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プラシーボ効果のせいで、異世界では医者扱いされてます

作者: 夜麗出ユウ
掲載日:2026/02/01

「おじちゃーん!!!」

……あ、昨日風邪引いてた子…と、その親?

「おじちゃん!前のお薬ありがとう!もう元気になっちゃった」


「だからね、それはただのお菓子で……」


「お医者様、娘の病気を治してくれてありがとうございます」


「いやだから……」


ど う し て こ う な っ た ん だ


________________________

一週間絵に遡る。


ピピピピッ ピピピピッ




39度…………。まぁそうだよな…会社に連絡しないと……

この熱でだるいし病院行きたくないなぁ………市販の風邪薬家多分あったよな……

あ…あと前後輩が「ラムネはブドウ糖取れるし風邪の時助かりましたよー」とか言ってたっけ………前それで後輩から押し付けられたのあったはず………



ご飯作りたくないな………冷蔵庫なんかあったかな……

あ……昨日の野菜炒め……あれ食べるか…





いつも通り……とは言えないがまぁこの時は普通の範囲内だった。

なんとか飯を食って、薬を飲んで、意味があるか分からないラムネを食べる。

咳や痰、鼻水が出るわけではないし二、三日で復帰できるだろう。



そう、思っていたのに____




「………ん?んん………?」


「ママ!見て、あの人道で寝てるよ!!眠いのかなぁ?」


「しっ!あんなもの見ちゃいけません!危ない人かも知れないでしょ?」


「変な格好してるー」


「………は?」



道端で寝ているのはまぁよしとしよう(?)

どこだここは……?

他の人大正時代みたいな格好してるし……

しかも俺パジャマだし………でもなんで靴履いてるんだ…?


って!そんなことはどうでもいい!!


とにかく起きて目立たない裏道に行こう


________________________

まず……俺は今、道の真ん中で寝ており、パジャマで、他の人はスーツ的なものを着て(大正時代っぽい)見たことのない街。


昨日の記憶………熱は下がり明日行けると会社に連絡…酒を飲んだり何か怪しげなものを口に入れたわけじゃない………30代になると出てきた全力疾走した後の半端ない疲れもないし…



どうしよう。会社に今日行かなければ上司に怒られるのに。

帰ろうにも帰り方分からないし。




あ…………異世界って確定しちゃった。


あの看板の文字、日本語じゃ無い。凄く記号だろ。少なくとも俺にはそうにしか見えない。




これ違う世界だわ、やっぱ

________________________

………とにかく、まずは衣食住が欲しい……あ、ポケットの中に何か入ってたりしないか…?




「風邪薬とラムネ…」




こ れ で ど う し ろ と ? ?



別にこれらは…まぁラムネは結構残ってるしお腹減った時の誤魔化しにしよう。

……薬の袋とラムネの袋…色似てんな……


「お母さ〜ん………もう疲れた……」


「ごめんね、私が診察してもらうお金もないなんて…」

風邪の子とその母親…?

子供の診察料取るってことはやっぱ日本じゃないか……


風邪薬なんて持ってても治ったから意味ないしな……


「あの、もしよかったらこの薬使ってください。俺が使ってたやつですけど……子供も飲めるやつで一錠でいいと思います。苦いとは思いますけど…」

なんと都合のいいことに、これは子供も飲める市販薬だ。漢方とかそっち系だが…


「いいんですか!?ありがとうございます!!一錠だけもらえれば充分です!あの…お金は」


「いえ、お役に立ててよかったです。代金は不要です。俺のエゴですので」

よし、少し大きい声で言ったし周囲に優しい人と思われただろう。

………ん?あれ、なんで手元に薬があるんだ…?


視線を女性の方にやると、そこにはラムネがあった。


「……あ!それわたし間違えました」


「それじゃあまた!!!この袋返しますね!ありがとうございました!!」

話聞いてよ




終わった……絶対揶揄うためだけに声かけられたと思われる…



この先どうしよう……ひとまず今日は野宿するしかないよな…

________________________

裏道には何人か家を持っていないのであろう人たちが雑魚寝していた。その中に子連れもいた。


「ママ………寒いよ…頭も痛いし…ゲホッゲホッ」


「ほら、これお母さんの毛布も使いな」

どうやら風邪をひいているらしい。………よし、次こそ間違えないように……


「あの、娘さん、風邪ですよね。もしよかったらこれ使ってください。苦いかもしれませんけど……」


「いいんですか!?!薬なんて高いでしょうに……では一錠いただきますね」


よしよし……今度はちゃんと薬を渡せたぞ


「ママ…!この薬、すっごく甘くて美味しいよ…!」

………あれ


「あ!こら!人のもの盗っちゃダメって言ったじゃない!」


何が起きたかを詳しく言おう。

母親に薬をあげた。子供が俺のポケットからその間にラムネを取り出し一つ食べてしまった。


「すみません、お腹が空いた時とかこの子よく人のものを盗ってしまって……薬はお返ししますね」


「え、いやそれは」


「お騒がせしました。ほら、行くよ」



ここの世界の人ってなんでこんなに人の話聞かないんだろう。



いや、今度は関係ない。俺はちゃんと薬を渡そうとした。関係ない……うん……関係ない…



________________________

翌日、目を覚ますと昨日ラムネをあげてしまったあの親子どちらもが俺の前にいた。



………終わった



「……あ、あの!起きて早々申し訳ないんですが…!!」


やばい。絶対に何か言われる。

待ってそんな表情で俺を見ないで悪いのは俺かもしれないけど

「ありがとうございました!!!」


………え?


「娘、あの薬飲んでからみるみる元気になって…!!」


「すっごく甘くてこんなに良くなるお薬初めて!!おじさんありがと!!」

お、おじさん……いや世間一般的におじさんか


「うちも…!盗ってしまい申し訳なかったんですけどいつもよりも元気で…!!」


「おじさん!!あたし久しぶりに体が良く動く気がするの!!盗んじゃってごめんね?」



どういうことなんだ。



いや、世の中にはプラシーボ効果とかいう思い込みでなんとかなる事例もあるしきっとその一種なんだろう。……だけど、たかがラムネでここまでなるんだな……




まぁ異世界だしここは元の世界より信じる力が強いんだろう。







「信じること自体が薬………か」




その後、なぜか俺は薬を買えないような貧しい人たちに「お医者さん」と言われるようになり、なぜか風邪をひく子たちにラムネを配っていた。時々、比較的裕福な人も来る。

そのおかげでお金には困っていない。

あの2人の母親が「甘くてすぐに良くなる薬」と言ってしまったので今更苦い漢方をあげることもできない。ラムネをあげても治らない人にあげようと思った。


次第にラムネは無くなっていったので、ラムネの原材料を見てなんとか形にしたりしていった。病弱で外に来るのも一苦労という方にはラムネのレシピと原材料をあげた。まとめてあげてもよかったのだが自分で作れる方が外に出る回数も少なくなる。俺なりの配慮だ。




この世界に来て大体一年がたった。いつものようにラムネを作っていると…………



元の世界に戻っていた。




なんで?

________________________

時間はほとんど進んでおらず会社に復帰する日の朝だった。



正直ホッとした。無責任と言われたらそうかもしれないがいつラムネが薬じゃないと思われるか分からない。それに、一部の人はラムネのレシピ、原材料も知っている。なんとかなるだろう。




あの世界は、信じる心の大きい人が多かった。

だからラムネを薬と思った。


この世界も全てを見習う必要性は1000%ないが、少しそうなって欲しいと思った。




人を信じろとは俺も言えない。

でも、あの世界に行って信じない世界より少しだけ信じる世界の方がほんのちょっと生きやすいんだろうなと思った。


ここまで読んでくれてありがとうございました。

信じる力とラムネは、時々世界を救うと信じています(?)

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