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姪とオンライン!  作者: 漆之黒褐
幕間 『APRIL FOOL'S DAY』
52/115

冥土 no House

 そういえばマリリンは昨日、あの化け物さんに何度も生き返っては殺されるという行為を繰り返された訳だけど、どうやら衰弱は1回分しか計上されなかったようです。流石に生き返った直後に殺されてましたからね。そういう事も想定した上で、システム的に死亡後一定時間は無効になってたそうです。

 あと、その衰弱ペナルティ時間はお勉強時間中もカウントされるらしく。無事、マリリンは何事もなかったかのようにメイド世界へと舞い降りました。うむ、良かった良かった。

「カズねぇ、お金貸してー」

「有り金全部、お姉ちゃんに預けて下さい」

 噴水のある西広場で待っていたマリリンとセンねぇちゃんの側まで行くと、開口一番そんな言葉が飛んできた。二人が俺に相談したかった事ってそれですか。てっきり頼られてくると思って浮き浮きしてたのに! ガッカリ感が半端にゃい……。

「二人とも、思い出せ。昨日のショッピングの際に、俺はなんと言ったかな?」

 寂しくなってた懐事情を暴露した上で、更にその後は俺のその風邪っぴきなお財布を使って買い物してたでしょうに。その時点でほとんどすっからかんですよ?

「関係ないよ。緊急クエストの達成報酬があるじゃん」

 げ……。いきなり避けようとしていた話題をつついてきた。やばい!

「ほらほら。あそこにある衛士詰め所に行けばすぐに貰えるから」

「貰った報酬は私達に横流しして下さいね。あと一緒に、今持ってるお金も全部出して下さい」

「あ~っ、と……」

「ん? どしたのカズねぇ。早く貰ってきてよ。今は一分一秒でも惜しいんだから」

「いや、その……なんだ」

「一人で行くのが怖いなら、お姉ちゃんがついていってあげますよ?」

「怖い訳じゃないんだが……その、な」

 いえ、怖いんですけど。

「……?」

「……?」

 何故か渋る俺に、はてなマークを浮かべる二人。いや、気がついてよ! ここまで渋れば分かるでしょうに。いつもの勘の良さはどうしたのですか……。

「――すまん。緊急クエスト、受け損ねてた」

「「……え?」」

 マジでやばい。二人とも、そういう可能性は全く想定していなかったみたいだ。

「お金がない。だから、俺でも出来る何か良い金策がないか二人に相談しようと思ってたんだが……」

「センねぇ、予定変更。パターンC、あの物件を買う事にするね」

「……そうですね。お仕置きも含めて、それが妥当だと思います」

「とりあえず、今持ってるのだけでいいから、カズねぇ出して」

「え、いや……だから」

「早く出して! 後でちゃんと返すからっ!」

「お、おぅ」

 うわぁ……マリリンが逆鱗モードです。触っちゃいけない祟り神様です。マリリンの赤い髪が燃えるように真っ赤っかに見えます。というか、なんか髪がちょっと逆立ってる? 下手したらそのままスーパー化して金色オーラを纏いそうな怒りっぷりです。

 銀貨と銅貨の入った財布ならぬ布袋を恐る恐るマリリンに渡す。ひったくるようにマリリンは受け取り、すかさずダッシュ。何をそんなに急ぐ必要があるんでしょうね。

「じゃ、ちょっと一っ走り行ってくるね! その間に説明お願い、センねぇ!」

「はい。お仕置きなら任せて下さい。オヤツの恨みは怖いのです」

 もしもーし、説明という言葉がお仕置きという言葉に置き換わってますよー? それと、この件にオヤツは関係ありませんって。

 それから少しして。マリリンからマイホームゲットという報告が入った。



♪♪♪♪♪♪♪♪姪とオンライン♪♪♪♪♪♪♪♪



 所変わって、そのマイホームの中。単身で薄暗い家の中を俺は進んでいた。

『カズミちゃん、まだ生きてますか?』

『勿論、生きてるぞー。今の所、なんもないぞー』

 何故にいきなりマイホームなのか。それは、意外にも昨日起こった緊急クエストに関係している。

 システムの御恵の御陰でプレイヤー側にはほとんど被害のなかったあの緊急クエストだが(むしろ報酬貰えてラッキー?)、街の被害の方はというと甚大な被害を被っていた。特にこの街で暮らしていたNPCの数は激減したらしく――どうやら俺の懸念していた別働隊がやっぱりいたらしく、広範囲に及ぶ奇襲攻撃を受けたらしい。しかも俺が狂人鬼と闘っている間にそれは起こったとの事。プレイヤーのほとんどは広場に集まってしまってたので、力を持たない大半のNPCはほぼ虐殺状態だったとか――それに伴い、空き家が多数発生。マジかよ……。

 衛士の数も激減したためこのままでは管理もままならず、だからといって放置しておくと無法者がどんどん集まっていく。そうなると街の治安も更に悪化するのは目に見えている。あと、兎に角復興資金が欲しい。そう考えた街の人々は、大陸外からの来訪者たる身元不明の俺達に、有り余っている空き屋を売り払う許可を国に求めた。

 求められた国側は、ほとんど無法者に近い大陸外来訪者(プレイヤー)達の管理がしやすくなる事と、家の購入時に発生する税金の徴収、仮登録扱いとはいえ街の住人になる事による住民税の発生、その他諸々のメリットがデメリットを上回ったため、エルファシルの街限定でその提案を許可。晴れてプレイヤーはマイホームをゲットする事が出来るようになりました。

 ただ、昨日今日であまりにも展開が早すぎるようにも感じてしまう訳だが。そこはそれ、ゲームです。

 ……という訳ではなくて、俺達プレイヤーは、リアル時間で5時間しかこの世界にやってくる事が出来ない。だが、この世界では当然残りの19時間もずっと時間が流れ続けている。しかもこの世界では現実の3倍。つまりリアルで1日経てば、この世界では約3日が経つという事になる。3日あれば何とかなるのか?

 まぁ、それでも十分に早い対応な訳だが、その辺は既に以前から大陸外来訪者(プレイヤー)達からの陳情を受け、大陸外来訪者(プレイヤー)に家を売るかどうか検討していたらしいので、これを機にほぼ即決したのだろう。

『カズねぇ。出来れば暗くなる前に結果を出してねー』

『結果って……俺、悪霊退治なんて出来ないんだが。悪霊退散!とでも叫べば悪霊さん達は逃げてくれるのか?』

『そこは別に期待してないから大丈夫。とりあえず、何処が危ないのかとか、どんな危険があるのかをその身を犠牲にして調べてくれればいいから』

『玉砕前提の斥候偵察ですね。カズミちゃん、頑張って下さい』

『いくらお金が足りないからって、そんな曰く付きの物件を購入するなよ……』

 家の購入許可が略式ながら下りたのはつい先程。しかし情報はまだ出回っていないらしく、マリリンとセンねぇちゃんは緊急クエストの報酬を貰った際に、報酬をくれた衛士よりそれとなく噂を聞いたらしい。そこから二人はどうやって調べたのか、短時間で家の購入方法を見つけ出し、軽くざっと物件巡り。その頃、俺は現実逃避していましたね。

 ただ、家が買えるようになったからといって、家という高額な商品をプレイヤー達が簡単に買える筈もなく。いくら特別価格で売りに出されていても、プレイヤー達の個人資産だけでは手が届くような物件はほとんどなかった。まぁ当然だよね。

 しかしそれにもいくつか抜け穴があり……。スリフィディアというVR機器の初回購入可能者の縛りもあって、プレイヤーのほぼ全員が親子関係にあるため共同出資による購入がしやすいとか、事前にあった緊急クエストの報酬が結構良い金額だったとか。

 あとは、このマリリンとセンねぇちゃんが購入した家のように、何かしらの呪いが(ヽヽヽ)付いているために格安となっている物件もいくつか売りに出されていたりと。絶対に購入できないという訳ではなかった。

『誰かさんの御陰で、第一候補から第十候補まで軒並み買えなくなったからねー。何とか手の出る物件となると、こういうのしかなかったんだもん』

『時間が経てば経つほど良い物件というのは他の人達に買われてしまいますからね。その逆の悪い物件でも、マイホームが持てるならとりあえず抑えておくという人も多いです。少しすれば他の街でプレイしてる人達も、このエルファシルの街では家を買えると知って集まってくると思いますし。なので、例え呪われていたとしても今のこのチャンスに家を買うというのは決して悪い選択肢ではありませんよ?』

『かなりの中古物件、呪い付き、死亡を含む人的被害多数あり、浄化の目処なし、陽当たり悪し、雨漏りありの超極悪物件だけどね』

『悪い選択肢だ……』

 というか、死亡付きの呪い物件ですか……。そんな危険な場所に俺を送り込んでいるのですか。これは相当慎重に行動しないと、最悪、訳の分からないままサクッと逝かされそうだね。ちゃんと身を守らないと。

 ……って。そういや、使える武器はないんだったか。キラーナイフと試し斬りの短剣は、昨日錬金術の素材に使用しちゃってなくなっちゃったし。代わりに手に入れた断罪刃イクシオンと絶招刃ダキニという禍々しい二本の短剣は、経験値とスキル熟練度を際限なく吸っちゃう呪い武器にしちゃったから、そのどちらもない今の俺だと手にする事すら出来ないみたいでした。素手で悪霊さん達と殺りあうのかー。うん、無理でしょ!

『カズねぇ、まだ生きてるー? 生きてなかったら成仏してねー』

 いやいや、縁起でもない事を言わないで下さい。俺達プレイヤーは死亡してもすぐに復活するんですよ? なので成仏とは無縁なのです。

『とりあえず、入口のホールは安全みたいだな』

 自分の命を餌にして彷徨(うろつ)いてみました結果、どうやらこの部屋は大丈夫のようです。見た感じでも荒れてる様子ないし。血の跡もありませんでした。

 それにしても、いくら格安物件だからといっても随分と大きなお家ですね。ほとんど屋敷です。お金持ちさんでも住んでいたのかな? 普通の家にはこんなだだっ広いホールなんて場所はありませんよ。

『んじゃ、次。一階の左から順に部屋の中を調べ……』

 そう言いながら部屋に入った瞬間。

 意識が飛びました。



♪♪♪♪♪♪♪♪姪とオンライン♪♪♪♪♪♪♪♪



「カズミちゃん、お帰りなさい」

「おう。ただいま」

 気がつくと復活ポイントにいた俺。それだけでいったい何が起こったのか俺は理解しました。まさか即死させられるとは……。

 首の後ろに一瞬違和感を感じたから、後ろから不意打ちの首切りチョッキンでもされたかなぁ? レベル1なままの俺は体力ないから、レイ君みたいに首を斬られても少しの間生きながらえるという事はありません。

「おかえりー。災難だったねー。まさか即死の呪いまで付いてるとは思わなかったよー」

「俺もまさかいきなり殺されるとは思わなかった。てっきり悪霊達との殴り合いのバトルになるかと思ってたんだがな」

「あれ、カズねぇモンク志望あったの?」

「ねぇよ。頭つるピカになんてなりたくねぇ」

 武道家にして僧侶なモンクさん。あれ、モンクさんって素手で悪霊退治とかしてるの? 口による説得よりも先についつい手が出ちゃうタイプです?

「私達もさっき少し家に入ってみましたけど、入口にあるホールなら大丈夫みたいですね」

「だね。他の部屋の調査は追々カズねぇにして貰うって事で、暫くはホール生活だね」

「ホールは十分に広いので問題ありません」

「でも油断してたり寝てたりしたらホールでも襲われる可能性はあるから、まだまだ安心できないけど」

「危ないお部屋は、そのうち家具でも置いて塞いじゃいましょうか」

 まぁなんて(たくま)しいこと。俺が即死させられたというのに、お二人はまだこの家に住む気満々でいらっしゃる。

 気がつかない内にサクッと即死させられたばかりなのでちょっと戦々恐々しつつ、俺は二人の後について再びこの家へと入っていく。あれ、なんか家に入った瞬間から髑髏(どくろ)マークのステータスが視界の端に見えはじめたんですけど、これって何でしょうねー。衰弱マークは別にあるし……。これって、目の錯覚です?

「さて、カズねぇ。私達のために(ヽヽヽヽヽヽ)お金をいっぱい稼ぎたいんだったよね?」

 ――あれ? なんかニュアンスがちょっと違ってるような。何だろう、この違和感。

「お姉ちゃん、とっても嬉しいです。私達も丁度入り用だったので、とても助かります」

「確かカズねぇは錬金術のスキルを持ってたよね。なら、専用のスキルはないからちょっと大変だけど素材の採集からせっせと始めて、材料費の掛からない元手不要の王道コースで稼ぎまくるのが一番だね」

 おおぅ。やはり生産職の地道作業を提案してきましたか。一応俺、吟遊詩人という職業なんだけどね。まぁ、その職業を活かせるような仕事を斡旋されても俺は困るばかりなのだけど。酒場で音楽を奏でながら伝説を謡うなんて超難題、ちょっと出来ませんよ。

「安全に素材集めするなら街の東にある海岸や岩場がお勧めです」

「カズねぇはアイテム空間スキルも持ってないから、大きな鞄を持ってこの家と採集場所を往復するのが良いね。この家は海岸からはあまり遠くないし、採ってきた素材はとりあえずホールの隅っこにでも積み上げてれば良いよ」

「私達もいらないアイテムは家の中に置いておきますので、自由に使って下さい」

 と言って、センねぇちゃんが何もない空間から色んなアイテムを取り出してどさどさと部屋の隅に置いていく。反対側の部屋の隅っこではマリリンが同じ事をしていた。

 ほぅ、便利なスキルだねー。そんなのあったんだ。武器防具をしまえる謎空間があるのに、なんでアイテム格納空間がないのか不思議だったけど、そういう事だったのね。今まで俺は街のあちこちにある有料の荷物預かり所を使ってましたよ。

「採集するのは分かったが、アイテムの見分けがつかない点はどうすればいいんだ? まさか手当たり次第に採ってきて、後で鑑定したら全てゴミでしたってのは嫌だぞ」

「それは大丈夫です。最初は私達も一緒に手伝ってあげますから」

「つるはしやまさかり、草刈り鎌、金槌にノミにブラシ、潮干狩りセットに軍手などなど、各種取り揃えてあるよん♪ 冒険者の嗜みだね」

「カズミちゃんの場合は、あと巨大バッグか荷車も必要ですね。どちらが良いです」

「どちらが良いって……間違いなく巨大バッグの方だろうに」

 荷車は絵的にちょっと嫌です。たまに荷車引いてるプレイヤー見るけどね!

「それじゃ行こっか、カズねぇ。もうすぐ夜になっちゃうけど、問題ないよね?」

「何か予定あります?」

「いや、予定はないから大丈夫だ」

 元々二人にくっついて行動しようと思ってたぐらいだし。ただ、ちょっとやりたい事はあります。膨大な借金の返済のための金策は勿論の事、ようやく受ける事が出来るようになったクエスト巡り、それに新しい武器の調達。

 武器に関しては、ササメさんが一品作ってくれると言ってたから、今日中に依頼しておこうかな。代金は勿論ツケで! 誰にツケるのかは秘密です。ヒントはちびっ子ちゃん。

「それじゃ、いってきまーす」

「いってきまーす」

 家を出ると、二人がいってきますの挨拶をした。俺も出かけちゃうので、誰もこの家にはいないんだけどね。この辺は俺の教育の(たまもの)だな。

 という訳で、俺もちゃんと言わないとねー。

「いってきます」

『逝ってらっしゃいませ、ご主人様(マイマスター)

「うぉっ!?」

 な、なんだ……今の謎声は?

「どしたの、カズねぇ」

「いや……今、なんか誰かにいってらっしゃいの挨拶をされた……」

「あらあら。それはきっとこの家の呪い主さんですね。カズミちゃん、気に入られちゃいましたか」

「殺されちゃった時かな? きっとこんな風に思っちゃったんじゃない? この人は私の重い愛にも立派に耐えてくれるのね、なんて素晴らしい人なんでしょう、って」

「確かに殺した筈なのに、すぐにケロッとした状態でまた家に入りましたからね。ケロケロ」

「ケロケロ」

 ケロケロ。いや、何となく。

「マリリンの想像は兎も角として、この呪いマークはやはりこの家の呪い絡みな訳か」

「えっ? カズねぇ、本当に呪われちゃったの?」

「私達には……ついてないですね」

「あとついでに、さっき言われた『逝ってらっしゃいませ』の後には、『ご主人様(マイマスター)』って言葉がついてたぞ」

 口で言うだけでは伝わらない「いってらっしゃい」と「逝ってらっしゃい」の違い。逝きたくないよー。さっき逝かされたばかりだけどね。

「酷い! 本当の主人は私達なのに!」

「そのメイドさんにはお仕置きが必要です」

 いや、別に俺はメイドさんと言った覚えはないんだが。若い女の人の声だったけどね。

「欲しいならやるぞ。勿論、呪い付きでだけどな」

「むむむ……」

 さーて、この呪いには他にどんなデメリットがあるのやら。教会で解除しようにも、お金ないし。それ所か借金まみれだし。それに、呪いを解いてもあのマイホームに入る度にまた呪い付けられそうだし。

 一難去ってまた一難。この面白可笑しい理不尽すぎる状況はいつまで続くんだろうねー。こんなの、とっても温厚な俺じゃなければ絶対即切れものだよ?

 まぁ、もしかしたらこれがメイドシリーズなるものの醍醐味なのかもしれないけどね。メイドクオリティ恐るべし……。

♪御意見、御感想をお待ちしています♪


リン「リンちゃんと」

チー「チーちゃんの」

「「あとがき劇場エクセレンツ!」」

リン「わー、わー、ぱちぱちぱちぱち」

チー「ドンドン、ぱふぱふ」


リン「えっと……今回は第何話だったけ? チーちゃん」

チー「第52話! なのですよ、リンねぇ」

リン「あ、私のタイトルコール奪われた!?」

チー「!? リンねぇにはめられたのです!?」

リン「まぁそれはさておき、マイホームゲットやったね!」

チー「さておきされた……意外とあっさりマイホームゲット出来ましたね」

リン「うん。正式サービスが開始されてからまだまだ9日しか経ってないのにねー」

チー「解放されるのが早かったですよね。だからみんな超金穴なのです」

リン「流石に9日でそんな大金貯められないからねー」

チー「皆さん、きっと意表をつかれたと思います。えっ!? ……って」

リン「でも好い加減、ゆっくり出来る拠点が欲しかったから助かっちゃった」

チー「今までは色んな喫茶店巡りしてましたからね」

リン「御陰でお腹はタプタプ。お金さん達もさよならバイバイの毎日だったし」

チー「これからはマイホームでぬくぬくですね♪」

リン「うん! だから早速コタツと大量のみかん買っちゃった♪」

チー「……あれ? 今は春ですよね? コタツなのですか?」

リン「だってね、なんかあの家ってとっても寒いんだもん」

チー「あー……霊さん達がウヨウヨしてそうですからね」

リン「霊さん達がいると、部屋の温度が低くなるって本当だったんだねー」

チー「夏にはとっても重宝するかもなのです♪」

リン「その分、冬はカチコチになっちゃいそうだけど……」

チー「でも、そのためのコタツじゃないのです?」

リン「私はコタツムリになる!」

チー「そんな格好良く言っても全然格好良くないのです、リンねぇ」

リン「あ、やっぱり?」

チー「ところでリンねぇ。あのマイホームって、いったいいくらしたのです?」

リン「たった5.3MFGだよ」

チー「530万フェネシスゴールドですか……」

リン「安いでしょ?」

チー「そもそも物価が良くわかんないので、高いのか安いのか分からないのです」

リン「ん~とね……リアルマネーと同じぐらい!」

チー「大金すぎなのです! 子供な私達がたった9日で稼げる金額じゃないのです!」

リン「いや~、そこはそこ、やっぱゲームだから」

チー「そこは納得しちゃって良いんですかね……しちゃいけない気がします」

リン「ま、私達は冒険者?だからねー。その気になればそれぐらい!」

チー「……本当の所は、いったいいくらだったんです?」

リン「金貨53枚だよ」

チー「零が一個減ったのです……金貨1枚で1万FGなのです……」

リン「金ピカの硬貨が53枚もあると、なんだかとてもお金持ちになった気が……」

チー「そのうちそれが普通になると思いますけどね」

リン「うん。所詮、二人合わせてたった9日で稼げる金額だしね」

チー「その半分以上が緊急クエストの報酬だった訳ですけどね」

リン「略して緊クエ! つまり、金クエ!」

チー「その大金を、みんなマイホームゲットへと使う訳ですね」

リン「なんかお金を市場にうまく回してるよねー」

チー「きっと好景気?」

リン「町の人、ほとんど死んじゃったけどね……」

チー「さてさて、そろそろ今日も終わりなのです」

リン「次回のお話は修羅場になる予定! 予告だよ!」

チー「それじゃ、バイバイなのです~」

リン「バイバーイ。まったね~」

チー「ケロケロ」

リン「ケロケロ」



♪(こっちも)御意見、御感想をお待ちしています♪

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