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【詩集】日常から

無機質な悲劇

作者: につき
掲載日:2015/08/24

手のひらに走る静脈の川

遡ればどこに辿り着く


見えている世界の全ては

広がっていくのに

知覚できる範囲は狭まっているよう


微細に詳細に意識は向けられて

ヒトゲノムに答えは見つかったのか


自律するいのちは意志を持たないはずなのに

構成体であるわたしたちは我儘だ


ヒールの爪先が痛いだとか

ネクタイの首元が暑いとか

ラッシュの朝が息苦しいとか

ネオンの夜が眩しすぎるとか


それらは切実でありながら

魂の摩耗を繰り返し

われわれは

いつしか摂理から遠く離れてしまう


月の光になにやら足元が騒いで落ち着かず

陽の光に晒されて茫然と無力感に襲われて


気が付けば

取り囲まれてしまっている

無機質と勘違いした悲劇に


形を持たないこころが裂けていく

形のないわたしのコアが抗っている

まだ人を信じていいのかと

まだわたしを信じていいのかと

お読み頂いてありがとうございます。

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