プロローグ 何も変わらない始まり
「それじゃ、いってきまーす!!」
「はーい、気をつけてね。」
いつもと変わらない朝のやりとりをして、私は玄関を飛び出した。
季節は初夏、私が一番好きな季節だ。
坂道を駆け下りたところで、親友の姿が目に入る。
「悠里ちゃん、おはよ~!」
「あ、彩。おはよう。」
彼女は若草悠里、私の小学校時代からの親友だ。
どんなときも、私たちは一緒にいた。それは、中学生になっても同じだった。
「彩、宿題はやってきたの?」
「ふふん、今日はちゃんとやってきたよ。…大半はパパに聞いたけど。」
「いつかの答え丸写しよりかはいいんじゃない?」
「悠里ちゃん、それは言わないでよ。」
なんてことない日の、なんてことない登校。
それでも、世界は少しずつ歪んでいたのかもしれない。
そんなこと、誰も気づいていないまま。
現にその時、空にはいたんだ。
18年前、消えたはずの黒い影たちが。
前作、「もう一度、僕たちの空を」の続編です
悠たちの戦いが終わり、前作のラストから10年後の世界、また戦いが始まろうとしています。
主人公、彩の苗字が明かされていませんが、もしかすると大方予想がついているのではないでしょうか。
次回、明かされますので…
では、今作もよろしくお願いいたします。