外の世界
『 先 に 外 に い る よ 』
「あぁ。」
駆け足気味でドアに向かう。
ドアノブに手をかけると簡単にドアが開いた。
初めて・・・いや、ここに入る前に見たぶりの外に続く階段がある。
早足で駆け上がる。上りきると、外の世界とモニター越しで
いつも見ているキミがいた。
「そんなに嬉しいの?」
ガタガタとしてない声。途切れていない声。
それだけでも凄く新鮮だった。
外の世界にきたのだ、と感じさせた。
「まず、何処行く?」
「・・・ケーキ。」
「わかった。」
正直何処でも良かった。
外に出られた、という感覚さえ味わえれば。
「あれ・・・ここ・・・」
「・・・知ってる店?」
「いや・・・」
知らない店。だが、何処となく懐かしい雰囲気が漂う。
結果としてこの店のケーキは絶品だった。
ただ、味に覚えはなかった。
その後行った遊園地も楽しかった。
今見ている夜景も綺麗だ、凄く。
だが、心の奥で感じた違和感は消えることなく
膨らむばかりだった。
何処を行っても懐かしい雰囲気が漂う。
「なぁ。」
「ん?どうしたの。」
「今日行った場所・・・うっ!?」
「・・・。」
場所について聞こうとしたその瞬間、
強烈な頭痛と目眩に襲われた。
「うぁ・・・うぐ・・・ぁ・・・」
「・・・。」
とても哀しそうなキミの顔をうっすらと見え・・・
そこで視界はブラックアウトした。