プロローグ
拙い文章と何度も繰り返される編集があると思いますが、どうか暖かく見守ってください笑
「ルーイ、父さんはな、一流の黒魔術師としてこの世界を幸せで満たすから父さんを見習えよ?」
そんなことを言って高らかに笑う父の顔を覚えている。
あの時はいくつだったっけ?確か10歳の誕生日の時に言ってたっけか。
見習えだと?ふざけるのも大概にしろよ。俺は忘れない。
父親という皮を被ったお前みたいな悪魔とその偽りに染まった台詞を。
――13歳のある朝のことだった。母さんが声を荒げて俺の部屋に入ってきた。
「ルーイ!パパが…ガルムさんが…!」
母さんが握っていた地元の新聞には大きく「ゼーヘル帝国侵攻開始」と一面を飾っていた。
ゼーヘル帝国とは国王ガルシア二世が治める世界一の軍事大国だ。
その軍事大国と世界六ヶ国の連合軍の間で戦争が繰り広げられていた。
数で言えば圧倒的に連合軍が有利である。
…はずなのだが戦争は特に進展することなく均衡を保ったままだった。
そしていよいよ均衡が破られた。つまり、前線が崩壊したのである。
俺の暮らすアルワナ公国は平和主義で武力なんて他国に抵抗できるか否かの戦力しか保持していない。
当然全戦力は前線に送り込まれていた。前線の全滅は文字通り国の滅亡を意味していた。
アルワナ公国軍の総指揮は俺の父にして世界最高峰の黒魔術師と言われるガルム=イーストバックが執っていた。
そうか、父さんは負けたのか。
俺の目からは涙が止まらなかった。
憧れの父さんが、世界一の黒魔術師が、負けた。
「父さんは帰ってくるよね?」
純粋無垢で戦争の激しさなんて知らない子供の俺を、母さんはそっと抱きしめてくれた。
――次の日の朝。誰もが自分の目を疑って地元の新聞の一面を見た。
「ゼーヘル帝国滅亡」
たった一夜にしてゼーヘル帝国は滅んだ。もちろんそれは驚くべきことだ。
だが、さらに驚くべきことが滅亡を伝える太字の下に書かれていた。
「新ゼーヘル国建国。国王は魔道士ガルム=イーストバック」
そこには「魔道」に落ちた父親の声明が記されてあった。
―――夢か。
そう、俺は夢を見ていた。
懐かしいようでまだあれから7年しか経ってないのか。
4年なんて俺に言わせれば去年みたいなもんだ。
…いや、時間の感じ方なんて人それぞれだ、気にするな。
ドタドタド……ガタン!
この足音は…。つか、今転んだなあいつ。
俺は枕元の時計を見る。時刻は午前8時。
いつもは午前8時5分に起きるところを、五分早く起きた。
悪夢とはいえ早く起きることができたのは好都合だ。
さあ、来るぞ。
ドタドタドタ……
足音が止んだ。ドアノブが動く。
「おっはよー!ルー…ぶほっ!」
モーニングコールを水の魔法でかけようとしたアホの子に投げた枕は顔面に直撃した。
――はあ…
なんで俺はこんなアホと暮らしてんだ…。