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プロローグ

俺、17歳のアニメやVTuberにしか興味が持てない偏り気味なオタク高校生・日々 (ひび のぞむ)には毎日の日課がある。


それは、推しである新米個人VTuberの翠光(すいこう)イチズの神棚を拝むことだ


「まず、推しである翠光イチズへの想いについて熱弁させてくれ」


「新米個人VTuberの翠光イチズは、青とピンクのオッドアイ、サラサラな翠色のショートカット、緑を基調とした白のメイド服に身を包む狼耳の獣人、性格は天真爛漫、好奇心旺盛、日々視聴者の事を第一に考える動画作成を心掛けている。名前の通り一途に頑張る姿が応援したくなる。沢山推しがいる俺にとっても一番の最推しなのだ」


「あ~いつかイチズちゃんに会えたらな~、まぁ二次元だから無理か」

「さて、こんな事を考えてもしょうがない。今日もイチズちゃんを拝んで、学校でも行くとするか」


独り言を言いつつ、現実に引き戻されるように立ち上がった俺は、心の底から推しへの感謝を述べる


「本日も存在してくれた事、尊さをありがとうございます!!」


すると突然、タペストリーから眩い光が差し込んだ。


「ま…まぶしいっ、なんだこの光は!?」


気が付くと俺は真っ白な空間に居た


「真っ白な空間、なんだここは。」

「な…なにここ、真っ白じゃん!!」


俺の隣に、もう一人だれかいるようだ。


「ん!?聞き馴染みのある声、まさか!!」


俺の隣にいたのは、実在するはずのない。推しのVTuber、翠光イチズだった


「え?イチズちゃんがなんでここに、この立体感!!二…二次元じゃない!?リ…リアルだ」

「あなたは誰なの。もしかして私の事を知ってる感じ?」


俺の反応に動揺しているイチズ


「もちろん、知ってるともさ!!僕の最推しだからね!!!」

「え?私のファンなの!?嬉しい。いつも応援ありがとね!!」


実在するはずのない推しを目の前にして、ドキドキと高鳴る俺の鼓動、隠しきれない動揺、高まる高揚感


この言葉は、墓場まで持っていこうと誓った。


「あ~不審に想う反応にも可愛さが溢れ出てて、尊い!!尊い!!尊い!!」


こんな状況でも、推しへの愛を忘れない俺は、推しバカなのかもしれない。と実感していると、どこからか声が聴こえる


「望、あなたは推しであるイチズのタペストリーを拝んでいる最中に、異世界転移したのです」


突然、声が聴こえたかと思えば一筋の光と共に、突如として謎の美少女が現れたではないか


「その羽の生えた姿、異世界転移という言葉、もしかしてあなたは女神様!?」

「い…異世界!?しかも何…何で羽が生えてるの!?面白そうだから動画に録らないと。

でも、私のカメラがない。どこにいったの!?」


アニメで見たような展開に、ワクワクする俺と、聞き馴染みのない異世界転移という言葉、羽の生えた美少女に動揺と動画製作魂が隠しきれないイチズ


「確かにこんな凄い展開、動画のネタにしたくなるのも無理はない」と独り言を小さな声で呟く俺


「あ~本当に、動画を撮りたいんだけど。カメラどこに言ったんだろう?」と呟くイチズ


各々が自分の想いを自由に言っていると。


「あの~そろそろ名乗ってもよろしいでしょうか、あと!!撮影は禁止ですのでお控えください」と少し不機嫌そうな表情と声で謎の美少女が呟いた。


その言葉に俺とイチズが黙った瞬間、安堵するように謎の美少女は名乗り始めた。


「ごほんっ!!改めまして、私の名は天から授かりし女神のアステリアス・ヒストール、選ばれしオタクとVTuberよ!!ようこそ異世界へ」


アステリアス・ヒストールと名乗るその女神の年齢は、見た目的に24歳くらいだろうか。完璧な身体に、銀髪の美しい髪、オレンジ色の瞳を宿し、純白で美しい羽を生やした美少女だ。


「やっぱり女神様だ!!ということはこれから異世界の説明とか入るのかな、ワクワクするな!!」

「なんて美しい女神様なの…。登場の仕方も激エモじゃん」


「それはどうも、ありがとう!!」


女神が分かりやすく照れてるのが分かる


俺とイチズが、女神登場により期待に胸を膨らませていると、更にその期待を募らせるように女神ヒストールは異世界についての説明を始めた


「ワクワクするのもわかりますが、今から貴方に、行っていただく異世界の概要と使命についてご説明しましょう」


「まず、今から行っていただく異世界は住民一人一人に推しがいる世界です」

「そこを侵略する魔王の企みは、住民一人一人と推しの関係を引き裂き、絶望と悲劇に陥れるのが目的です」


同じく、推しがいるオタクの仲間として、魔王の企みに怒りが込み上げてくる


「ですので、最推しである翠光 イチズと共に魔王を倒して、絶望から救って欲しいのです」


やはり俺達には魔王を倒す使命があったようだ。


アニメの知識で、察しはついていたが、何故、VTuberの推しであるイチズちゃんが、一緒なのかは分からないので、疑問に思い、質問してみることにした


「あの~質問なんですけど!!VTuberの推しである、イチズちゃんが隣にいるのは何故なんですか?」


すると、その質問に出された答えは、意外と安直な答えだった


「あ~!!それはね!!貴方がタペストリーに、推しに会いたいです~と願っていたから、それを見てた私が、貴方の推しであるイチズちゃんも一緒なら、オタクである臨くんのやる気を出させて、尚且つ戦力にもなるかなと思って同じく転移させたの」


淡々と話すヒストールに、なるほど。と相づちを打ちながら話を聞く


確かにタペストリーにそう願ったし、オタクである俺に、やる気を出させる方法としては、一番効果的なやり方だと感心した


「確かに、その方法は合ってます!!現に今、めちゃくちゃやる気出てますし、推しであるイチズちゃんと一緒なら、サクッと行って、ちゃちゃっと魔王なんか倒してやりますよ」


俺は自信満々に口を開き、その言葉にヒストールが反応する


「異世界でも屈しないとはさすがは推しへの愛を大事にする勇敢なるオタクですね!!」


ヒストールは俺の勇敢さにさすがと感心する


「全然!!それほどでもないですけどね!!」


かっこつけて見栄を張りすぎてしまった事を少し後悔する俺に期待の眼差しを向けるヒストール。


俺がヒストールに期待の眼差しを向けられている裏で、楽しそうではあるものの不安と期待で葛藤してるイチズの混乱が明るい声と暗い声が交互に入り乱れていることで伝わる


「え…。異世界って魔物や人がうじゃうじゃいるんでしょ、絶対大変だよ。でもこんな状況めったにないし!!面白そうだけど怖いし、どうすればいいの!!」


不安と期待の葛藤を推しであるイチズが抱いているのならばここは俺の出番だろうと言わんばかりに意気揚々と立ち上がり推しを元気づける


「大丈夫!!イチズちゃんのTOである俺がついてるよ!!二人で協力して、楽しみも不安も共に分かち合い、異世界を救おうよ!!」


推しの不安を取り除き安心させようとする臨の口から出てきた精一杯の言葉だった。


その言葉に元気づけられたかのように照れながらもイチズちゃんもその想いに答える


「うんっ!!と…共に頑張ろう!!よ…よろしくね!!え~っと何…何て呼べばいい?」


ここでまだ名乗っていなかった事に気付く俺


「あ!!そういえば名乗ってなかったね!!俺の名前は日々 臨 呼び方はの…臨くんで!!」

「わ…わかったよ!!改めての…のぞむくん!!これからよろしくね!」


推しから向けられた期待と名前を呼んでもらえた事による幸福感で満たされている俺にヒストールが突然、そんな貴方に授けたいものがあると言い出した。


「さ…授けたいものって一体…何ですか?」

「何々!!一体なにをくれるの!!」


一体なにをくれるのかと期待を寄せる俺とイチズに女神ヒストールが差し出したものは意外なものだった。


「まず臨、貴方に授けたいもの。それはこのサイリウムと法被の推具(フェバリス)です。」


「これはオタクがライブやイベントで使う!!あのサイリウムと法被ではないか!!」


まさか、オタクの必須アイテムであるサイリウムと法被がでてくるとは思わずに俺が興奮しているとヒストールが気になる事を言い出した。


「いえ!!これは貴方が知っているただのサイリウムと法被ではありません!!」


まさかの答えに呆気にとられた俺はヒストールに質問をする


「え?どういうことです?これはどういうサイリウムと法被なんですか?」


俺が質問をしたとたん、ヒストールは興味を持ってもらえた事への喜びだろうか、以前にも増して食い気味にこのサイリウムと法被について説明をしてきた。


「これは。折って、振って応援する事で推しに力を与える能力とこれから推しが増えた時に時間制限ありで召喚出来る能力を兼ね備えた優れた推具。その名も推光棒(フェバライバー)なんですよ!!」

「そして!そして!なんとこの法被は…。気合いを高める能力と装備することで少し防御力をあげる能力を持った推具・推衣装(フェバコス)なんです!!」


あまりにも熱がこもった熱弁にこの女神も俺と同じくオタクだったのかと思いながらも説明を終えてようやく理解できた俺はあることを閃くのと同時に違和感も同時に感じた。


「なるほど、そんな名前なのか。昔、居た世界と使い方は同じだが、能力は異なり。俺の推しである、イチズちゃんに、このサイリウムで、能力を増強させることで、後押しを出来るということなのか。それに、推しが増えるに連れて、召喚も出来るだと!これから推しがどんどん増えていけばいくほど、推し達の力を増す事ができるのか!オタクの血が騒ぐ最高な道具じゃないか!」


「その一方で、法被は…あまり効果ないやないか~!なんだよ!気合い高める能力と防御力を少しあげるって!サイリウムとの能力の差は一体どうした!」


ツッコミをいれた瞬間冷たい空気を感じた


でも!しょうがないじゃないか。サイリウムと法被の能力のギャップがありすぎてついツッコミを入れたくなってしまったのだから。


そのツッコミを無視するかのようにヒストールが俺達への使命を述べる


「ご名答!あなたにはこの推光棒とあ!ま!り!効果のない法被を使い、推しであるイチズに力と勇気を与えてパワーアップさせて共に成長し、襲い来る魔王軍と戦って異世界を救って欲しいのです!」


推しであるイチズに力と勇気を与えて増強できる事に胸を高鳴らすのと同時に実は法被の事をついても根に持っていたんだと思う俺に言い忘れてた何かを伝えようとするヒストール


「あっ!言い忘れてました。この推棒具(フェバライバー)はなんと!単体でも充分、剣として使用可能な優れものなんですよ!」


推しへの応援で力を与えれる上に、尚且つ、剣としても使用できるという。なんて万能な武器なのだと。更に感心しているとイチズが質問をする


「あの、質問いいですか!!臨くんの推具の能力はわかりましたが、私がアバターのままでいられる理由と授かる推具とその能力があると聞いたんですがどういう仕組みでどんなものですか?」


すると、はっとした表情で我に返ったヒストールがまたまた言い忘れてたイチズがアバターのままでいられる理由と推具についての説明を始めた。


「すみません!!熱弁したがあまり、言い忘れていました。イチズ!!貴方は、転移前の職業でもあったVTuberの才を引き継いでこちらへアバターのままの姿で転移をしてきました!!ですので、通常でもそのままの姿でいられるのです。それと、推具についてですが、あなたには動画撮影に必要なカメラ型推具・推電撮(フェバカメ)、パソコン型推具・推波懇(フェバコン)と操作用のマウスを授けます」


どうやら、女神の力によって俺とは異なりアバターの姿のまま、転移されてしまったようだ。


そして、イチズにはVTuberだからなのか動画撮影用のカメラとパソコン型の推具フェバリスが授けられた。


「なるほど。だからこの姿でいられるんだね!!」

「そして、これが私のカメラ型推具・推電撮(フェバカメ)とパソコン型推具・推波懇(フェバコン)か!!」


「ねぇ!ねぇ!どんな能力があるの?」


興味津々に、イチズがヒストールに問う


「それは使ってからのお楽しみです!!」


ヒストール曰く一体どのような能力があるのかは使ってから確かめろ。ということなのだろう。


「わかった。とりあえず使ってみるね!!」


俺は、こんな時にも雑な女神の説明を真摯に受け止める。素直な推しが尊いと思っている。


「まぁ、色々と説明はしてきましたが、後は実践あるのみです!!それでは異世界へ行ってらっしゃ~い。分からないことがあったらまた呼んでね!」


ヒストールがそう言うと、下から紫色の魔法陣が浮かび上がった。


なんて、こうも軽い神なんだ。と思いながらも俺達は謎の空間から異世界へ転移したのだった。

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