新・巌流島
慶長17年4月13日、佐々木小次郎は巌流島の浜辺で武蔵が来るのを今か今かを待ち受けていた。
「遅い!」
いらだつ小次郎。武蔵の船はまだ見えない。
約束の刻限から一刻ほど後、武蔵を乗せた船が浜辺に着いた。武蔵は木刀を手に船から飛び降りて叫んだ。
「待ちかねたぞ! 小次郎!」
「待ちかね……私のセリフだ!」
対峙する二人の剣豪。小次郎は武蔵に自分の物干し竿のような長刀を突きつける。
「故意に遅れてきて私の心を乱そうなど……甘い!」
そう言うと小次郎は刀を鞘から抜き放ち、鞘を波間に投げ捨てた。すかさず武蔵が言い放つ。
「小次郎敗れたり!」
「何……?」
「鞘を捨てては抜刀できまい!」
「もうしてるぞ」
「そうか」
「うん」
小次郎は長い刀を大上段に構えた。
武蔵は鋭い目つきで小次郎の隙をうかがう。
二人は見合ったまま、相手の隙をうかがうように少しづつ横に移動する。
少しづつ歩く速さが増していく。
武蔵を見据えたまま砂浜を走る小次郎。
小次郎をにらんだまま波打ち際を走る武蔵。
足元を見ずに走ったせいで砂に足をとられて転ぶ小次郎。
周りをよく見ずに走ったせいで高波に飲まれる武蔵。
「目に、目に砂があああ」
「げほっ、ごほっ、水飲んで気持ち悪い……」
互いに一歩も引かない二人の剣豪。
しばらく後、再び二人は対峙した。
武蔵は突然木刀で円を描き始めた。
「ゆくぞ、円月殺法」
武蔵に何か物語的によくない不純物が混ざり始めた。
「ひとつ、ひとよの醜い悪を……」
武蔵の様子に小次郎は戸惑うばかりだった。
その隙を逃さず、武蔵が仕掛ける!
「とうっ、八艘飛び!」
更なる不純物の混入に物語がきしみ始めた。
砂浜を飛び回る武蔵は小次郎の頭上から木刀を振り下ろす。
不意をつかれた小次郎だったが、すばやく武蔵に反撃する。
「させるかっ! 飛天御剣流、龍○閃!」
小次郎にも不純物が混入していた。物語的にというか著作権的に危ない。
空中で衝突する危険な二人。激しい音がして、折れた刀と木刀が砂浜に突き刺さる。着地した二人はゆっくりと向き直った。
武蔵はにやりと笑いながら折れた木刀を投げ捨てた。
「ふっ、ならばこれでどうだ」
武蔵はそう言うと、両手を右腰の位置にそろえて、何かをためるような格好をした。
「かー、めー、はー、めー」
武蔵の両手に気が集まっていく。
物語の根幹を揺るがすような不純物が武蔵に混入しまくる。
武蔵の様子をみていた小次郎は、涼しげな顔をしながら折れた刀を投げ捨てて、拳法の構えを取った。
「ゆくぞ! 狼牙風○拳!」
いろいろな意味で致命的な不純物が混入していた。
とりあえず武蔵が勝った。




