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姪とオンライン!  作者: 漆之黒褐
第一節 『VALKYRJE SONG』
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幼女 lose

 準備を整えて、北の門を通り抜けて荒野へと出る。

 ちなみに俺は衰弱したてだったので、それも見越した上でササメさんはあの一見高級そうな実はただの洋食店に長居しようとした。場を弁えてください。ウェイターさん、胃に穴が空きそうなほど困ってました。普段は奥に引っ込んでるっぽい店長さんも出てきて、こっちを睨んでたし。

 準備という事で、色々と回復薬を売ってる露店通りにきたので、試しにそれとなく錬金術の話を持ち出してみたら、色々と嬉しい情報がコロコロと引き出せた。

 綺麗な女の子って便利だな。男なら口が軽くなるし、女同士だと世間話のように気軽に教えてくれるから。ガールズトークってやつ? 当然、俺には出来ないけど。

 うん、でもね? 中身は男だから、複雑な気分になれた事には変わらなかったさ。罪悪感に羞恥心に背徳感に悪徳感が入り乱れてね。あまりやりすぎると、おじさん、悪い子になっちゃいそうだ。

『いました』

 PTチャットならぬPT念話チャットで伝えられた言葉。別に周りには誰もいないのでわざわざそんな事しなくても良いのだが、俺がそういうの初めてだから、試しにお願いしている。以心伝心出来るって、PT組むと更に便利だ。なんか心まで通じ合っちゃいそう。

『カズミお姉さん、心の声だだ漏れしてるよ?』

 げっ。やばいやばい。うっかりリンネちゃんを蟻くんの生け贄に捧げて、ササメさんとの二人きりのデートプランを練ってた事がばれる所だった。念話チャットって怖いな。

『それも聞こえてるよ! というか、そんな事考えてたの!?』

『後半は軽いジョークだ。では、逝ってこい』

『逝かないよ!』

 おっと。ササメさんがちょっと顔を赤らめている。意外と脈ありか?

 ちなみに今度はちゃんと心の中だけにとどめてます。いやね? 男の子の心の声って、かなり性的にやばいのがよく混じっちゃうから、マジで危険なのよ? 今のはちょっとPT念話チャットに適用される境界線を探ってただけなのです。

 それにしてもこの念話チャットって機能、告白するのに結構便利そうだなー。思ってた事が思わず念話チャットで流れてしまいました、キャーって。自爆の方が多そうだけど。

「んじゃ、予定通り最初は適当に闘ってみるか」

「はーい」

 見事に前衛しかいないので、フルボッコ以外の作戦がほとんどたてられないだけだけどね。盾役出来る人もいないから、ほとんど運任せ。

「では、参ります」

 先制攻撃は、ササメさんの繰り出した薙刀の一振り。両手で持った薙刀を右下段に構え、踏み込みと同時に左上へと斬りあげる。瞬間、ちょっとしたエフェクトが発生して蟻くんの身へと襲い掛かった。いきなりの必殺技?

「うおりゃーーー!」

 ちょっとだけ仰け反った蟻くんの右横から、今度はリンネちゃんが柄の長い大きな木槌を振り下ろす。いやいや、品がない掛け声ですね。うおりゃーって……リンネちゃん、本当に女の子ですか?

「聞こえてるよ!?」

 おっと。PT念話チャットの方で心の声が漏れちゃいましたか。失敬。

「頑張れー」

「っていうか、カズミお姉さんもちゃんと攻撃してよ!? 私達の火力だけじゃ、力負けするんだから!」

「いや、だがな……そんなにぶんぶん薙刀と木槌を振り回しておいて、俺にどうやって近づけと? 俺、超接近型なんだが」

「そこは……玉砕覚悟、で?」

 嫌です。絶対に嫌です。そんな大きな木槌で味方からついうっかりフルスイングでぶん殴られたら、トラウマになっちゃうじゃないですか。

 そうこう言っている間に、二人は一定の間隔で攻撃を繰り返していく。同じように、蟻くんも一定間隔での反撃。

 斬、斬、ズドンっ、ビシっ、のリズム。ズドンっがリンネちゃんです。

 リンネちゃんと蟻くんが1回攻撃する間に、ササメさんが1~2回攻撃している。そのどれもがほぼ必中。たまに必殺技を使ってるのか、ちょっとだけ派手なエフェクトがまき散らされてはリズムとタイミングが少し変わる。なんだか昔のPRGを見ているみたいだった。

「もう……もちません!」

「撤退撤退!」

「あっ……!?」

 しかし時既に遅し。タイミング悪く、蟻くんの放ったちょっとだけ強力な一撃がササメさんに決まり、ササメさんの身体が硬直する。

「ダメッ!?」

 すぐにリンネちゃんが必殺技を繰り出して蟻くんのターゲットを奪いにかかるが、蟻くんの注意は引き付けられず。結果、蟻くんの次の攻撃がササメさんの身へと降りかかり……。

「……無念」

「くっ!!」

 ササメさんのHPが零になったらしく、一際大きく仰け反った後、霞のようにササメさんの身体が消えていった。

 死んだら死体が転がる、というような蘇生可能状態が訪れないのが、このゲームの特徴。負けたら有無を言わさず即復活ポイントに飛ばされるって珍しい仕様だよな。所謂、蘇生無理ゲー。ボス戦とかでそれされると結構洒落にならない気がする。まぁ、徐々に体力を奪っていくスリップ魔法かけて、ゾンビアタックし放題よりはマシだけど。

 ――っと。一人減って俺が闘うスペースが出来たのに、ここで遊んでたらリンネちゃんに恨まれてしまうか。母親を見殺しにされた訳だからな。ちょっとポイント稼いでおかないと。

「こっのーーー!! お母さんの仇ーーーー!!」

 さっきは敵わないから撤退するって言ってたのに。お母さんを殺されて?逆上したリンネちゃんが大きな木槌を振りかぶって蟻くんに思い切り叩き付ける。その蟻くんの背後から、俺がチクッと攻撃。うん、二人の攻撃を見た後だと、俺のひょろっちぃ攻撃など全然ダメージを与えている気がまるでしない。リンネちゃんからターゲットを奪うなんて事も、まず不可能だ。

 逆上してるのに、やっぱり一定間隔でしか攻撃をしないリンネちゃん。対して蟻くんはというと、ササメさんを倒して必殺技ゲージでもいっぱいたまったのか、強撃を連発してリンネちゃんを頻繁に硬直状態へと陥れる。

「カズミお姉さんの、バカーーーーー!!」

 そして最後には、俺を罵倒した後、リンネちゃんも星になりました。キラリン。



♪♪♪♪♪♪♪♪姪とオンライン♪♪♪♪♪♪♪♪



『分かっていた事ですが、やはり私達二人ではグランドアントを倒すのは無理ですね』

 ちょっとして、ササメさんからPT念話チャットが入る。

『大丈夫かー?』

『大丈夫じゃないよ! 衰弱1時間だよ!』

 そんなの、初めから分かってた事だろうに。まぁでも、俺も死んだ後はちょこっとブルーになるしな。ついさっきも、その怒りの矛先を復活ポイントにいたちっちゃな幼女にぶつけて弄んでいた訳だし。

『……カズミお姉さん、やっぱりというか確信犯でしょ。ちっちゃいって言うな!』

『まぁ、それは兎も角。どうする? 俺も一度、街に戻るか?』

『兎も角するなー!』

『いえ。すぐにそちらへ向かいます。カズミ殿の戦闘を見ているだけならば問題ありません。良い時間潰しにもなります』

『了解。んじゃ、待ってる』

 まぁ、俺の方も待つのには問題ない。ここは俺のテリトリーだ。それに、街を出る前に二人は復活ポイントを近場に設定していたので、時間もあまり掛からないだろう。

『もうすぐ着きます』

『着いたらすぐにお仕置きだからね!』

『はいはーい。首を長くしてお待ちしていますよー』

 っと。む?

 暇潰しの相手になって貰ってる蟻くんが、急に向きを変えて走り始めた。

 おーい。どこ行くのかねー? 君の相手は俺なんだけどー? まさか実はたまにだけ逃走する習性(AI?)でも持っていたのかな? それなら新発見だ。数十時間ぶりの。

『……えっ?』

『これは……』

 どこに行くのかと追いかけてみた矢先。蟻くんの進路上に二人の姿を発見する。

 あ、やばい。これはどう考えても、もう終わった。二人は衰弱してるので、平常時の速度では動く事が出来ない。あらゆるステータスも衰弱してるため下がっている。

『えええっ!!?』

『……』

 和装少女母とハンマー幼女は、再び蟻くんの手によってなぶり殺しにされました。

♪御意見、御感想をお待ちしています♪


リン「リンちゃんと」

チー「チーちゃんの」

「「あとがき劇場スーパー!!」」

リン「わー、わー、ぱちぱちぱちぱち」

チー「ドンドン、ぱふぱふ」


リン「また出番なかった……だいじゅうごわ!」

チー「リンねぇ。私達が活躍するお話はいつになったらくるんでしょうか……」

リン「というか、なんか私の名前と被ってる子、出てない?」

チー「リンネちゃんですか? 確かにそうですね。色々被りまくりです」

リン「キャラは被ってないからいいけど、そのうち共演したら混乱しそうだなー」

チー「あ、でもメイド世界だと、リンねぇはマリリンですから大丈夫ですよ」

リン「でもな~んか納得いかない。プチむかつく。改名を要求する!」

チー「カズミちゃんも同じような事を言ってましたね」

リン「その点、もう一人の新キャラさんはキャラ被り全くないからいいよねー」

チー「ササメさんですね」

リン「うん。お侍さんのような~、巫女さんのような~、よく分からない人!」

チー「あれ? ササメさんって巫女服を着てましたっけ?」

リン「着てないけど、和装って言ったらやっぱり巫女服じゃん」

チー「その発想はどうかと思いますけど……」

リン「お店で玉露を飲んでるイメージには合わないけどねー」

チー「巫女さんは滝にうたれて、服をすけすけにして修行してるのが一番です」

リン「その発想もどうかと思うけど……」

チー「そのすけすけササメさんが」

リン「うん。滝にすけすけから離れようね、チーちゃん。すけてないから」

チー「ササメさんが持ってる薙刀という武器ですけど」

リン「あ、それ私も気になってた。街にある店じゃ見かけない武器だよねー」

チー「実はそうなんです。刀もそうですけど、街じゃほとんど見かけませんよね?」

リン「うん。みんな最初必死に探し回ってたけど、持ってる人ほとんどいないよね」

チー「憧れの一品ですからねー。刀は持ってないのにスキル取った人もいるくらい」

リン「外人さんにも超人気アイテムだよね!」

チー「実は私も最初欲しくて裏通りにある闇のお店まで足を運んだぐらいです」

リン「チーちゃん、闇のお店はやばいよ。あそこは行っちゃいけないよ」

チー「法律には触れないので大丈夫です。ここは別世界ですから」

リン「いや、そういう問題じゃ……」

チー「そういう問題で良いんです。でも結局、収穫はありませんでしたけど……」

リン「ま、そういう所は悪い大人の人達が真っ先に向かうからねー」

チー「でも流石にサービス開始初期ならそういう人達もお金持ってませんから」

リン「買い占められて売り切れ、って事にだけはならないよね」

チー「だからまだ売れ残っていると期待してたんですけど……」

リン「売ってなかったんだね。一目する事も出来なかったんだね」

チー「です」

リン「あれ? じゃ、最近ちらほらと街で見かける刀って何処から仕入れてるの?」

チー「ササメさんが持っている薙刀もそうですけど、あれはプレイヤーメイド品です」

リン「あ、生産品なんだ」

チー「はい。しかも試行錯誤の上で出来るオリジナルなんですよ」

リン「どういう事?」

チー「街に住んでいるNPC生産職の方は、刀は作らないんです」

リン「売ってないぐらいだからねー。作ってないのは確かだよねー」

チー「というよりも、刀の事は知ってても、刀を作る技術を持っていないんです」

リン「つまり、プレイヤー生産職の人達は、零から技術を確立させたって事?」

チー「それに近いと思います。ただ、リアルで情報は探れるので……」

リン「リアル知識を持ち込んで、見よう見まねで試行錯誤したって事だね」

チー「です。なので、この短期間でそこまで到達する事が出来たというのは」

リン「結構凄い事だよねー。スキルレベルもまだ低いのに」

チー「しかも需要は凄く高いのに供給がまだ底辺近くにあるので、超高級品です」

リン「そんなのをササメさん持ってるんだー。ブルジョワだね」

チー「というよりも、その数少ない超高級品を作り出す超一級の生産職さんです」

リン「そんな裏設定が!?」

チー「あると良いですね♪」

リン「……え? もしかして今までの話、全部作り話?」

チー「ご想像にお任せ致します」

リン「うがー! チーちゃんに騙されたー!!」

チー「えと……。ですから、ご想像にお任せ致しますと……。騙しては……」

リン「……」

チー「……リンねぇ?」

リン「……」

チー「あ……消えちゃった。ログアウト限界時間が来てしまったんですね。

   仕方ありません。今日は私だけで締めますね。

それでは皆さん、そろそろお時間となりました。

本日のあとがき劇場も、これにて終わりとさせて頂きます。

   またの御来読、御愛読の程、宜しくお願い致します。

ごきげんようですー」



♪(こっちも)御意見、御感想をお待ちしています♪

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