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第6話 時を越えて(後編)

 ーイメージが力になるー

 私が翼に目覚めて、すぐにパパから聞いた言葉。翼は持ち主のイメージや想いに応えてくれる、だから彩がしたいことを強く想えば翼はきっと力をくれる、そう聞いた。

 私はその言葉を思い出して、目の前に広げた翼に防御のイメージを流し込む。


「お願い、応えて!!」


 パパの放った砲撃が翼にぶつかる。強い衝撃に体が吹き飛びそうになるけど、必死に耐える。


「まだ、まだ負けたくないから!」


 溢れたエネルギーにライフは少しずつ削られるが、私は翼の中で白雪(スノーホワイト)を握りしめる。

 パパだって砲撃をずっと撃てるわけじゃない、だから途切れたところを一気に決めるしかない。


「行けるよね、虹の翼。だって私は、パパとママの子供だもん!!」


 パパの砲撃が細くなっていく、その瞬間、私は翼をはためかせパパに肉薄する。


「てぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇい!!」


 振りかぶった白雪(スノーホワイト)で縦一閃、そして今度は翼に斬るイメージを注ぎ込む。

 はためく翼は斬撃となってパパにダメージを与えていく、擬似的ではあるけど三刀流だ。


「攻撃と防御を備える翼…強い、それに才能がある…。この娘が僕と由乃の…」


「行くよパパ!!」


 さっき見たパパの必殺技。多分あれは剣に力を込めてそれを解放したんだと思った私は白雪(スノーホワイト)と翼に力を込める。

 すると翼から小さい羽根の様な光が次々と現れて、私と剣の周りを飛ぶ。

 それに呼応するように白雪(スノーホワイト)が白く輝き始めた。


「これが、私の、必殺技!!」


 剣の動きに合わせて羽根が舞う。剣と羽根、それを同時に振るう。白い羽根はまるで雪崩の様にパパを飲み込もうとしている。


「アヴァランチ・ブレイザー!」


「スターダスト・エクリプス!!」


 パパも二刀流から必殺技を繰り出してくる、さっきのとは全く違う連続斬り。

 私の羽根を崩しながら、パパの剣が迫ってくる。それでも私は白雪(スノーホワイト)と「虹の翼」を信じて剣を振るい続けた。

 私のライフはもう残りわずか、でもパパのライフも赤いゲージにまで減っている。

 今しかない、そう思った私は羽根を従えたままの白雪(スノーホワイト)を一度下げて、地面を蹴った。

 互いの一閃が、互いの体を捉えた。そして膠着すること1秒。


「引き分けですっ!」


 ママの声が響いた。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 練習試合を終えた私は、さっきの部屋でお茶をもらっていた。


「いやー、強いね彩ちゃんは。今すぐ一航戦に入ってもらいたいくらいだよ。」


「スターダスト・エクリプスにしっかり対応してましたもんね~、あたしは一撃でやられちゃったのに。」


「無我夢中でしたから…。あの技もパパの戦い方を見よう見まねでやってみて思いついたので。」


「ソニックエッジからヒントを得たんだとすればすごい観察眼だね。もしかしたら僕みたいに過去の持ち主を秘めているのかもしれない。」


「過去の持ち主?」


「そう、僕の蒼天の翼(スターダスト)はずっと前にエクスっていう人が持ってたんだ。それが長い年月の中、色々な人を伝わって今は僕が継承してる。だから彩ちゃんの虹の翼にも過去の持ち主がいて、その人の意思も秘めている可能性はある。未来に帰ってたら、未来の僕に聞いてみるといいかな。」


「そうしてみます。」


 ひとしきり話した後、練習試合の疲れもあって私は眠ってしまった。

 多分、過去のパパに会いに来たことは私にとって何らかの意味があるはず。「パパに会った」ということは忘れても、話したことは「どこかで聞いたこと」に置き換わる。帰ったらパパに聞かなきゃいけないことがたくさんある、パパとママの会話を耳にしながら、私は夢の中へと落ちていった。


――――――――――――――――――――――――――――――


「どう思う、エクス?」


『確かに神が我らに翼を託した時、虹の翼を託された者はいた。だがその者…エクスティアはその後すぐに亡くなった。翼は継承されるが意思がそのまま継承されるとは考えにくい。』


「エクスティア…エクスとは違う人なの?」


『我の真名はエクシリアという。エクスティアは我の姉上、我と似た名のためかティアと呼ばれていた。』


「姉弟で翼の持ち主だったのか…まあ僕も未来では親子で翼の持ち主みたいだけど。」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 夢のまどろみの中で、私は見知らぬ女の人の面影を見た。


「あなたは…だれ?」


『ようやく会えましたね、彩。私はエクスティア、あなたの中に眠る「虹の翼」の意思です。』


「エクスティア…翼の意思…?」


『正確には「虹の翼の初代持ち主」なのです。あなたの「強くなりたい」という気持ちが私を目覚めさせてくれました。』


「それじゃあ、この翼の使い方とか色々教えてくれるの?」


『翼の使い方、というよりもあなたに宿る魔力の使い方…と言った方が正確です。翼は魔力を引き出すためのトリガーに過ぎません。』


「それじゃあパパもその魔力を使って技を出していたんだ…」


『そうなりますね。詳しい話はまた後程にしましょう、このペンダントが私とあなたを繋ぐ鍵…現実世界でもあなたと私は一緒にいます…』


 そう言うと女の人―エクスティアはふっと消えてしまった。


「夢…じゃないよね、きっと。」

親子対決、完結です。

年が明けてしまいました…執筆の遅さはなんとかせねば…


さて、最後に現れたエクスティアという女性、悠の中に眠るエクスと深い関わりがありそうです。

次話からはエクスティアからもたらされる「滅び」の真実と新たなる戦いをお送りしたいと思います

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