記憶喪失
出来るだけ時間とって更新していくので、読んでいただけたら幸いです。
結構変更しました…
手を伸ばしたその光は、真夜中に蛍が飛んでいるかのように淡くゆらゆらと消えそうな光を発している。"私"は、その幻想的な光に手を伸ばす。しかし、光は手を伸ばして届きそうになるたびに離れていってしまう。そんな時黒い霧のようなものが"私"の背後から津波のようにその光に向かって押し寄せてきた。"私"は、他に何も光のない暗闇の中、必死に光を守ろうと"闇"を振り払おうと手をパタパタしたり、ジタバタしてみたりしてみたが、空中に浮かんでいるような状態なので何もできない。あっと声が出てしまったその時には光は"闇"に飲まれてしまっていた。
―――君は誰だい―――
そんな声が後ろから聞こえ、振り向くと青色の光がふぁんっふぁんって音でもしそうな程輝いて浮いている。何故だか"私"は、何の根拠もない直感であるが、その何者かは味方のような気がして、気がついたらぽつりと名前を呟いていた。
(私の名前は………。)
―――そっか。うん、とってもいい名前だ―――
(あなたは、誰……?)
―――僕かい?僕はね、………さ。―――
―――――――――――――――――――――――――――
そこは、中世ヨーロッパ風な町並みだ。街道には沢山の露店が開かれ、活気のいい声がそこら中飛び交っている。夜になり露店が閉じたかと思えば、違う通りで酒場の明かりが点り始め、喧騒とし出す。
「おいそこの兄ちゃん!大丈夫か?」
ハヤトはそんな喧騒の中、道のど真ん中にぶっ倒れていて、強面の屈強そうな男に声を掛けられ目を覚ます。
その男はハヤトに声を掛けたのだが、自分はおっさんであり間違っても兄ちゃんなんて呼ばれる歳ではない!とでも思ったのか、また道のど真ん中で深い眠りにつこうとしている。
お前さんだよ!と、再び叩き起こされてやっと自分が呼ばれているのを自覚したのか重い瞼をゆっくりと開けて辺りを見渡した。
だが、ハヤトはさっきまで半眼だったのに比べ、逆に比較にならないくらい大きく見開き、見てはいけない物を見てしまったのか驚愕ののあまりまたすぅーっと気絶するように倒れて行くのであった。
「いやいやいや、まてまて!俺か?俺なのか?」
その男は、また倒れゆくハヤトを見ながら自分をみてハヤトが気絶しそうになっているのを自覚したらしく、なぜ!!というような感じで慌てていた。
だが、盛り上がるような筋肉がついていて、さらに、50代くらい?のおっさんに猫耳にキュートなかわいい尻尾ついてるのだ。ずっと地球にいたハヤトからしたら非現実的過ぎるものなので、仕方のない事であったのかもしれない。
ハヤトは再び目を覚ました。そこには、ハヤトの知らない天井が広がっていて、背中の柔らかな感触と心地のいい毛布の感触で、自分がベッドに寝かされているのだと自覚するためかのように身体をもぞもぞと動かす。
右を向いたハヤトは、衝撃的な者を見てしまったかのような顔でまた気絶しそうになったが、なんとかぐっと堪えて様々な疑問だらけの頭の中を整理しようと渋々口を開いた。
「ここはどこだ?」
「ここは俺の家だ!兄ちゃんがいきなりぶっ倒れたからよぉー、仕方なく運んでやったんだよ。感謝しろよ?」
「あぁ、そうか…。いきなり倒れてすまなかった。」
「いいってことよ!こんなもんしか無いけど元気だせよ、な?」
ハヤトからしたら、ここはどこだ?の意味は家っていう意味ではなく、世界規模の話をしていたのだが、猫耳男は当たり前のように家といって、用意してくれたのか湯気がホクホクと立ち上るコンソメスープのようなものを、ハヤトに手渡し、腕組みをし何を納得したのかうんうんと頷いている。
「ありがとう…。それより、その耳と尻尾はどうなってんだ?」
「どうって…俺は猫人族だからな。これは当たり前だろ?」
猫耳男は当たり前のように言うが、ハヤトからしたら非現実的過ぎる事なので、とても理解が追いつかなかった。
「猫人族?この世界はそんな人間もいるのか?」
「兄ちゃん、この世界って何言ってんだ?…まさか…いや…なんでもない。それより何であんなところに倒れてたんだよ」
猫耳の男は、何か意味深な発言をしているがハヤトにとってはそれどころではなかった。だが、猫耳の男からしてもハヤトが倒れていた理由がわからないのでそれが気になっていたのだ。
「なんか、記憶がすっぽり抜けているような感じがしてわからないんだ」
「薄々思ってはいたが、やっぱ記憶喪失か…そりゃ大変だ…強盗に襲われて逃げててどっかで頭を打ったかとその辺か?」
猫耳男は、なんとなくハヤトに記憶がない事を気づいていたらしく、難しい顔をしている。
「いや…そんな事はないと思うんだが…」
「そうか…そりゃ困ったなぁ…わかった!ちとめんどくさーし、そーいう柄じゃねーが何かの縁だ!この世界の事もわかんねーみてーだから説明してやる!もしなしたら何か思い出すかもしれねーからな!」
「恩に着るよ…」
ハヤトはベッドから起き上がり、足を外に出しベッドに腰掛ける体勢でコンスメスープもどきを啜っている。猫耳の男は、長話にでもなるのか、近くから椅子を持ってきてハヤトの目の前に座ると身振り手振りし説明し始めた。
「まずな、この世界は大きく分けて3つに別れてんだ。一つは魔王が支配する、魔人族の国エルガンダー。もう一つは、俺達獣人や、人族、後他にも多種多様の種族が住んでいる国のサインドラ。そしてもう一つが、無名の未開の地。この無名で未開の地は踏み込んだもので帰ってきた者はいないから何も情報がわからないんだ。まあ、未開の地の事はいいだろう。この世界は、長年魔人族と他の種族が争い合っていて、争いは長年拮抗しているんだ。個々の力は完全に魔人族の方が上なんだがな、こっちは色んな種族がいてそれ故数も多い。数で何とか拮抗させてるって感じだ。ここ数年は大きな争いは起きてないがな。まあ、俺はこの通りこの辺で適当に生活してるだけだし、この辺は魔人族の国とも1番遠い所にある。だから俺にとっちゃ関係ない話だがな。この世界についてはこんな所だな。」
「そりゃ大変だな…」
ハヤトは、本当に自分がこの世界に来た理由も忘れてしまっているらしく、大変なんだなぁ…という感想を零すだけであった。
「なんか思い出したか?」
「いや…ダメそうだ…」
猫耳男はとても人がいいらしく、ハヤトの事を本気で心配しているのか落胆の表情で肩を落としている。
「わりぃな、力になれなくて」
「俺こそすまん!いきなり何回も気絶しそうになって!」
「まあ、記憶ないなら動転してああなっちまうのもしょーがないな。それは許してやる!それより兄ちゃん、これからどうするんだ?」
ハヤトは深く考え込む動作で黙ってしまう。何せ記憶がない訳だ。ハヤトはどうするもこうするも何も分からないのである。
「どうしようにもなぁ〜、記憶が無いから何処に行けばいいのかも何をすればいいのかも何も分からないんだ…おっちゃんなんか物知りそうだから助言くれないか??」
「助言ねぇ〜…そうだ!取り敢えず地図やらからヨーカルにでも行ってギルド行ってみるってのはどうだ?」
「ギルド?」
猫耳男は、首を傾げているハヤトにギルドに行ってみる事を進めると、えっと〜確かこの辺に〜とかブツブツ言いながら本棚をガサガサと漁り始めた。
「おっ!これだ!ほらよ!」
おっさんは、しばらくすると地図を見つけたらしく、埃を払いながら味のある感じの古めの地図をハヤトに手渡す。
「これが地図か…今いるのはどの辺だ?」
「えっとな、今はここで、ちょっと北に行くとヨーカルって街があんだ。割と活気よくて人もいるしそこの森抜ければすぐ着くから大丈夫だろ。しかもこっからなら道もできてっからな!」
地図には、3つに国が分けられており、おっさんの言っていた通り、サインドラ、エルガンダー、未開の地と書いてある。今ハヤトがいるのが地図でいう1番上の方のヨーカルと書かれている所から少し南に行った所である。おっさんが言っていたのは、そのヨーカルに行く道の途中にある森の事である。
「わかった、じゃあ、そうしてみるとするかな!」
「あ!でもな!森には魔物が出るから気をつけろよ?主に会わなきゃ大丈夫だとは思うが…その主以外はとつえーのあんまいねーから走って逃げりゃ大丈夫だろ!」
この世界には、魔物という生物も存在するのだ。だが、ハヤトはそんな存在がいる事も知らないのである。この森には確かに弱い魔物が比較的多く、駆け出しの冒険者でも訓練するには最適な森でもある。だが、主は別である。かなり腕の立つ者でも逃げる事ができれば運が良かったと言えるだろう。
その主は、常に自分の縄張りを変えたり、もしも自分よりも強い者を見つけたらすぐに逃げてしまう事から、討伐出来ていないのだ。
「魔物!?」
「兄ちゃん、そんな事も忘れちまったのか?…本当に…いやでもな…」
やはり、猫耳男には何か思うところがあるのか、何かと葛藤しているように見える。だがハヤトはそれに気づかない。
「俺…大丈夫かな…」
「大丈夫大丈夫!兄ちゃん見た所いい身体つきしてるし鍛えりゃ伸びるタイプだろ!しかも筋肉のつき方から運動神経もいい。いざとなりゃ逃げればいんだよ!」
猫耳男が何を根拠にそんな事言っているのかは分からないが、この男からしてみれば何かハヤトに力を感じているのかもしれない。
「わ、わかった…取り敢えずギルドって所に行ってみるとするかな!世話になったな!」
「おうよ!」
ハヤトは軽く出る準備をしている。猫耳男が気を利かせてリュックまで用意してくれたので、それに地図を詰め、水筒と水もくれたのでそれを入れる。
「じゃ!元気でな!今度は倒れんなよ?それと、記憶、戻るといいな」
「あぁ、本当に何から何までありがとう!いつか必ず恩を返しにくるからな!」
「おう!俺は死ぬまでここにいるだろうから待ってるぜ!」
そうしてハヤトは猫耳男に礼をし、出口に向かった。最後に、気をつけてなーっと言ってくれた猫耳男に、すげぇいいやつじゃんこのおっさんと感じているのか少し名残惜しそうにおっさん宅を後にするのだった。
そこは、長閑な風景が広がるいかにも田舎って感じの村である。日本にもありそうな風景であるが、唯一違うのが、畑仕事をしている人達に、毛の生えた耳や尻尾がある点だ。
そんな景色を楽しみながら、猫耳男の言っていたヨーカルという街に向かい歩き始める。その道中の森はシンボ森という森である。
そうして、村の人とこんにちはーなどと挨拶しながら歩いているとハヤトの目の前に大きな森が広がっていた。そして、ハヤトは、この後魔物と遭遇してびっくり仰天あたふたする事になるなど知らずに、森の中へ足を踏み込んで歩き出すのだった。
「はて?しかし俺はなんのためにこの世界にいるんだ?あの神が何か言っていたんだけどなぁ…なんだっけ…よし、考えても分からないしギルドいくかぁー!…」
ハヤトは、自分の本当の目的である、やよいを助けるという使命を転移の影響か忘れてしまっている。そんなハヤトは、とりあえず目的を探すか!程度の気持ちでいるのであった。
書きながら内容考えているので変なところたくさんあると思いますが、ご了承ください><
これから、本格的にハヤトの旅が始まります!