Nympholic amon執筆考(5)
正直なところ、この作品を書き始めた時はまさか自分がこれほどまでに苦しむことになろうとは想像もしていませんでした。
今、この作品の終末部分を書くに至り、私はただ思います。
出来ることならば書くことを止めたい。
出来ることならば安易な初期設定をおこなった自分をやり直させたい。
しかし、現実には道は前方にひとつ限り。
進む以外に選択肢が無いのなら、どれほど苦痛にのた打ち回ろうとも、前進するよりありません。
気の早い話ではありますが、恐らくこれから書くこの作品のラストは、間違い無く賛否が分かれることでしょう。
それでも、あえて私は進みます。
引き返す道はなし。
別の道もどこにもありません。
ただ前に。
前に進み続けること。
それがこの作品を書いた私の責任であろうと今は思っています。
実際、おかしな話です。
楽しみのために書き始めたはずの作品が、よもやこれほどの苦悩を自分にもたらすことになろうとは。
ですが、それもまたある種のめぐり合わせなのでしょう。
偶然にも私はそういう縁に導かれた。
運命という言葉が私は嫌いです。
もしも経過や結果が決められた人生があるならば、あえて私はその現実を否定します。
道が前にしかないのなら、それを進むしかありません。
その代わり、そのたった一本の道の中で必死に足掻く。それが真に正しい生き方ではないでしょうか。
運命という言葉が私は嫌いです。
それは道の選択肢はおろか、可能性すら放棄した言葉でしかないのですから。