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Eyes of diamond and Escape  作者: 空と色
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イリューストSide いい加減に……

ラーシャは不思議だ。

いきなり僕を見て笑ったり、リーダーだって言ったり。

今だって先頭きって歩いてるのはラーシャじゃないか。

そんな事を考えていたらラーシャがこちらを振り向いた。

「後でルキィルとあなた達の部屋に行くわね。ちょっとだけ、聞きたいことがあるから。」

そう言って目の前の木に触れた。

どうやらもうすでにラーシャの部屋の前に到着していたらしい。

「え?あ、うん?」

その後、僕たちは自分の部屋にたどり着き、僕はあわててダルキリの散らかした荷物?を片付けて窓を開けた。

以前怒られたからね。

同じ事でもう一度怒られたくはないんだ。

その間、ダルキリは全く動かずにボーッとしていたけど・・・・・・。

「・・・・・・ダルキリ!」

少しイラッとしてついつい声を荒げてしまった。

「あ?」

「あ?じゃない!ベッドちゃんとなおしてよ!またラーシャに怒られるし、あの荷物はほとんどダルキリのでしょ!自分でちゃんと管理しとかないとなくなっても僕は知らないからね!?」

細かい奴って言われるのは知ってるけど、正直、これだけ言ってもダルキリには伝わらない。

・・・・・・そろそろ言葉で伝えるのは断念して実行に移してみる?

でも、どうやって?

ダルキリの洋服一枚くらい隠してみる・・・・・・とか?

いや、ダメだ。

一枚くらいなくしたくらいじゃダルキリは対して動じない。

かといってあの剣を隠すには、重いし、大きいので隠す場所がない。

靴を片方だけ隠してみる?

それがいいかもしれない。

そんな事を考えていたらラーシャが部屋に入ってきた。

「えっ!?」

ラーシャは、呆れたような顔をして、「なんだ、いるんじゃない。何回ノックしても呼んでも反応ないからもしかしたら部屋にいないのかも、なんて思ってたのに・・・・・・。」と言った。

「え?あ、ああ・・・・・・ごめん、気付かなくて・・・・・・。」

「いいわ、それより、みんないるわね?うん、よしっ。じゃあ聞きたいことがあるの。皆は、不思議な体験をしたことがある?ココ最近変な声が聞こえたりする時は・・・・・・ない?」

僕らの顔を見渡しながらラーシャは真面目な面持ちで話を進めていく。

ラーシャの問いにはじめに答えたのはダルキリだった。

「んなもん、あるわけねーだろ。」

「そう。イリューストは・・・・・・知ってるわ。」

僕とラーシャは視線を合わせると、頷いた。

「なんでイリューストは知ってんだよ?」

ダルキリの声を無視して、ラーシャはルキィルを見た。

「私・・・・・・?私は・・・・・・ない・・・・・・水の精霊が話し掛けてきてくれるときもあるけれど・・・・・・それは極わずか・・・・・・。」

「・・・・・・そう、なら、良いのよ。対して変わったことがなければ、それで。」

ラーシャはそう言って頷いた。

「それだけのために来たの?」

僕がそう言うと、ラーシャは少しだけビクリとしてから、僕を見て、「そうよ、それだけのために来たの。悪い?」と返してきた。

僕は・・・・・・何となくだけどわかったのだ。

ラーシャは、あの風のことを気にしている。

たぶん、あれだけじゃなくて色々なことが積み重なって、気になっていることでもできたのだろう。

「悪くないよ。別に・・・・・・。」僕はラーシャの視線から目を反らして言った。

ラーシャはあからさまに起こったような表情をすると、「何よっ!何なのよ!おもいっきり悪いみたいな言い方してくれるじゃない!」と言った。

「・・・・・・ラーシャ、とりあえず・・・・・・外に出よう?」

ラーシャが言いたくないことをみんなの前でこのまま暴露させるわけには行かないだろうし、僕も僕で自分の民族についてラーシャに聞きたかった。

「・・・・・・何で外に出るのよ?」ラーシャが不審そうに僕を見るので、「少し聞きたいことがあるんだ。」と言った。

すると、ダルキリもルキィルも皆不審そうな表情になって僕を見ているので、僕はどこかに逃げたくなった。

「僕は・・・・・・真実を知りたいだけだよ。」

それだけ、振り絞るように言うと、ラーシャも何となく察してくれたらしく、「・・・・・・ダイヤモンド・アイ・・・・・・?」と漏らした。

僕は小さく頷いた。

すると、ラーシャも頷いて、外へと出ることができた。

たぶん、何が起こったのかわからない人も多いだろう。

僕も、正直、よくあれで通じたな・・・・・・と思う。

外に出たと同時にラーシャは「今度は手袋とか言うのかしら?とにかく、手を覆うものを買わなきゃいけないかしら。」と呟いた。

「・・・・・・は?」

僕が訳が分からず茫然としていると、「手、こぶしを握ってるのよ・・・・・・また。あたしがダイヤモンド・アイの話をするときや、イリューストが故郷の話をする時はいつもそう。」とラーシャは、言った。

あぁ・・・・・・なるほど、それでさっきの会話も何が言いたいのかわかった・・・・・・と。

「イリューストは、真実が知りたいんだって言ったわよね?でも、あたしだって、あたしの知っていること全てが真実なのかはわからないのよ?」

ラーシャが話をしているすぐそばで、ガサッという音が聞こえた。

「ラーシャ、場所を移そう。」

ダルキリとルキィルがどうやらついてきたらしい。

いい加減しょっちゅう二人で消える僕らを不審に思ったのだろう。

そして、それをなぜ仲間である自分達に曝け出さない?と。

でも、だけど・・・・・・仲間だから余計な心配かけないようにしちゃいけない話だってあるし、話をしたらこじれてしまうときだってある。

「・・・・・・ねぇ、イリュースト・・・・・・あなたは、いつまで黙ってるの?その、リュラのこと・・・・・・。」

ラーシャが遠慮がちにリュラの話を持ち出してきた。

「んー・・・・・・必要ないかぎり、ずっと・・・・・・かな?」

「でも、イリューストにダイヤモンド・アイの事を教えるたび二人きりになるのは面倒だし、また変な亀裂を生むかもしれないわよ?」

僕は少しターンして、茂みにラーシャを引っ張った。

「キャッ!」

ラーシャの口をあわててふさぎ、ラーシャが暴れないように抱き締めるようにして体を押さえ付けた。

「んー!」

ラーシャは不満そうな声を出すが、それを無理やり座らせて、僕は「静かに・・・・・・二人きりになったのは、僕が僕の民族を知りたかったからでもあるけど、それだけじゃないよ。ラーシャの事で聞きたいことがあるんだ。さっきの話だけどね・・・・・・で、これは、ダルキリ達がどうやらつけてきたらしくて、巻いてるところだよ。」

僕が暴れるラーシャに何とか説明すると、ダルキリが茂みから姿を現した。

「あれっ!?あいつら、本当にどこ行ったんだ!?」

あたりをしきりに見渡している。

僕はこっちに来ませんように!と強く願いながら息を潜めた。

幸い、ルキィルもダルキリもこちらに気付いた様子はなく、去っていった。

しばらくすると、ぐったりと力の抜けて、抵抗する気が失せたらしいラーシャが僕に寄り掛かってきたので、僕はあわてて今までラーシャの口を塞いでいた手を離した。

「ご、ごめんっ!」

それでもラーシャは、僕に寄りかかったままなので、本当に大丈夫だろうかと覗き込もうとしたところ、ラーシャが僕から離れようとしてから、また僕に寄り掛かってきた。

ただ、体を捻らせているので、ラーシャの顔はこっちを向いている。

「ケホッ・・・・・・苦・・・・・・しい・・・・・・わ・・・・・・息、止まる・・・・・・じゃない!」

息切れしたラーシャがそう呟いた。

「ご・・・・・・ごめんっ!でも、ふさいだのは口だけじゃ・・・・・・。」

「ないわよ!」

ラーシャは、ぐったりしているのに、怒る元気はあったらしい。

ようやく僕から離れると、「鼻も口もふさぐのは、苦しいわよ!もう!」と怒った。

酸欠だからだろうか、ほんのり顔が赤い。

なんだか・・・・・・変な気分だ。

ラーシャが弱ってて、僕に寄り掛かってきてた・・・・・・なんて。

「・・・・・・で、あなたは何が聞きたいの?」

「・・・・・・僕は・・・・・・ラーシャの話が聞きたいかな。どうしてあんな話し、持ち出したの?あの業みたいな風のこと、気にしてるんじゃないの?」

僕のその言葉にラーシャが少しだけ反応した。

それから、僕を見て、こう呟いた。

「・・・・・・参ったわ。お見通しなのね・・・・・・。」

「ラーシャは、わかりやすいからね。」

僕が苦笑すると、ラーシャが「何よ、それ。」と僕を叩く真似をした。

それから、「そうよ。不思議なことがね、あたしの周りにも起こっているの。」と続けた。

「へぇ、どんな?」

「風から声が聞こえたり、出会った人に注意されたり、意図的に行われているのではないかと思う数々の事。」

「具体的に、聞いても良いのかな?」

僕の問いに、神妙な面持ちになったラーシャは、頷いた。

「・・・・・・例えば・・・・・・風が、あたしに告げてきたのよ・・・・・・唐突に、“おまえは敵だ”ってね・・・・・・。ルキィルは水の精霊がなんたらとか、そういう能力のある種族だし、イリューストもそーゆー事があるって聞いてたし、何よりダイヤモンド・アイの民族だし・・・・・・なんとなく合点はいくのよ。だけど、あたしは?あたしは、一般人で、そーゆー能力があるわけでもない。なのに、声が聞こえたの。ねぇ、イリューストが“切り札”であたしが“敵”ってどういうことなの?これらに関連性は、あるのかしら?」

僕にしがみついてくるラーシャの肩に手を置いて、「落ち着いて、ラーシャ。それなら、僕だって“世界は終わらせない”って言われたから。」と言っていた。

「・・・・・・それは、なんとなくわかるわ。イリューストはダイヤモンド・アイの民族。その民族を一つの世界と考えれば、イリューストはダイヤモンド・アイ最後の生き残り・・・・・・まぁ、あたしの仮設なわけだけど・・・・・・とりあえず、最後の末裔で、イリューストが切り札になるのも、世界は終わらせないの意味も、通じるもの。」

ラーシャ、僕の知らないところでそんな事を考えていたのか・・・・・・。

「・・・・・・とりあえず、何て言われようが関係ないよ。僕らは仲間なんだし。ね?そうだ。ラーシャ、僕の民族に関する事、何かわかった?」

すると、ラーシャは黙り込んだ。

僕は、何かまずいことでも言ってしまっただろうか?と考えていると、ラーシャが静かに言った。

「・・・・・・あの本は読み終わったわ・・・・・・だけど、どれも似たようなことしか書いてないのよ。タヤの民族は、特殊能力があって、謎の多い少数民族。どうやらその特殊能力は、あのトンネルにも関係しているらしいって事と、新たにわかったことといえばタヤの民族は、平和主義者が多いとされていることだけ・・・・・・。」

へぇ、あのラーシャが嫌いなトンネルと・・・・・・だからキノコは抜けて光ったとか?

水晶が光ったとか?

あとは・・・・・・魔物たちと話せたとか・・・・・・?

それで、僕がキノコを持っていたとき、ラーシャはよく、「やっぱり・・・・・・。」って呟いてたのかな。

というか、やっぱりあの時から僕の知らない僕のこと知ってたんじゃないか!

どうして教えてくれなかったんだろう?

まだ、その時じゃなかったとか?

でも、これはもろもろ僕の話なのに。

「イリュースト!」

びっくりしてラーシャを見ると、ラーシャは不機嫌そうな顔をして、「何考えてるのかは知らないけど、あんまり故郷の事を思い出すのはやめなさいよ?」そう言われた瞬間、焼け焦げた街、死んだ人々、炎、重く、動かず、冷たくなっていくリュラなどが走馬灯のように駆け巡って吐き気を催した。

「ぐっ!」

僕が口を押さえると、「イリュースト!?どうしたのよ!?大丈夫!?」とラーシャが僕の背中をさすってくれた。

「大丈夫・・・・・・ちょっといやなことをたくさん思い出しただけだから・・・・・・。」

「・・・・・・今まで吐き気とか、そんなあからさまな表情見せなかったからそうじゃないのかも・・・・・・とか思っていたけれど、あなた、やっぱりPTSDなのね!?ごめんなさい、やっぱりあなたに簡単に故郷とか、リュラとか・・・・・・言うべきじゃなかったのよね・・・・・・。」

「ち、違うよ!ラーシャ!その、いろんな事を一気に思い出したからそーゆー事になっただけであって・・・・・・。」

「・・・・・・本当に・・・・・・大丈夫なの?」

ラーシャは僕の顔を覗き込んできたので、僕は思わず、顔を反らして、「その、大丈夫だよ。」と言った。

「何で顔を剃らすのよ。」

「その・・・・・・何となく?」

ラーシャは呆れたようにため息をつくと、僕から離れた。

「まぁ、いいわ・・・・・・無駄な話は切り上げましょう。あたしは・・・・・・ルキィルのところに戻って明日の準備でもするわ。」

「明日の準備って?」

「どうせまた探しに行くのでしょう?神を。だから、しっかり休もうかと。あれ、疲れるじゃない。あなたもしっかり休んでおきなさいよ?」

「あ、うん。」

僕はラーシャの背中を見送ってから、まだ、当分この世界から脱出できそうにないなぁ、とため息をついた。

そもそも、僕はなぜこんな所にいるのだろう。

引き寄せられるように飛び込んだらしいけど。

僕は、僕自身が謎だ。

何故ダイヤモンド・アイが狩られたと言うときに僕だけ助かって、全く何もないままリュラや母さん、父さんの元で平和で過ごしていたのだろう。

この年まで何事もなく無事でいられたのに、どうしていきなり街は滅びなければならなかったんだろう?

何が起きた?

どこかで僕の情報が漏れた?

だとしたら、どこで?

どうしてリュラが殺されなければならなかった?

だいたい、リュラと僕はどう考えたって似てない。

なのに、「奴らはアタシをイリュだと思って・・・・・・」っていうあのセリフが意味深過ぎる。

そして、ラーシャと戦っていた女性も、ラーシャを下劣扱いした男性も。

僕には覚えがない。

会ったはずもない人がどうして僕を狙い、僕の顔を知っているのか。

謎だらけで、意味がわからない。

ギュッと全身に力を入れたとき、手がチクリと痛んだ。

すると、そこには血が滲んでいた。

「うわ・・・・・・」と僕は呟くと、苦笑した。

ハタから見たら僕は相当怪しい人に見えるだろう。

だけど、幸いここには、僕以外の人はいない。

よって僕は、変質者にならずに済んだわけだ。

自分の手を眺めながら、ラーシャの言う通りなのかもしれないな。とふと思った。

僕は、ダイヤモンド・アイなどの考え事をするとき、手を強く握ってしまうクセがある。

気を付けなければいけない。

とりあえず、ダルキリのところに戻ろう。

そして、寝よう。

そう決意して部屋にもどるとベッドの上にすぐ倒れこんだ。


作「急いでるよ、作者は非常に。このコーナー失くそうか正直悩んでるんだ。どう思う?」

イ「知らない……。」

作「読んでる人少ないし、次回当り一回なくしてみようか。」

イ「さらに減ったりして……。」

作「不吉なことはいうんじゃないやい。」

イ「僕は、どうでもいいよ……。」

作「そーかい。じゃ、そーゆーことで。ダルキリと同じ部屋、がんばれよ~!」

イ「それだけは何とかしてくれよ~!!」

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