タチバナ
さすが俺の世界だ!コイツがここに居たとは。
俺はコイツが大嫌いだ!俺の世界ならやりたい放題だが、現実は・・・
「おいそこの!立て」
「はい、何でございましょう」
「気に入らん!気に入らん!」
あいつだ、タチバナそっくり、見ているだけで腹が立つ。こいつも俺の世界の住人…
青年「王様?」
何かか切れた、一時の感情で橘にそっくりな奴を殴りつづけた。昨日30分の計画を考えていたがそんなことはどうでもよかった、こいつを殴り続けるだけで心が晴れる。
「すいません、すいません」
「すいませんじゃねーよ、お前がいるだけでこっちは腹立つんだ」
「お許しください、お許しください」
この橘にそっくりな奴には、何の罪もない。ただ奴に似ているだけ。
地べたに這い蹲り謝り続ける、私は聞く耳も持たず殴り続けた。こんな快感をいつ以来味わえたのだろう
「王様もっとやってくださいよ」
「おいそこの、もっと抵抗しろ」
「まもなく30分でーす」
「ちっ…これからなのに」
「おいこいつを捕らえておけ」
「はい、かしこまりました」
急いで馬車へ乗り城へ向かった、城へ着き出口へ急いだ。
「これからもっとひどい目にあわせてやるよ」
そして現実世界に戻った。
トイレから出ロッカーから時計と携帯を取り家に帰ろうとした時、公園の近くで占いをしているあいつがいた!!
「こんにちは」
「どうです?向こうの世界は?」
「2日目ですけど色々楽しめそうですよ(笑)」
「それは良かった、なんかお困りはありますか?」
「ん~時間が短いから城に着いたらすぐ終わっちゃう」
「一日目なんて城まで行くのに時間かかってすぐ終了時間(笑)、だいたい扉開けると変な場所に着くから悪いんだよ」
「向こうの世界の行きたい場所のイメージをしながら扉を開けてみなさい」
「そうすれば行きたい場所に行けるのか?」
「はい…」
「本当都合の良い世界だな」
「契約は忘れないよう」
「わかってるって、じゃもう帰るわ」
「それではまた今度」
今度って、いつ会うんだ?本当に謎めいた占い師だ。
「やれやれ、やっと家に着いたか」
テレビを見ながらくつろいでいる。いつもの光景、こんな普通の事が嫌になってくる、早く明日にならないか、早くあいつを痛めつけたい、そんなことを思いながら時が過ぎるのを待つ。たった2日で私をとりこにしたあの世界、謎が多いが私の生活の一部となりつつあった。
布団に入り、天井を見つめながら明日の計画を考える。
「明日は絶対にご馳走を食べてやる、そしてあいつを…」
気がつくともう朝だ、こんなに気持ちの良い朝は久しぶりだ。風呂に入りさっぱりして、朝ごはんを食べ、星座占いを見てバイトに行く、これがいつもの私の姿だ。なんと内容のないつまらない生活をしているんだ。日に日に現実への不満が溜まっていく。
バイトの時間に間に合うように早めに家を出た、店に着くと昨日の話で盛り上がっていた。
「マジむかついたぜ(笑)あの客」
「橘顔大丈夫か?」
「平気っすよこんなもん(笑)」
昨日より顔の腫れがひどくなっていた、が気にせず何がそんなに面白いんだ橘よ。そんなに楽しいのか?と思いつつ、こいつの態度や言動が嫌になってくる。そんなこんなでバイトの休憩時間になった。
「おい飯食おうぜ」
後ろを振り返る。
「あ?お前じゃねーよ」
等々怒りの限界を感じ外へ飛び出した。
「いったい奴は俺に何の怨みあるんだ、怨みたいのはこっちの方だ」
そしてトイレへ向かい3日目の30分へ…
「城の中!城の中!」