜牙たちがセイバーズとして戦っていた頃の時間のみだ。だからこそ、その時間の干渉を受けない大空にすべてを託したんだ。奴らが改変を行うとしている時間の中では、まだ彼との関わり合いはないからな。」

夏海:「だとしてもどうして大空くんなの?」

未来の竜牙:「あいつはそう遠くない未来でこの世界を救うレボリューションセイバーズのキーマンだ。」

覇王:「来たか。」

夏海:「!」

白鳥:「か・・かっこいい~。」

本田:「ま、まさか・・!」

覇王:「紹介しよう、この時代の剣崎竜牙だ。」

未来の竜牙:「懐かしいな、昔を思い出すよ。」

夏海:「あ・・えと・・。」

ポン。

未来の竜牙:「ここまでよく頑張ったな、夏海。」

夏海:「あ・・。」

未来の竜牙に頭をポンポンされて顔を赤らめる夏海・・。

白鳥:「あ!ず、ずるいですぅ~私も!」

未来の竜牙:「過去の時間から飛んできたみんなには申し訳ないが協力してほしい。今回の騒動は輝介がモンスターセイバーズになるきっかけでもあるんだ。俺は今、歴史の流れに背かないように行動している。というのも、みんなの存在している時間から先の時間で大空輝介は再び訪れる世界滅亡の危機から地球を救う。だからこそ、あいつはこの一件に関与しなければならない。そうでなければ歴史がこの時間まで繋がらないからな。」

覇王:「それと一つ断っておかなきゃならないな。俺は一足早く麒麟から鬼一族の情報を聴きつけてこの時代で探りを入れていたんだ。ゆえにお前たちと合流できなかった、本当にすまない。」

本田:「そうだったのか・・。」

覇王:「ただ、探りを入れていて分かったことがある。奴の狙いはデストロイヤとアーマーレックウドラゴンを己の体内に取り込み、その圧倒的な力で世界を支配することだ。」

本田:「アーマー・・レックウドラゴン?」

白鳥:「!それって・・まずいですよ!!上空で浮遊していたあの巨大な竜がそうなんじゃ・・。」

本田:「!」

夏海:「急いで引き返すわよ!このままじゃまずい・・!!」

タッタッタッ!!

覇王:「アーマーレックウドラゴンが上空にいたのか?!」

白鳥:「この目でしっかり見ましたよ!」

本田:「ああ、巨大な竜が空一面を覆い尽くしていた!」

未来の竜牙:「アーマーレックウドラゴンは本来、オゾン層の外側に生息している伝説の竜だ。ピンポイントにアジトの上空まで降りてきていたということは、凶牙が何かしらの方法で引き寄せていたんだろうな。あの親父ならそんな芸当ができてもおかしくない。」

夏海:「ってことは・・あの時すでに鬼一族のボスが近くにいたってこと?!」

未来の竜牙:「まずいな。アーマーレックウドラゴンは気圧を変化させ、天候を操ることができる。そんな力を凶牙がすでに取り込んでいたとしたら・・。」

全員はアジトの外に飛び出した。

凶牙:「ようやくお帰りか、遅かったな。」

覇王:「!」

未来の竜牙:「姿が・・変わっている・・!」

夏海:「コイツが・・凶牙!」

凶牙:「リベンジマッチといこうじゃないか、剣崎竜牙ァ。」

未来の竜牙:「念体制御(オーラコントロール)侍形態(サムライフォルマ)!!」

夏海:「なに・・その力?!」

未来の竜牙:「今は知る必要のないことだ、お前らは逃げろ!早く!!」

凶牙:「おらぁぁぁぁっ!!」

凶牙が腕を振るうと、稲光が迸る竜巻が未来の竜牙を飲み込んだ!

未来の竜牙:「ぐあああっ!!」

(強風で剣舞眼が開けねぇ・・!)

凶牙:「おらぁぁっ!!」

バシィィッ!

未来の竜牙:「ぐ・・あっ!!」

ドッカァァァアン!!

夏海:「竜っ!!」

覇王:「天候を操り、俺たちの恐怖心を感知してより力を底上げする・・今の凶牙の底力は俺たちの想像では測れない・・!」

未来の竜牙:(っ・・一撃で換装が解けるなんて・・これじゃあ剣術が使えない・・どうしたら・・。)

凶牙:「素晴らしい、この力があれば世界を我が物にするのも夢ではない。」

過去の竜牙:「奥義・レジェンドラゴン!!」

過去の竜牙が剣を振って発動させたレジェンドラゴンはもの凄いスピードで凶牙に向かっていく!!

ドカァァン!

凶牙:「痛っ!」

大空:「グレイソード・発動オーディンストーム!!」

シュルルルッ!

竜牙:「すげぇ強風だ、この追い風に乗ればいける!」

小池:「行くぞ剣崎!」

タッ!

二人は飛び上がり、大空のオーディンストームの風に乗る!

竜牙・小池「「合体必殺技・ファイナルパラディンブレイク!!」」

凶牙:「小癪な・・インフィニティヒドラ!!」

過去の竜牙:「デストロイヤの技を使えるのか?!」

竜牙・小池:「「うぉぉぉぉぉっ!!」」

ドカドカドカドカドカドカッ!!

凶牙:「うぐっ・・!」

(小池共士郎の連打攻撃の僅かな間・・そのインターバルの間に剣崎竜牙の連打攻撃が入ることで相乗効果が起きているとでもいうのか?!技の威力が飛躍的に跳ね上がっている・・っ・・押し返せん・・っ!!)

バァアアン!!

凶牙:「がは・・っ!」

大空:「やった!」

夏海:「竜と小池くんだわ!」

未来の竜牙:「過去の俺か・・ってことは上手いこと、この時代に連れて来れたわけだ。」

竜牙:「よっと・・あんたが・・未来の俺か?」

未来の竜牙:「ああ。遥々よく来たな、過去の俺・・それも2人も。」

過去の竜牙:「どうなってんだ・・夢でも見てるのか、俺・・!」

白鳥:「先輩がいっぱいだ!」

本田:「何てこった・・大丈夫なのか、これ・・?」

未来の竜牙:「凶牙を倒せば過去の時間軸の歪みはすべて元に戻る。ただ、並行して麒麟から特別な処置を施してもらった俺以外は全員今日のことを忘れてしまうがな。」

過去の竜牙:「やっぱり方法があったんだ!」

小池:「まてよ。逆を返せば、あいつを倒せなかったら俺たちは消滅してしまうんじゃないのか?俺たちはタイムスリップを通して歴史に影響を与えすぎている。」

未来の竜牙:「倒せない?倒してもらわないと困る。そうでなければお前らの時間が俺の時間に繋がらないからな。」

竜牙のスマホからある女性と子供の写真が写る。

夏海:「・・それ!」

未来の竜牙:「ああ・・そうか。まだあの頃はスマホが普及し始めてAndroidの初期型ばかりだったもんな。こいつはiPhone11Proといって「息子さん?」」

未来の竜牙:「あ!・・そ、そっちか・・。」

夏海:「それに、一緒に写ってるのって・・まさか?」

未来の竜牙:「ま、そういうわけだ。」

竜牙:「ま、まじかよ・・。」

白鳥:「なら、是が非でも守り抜かなければなりませね。私たちの時間を!」

竜牙:「ああ・・俺たちの時間も未来にあるその先の時間も守り抜いて見せる!」

過去の竜牙:「過去の時間も・・な?」

小池:「フッ・・当然だ。」

未来の竜牙:「俺はお前たちが二十歳を過ぎた数年後に凶牙と会うことを知っていた。なんせ、過去に俺が経験していたからな、そしてあいつの目的も知っている。だからこそお前たちをこの時間に連れてきた。」

グレイド:「お前が俺を呼んだのか。」

未来の竜牙:「ああ。その通りだ、グレイドブースデッドドラゴン。」

大空:「ぐ・・ぐれいど・・ぶ?」

グレイド:「俺の本名だ、相棒。」

大空:「そんなに長い名前なのかよ、お前。」

未来の竜牙:「いずれコイツのことは詳しくわかるさ。話を戻すぞ、あいつの目的はセイバーズという存在自体をなくすことだ。」

小池:「?俺は世界を支配することだと踏んでいたが。」

未来の竜牙:「だからこそ、モンスターセイバーズという存在自体を無くすために動いているんだ。過去の時間軸でモンスターセイバーズが生まれなければ、いずれ次元の狭間が出現し、モンスターが徐々に増え続けてしまう。討伐する者がいない世の中なら、自我を持ったロイヤルストレートフラッシュや人獣が相手となると日本の戦力は削られ、いずれ国の防衛機関だけじゃ手が回らなくなるだろう。そうなれば世界の崩壊は加速する。そしてこれは、日本に限定して言えることじゃない。デストロイヤを取り込んだあいつが過去の時間軸に出現すればそれこそ世界中で次元の狭間が出現する。おまけに本来その時間にいなかったはずの生物が存在することで歴史が大きく揺らぎ、歴史の改変が起きてしまう。そうだな、もっと簡単に言うならば・・セントラル王国に出現する筈だったデストロイヤが出現しなくなる。そうなればハンターたちがキングダムセイバーズになることもなくなる。つまり、俺たちが戦ってきた時間がなかったことになるってわけだ。」

覇王:「・・・それが狙いか。」

未来の竜牙:「だから小池の言っていることは間違ってない。なんせ、人間が侵食された世界で奴は支配者として君臨しようとしているんだからな。」

竜牙:「ってことは俺らだけが標的じゃないのか?」

未来の竜牙:「そういうことだ。俺が最初に標的(ターゲット)として狙われたのは、俺があいつの計画を阻止しようと動いたからだ。それが仇となって計画の妨げになる俺を消そうとあいつはタイムスリップを始めたんだ。今の俺なら仕留められると思ったんだけどなぁ~歴史はそう簡単に変わらないらしい。」

竜牙:「そういうことだったのか。」

小池:「お前は凶牙をどうやって倒したんだ?」

未来の竜牙:「俺じゃない。」

小池:「?」

大空:「え・・なんで俺の方を見るんですか?!」

未来の竜牙:「討伐した方法まで教えると歴史が改変しちまうかもしれねぇから言えねぇけど、鍵を握るのはお前だよ、輝介。」

竜牙:「大空が・・?!」

大空:「む、むむむ無理ですよ?!だって俺、さっき初めて戦闘してばかりの新参者ですよ!」

未来の竜牙:「はははっ、あの時のお前も同じ事言ってたよ。」

大空:「知りませんよ!」

未来の竜牙:「とにかく、俺たちが次にすべきことはあいつの後を追うことだ。」

凶牙:「チィィッ・・やむを得ん。」

スッ・・。

大空:「き、消えた?!」

未来の竜牙:「あいつはタイムスリップしたんだよ。」

夏海:「どこに・・まさか・・!」

未来の竜牙:「12月8日・・女王守護者(セイバーズクイーン)の生まれた日だよ。」

夏海:「やっぱり!」

未来の竜牙:「つってもあいつが生まれた年じゃない、俺とあいつが初めて会ったあのパーティの日だ。」

夏海:「え、生まれた年じゃないの?」

未来の竜牙:「朱里が生まれた年にあいつは一度タイムスリップしてる。だが、行き先で朱里に力を譲渡していた麒麟に妨害されたみたいだ。だから時空転移システムの移動した日付が朱里の生年月日になっていたんだよ。」

夏海:「そーいうことだったのね。」

未来の竜牙:「あのパーティーで朱里は自分の中に眠る力を自覚し始める。凶牙は朱里が自分の力をモノにする前に仕留める気だ。」


17年前 12月8日。

神谷:「ハァハァ・・。」

SP:「もう逃げられませんよ、朱里お嬢様。」

神谷:「いやよ!私、婚約なんて絶対しないから!!」

SP:「わがままを言ってはなりません。」

神谷:「っ・・。」

タッ!

SP:「お、お待ちください!」

神谷:「キャッ!」

客:「おっと・・!」

神谷:「あ・・!」

パーティに参加していた客のワインが落下していく・・!

神谷:「だ、だめ!」

ガシッ!

神谷:「っ・・。」

客:「だ、大丈夫かい?」

神谷:「は、はい・・。よかった、グラスは無事・・!」

(中身が消えてる・・?!)

客:「あれ・・おっかしいなぁ、グラスに何もついでなかったかな・・。」

神谷:(あの人にワインがこぼれないよう反射的に力を使ったんだ・・私・・。)

グッ・・!

少女は拳を握りしめる。

神谷:「なんなの・・なんでこんな力が備わってるのよ・・っ!」

SP:「いた!お待ちくださいお嬢様!!パーティの後夜祭にはお嬢様の誕生日パーティが控えているんですよ!」

神谷:「知らないわよ!」

タッタッタッ!!

― 物心をついて間もない頃から夢を見るようになった。 -

麒麟:「待っていたぞ、神谷朱里。」

神谷:「また・・この夢・・!」

麒麟:「いや、女王守護者(セイバーズクイーン)。」

神谷:(これはゆめ・・これはユメ・・これは夢ぇ・・夢なら早く覚めてぇっ!)

麒麟:「無理もないか。落ち着いて私の話を聞いてほしい。」

神谷:(落ち着くのよ、私。この怪物を見るのは初めてじゃない・・初めてじゃない・・!)

「あなたは何が目的?テレパシーっていう能力を使って私の頭の中に語り掛けているんでしょ?」

麒麟:「ほう。刷り込ませてきた回があったものだ、夢を記憶するようになってきたか。」

神谷:「答えなさいよ!」

麒麟:「10年後、お前たちの住む人間界にモンスターと呼ばれる怪物が出現するようになる。」

神谷:「もん・・すた・・?」

麒麟:「来るべき脅威に備えて神谷朱里、お前には・・一足早くモンスターを討伐する存在。セイバーズとしてモンスターたちを討伐してもらいたい。クイーンとなる器に選ばれた人間の使命だ。」

神谷:「とう・・ばつ?何を言っているかますます分からないわ。それにクイーンって何?!」

麒麟:「クロスアルカディアス。」

神谷:「!」

麒麟:「お前に生まれた時から備わっているどんなものでも消し飛ばしてしまう力の名称だ。両手を閉じ合わせることで発動できるこの技は使用頻度に応じて消し飛ばせるものが増えてくる。」

神谷:「そ、それ・・。」

麒麟:「お前の出生と共に私が授けた力だ。あれから6年、そろそろ自分の中に眠る力に気づき始めているんじゃないか?クロスアルカディアスとクロスアルファディオス。俺の中に眠るモノを消滅させる力とモノを生み出す力だ。この二つの力は引き合う器を感じ取ることができる。そう、お前は選ばれたのだ。俺の持つモノを消滅させる力、クロスアルカディアスに。」

神谷:「私が・・選ばれた?」

麒麟:「これから誕生するセイバーズたちと区別するため、キングとクイーン。特有の呼び方をして選ばれた2人を分ける。おめでとう、君は女王守護者(セイバーズクイーン)として選ばれた人間だ。キングとクイーンの二人にはいずれ、セイバーズたちを守ってもらわなければならない。」

神谷:「さっきから何を言ってるの?私はそんなものになるつもりはないわよ?」

麒麟:「力を授かったのはお前自身だ。お前の好きにするといい・・。」

神谷:「何がクイーンよ・・私の身の回りには私を縛るものしかいない!パパも・・あの怪物も・・私の言葉には耳を貸そうともしない・・私の人生(やりたいこと)は私が決めてやるんだから!」

SP:「見つけましたよ、お嬢様。」

神谷:「先回りされた?!」

SP:「さぁ、観念して旦那様のところにお戻りください。」

神谷:「!こっちからも・・完全に囲まれた・・。」

(ここで捕まればパパの警戒が強くなって今よりももっと監視が厳しくなる。そうなれば私の人生にもう自由はない・・だったら・・この力でこの人たちを消してしまえば・・!)

幼少時の竜牙:「うぉぉぉぉっ!」

バシッ!

バシッ!

SP:「ぐおっ・・?!」

SP:「うっぐ・・っ!」

黒服の男たちの急所に仮面〇イダーの玩具が容赦なく襲い掛かった。

幼少時の竜牙:「お前ら・・ロンギだな?仮面〇イダーがいないからって好き勝手しやがって・・。」

SP:「ち・・ちが・・あっ・・。」

神谷:「へ?」

幼少時の竜牙:「大丈夫だった?怪我とかしてない?」

神谷:「あ、ありがとう・・。」

幼少時の竜牙:「お前、檀上でスピーチしてたおっさんの子だろ?俺が連れてってやるよ。」

神谷:「え・・。」

(ええええっ、結局連れていかれちゃうの~。)

幼少時の竜牙:「ほら。」

神谷:「!」

幼少時の竜牙:「手!繋いでないと迷子になっちゃうぞ?」

神谷:「あ・・う、うん・・。」

(この子の手・・温ったかい。)

幼少時の竜牙:「お前、名前は?」

神谷:「か、神谷・・朱里。」

幼少時の竜牙:「朱里か・・・俺は竜牙!よろしく!」

神谷:「竜くん・・か。えへへ・・。」

ドッカァァアン!

凶牙:「どこだ・・神谷朱里。キングダムセイバーズよりも最初に力を授かったセイバーズの始まりは・・。」

幼少時の竜牙:「か、怪物・・!」

神谷:「わ、私を・・探して・・。」

幼少時の竜牙:「こっち!」

神谷:「え、ちょっ・・!」

幼少時の竜牙:「なにぼーっとしてんだよ、逃げないと!!」

凶牙:「どこだ・・どこにいやがる!」

大空:「グレイガントレット発動・ソニックドラゴンヘッド!」

凶牙:「!」

大空:「うぉぉぉぉっ!」

凶牙:「カオスエンド。」

本田:「危ねぇ!超必殺技・イナズマボルテッカー!」

本田は大空の前に立つ!

白鳥:「間に合って!神秘の守り!!」


黒い光が本田と白鳥を叩きつけた!!


大空:「な、なにが・・おこっ・・!」

小池:「!どうなってやがる、二人が倒れて・・。」

竜牙:「この野郎っ!二人に何をした!!」

大空:「俺を・・かばって・・!」

(よくも!!)

凶牙:「この期に及んでまだ俺の邪魔をするか、セイバーズっ共!!」

大空:「グレイドォォッ!!」

グレイド:「相棒の思いが・・俺を強くする・・!」

大空:「また頭の中にイメージが・・っし、グレイド進化だっ!!」

グレイドラゴン:「グレイドラゴン!!」

凶牙:「なに・・っ!!」

夏海:「モンスターが進化した?!」

覇王:「これがレボリューションセイバーズの力・・?!」

大空:「グレイドラゴン、フォルムチェンジだ!」

グレイドラゴン:「ドラゴンウイング!」

グレイドラゴンは変形して、大空の背中に張り付く!

大空:「剣崎さん、みなさん!俺が奴を引き付けます!!」

凶牙:「小癪な・・!」

大空:「ドラゴンウイング発動・ハリケーンスピード!!」

ビシュゥゥン!

大空は凶牙のカオスエンドを高速回避していく!

凶牙:「くっ・・狙いが定まらねぇ!」

小池:「すごい・・迂回と旋回のタイミングも完璧だ。何者なんだ、あいつ・・。」

未来の竜牙:「俺たちの意思を受け継ぐ男だよ。」

(進化・・か。そういえば、この頃の輝介はまだ麒麟から送られてくるイメージのみで戦っていたな。)

竜牙:「へっ!俺たちも負けてられねぇ!!」

凶牙:「!」

過去の竜牙:「イナズマドラゴン!」

ビりりりッ!!

過去の竜牙が攻撃したイナズマドラゴンを凶牙は飛び跳ねて交わす!

過去の竜牙:「!なんつ~瞬発力だ・・。」

凶牙:「随分と生ぬるい攻撃だなァ・・。」

未来の竜牙:「が、陽動にはなる。」

凶牙:「?!」

(後ろをとられた?!)

未来の竜牙:「竜聖斬!」

シュッ・・ズバババッ!!

未来の竜牙はバク転をしながら凶牙の羽を引き裂いた!

凶牙:「ぐあ・・っ!」

小池:「なんだ・・あの不規則な動きは・・!」

夏海:「これが未来の竜が扱う剣術・・!」

翼を失い、落下する凶牙をめがけて竜牙が駆け出す!!

竜牙:「ハヤブサランニングストーム!」

タタタタッ!

凶牙:「ぐっ・・態勢が持ち直せない・・っ!」

竜牙:「ドラゴンソード零式!」

ズババッ!

凶牙:「痛っ・・!!」

竜牙:「続けぇ!」

小池は空中で構える!

小池:「究極必殺技・ソニックゼロブレイク!」

小池の目にも止まらない無数の高速パンチが凶牙の溝を打ち抜いていく!

バシバシバシバシバシバシバシバシバシバシ・・・!!

凶牙:「うぐぅっ・・!」

(調子にのるな!)

ズパァァッ!

凶牙から出た黒いオーラが小池をはじき飛ばした!

小池:「ぐああっ!!」

竜牙:「小池ェ!」

小池:「っ・・だいじょ・・ぐっ!」

竜牙:「お前・・両腕が・・!」

小池:「気をつけろ・・さっきの攻撃、交わしたはずなんだ。・・それなのに・・。」

竜牙:「冗談きついぜ・・衝撃波だけで腕が傷だらけになってるっていうのか・・?!」

未来の竜牙:「っ・・アーマーレックウドラゴンの力を使って空気圧を変化させているようだ。」

夏海:「だったら迂闊に近づかない方がいいわ、距離を取ってあいつの攻撃を警戒しないと!」

凶牙:「距離を取る・・か。それが最適解だといいがな。」

凶牙は片手を広げる。

凶牙:「ベルフェウススクリュー!」

ボォォォォウウ!!

覇王:「なんだ・・あれは!」

未来の竜牙:「まずい・・アーマーレックウドラゴンの力で作り上げた積乱雲の塊だ!」

覇王は白マントを広げ、ロイヤルセイバーを二本創り出す。

竜牙:「覇王・・?!」

覇王:「究極必殺技・シャイニングサンバースト!!」

覇王が2本のロイヤルセイバーでクロス字型に空気を引き裂くとものすごい速度で積乱雲の塊に襲い掛かる!!

覇王:「伏せろォ!!」


ドッカァァアアアアアアアアン!!!!


凶牙:「さすがは足速師覇王。瞬時に交わせない、受けきれないと判断して相殺の手に打って出たか。だが・・。」

覇王:「ぐ・・は・・っ・・。」

竜牙:「っ・・何が起こって・・覇王?!」

覇王:「あとは・・・頼んだ・・ぞ・・竜・・が・・。」

ドサッ!

凶牙:「シャイニングサンバーストのエネルギーをも取り込んだ俺のベルフェウススクリューをモロに受けたか・・まさに肉を切らせて骨を断つだなァ。」

夏海:「覇王っ!」

夏海は覇王の元に駆け寄る・・が・・。

夏海:「っ・・。」

小池:「き、木嶋・・。」

夏海:「うそ・・脈が・・・っ!!」

小池:「うそ・・だろ・・。」

凶牙:「安心しろ、お前たちも一人残らず覇王の元に送ってやる。」

大空・竜牙:「「そんなことさせない!!」」

ズババッ!

二人の剣が凶牙の胴を引き裂いた!

凶牙:「痛っ・・!」

大空:「俺にはセイバーズのこともあんたのことも分かんねぇけど、これだけは言える。歴史ってのはその時間を生きた人々が繋いできた時間だ。それは未来からきた人間が己の私利私欲を満たすために時空を捻じ曲げてまで改変していいものじゃない。」

凶牙:「貴様ァ・・人間風情がちょっと力を得ただけで調子に乗るなよ!!」

竜牙:「それはこっちのセリフだな。」

凶牙:「何?」

竜牙:「お前の力はすべて他の生物の力だ。誰かの力に頼らなければ何もなすことができない非力なおっさんが・・偉そうに威張ってんじゃねぇぞ!」

凶牙:「だぁぁぁまぁぁぁれぇぇぇっ!!」

過去の竜牙:「この力・・まさかアポカリプスデイを・・?!!」

夏海:「そんなことさせない!究極必殺技・第六の弾・銀河弾!!」

バァン!

夏海が放った弾丸は勢いよく凶牙の胴体に当たり、凶牙の胴体が吸収されていく!!

シュルルルッ・・!!

凶牙:「なっ?!・・なんだこの弾丸は!!」

夏海:「弾丸が命中したあなたの胴体は消滅するわ、観念しなさい!」

凶牙:「っ・・この女!」

(俺の意識がこの二人に向いている隙をついて・・!)

神谷:「ハァハァ・・あれ・・?!」

(ウソ・・戻ってきちゃったの?!)

夏海:「!ちょっ・・!!」

凶牙:「クク・・どうやら運は尽きてないようだ。」

小池:「危ねぇっ!!」

凶牙:「カオスエンドォォ!!」

竜牙:「くっ、ハヤブサランニングストームじゃ間に合わな・・!」

幼少時の竜牙:「朱里ちゃんっ!!」

過去の竜牙:「間に合えっ!音速青龍(ライトスピード)!!」


ドッカァァァン!!


凶牙:「これで・・セイバーズの歴史がなくなり、こいつ等が消滅する!」

過去の竜牙:「ハァハァ・・。」

幼少時の竜牙:「あ・・ありがとう・・。」

神谷:「うっううっ・・。」

凶牙:「な・・!」

過去の竜牙:「はぁ~間一髪・・!二人を捕まえて逃げ切れたぜ・・。」

幼少時の竜牙:「怪我はなかったか?」

神谷:「うんっ!・・竜くんがとっさに覆いかぶさってくれたから・・。」

幼少時の竜牙:「よ、良かった・・。」

凶牙:「うぐっ・・お前はどの時代でも俺の邪魔をするというのか・・っ!」

未来の竜牙:「ほっ・・まさか過去の自分に助けられるなんてな・・。」

小池:「そうか、デストロイヤとの決戦時の時間軸から連れてきた竜牙にはまだ青龍の力が・・!」

竜牙:「へへ・・助かったぜ、過去の俺!」

過去の竜牙:「気にするな、それより反撃が来るぞ!」

夏海:「あなたたちは今のうちに遠くに逃げなさい!」

神谷:「あ、ありがとう!」

幼少時の竜牙:「急ごう。」

神谷:「うん!」

凶牙:「邪魔をするなぁぁぁ!!」

未来の竜牙:「利生突き。」

スッ!

未来の竜牙は凶牙の喉元に剣を当てる。

凶牙:「っ・・いつの間に・・!」

凶牙の態勢が崩れた一瞬の隙を未来の竜牙は見逃さなかった!

未来の竜牙:「至極連斬!!」

ズバズバズバズバッ!!

凶牙:「ぐああああっ!!」

未来の竜牙:「放っておいても夏海の銀河弾を受けたお前はいずれ消滅するが、ダメ押しの一手だ。」

凶牙:「おのれぇ・・だったら!」

ガシッ!

凶牙は未来の竜牙の右腕を掴む!

未来の竜牙:「?!」

凶牙:「貴様を取り込んで一緒に消滅してやる・・。」

未来の竜牙:「コイツ・・!」

竜牙:「大空、こいつを託す!」

大空:「!」

竜牙:「チャンスは一度きりだ!よく狙えよ・・剣舞眼っ!!」

大空は竜牙の背中からドラゴンウイングを羽ばたかせ、飛び上がる!

竜牙:「大空!右手だ!あの右手を狙え!!」

大空:「わかりました!」

凶牙:「カオスエンド!」

大空:「うぉぉぉぉっ!ドラゴンウイング発動・ハリケーンスピード!!」

シュッ!シュッ!シュゥゥッ!!

ビシュゥゥン!!

大空は凶牙のカオスエンドを高速回避していく!

凶牙:「っ・・!」

(この速度を保ったままでここまでの正確無比の機動力見せるとは・・警戒するべき相手を完全に見誤っていたっ・・本当に警戒すべきだった相手は・・!)

大空:「ドラゴンソード零式っ!!」

ズバァァァッ!

大空は零式で凶牙の右上を切り落とした!

凶牙:「うっうがぁぁぁぁぁぁああああああっ!!」

(大空輝介・・っ・・!)

未来の竜牙:「よし、これでドレインハンドの力が失われてデストロイヤとアーマーレックウドラゴンの力が消える!」

過去の竜牙:「あいつ”自身”の弱点は背骨だ!骨格が特殊なアーチ状でできている、そのアーチを崩すことができればあいつは自立することができなくなる!確実に仕留めるんだ!!」

大空:「はいっ!」

凶牙:「ぐっ・・ああああああっ!!」

ガシッ!

凶牙は大空の首根っこを掴む!

大空:「うぐっ?!」

凶牙:「よくもォォ・・!」

夏海:「まずい、竜っ!」

竜牙:「ああっ!」

タッ!タッタッタッ!!

竜牙は駆け出し、大空の手元から滑り落ちたドラゴンソードをそっと掴む!

大空:「うがぁあぁぁあああ・・っ・・。」

凶牙:「死ねぇぇっ・・!」

竜牙:「斜め45度、脇を閉めて右足を前に出し腰を振るっ!」

スッ・・!

竜牙:「そうすれば・・自ずと竹刀が動きについてくる!」

凶牙・大空:「「?!」」

竜牙:「究極奥義・オールクロスジェネレートLV3!!」

凶牙:「っと・・!」

スッ・・!

夏海:「な・・!」

小池:「あの奥義が交わされただと・・あの間合いで?!」

未来の竜牙:「・・いや。」

竜牙:「・・そうくるよな。」

凶牙:「なに?・・うわっ・・と・・?!」

過去の竜牙:「左足で凶牙の足を崩した?!」

未来の竜牙:「浮足崩しだ。相手の構えが甘くなった隙に相手の足を崩す剣術・・!」

竜牙:「ここでお前を倒して俺たちの時間を未来に繋ぐんだァァ!!」

凶牙:「まずい・・避けきれな・・!!」

竜牙:「うぉぉぉぉぉっ!」

竜牙はギャラクシーブレードを持ち直して凶牙に当てたまま押し倒す!

未来の竜牙:「今度は乗込か!」

(本来は相手の攻撃を自分の剣で押し付けて止める剣術。そうだ・・俺もあの時、こうやって無意識化で剣術を使い、凶牙を仕留めたんだ!)

竜牙:「X技・ギャラクシーブレードTHEFAINAL(ザ・ファイナル)!」

バシュゥッ!ボォォォウウウ!!

ギャラクシーブレードの光り輝く刀身が太陽と月の力を同時に放出することで花火のように光弾ける刀身へと変化していく!!

凶牙:「っ・・ここまでか・・っ!」

竜牙:「はぁぁぁっ!」

ズバッ!

肉眼で追えない高速斬撃が凶牙の背骨を貫いた!

凶牙:「・・俺の・・かん・・ぱ・・。」

凶牙はその場に倒れこんだ。

竜牙:「はぁ・・はぁ・・やった。」

大空:「げほっ・・げほっ・・!」

竜牙:「!大空・・。」

大空:「だいじ・・ょうぶです。流石は剣崎さんだ、あなたの闘志・・この目にしっかり焼き付けましたよ。」

竜牙:「ははっ・・なんだよそれ。」

小池:「フッ・・。」

過去の竜牙:「あれ・・体が消えていく・・。」

未来の竜牙:「狂ってしまった時間が修復している証拠だ。俺たちも時期に元の時間に戻るはずだ。」

竜牙:「そっか・・終わったんだな。」

未来の竜牙:「さてと、お前はこの戦いの記憶を引き継いでお前の時の流れの中でまたこの時間がやってきたら、俺がやったことと同じことをしてまた歴史を繋いでくれ。もちろん、今回の出来事は誰にも話さずお前の中だけに閉まっておいてくれよ?」

竜牙:「他のみんなの記憶は消えっちまうのか?」

未来の竜牙:「ああ、鬼一族と関わった一連の記憶はすべて消去される。」

大空:「・・・。」

グレイド:「なーにしょぼくれてんだよ、相棒。」

未来の竜牙:「心配すんな、輝介。グレイドとはまた近いうちに会えるさ、お前の記憶は断片的しか消されない。と言っても今回の出来事を思い出すことはないだろう。」

夏海:「あ、あの・・!」

未来の竜牙:「ん?」

夏海:「さっきの写真に写っていた子って・・誰との・・。」

竜牙:「夏海。」

夏海:「だ、だって・・。」

竜牙:「それは今知るべきことじゃない。賢いお前ならそんくらいわかってんだろ?」

夏海:「だって気になるじゃん!それに、どのみち記憶は消されるんだからいいじゃない。」

竜牙:「バーカ。物語の結末は知らない方が楽しみが増すんだよ、な?」

未来の竜牙:「ははっ、そーいうこった。」






未来の竜牙:「ふーようやく戻ってきたか。」

未来の夏海:「おかえりなさい・・ってボロボロじゃない!」

未来の竜牙:「あはは・・色々あったんだよ。」

幸星:「パパ~。」

未来の竜牙:「お!帰って来たぞ~こうせい。」

幸星:「えへへ・・えい!」

未来の竜牙:「うぐっ・・!!」

未来の竜牙の急所に仮面〇イダーの玩具が容赦なく襲い掛かった。

未来の夏海:「ちょっと!パパに何してるの!!」

未来の竜牙:「い、いいんだ・・。」

(子は親に似るってか?ハハ・・。)

未来の夏海:「おもちゃを人にぶつけたらだめでしょ!」

幸星:「指きりしたもん!そ・れ・に約束破ったのはパパだよ?」

未来の夏海:「う・・。」

未来の竜牙:「フフッ、時間にうるさいところは母さんそっくりだなぁ・・。」

未来の夏海:「何か言った?」

未来の竜牙:「なんでもねぇよ。」

幸星:「それより早く!ケーキ食べようよ~。」

未来の夏海:「全く。パパがうずくまってるのは誰のせいだと思ってるのよ・・も~!待ちなさい。」

未来の竜牙:「・・夏海、心配することはねぇよ。色々あったけど、俺の大切な人は今も昔も変わってねぇから。」

未来の夏海:「?あなたも早くお風呂入っちゃって、こうせーの誕生日祝いするわよ。」

未来の竜牙:「ああ!」



NEXT TIME.. A NEW BEGINNING!!



原作作成期間

2011年 1月~2011年4月 

平成23年1月~平成23年4月

小説家になろう作成期間

2019年12月~2020年3月 

令和元年12月~令和 2年3月


モンスターセイバーズ大長編(完)



いかがでしたか?お察しの通り本作品の未来の竜牙は今年2020年の竜牙です。作品を書き終えた後に今がその2020年になっていることを痛感し、言葉では言い表しづらい感慨深いものがあります。また、せっかくなのでiPhoneのくだりにも現実味を帯びた修正をいれております。長くなりましたが「モンスターセイバーズ」という一つの作品に最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました!2022年にまた小説家になろうでお会いできることを心から願っております。それでは!

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