【FUTURE STRIDE】 執筆考(6)
本来でしたら、わざわざもう書くつもりは無かったのですが(すでに作品が完結してから随分と経っていることもありますし)思いがけず、ご感想をいただいたのに触発され、少しばかりこの作品の裏事情を書いてみようかと酔狂なことを思い立った次第です。
実は……というか、もしかすると勘付いた方もいらっしゃったやもしれませんが、この作品の下地は私の実体験をもとにしています。
ただ、実際には橋から落ちた時の私は自転車に乗っていましたし、(橋の上に自転車を残して体だけ川に落ちました)当然ながらタイムスリップもしていません。
では話の内容はどこから来たのか。
それは意識を失っている時に見た夢のイメージです。
長年、頭の中へ鮮明に残ったその夢のイメージは、何か見知らぬ港町で真っ黒な海に架かる橋を渡り、天を突くような塔へ向かうというものでした。
後ろからは何かに追われているという逼迫感があり、必死で逃げ走る恐怖が今でもたまに寝床へ入ると甦ることがあります。
とはいえ、話として考えたわけではなく、悪夢という形で浮かんだイメージはこれだけ。ストーリーも何もあったものではありません。
そこでこれに肉付けをおこない、出来上がったのが今回の「FUTURE STRIDE」です。
話してしまえば、どうにも雑な作りと思われるかもしれませんね。
しかしそれでも私なりの興は添えて書いたつもりです。
まあ、お楽しみいただけるほどの興であったかは、私自身にも疑問ではありますが……。
それから、
余談ながらこの話の最後をあのような表現にしたのは、私の実体験がもとになっているということに起因します。
事実ともとれる。
夢だったともとれる。
つまり、この結末を夢オチと捉えるか現実だったと捉えるかは、読み手の方々にお任せしようとしたわけです。
マルチ・エンディングとまで大仰ではありませんが、どうぞバイ・エンディングとしてお受け取りいただければと思います。