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虐げられる者達の導き手  作者: 天海 龍牙
5/10

転生してからの1週間まとめ 前半

1日目


飛翼竜(ワイバーン)1頭

狂化合成獣(ビーストキメラ)1頭

アースドラゴン1頭

ハイゴブリン10体

ハイマジックゴブリン5体

ジェネラルオーガ5体

キングオーガ1体

を倒した


ホーム判定のある拠点から半径4kmを出てすぐ上空から飛翼竜が襲いかかってきた

咄嗟に反応して右手に装備していた金属球を握りしめ、武器をゲーム時代から一番使いなれた武器の大太刀「飛燕(ひえん)」に変えて正面に構え、飛びかかってきた飛翼竜をそのまま縦半分に両断した

そしてゲーム時代では感じなかった肉を断ち切る感触

そして二つに分かれた死骸から噴き出す血液が自分の周りに降り注ぐ

その事に何処か呆然としている内に血の臭いを嗅ぎつけ狂化合成獣、アースドラゴン、キングオーガを中心とした一部隊が続々と集まり襲いかかってきた

そして…

思っていたよりもあっさりと全ての敵を倒す事が出来た

Lv差が結構あるのかこちらの攻撃は簡単に敵に当たり、敵の攻撃は想像していたよりも遅く感じ簡単に避ける事が出来た

だけど、全てのモンスターを倒し終わった後…

吐いた…とにかく吐いた…

胃の中には何も入っていなかったけどとりあえず吐いた

覚悟はしていたつもりだった…

だけどやはりここは現実だった…

敵、モンスターを倒せば消滅してドロップアイテムが出る訳じゃない

手に残っているのは…

肉を切る生々しい感触…

肉を叩く重たく鈍く響く音…

飛び散り振りかかる体液の生ぬるい温度…

周りに広がる血の鉄臭さと臓物の生臭さ…


耐性スキルによって多少は緩和されているのだと思う

だけどやはり生き物を殺すという罪悪感は無くなる物では無かった…

料理の為に魚を捌いた事はある、両親が生きていた頃に体験学習で鶏を絞めた事もある

だけどそんな程度で済む罪悪感では無い

それでも人型では無いモンスターはまだそう言う風に割り切れた

これは自分が生きるため、食料を得るためだと自分に言い聞かせ割り切れた

だけど人型…

いくら人とは似ても似つかない姿形でも…

2足歩行で理解できない言語(鳴き声)を喋るゴブリンやオーガ…

そういった食料とは見れない、人と変わらない敵を倒すのは割り切れなかった…

だから吐いた…


不思議な事に恐怖心は全く無かった

心にあるのは生き物を殺したという罪悪感…

そして、ある事に思い至り、また吐いた…

正確には思わないようにしていただけの事実

「ここ…、この世界では命の価値は、軽い…」

今回は運良くモンスターだった


だけど…

これがもし盗賊などの人間だったら…


そう改めて今自分がいるこの世界は元の世界とは違い過ぎるという事を思いなおした自分は、倒した敵の死骸に手を合わせ、ストレージに収納して一度ホームに帰ることにした



2日目

昨日あれからホームに戻って改めて自分のスキルを調べた

膨大な量だから後回しにしていたけどそれは危ないと感じ一つ一つ鑑定を使って調べていった

耐性スキルはどの程度まで緩和してくれるのか、なぜ罪悪感は無くならなかったのか

昨日感じた疑問の解消も兼ねて、調べられそうな事は徹底して調べた

そして分かった事がいろいろあった


その一つの例として

スキルツリーにある「耐性」の中の「恐怖耐性Lv10」

これは「恐怖耐性Lv9」に有効を下げておいた

Lv10の説明は「一切の恐怖を感じなくなり、恐怖によるデバフ、状態異常の全てを無効化し通常時と変わらず行動出来る」

そしてLv9は「多少の恐怖は感じるが、恐怖による95%のデバフ、状態異常を軽減、無効化し通常時と変わらず行動出来る」

下げた理由としてデバフの無効化は非常に魅力的だったが「一切の恐怖を感じなくなる」この一文だけは見逃せなかった

なにか元の世界で見た漫画か何かで「恐怖を知らないのは狂戦士(バーサーカー)と同じで、危険を感じなくなり死が付きまとう」みたいな事を読んだ覚えがある

実際にモンスターに襲われた昨日の事を思い出すと恐怖が無く命の危険も感じなかった

改めて思うとこれは本当に危ない事だったのではないかと感じて、恐怖を多少感じながらも普通に動けるLv9まで下げる事にした

似た様な理由で「痛覚耐性」「空腹耐性」「絶望耐性」など複数のアクティブレベルを下げた

こういった感じで元の世界で読んだ漫画、小説、ゲームなどを思い出しながら下げた方が良いスキル、無効化しておくべきスキル等を見つけては調整しておいた


そして罪悪感についてはプレイヤー情報にひっそりと存在していた「モラル」が関係していた

「モラル」はゲーム時代に悪質なプレイヤーかを判別する数値で

ゲーム時代には悪質なチート行為をする違反プレイヤー、他人にわざと迷惑をかける悪質プレイヤー、上記二つとは別にPK(プレイヤーキラー)キャラをRP(ロールプレイ)する犯罪プレイヤーなどがいたので設定されていた

自分の場合はそういった事はせずに普通に楽しんでいただけのプレイヤーだったのでモラルは勿論「+」になっていた

これを鑑定したら

「モラル」:本人の善性、悪性を判断する値。+に傾けば善性が高くなり道徳に反した行為には心を痛め、-に傾けば道徳に反する行為を行っても心は痛まない。

となっていた

この説明にある「道徳」が元の世界準拠になっているからゲームとしては当たり前なモンスター退治でも、元の世界的に言えば「生物を殺す」行為として自分は罪悪感を感じていた

という事なんだろう。

だからと言って今更モラルを下げる気も無いし、ここは徐々に慣れて行くしかないだろう

…だけど不殺用の武器を作っておくのは問題ないだろう

法律がどうなってるかはゲーム時代でもそこまで気にはしていなかった事だから分からないけど、盗賊や山賊、犯罪者…

要するに「人間」の敵はよっぽどの事が無い限り不殺用武器で対処しよう

いずれ、もしかしたら「人間」を殺す…事になるかもしれないけど、今の自分には無理…というか考えたくないからとりあえず不殺用武器を準備しよう

うん、決定


しかし、丸一日かかってしまった調べ事だけど、これは明らかに知力補正あると感じる

どう考えても一つ一つ調べているにしては理解が早いし、頭の回転が速い気がする

考え自体は自分の思考の域は出ないけど、そこに至るまでの過程が明らかに短い

例えば、どこに何を仕舞ったか思い出すのに以前は少し時間がかかっていたけど、今ではそれを思い出すのに1秒とかからない、といった感じだ

ステータスの「知力」は頭の良さじゃなくて、思考の回転速度が関係しているのかもしれない

はっきりはしないけど、ある程度仮説を立てれるのは良いことだと思う

そんな事を考えつつ眠りに付いた




3日目


昨日考えた不殺用武器を作っていく

と言っても原理はモンスターテイム用の改変するだけ

モンスターテイムは専用の武器で相手のHPを1残す仕様になっていて、弱り切った敵に対して興味がありそうな事で気を引き使役スキルにある「契約言語」で契約を結んでいく

しかし、弱り切った敵は「その場を去る」という逃げるとはまた違ったコマンドで追跡不能状態になる行動をとる様になるので簡単に契約出来内容になっていた

今回必要なのは「相手のHPを1残す」という武器の能力だけなのでこれを普通の武器に付与するだけ

なので、今使っている金属球に記憶されている同じ武器種を性能抑えめに作って付与していく

ただ性能は抑え目と言っても自分が使う武器なので真剣に作っていたら1日が終わってしまった



4日目


昨日不殺用武器を作っていて思い出した、自分の使役スキルで調教した仲間兼ペットや友人達と作りだしたオートマタ等の使役MOBはどうなっているのか確認する事にした

前者の戦闘能力を保有した元モンスターは召喚する事が不可能だった。しかし能力値を持たない愛玩用のペットの何匹かはゲーム時代と同じように召喚する事が出来た

召喚出来たのは「青龍」「白虎」「朱雀」「玄武」「麒麟」「妖狐」「狼王」とゲーム時代に一定期間の間隔で現れるレイドと呼ばれるボス級の大型MOBを倒した際に一定確率でドロップした「○○の魂」というアイテムを使って呼び出す事の出来るそれぞれの姿をそのまま小さくしたミニキャラ達だった

特に能力がある訳ではないが、自分の周りを動き回る姿が可愛く癒されるという事でOCTプレイヤーのほとんどがレイドの知らせがある度参加して皆で手に入れていた

そんな訳で可愛いペット達が召喚出来た喜びと「久しぶりだ!遊べ!」と言わんばかりのペット達のアピールに負けて1日中遊んでしまっていた


5日目


昨日確認する筈だったオートマタ等の使役MOBを倉庫に入り確認していく

昨日の戦闘力を持つ元モンスターが呼べなかった事から、敵としても現れる「オートマタ」系も駄目だろうと思っていたが作ったオートマタは3体全てが残っていて起動する事が出来た

男の浪漫であり、夢の塊である「メイド(ロボ)」の「鏡花(きょうか)

その相方として作られた「執事」の「セバスチャン」

そして友人たちと厨二全開で語りながら作った戦闘用オートマタで黒歴史の塊でもある「キリングドール」の「クラウン」


3体の起動を確認して、それぞれがゲーム時代とどう変わっているか面談をしてほぼ変わって無い事を確認して、鏡花とセバスチャンには家や工房、畑などホーム全体の管理を

そして…クラウンはそっとスリープモードへと戻した

…鏡花とセバスチャンは大丈夫

だけどクラウンは…悪いけど駄目だ

何が駄目だって…設定した厨二全開の性格が俺に精神ダメージを与えてくる

言動が、行動が、全て悶死したくなるほど恥ずかしくて、とても起動させておく事は出来なかった…





またまた遅くなってしまって申し訳ありませんでした

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