剣術クラブでの手合せ(猛対孝太)
やっと、能力抜きではありますがバトルを書くまでたどり着けました。
少しですが
時は少し進み、昼の終わった後のクラブ活動中。
1~3年男女合同の運動クラブの練習が第一体育館で行われていた。
「さーて、猛。今日も最初の手合せは俺だからな?」
「またー?昨日もやったじゃない。今日は上級生のお姉さんとやらせてよー。」
「まあまあ、良いじゃないか。手加減はするからさ。じゃー、・・・行くぞ」
といって、先手必勝とばかりに孝太が木剣を片手に突っ込んできて、先ず横一文字に剣を薙いで来た。
ブンッ!と風切り音が聞こえるほどの速度があったので、当たれば痛いだろう。
その証拠に
「おい孝太!それは手加減してるとは思えんぞ。当たったら大けがするじゃないか。」
と観客の誰かが言って来た。
それに対し、猛は背の低さと柔らからで床に寝転ぶくらいしゃがみ込むと、お返しとばかりに下から鳩尾めがけて木剣を突き入れた。
だが、この攻撃は読んでいたのか、体を横に逸らして紙一重で避けると、先ほどの観客に対し
「ほら見ろ、幾ら鈍くても頭が切れる猛なら先読みでこの位の芸当は出来るんだよ。いやー、それにしても家が道場なだけあって、人の動きを読むことに関しては猛は凄いな。その読みに身体能力が加われば、全国も狙えるんじゃないか?」
「別にそんなことは興味が無いよ。道場で出来ない事を授業で出来るからそれを利用してるだけだしね。」
「なるほどね。じゃー、勝負再開しますか。授業は始まったばかりだからな。」
「そうだ・・・ねっと!」
今度はそういいながら猛の方から突っ込んで、柄を思いっきり長めに持った投擲兼用の突きを放った。
この突きの利点は背の低い者が相手に対してリーチを誤魔化せるのと後ろに避けられなくするための布石でもある。
案の定、この突きの性質を理解している孝太が後ろに逃げずに横に避けたため、猛は突きに行く序に投擲しそうになった剣を強引に掴んで手前に引く反動を利用して体を前にだし、孝太が元居た場所に入り、次に右足で回し蹴りを繰り出した。
ブンッ!
「うお!っと、コラ猛。剣術の勝負に体術持ってくんなよ。危うく木剣を落とすとこだったぜ。」
そんな事を云いながらも、悠々と紙一重で避ける孝太。
「そんなこと言っても、こうでもしない限り僕が孝太に勝って終われる事なんかないでしょ。負けるのは分かってても、痛いのは嫌なんだから、こんなことぐらい大目に見てよ。」
と、剣を床に付けて文句を言う猛。
そこへ、3年の先輩で剣術クラブの監督生である大徳寺洋子が来て。
「コラ!そこの一年生。さっきから見てれば実践でもあるまいに、そんなに思いっきり相手の急所を狙う人がいますか。特にそこの長髪の君。女の子相手に、もうちょっと考えなさい!」
そういって、怒鳴り付けられるのだが、言われた本人の反論は
「いや、先輩。こいつはこう見えて男です。それにこいつの道場では主に木刀での抜刀術をやってるので、こういう遊びの様な訓練は授業でしか出来ないんですよ。息抜きみたいなものなんで見逃して下さい。」
と、お気楽に言うのだった。
それを聞いた洋子が今度は驚いて
「今のが息抜き?!実践その物じゃないの!これは授業なんですよ!?他の生徒が真似しない様にもう少し加減しなさい!いいわね?それと・・・防具位は付けなさい、本気で怪我しますよ?」
そういいながら、驚き疲れたのか自分の仕事へと戻って行った。
「・・・だってさ、どうする?実践形式じゃないと楽しくないし、勝負は引き分け?」
「そうだな。俺は一応満足したし、お前は防具を付けて、上級生と訓練の続きしてたらいいんじゃね?」
「そうするか。じゃね?」
「おう。」
といって、二人それぞれ別行動を取ることにした。