「むかしおばかばなし」執筆考 (2)
前回、今年はこれまでと言ったばかりなのにまた更新です。
とはいえ、さすがに今度で本当に最後になるとは思っておりますが……。
さて、
突然ではありますが私、普段からエンターテイメント至上主義を謳っているくせに実際、書いている作品は何かと変に固い……と言いますか、肩に力が入りすぎている作品が多いように思っております。
無論、部分的に柔らかい流れやエピソードを挟んでいる作品もありますが、それもあくまで部分的に。
少し遠回しな言い方をしてしまいましたが、一体何を言いたいかと申しますと、
「私は『笑わせる』という形で人様を楽しませる能力が欠落している」ということです。
恐らく、今までに書いた作品の中で最もコメディ要素が多かったのは「Nympholic Amon」だと思いますが、これとて全体の割合で見れば五割がせいぜいといったところでしょう。
詰まる所、全編完全なコメディ作品はいまだ書いたことがありませんし、正直を言えば書ける自信も無いのです。
もちろんというべきか、人には得手不得手があって当然。無ければ逆に不自然。どんなジャンルでもオールラウンドに書けるほうが、むしろおかしいことは分かっています。
そんなことが出来るのはごく一部の、極めて一部の人の為せる業。凡人の私などでは真似事程度ですらそう容易く出来ないのも痛いほど自覚しています。
さりながら、不得手の一言で片づけるには、私の欲はいかんせん深すぎるのです。
私は笑いが好きです。面白いことが好きです。楽しいことが好きです。
まあ、これらが嫌いな人は探すほうが大変でしょうけれど。
だから諦めきれず、今は足掻いています。
その足掻きが、この「むかしおばかばなし」であることは、もはや言わずもがなでしょう。
ただ、純粋な気持ちからかというと、そうでもないと白状せざるを得ません。
ここ最近、公私ともに精神の擦り切れるような生活が続き、本音を吐けば逃げたいのです。
厳しすぎる現実から目を逸らせるほどの面白おかしい虚構の世界へと。
ですから、
凡庸な才能しか持ち合わせていないことは承知で、それでも自分なりの努力で積み重ねてきたものを完全に壊し切り、もう一度改めて積み直す覚悟で次回作のプロットを練るための準備体操として、この作品を書いております。
果たして私に人を笑わせる力は有りや無しやと思い悩みつつ、今日も一向に動く気配を見せない筆を握りながら、お気に入りのコメディにそのヒントを模索して。
「モンティ・パイソン」を筆頭に、映画では「コーン・ヘッズ」、「アンダーカバー・ブラザー」、「イエロー・ビアード」、「エリック・ザ・バイキング」等々。
参考作品が異常なほど洋画に偏っているのは、私自身も極端な嗜好であると認識しておりますので、その点はどうぞご勘弁くださいませ。
何にせよ、いつも通りに自分なりの努力だけは続けてゆくつもりです。
読み手である皆様と、書き手である私の、充分満足のゆくエンジョイを求めて。