↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
姪とオンライン!  作者: 漆之黒褐
第一節 『VALKYRJE SONG』
44/115

Diva --歌姫--

 これまで以上に激しく両の刃を振るう。

 先制の舞踊5連斬。ダンシングエッジ。回避と同時に繰り出す鎮魂の5つの軌跡。ナラカ、プレタ、ティリャギョーニ、アスラ、マヌッシャを断つ。デヴァはない。レクイエスカット。最後の一撃にて背後へと抜け、キラーナイフの柄頭を狂人鬼の背骨に、試し斬りの短剣の刃の先端を腰骨に当てる。そして零距離から打撃と刺突の二つの攻撃を全力で叩き込む。ヴィゾフニル・レヴァーティン。

 燃える対象がなくなったため、心置きなく刃を地面に走らせ炎を生む。炎を周囲に踊らせながら、狂人鬼の周りを舞い跳ねながら斬り刻んでいく。一閃するごとに刃を地面に走らせ炎を補充。連続の双剣撃が狂人鬼の身を再び朱色に染め上げていく。最後に小さく飛び上がり短剣を振り降ろす。クリムゾン・インフィニティレイド。

 その炎の全てを大上段からの大斬撃閃で消し去る。巨大な真空刃は白き三日月の如く。ミラージュ・クレセント。

 奏でる戦闘旋律に合わせて怒濤の如く斬撃を叩き込んでいく。距離を取る時は足を地面に滑らせて優雅に下がる。岩タイル砲弾が飛んでくれば3つ目までを短剣で斬り、以降は躱すために横へと疾走。数弾やりすごした後、急に鋭角へと跳ね飛んで踵を返し、少し進んでまた踵を返す。そして次に飛び来た岩タイル砲弾を姿勢低く躱しながら狂人鬼へと目掛けて急接近。氷結する刺突の先端をその身に見舞う。アイシクルスピア。

 腹部へ強烈な一撃を受けズズズッと地面を擦って後ろに下がっていく狂人鬼。一瞬遅れて振り降ろされた腕の攻撃をバックステップで躱し、試し斬りの短剣を鞘に戻す。騎士が忠誠を誓うようにキラーナイフを眼前で縦に構える。動の中に於いて静の極地へと至る。一瞬、世界が止まって見えた。踏み込みと同時にキラーナイフを地面水平に横一閃させる。明鏡・飛水断ち。

 試し斬りの短剣を抜き放ち狂人鬼の腕を居合い太刀で斬り弾く。攻撃の動作に入っている最中ならば斬り弾くのは容易い。両の刃を直線的に斬り振るい、鋭角に角度を斬り曲げまた直線的に斬る。同時に身体もその都度複雑に捻っていく。まるで飛び跳ねるゴムボールの如く鋭い刃が狂人鬼の身に降り注ぐ。ベルフェゴルフレイル。

 だが。これでもまだ狂人鬼の身体には傷一つ付かない。

 既に戦闘開始から30分以上が経過している。

 それでもまだ、届かない。辿り着かない。スキル熟練度が、それを可能とする域にまで到達する事が出来ない。

 残る選択肢は限られていた。錬金術スキルの熟練度をより早く上昇させるためには、BGMスキルの熟練度をより効率的に上げる必要がある。兎に角手数だけが必要な短剣術ではその上昇速度はしれている。

 やはり、やるしかないのか……。そんな事、どう考えても柄ではないんだがな。

 地面を滑るように左右へ大きく蛇行しながら狂人鬼から距離を取る。建物の上から見下ろしているプレイヤー達の様子を確認。彼等彼女達は間違いなくこの戦闘とバトルミュージックに魅了されているのを一目で理解する。

 仕掛けるならば、今をおいてないだろう。取り込むならば早いほうが良い。

 広場の中心に移動し、手を空へと翳す。鳴らしていたBGMを突然に止める。

 瞬間、何かを期待したプレイヤー達が一斉に喋るのをやめ、沈黙した。

 世界が、その瞬間を待ち望んでいたかのように。

 あれほど五月蠅かった音が全て消える。

 そして、3小節半の出だしの後――俺は、歌い始めた。


『熱い夢を追い求め、いつまでも続いてゆく

 偽りのないこの世界に、閉じ込めた生命を

 君と共に輝かせる、燃え尽きるその時まで、永遠に』


 その俺の声を聞いたプレイヤー達が正気に戻る前に、狂人鬼と斬り結ぶ。間奏の間ずっと目まぐるしく位置を変え、あらゆる技をその身に叩き込む。

 迅雷瞬迅殺から凍牙龍影刃へと繋げ、背後からマーシーストローク。シャイン・サーキュラーによる15連続攻撃の後、更に10連続刺突スターリィラジェーションをキラーナイフで行い、試し斬りの短剣で浮流追月閃を放つ。技の締めに相手とすれ違いざまに一閃した後、短剣を鞘に収め、居合いに構える。そして斬る。終いの太刀・絶華。

「うぉおおおおおおおおっっ!? 歌ってるぅぅううううううっっ!?」

 間奏に入ると、四方八方から一斉にプレイヤー達の歓喜が上がってきた。

 その歓喜の声を上回る音量で、俺は歌う。透き通る女性の声で、綺麗な詩の旋律を奏でる。


『彼方の島に咲く、花の、ように、誰にも知られる事なく』


 テンペスト・ディザスター。大振りの斬撃を両手持ちのキラーナイフで下から上に振り上げ、刃を返し斬り降ろす。踏み込み、体重を乗せ突く。そして再び斬り上げる。キラーナイフを下に戻し、もう一度飛び上がりながら斬り上げる。最後に体重を乗せ、刃を狂人鬼の身へと振り降ろす。


『その孤独は少し寂しすぎる、なんて、思う、優しすぎる君がいる』


 スターダスト・ディメンションブレイク。右に斬り払い抜ける。斜め左下に斬り降ろし、右斜め上に斬り上げ抜ける。振り返り斜め右下に斬り降ろす。左斜め上に斬り上げながら抜ける。右に薙ぎ、左下に斬り降ろし抜け、右上に斬り上げ、右下に斬り降ろし抜け、左上に斬り上げる。星の軌跡を描きながら斬り続ける。2次元の星ではなく、3次元の星を。立体の星の如く、斬る。


『夢と希望と、願いと思い』


「すげぇ、マジ歌ってる」

「凄い凄い凄い。格好いいあの人。なになに何なのあの人、超格好いいよ!」


『どれを選んで』


 天之羽々斬り。上段からの大残月斬りによる両断技。

 月閃空破。孤月に斬り上げつつ軽く跳躍、着地と同時にまた斬り上げる。

 インプリズンローズ。全身を小刻みの突きで刺し、動きを拘束する。

 無刀流・洗鵺式。刃を鞘に収め、鞘を前面に出し全力で体当たり。

 皇王天翔翼。抜刀と同時に飛翔し斬り抜く。その軌跡には炎が走る。


『何を見つけるのかは君次第だけど

 忘れないで欲しい、側に私がいる事を

 それでも繋がり終わらない、未来を求め続ける、また』


「歌も踊りも上手……まさか本物?」

「本物って、現役アイドルって事? それともヴァーチャルアイドル?」

「あの動き、絶対にヴァーチャルじゃない。歌もそう。本物、リアル」

「そりゃそうでしょ、だってあの人プレイヤーみたいだし」

「そんなの、プログラムすればいい。誤魔化そうと思えば簡単に誤魔化せる。でもあれは絶対に本物。私には分かる」

「貴女に分かっても私には分かんないけどね。今の技術、マジで凄いから」


『熱い夢を重ねて、飛び立つ君のその背を

 偽りのない思いを胸に、仕舞い込んで見ている

 愛する君が選ぶ、その先に何があろうとも

 変わらぬこの思い、きっと続いていく、希望を秘めて、永遠に』


 岩タイル砲弾を右に躱す。刹那、超高速移動で背後に現れた狂人鬼の攻撃を振り返りつつ斬り流し、返す刃でその身を斬る。

 衝撃音。壁に激突した砲弾が、破砕した壁と岩自身の欠片を盛大に撒き散らかす。

 目の前に立つ狂人鬼の頑丈な身体が、衝撃で飛来した余波を防ぐ。全身に細かな岩の破片を浴びながら、繰り出されてくるのは変わらずの一撃必殺攻撃。余程の防御力を持った盾職でない限り耐える事の出来ない兇悪な腕の一振り。

 無造作に振るわれた腕を斬り弾く。手応えは徐々にだが感じ始めていた。だがまだ足りない。この短剣の刃で斬る事すら出来ない攻撃力では、眼前の化け物の体力を零にまで減らす事など到底出来る訳がない。


『心の奥、溢れる気持ち』


 試し斬りの短剣の刃に刃毀れが目立ち始める。保って後十分といった所か。これまでよく頑張ってきたが、限界は近い

 より斬れ味の鋭いキラーナイフの刃にも刃毀れは当然あった。だが試し斬りの短剣ほどではない。より酷使しているにも関わらず。しかしそれでも長くは保たない事は確かだろう。

 一撃ごとに短剣が悲鳴をあげているのが分かる。刃毀れによる破損よりも先に、酷使しすぎた事によって刀身が折れてしまう方が早いかも知れない。


『君に捧げたい』


 だが、止める訳にはいかない。狂人鬼を殺すまで、俺は止まる訳にはいかない。

 例えこの二つの固有武器を失う事となったとしても、俺は決して諦めない。

 マリリンとセンねぇちゃんを苦しめた罪を――リンちゃんとチーちゃんを泣かせた罪を、俺は決して許してやる訳にはいかない。


『怖がらないで受け止めて抱きしめてよね

 温もりが欲しい、側に君がいる事を

 それでも繋がり続けたい、明日を夢見続ける、今』


 これからも明日を夢見続ける小さな二人の未来を、俺は守る事が出来なかった。

 あの子供らしい明るい無邪気な笑顔を、俺は守る事が出来なかった。

 それを奪った貴様を、俺は許す事が出来ない。

 それを守りきる事の出来なかった俺を、俺は許す事が出来ない。


『熱い夢を追い求め、いつまでも続いてゆく

 偽りのないこの世界に、閉じ込めた生命を

 私が共に輝かせる、燃え尽きるその日まで、永遠に』


 だから、俺は己の恥を捨ててでも、その仇だけは絶対に討つ。あの二人に涙を流させた現実を捻り伏せ、恐怖に怯えるような未来は決してやって来ない事をこの手で勝ち取らなければならない。伝えなければならない。

 あの二人の未来は宝だ。そうでなければならない。その未来は、俺にとっても宝だ。絶対に失ってはならない。

 俺に、力ずくで切り開けない未来は絶対にない。絶対にない。そうだ、思い出せ。あの頃の俺は、俺の思いは、まだこんなものではなかった筈だ。もっと熱かった筈だ。もっと強かった筈だ。

 もっと――もっと、もっと、もっと、もっと――もっと速かった筈だ!

 思い出せ! あの頃の感覚を!

 限界速度を越えたあの先を!

♪御意見、御感想をお待ちしています♪


リン「リンちゃんと」

チー「チーちゃんの」

「「あとがき劇場スペシャル!!」」

リン「わー、わー、ぱちぱちぱちぱち」

チー「ドンドン、ぱふぱふ」


リン「なんかコンサートみたいになってきた! 燃えよ、第44話!」

チー「カズミちゃんが歌い出しちゃいましたね。意外なのです」

リン「きっとここが、起承転結の転なんだね!」

チー「必殺技も今回は少し多くて、22個も出てますね」

リン「す・き・と・か♪ きらいとか~♪」

チー「あ、リンねぇも対抗して歌い始めちゃった」

リン「そういえば最近カラオケ行ってないなー」

チー「春休みで時間いっぱいあるのに、そういえば連れて行って貰ってないですね」

リン「カズねぇ、あれだけ歌えるんだからカラオケ通でもおかしくないのに」

チー「たぶん天才型なのですよ。練習しなくても普通に上手なタイプです」

リン「む、それちょっとむかつく。私、結構頑張って音痴なおしたのに」

チー「あれ? りんねぇ昔は音痴だったのですか?」

リン「うん。なんかね、気が付いたらそうだったの」

チー「私は物心ついてない時から音楽いっぱい聞いてたので、絶対音感持ちなのです」

リン「うん、たぶんそれ私の影響かな? あんな辛い思いさせたくなかったから」

チー「そうなのですか? 初耳なのです」

リン「ちょっと嫉妬しちゃってたからね。私がした事なんだけど」

チー「ありがとです♪」

リン「でも、必死に努力した分、私の方が歌は上手い!」

チー「リンねぇの歌が上手いのは努力の天才だからなんですね♪」

リン「私の歌を聞け~♪ ……キラキラと微笑みの中で~♪」

チー「でも歌ってるのはアニメソングやゲームソングばかりなのです」

リン「カズねぇが歌ってるのもそっち系だよー」

チー「分かるのです?」

リン「うん。聞いた事ない曲だけど、たぶんそうだよー。そんな感じがする」

チー「リンねぇの直感は侮れないものがありますからねー。きっとそうなのですね」

リン「ただ、どうもクオリティが高くないから、オリジナルアレンジしてるかも」

チー「BGMも自前ですから、それは仕方がないんじゃないですかねー」

リン「あ、そっか。でもBGMも含めて一人で歌って演奏って……」

チー「とてとて凄い事なのです。カズミちゃんの脳スペック凄いのです」

リン「私の脳と取り替えたい……」

チー「私達はまだまだ成長期ですから、これからですよこれから♪」

リン「いつかカズねぇを越えてみせる!」

チー「身長は抜いちゃ嫌ですよ」

リン「うん、そこは絶対に抜きたくない」

チー「早く大きくなりたいですけど、大きくなりすぎたくはないですねー」

リン「モデルみたいに格好良くなりたいと憧れる事もあるけどね」

チー「それはそれ、これはこれなのです」

リン「よし、寝よう! 寝て早く大きくなるんだ!」

チー「牛乳も忘れちゃダメですよ。カルシウムもバッチリ取るです♪」

リン「胸も早く大きくならないかなー。最低でもカズねぇぐらい欲しい」

チー「夢はもっと大きく持つです」

リン「いやでも、あまり大きすぎるのもなんかやだだなー」

チー「リンねぇは色々と我が儘ですね」

リン「とりあえず、寝よ寝よ!」

チー「はいなのです。それではみなさん、お休みなさいなのです」

リン「Zzzzz……」

チー「……ガラス玉ひとつ♪ 落とされた♪ 追いかけて♪ もうひと……」

リン「くすっ」

チー「!?」



♪(こっちも)御意見、御感想をお待ちしています♪

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。