ストリートファイト
現実味があるバトルシーンってこんな感じかな。
ここは都会でもなく田舎でもなく…しかし建物は高い。今俺らがいる少し先の左手に60階はあろうというビルがたっている。
あのビルはこれから倒壊する。
「グ、リ、コ」
直人が3歩進む。俺はチョキとパーしか出さずチョキの割合をかなり高めにしている。
ビルが倒壊すれば岩や鉄骨などが降り注ぎ近くにいる人はただではすまない。
俺達が目指している学校はあのビルの裏を少し進んだところにある。あのビルの前を通り先の十字路を左折する、それが学校へのルート。
ビルまで残り50メートル前後。
ここで俺はパイナップル。直人に詰め寄ると同時にビルにも近づく。
俺はビルが倒壊することを知っている。そして岩が降ってこない場所も知っている。
そしてそこにいれば倒壊したビルの跡地を地盤の崩壊などの二次被害の危険無しで通り抜けることができるのを知っている。
つまり面接に間に合う。
しかし直人がこれを知ったらあいつは別の道を通ろうと言うだろう。それでは間に合わない。
俺はごく普通な流れでセーフティエリアにグッドタイミングで直人を到達させる。
そのためのグリコ
セーフティエリアまで残り15メートル、予定より早い。このままのペースだと通りすぎるな…
直人の歩幅なら17歩か、このままだとピッタリが無理だ。少しでもずれたら瓦礫に半身吹き飛ばされる。
………ひらめいた
「パ、イ、ナ、ッ、プ、ル」
直人の前に出る、そして
「くらえ!眼鏡やろう!」
渾身のドロップキック、飛んでく直人
「ッオエッ、ゲホッ…」
うわぁ痛そう
「ゲホッ…殺されたいようだな…」
「おいおい、何キレてんだ、頭大丈夫か?」
俺が立っている場所がセーフティエリア、ここで直人に寝技をかけられればミッションコンプリートだ。
スマホで時計を確認、残り2分
と、頭の左側に衝撃が、そのまま電柱に打ち付けられる。
「───ッ」
痛すぎて声が出せない。
直人の上段蹴りで頭蓋骨にヒビ入った、ついでに多分右腕が折れた。
しかし今殺意の波動に目覚めた直人はセーフティエリアど真ん中だ。
よし、石投げて固めて瞬獄殺だ。なるべく石投げで時間を稼ごう。
「クッ…」
元ハンドボール部の石投げに直人はなすすべ無しのようだ、勝ったな。
しかし5個の石を直人はセビキャンでかわし突っ込んできた。
(ヤバイ…コンボ完走されたら死ぬ…)
しかしゲージが足りなかった、直人はスパコン打てず。
起き上がり際に思考をフル回転
位置がズレすぎだ…前飛び竜巻で後ろに回るか?
いや、ゲージ対空で死ぬる。
ワンチャンしゃがみ大足で転ばせる?
いや、リスキー
(ならこうだ…!)
おれは担いでいたロケットバズーカを構える
「なにっ?!」
とてつもない爆音で直人に命中、その場に倒れる直人
「WIN」
その瞬間、ビルが崩れた
急いでセーフティエリア内の直人のもとへ駆ける。
大量の岩や鉄骨が降り注ぐが俺と直人には当たらない。
「あっ!」
気づくのが遅かった、少し離れたところに10歳くらいの女の子がいた。
(遠すぎる…!)
俺は何もできなかった。女の子がいる場所に瓦礫が降り注いだ。
少し経ち、煙が晴れた。ビルがなくなったおかげで学校が見えた。ここを進めば大丈夫だ。
俺は倒れている直人を担いで学校へ向かう。
ついでに無傷の女の子も付いてきた。
女の子は魔族だったらしい。魔法はなんでもできる。
「やっぱ恐ろしいな」
無事学校に着いた(俺は頭骨にヒビで右腕骨折、直人はロケットバズーカでボロボロ)
「やっときた!」
門の近くにいた赤髪の男の子が元気な声を出した。寧々だ。
「グリコしてた」
「いいなー」
現実味があるバトルシーンでしたね。