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第2話 受け継がれる力

 振り上げられた腕、太いその腕に叩かれたら私はひとたまりもない。

 そう思った私は瞬時に横に飛んで、どうにかその腕を避けた。


「いきなりなんなの!?」


 その黒い何かは、私の方を向くと、再び腕を振り上げる。

 しかも、1体だけじゃない。その後ろにも黒い何かがゆらりと体を持ち上げている。そして…

 後退りした私の背中に、何かがぶつかる。

 それも、黒い何かだった。

 逃げられない…どうしよう…焦りで体が動かない、早く悠里ちゃんの所に行かないといけないのに…

 前と後ろの黒い何かが拳を突き出してくる。終わった…そう思った時だった。


「由乃、撃て!!」


 声と同時に私の体は空に舞う、そして地面に取り残された黒い何かは赤い光に当たって消えていった。


「私、生きて…」


「死なせるわけないだろ、彩。」


「パパ…?」


「怖かっただろう?でも、もう大丈夫だ。」


 パパの背中からは青白い翼が伸びている。下を見ると、ベランダからママが指先を外に向けていた。


「ママも…?」


「ママは百発百中だからな、狙った獲物は逃さないよ。」


 ふわりと地面に降り立つ、するとママが駆け寄って、パパごと抱き締めた。


「彩、もう大丈夫よ。怖いのはやっつけたからね。」


「それにしても由乃、今のは…」


「使徒…みたいだったけど。でもどうして?」


「分からない、あの時ゼロを倒して消滅したはずなのに。」


 パパとママは難しい顔をして話し合っている。いつもとは違う、とても真剣な顔だった。

 だから、反応が遅れたのかもしれない。

 新たに現れた黒い何か―使徒が私たちめがけて突進してくる。


「パパ、後ろーーっ!」


 パパが振り返った時には、もう飛んでる暇なんてなかった。

 その距離、わずか1.5m。目と鼻の先にまで使徒が迫っていた。

 パパは私を守ろうと私を覆うようにして使徒に背を向けた。


(このままだとパパがやられちゃう!)


 ―英雄の子供なのに、なんて言われたこともある―

 ―誰が誰の子供だって関係ない、彩は彩でしょ?―


(それでも、私にだって出来ることはあるはず!)


 何か、強い力が身体中を駆け巡る。私はそれを思いっきり広げるように手を振る。


「パパとママは、私が守る!!」


 パパと使徒の間に、虹色の壁が現れて、使徒を弾き飛ばした。

 その壁は、私の背中から伸びているように見えた。


「彩…っ!」


 パパが目を見開いて私の事を見ている。使徒を弾き飛ばした虹色の壁はそのまま私の背中で翼の形になる。


「虹色の翼…?嘘、そんなことが…。」


 ママが私の翼を凝視している。私も驚いているんだけど…。


「なんだかやれそうな気がする、私!」


 聞きたいことは山ほどあるけれど、今は目の前の使徒を倒さないとならない。私は虹色の翼を広げて、パパの前に出る。

 けど、パパは私の頭を撫でてさらに前に出た。


「その力は彩には分からないことだらけだ。ここは僕に任せて、ママと家の中にいるんだ。」


「でもパパ、私は…。」


「学校で習わなかったのか?篠宮悠、そう、彩のお父さんは最強の戦士だって。」


 そういうと、パパの翼が青白い色から、真っ白に変わる。そして、両手に黒と白の剣を持って使徒に向かっていく。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 どうして彩から翼が発現したのか、なぜ使徒が復活したのか、その理由は分からないけど今は考えている場合じゃない。


「行くぞ、白銀の翼(ホワイトネス)!」


 僕は久しぶりに白銀の翼(ホワイトネス)を広げる。それと同時にビットを展開して使徒を牽制する。

 こちらは手数で勝るが、なんと言っても相手の使徒が手強い。いつもギリギリの所で攻撃が回避されてしまう。


「なんだってんだこいつは!」


 この戦い、どこかで覚えがある。18年が経っても忘れることはない、ゼロとの最後の戦い。


「お前は、ゼロなのか!?」


 使徒は答えない。答えはしないが、その太刀筋や射線はゼロとしか思えないほど似ていた。

 僕は迷いを振り切るように、白雪(スノーホワイト)に魔力を込める。こんな街中で使うのはとも思ったが、相手がゼロに相当する力を持つ以上、やるしかない。


煌剣一閃(こうけんいっせん)、セイクリッド・ザンバーー!」


 巨大な光の剣が、使徒を飲み込む。その姿は一瞬で消え失せ、後には何も残っていない。

 追撃なし、そう判断した僕は白雪(スノーホワイト)黒焔(ブラックフレア)をしまった。

 ―まずは彩に全て話さないと、その後で隊長に報告だ。―

第2話読んでいただき、ありがとうございます


彩が翼に目覚めるという、なんとも読みやすい展開ですね

しかしこの虹色の翼、これまでの翼とは少し違うようで…

その謎は後々明かされますので!


では、次話もよろしくお願いいたします

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