「すらっプすてぃっク・すくらっプがール」執筆考 (1)
思えば、「すらっプすてぃっク……」は以前からコメディが書きたいと考えていた私が、「むかしおばかばなし」によるリハビリとストレッチによって書くに至った作品かもしれません。
漠然と、ただ漠然と、
何か面白い……それも笑わせるタイプの面白さを求め、辿り着いたように感じます。
ただ、不安は並大抵ではありません。
他のジャンルについても同じことが言えますが、私が面白いと思うものと、読み手の方々が面白いと思うものが必ずしも合致する保証はありませんし、特に今回は冒険が過ぎています。
実のところ、私は笑いの中でも特にブラックジョーク……に限らず、時として人を不快にさせかねない笑いが好きという、悪趣味ともいえる部分があり、この作品ではそれを隠すことなく、それどころか大いに晒してゆこうと書き始めた作品です。
しかも、ギャグの元ネタが分からないと何のことやらとなってしまうものも、あえて無視して書いています。
詰まる所、
「分からない人は置いていきます」的な手法です。
ある意味では内輪ネタに近いものをさも当然の如く書く行為が是か非かと問われれば悩ましいところですが、今作に限ってはそれも致し方なしと、私としては自分自身の主義にさえも部分的に反している作風。
では、何故そのようなものを書くことにしたのか。
そこについてはもう単純に、「試したかった」としか言い様が思いつきません。
同じことを繰り返していると、読み手の方に限らず書き手の側もどこかで思考が硬直し、モチベーションも自ず低下します。
そうした事態を未然に防ぐためにも、私は常に違った作風を求めて書くよう心がけており、その結果としての形が今回の作品だとしか私には言えないのです。
とはいえ、つらつらと書いてきましたがまだ本作も始まったばかり。
果たして私の冒険が吉と出るか凶と出るか。
我が事ではありますが、他人事とまで言わないものの、傍観にも似た気持ちで推移を見てゆきたいと思っています。
出来得れば、この無謀な冒険の成功を願いつつ。
いくら失敗覚悟の挑戦でも、成功してくれるに越したことはありませんので。