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Eyes of diamond and Escape  作者: 空と色
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イリューストSide 変わった世界

何が起こったのかわからないけど、ラーシャは半ギレ気味で、そこに僕らよりたぶん五歳は年下の外見をした少年が現れて、目の前の球体がその子の家だと言っている。

え?何がなんだかわからない。

少年は、「・・・・・・だから、俺の家だ。」ともう一度良い、球体に触れると、自動スライド式ドアが表れ、中に続いていた。

中に入ってさらに驚いた。

普通に飛ぶのではなく、地面を歩くことに関してもそうだが、空も木も、鳥も草もある。

まるで草原だ。

「え?ここ、外だっけ?」

さっき僕らが入ってきたと思われる場所には何もない。

ひたすらに広い大地がひろがっていた。

少年は僕の問いに妙な顔をすると、「何を言っている?俺の家だと先ほど説明しただろう。」と言った。

いやいやいや、どう考えても外だろ!?ここ!

室内なら屋根はどこだよ!?

というか、この木は!?鳥は!?

駄目だ・・・・・・突っ込み所が多すぎて突っ込みきれないよ・・・・・・。

少年は錯乱する僕らをよそに歩きだし、一本の木の前に立つと、木に触れながら言った。

「お前たちを呼んだのは俺ではない。今から呼んだ奴に会う。そいつは、この部屋にいる。」

またしも木はスライド式のドアとなり、横にズレると、次の部屋は拍子抜けするくらい普通の部屋だった。

ただ、やたらに広くて、奥の方に天井から太い鎖でつながれた翼の生えた卵みいなのがあって、少年はどんどんそちらへむかっていく。

卵の前辺りで少年は口を開いた。

「連れてきたぞ、ミィヤ。呼び掛けに応えた奴だ。」

「ありがとう・・・・・・ノイ。」

卵から少女の声がし、卵が回転したと思うとそれは、卵形の椅子であることがわかった。

「ようこそお越しくださいました。少しばかり強引にこの世界につれてきてしまってごめんなさい。お怪我はありませんでしたか?」

透けるのではないかと思うくらい真っ白な肌に柔らかい曲線を描いた淡いクリーム色の髪の毛、まだ幼い顔立ちと、体付きはよりいっそう彼女が着ている淡いピンクのワンピースを際立たせている。

簡単に言おう。

正直、かわいい。顔や、外見がではなく、雰囲気が、だ。

少女はこっちを向いてからずっと目を閉じたままだったが、こくびを傾げると、「あら?呼び掛けに応えたのは一人だったはずなのに・・・・・・。」と言った。

「そうなんだ、ミィヤ・・・・・・まさか仲間がまわりにいて仲間までついてくるとはな、俺もはじめ見たとき驚いた。俺はミィヤみたいな力もないからな、全員連れてきちまった・・・・・・ごめんな。」

「ごめんなさい。責めているわけではないのよ、ノイ・・・・・・ありがとう。あなたに迷惑ばかりかけて・・・・・・本当は私が行けたら良かったのだけれど・・・・・・。」

「バカ言っちゃいけない!ミィヤは狙われてるんだぞ!?」

「うん、ノイは役目を果たしてくれたわ・・・・・・本当にありがとう。」

少女をしばっていた鎖がパチンという音を立て、全て外れた。

すると、少女は舞い降りるようにフワリと少年の前に立ち、頬にキスをした。

「ミィヤ!」

「いいのよ、相手がノイだから・・・・・・。」

「誰かに触れたら衰弱するのは君なんだぞ!俺も例外なんかじゃない!」

「わかってるわ・・・・・・そのせいであなたをそんな姿に止めてしまって・・・・・・ごめんなさい。」

「ミィヤのせいじゃない。俺が俺の意志で決めたことだ。謝るな。」

「・・・・・・それと、ありがとう・・・・・・ノイには感謝してもしきれないわね。」

少女はフワリと再び椅子に座ると、鎖が彼女の体を取り巻いた。

少年は、悔しそうに「くっ」と言って俯いた。

え?何?何が起こってるの?

誰か僕に教えてくれ・・・・・・。

すると、ラーシャはため息をもらした。

「・・・・・・結局あなた達もあたし達に助けを求めてるのね。理由は知らないけど、何かが原因で二人は子供の姿のまま・・・・・・と?」

ラーシャは素晴らしく頭の回転が早いらしい。

よくわかるなぁ・・・・・・。

「・・・・・・そうだ。他者の力なしに今の状況を変えることはできない・・・・・・どうしても異世界の者でなければならなかった・・・・・・この世界の人間はみんなミィヤを狙ってると言っても過言ではないからな・・・・・・。」

「・・・・・・そう、で、異世界の人間は信じられるの?わからないわよ。えっと・・・・・・ミィヤだったわよね?彼女の呼び掛けに反応したってことはあたし達も彼女と似たところがあるって事でしょう?彼女をさらって自分の力にしようとするかもしれないし、かわいい子だもの、さらって売り飛ばすのも可能なのよね?そんなわけのわからない奴をあなたは信じられるの?ミィヤ、あなたもよ。」

「私は信じますよ、あなた達を偽りごと・・・・・・だけど、あなたはそんなことする気はないでしょう?それくらいわかります。」

ラーシャの問い掛けに彼女は速答してニコリと微笑んだ。

「わからないじゃない。これから話を聞くうえで考えが変わるかもしれないわ。」

「だまれっ!そうならない為に俺がいる!」

少年はラーシャに攻撃してきた。

『ラーシャ!』

僕の声はダルキリとかぶり、ラーシャが小さく「キャッ!」と言ったのが聞こえた。

僕はラーシャに向かってのばしていた手をおろした。

目の前には、ラーシャの肩を抱き、炎で相手の攻撃を振り落としたダルキリがいた。

・・・・・・ははは・・・・・・なんだかな・・・・・・僕、タイミング悪いな・・・・・・かっこ悪い。

「・・・・・・ダルキリ・・・・・・ありがとう・・・・・・。」

ラーシャがお礼を言ったが、ダルキリはラーシャを離そうとしなかった。

どうやらダルキリは、本気で怒っているらしい。

「これから助けを求める相手に攻撃するたぁ、良い度胸じゃねえか、ボウズ・・・・・・てめえが俺らに少しでも刄を向けるなら、俺はてめえを敵だと思って、殺す。いくらちいせえからって手加減しねーぞ。てめぇも死ぬ気でこい。」

「・・・・・・炎使いか・・・・・・面白い・・・・・・こっちこそミィヤに何かしよう気なら殺してやる。だいたい貴様、俺をボウズとかガキ扱いしてるが、俺は貴様らより年上だ。覚えとけ。」

『やめなさいっ!』

ラーシャと少女の声がきれいに重なった。

「ダルキリ!あなたは何殺してやる宣言してるのよ!?バカじゃないの!?相手側の印象悪くしてどうするのよ!味方だと思ってるうちに本当に打ち殺されちゃうかもしれないじゃない!下手に嫌われると厄介なのよ!?わかった!?」

「ノイッ!手荒なマネはしてはいけないわ!本当はあなたはいい人なのだから、誤解させて損するのはノイなのよ?それに、こちらが頼む側だというのも忘れないでね?」

あっちもこっちもお怒りの言葉が飛びかい、僕は何が何だかわからなくなった。

ただ、ラーシャはダルキリの顔を押し退けていたことだけはわかった。

どうやらラーシャは、ダルキリから解放されたいらしい。

「ああ・・・・・・すまない・・・・・・ミィヤ。だけど、俺は俺のことを理解してくれているのはミィヤだけでいい。」

「そんなこと言わないで・・・・・・さらに苦しくなってしまうわ・・・・・・あなたをそんな姿にしてしまったこと・・・・・・。」

「だから、俺の意志だ!ミィヤのせいではない!」

「なんだよ!助けられてるくせに!」

「そうね!ありがとう!それよりはやく離してちょうだい!いつまであたしを抱き締めてる気!?」

「感謝してねぇだろ!」

「あんまりね・・・・・・あれくらいならあたしでも避け切れそうだったもの。」

「ひでぇっ!ラーシャァア!そりゃねぇよ!」

僕とルキィルは完璧に空気になっていた。

「なんだか・・・・・・。」

「・・・・・・うん?」

「騒がしいね・・・・・・。」

「・・・・・・うん・・・・・・。」

ルキィルは頷いてから俯いた。

それから数分後、ようやく落ち着いてきたが僕にはこの数分間がまるで何時間も待たされたかのように感じて、かなり疲れた。

「先ほどは、こちらの者が失礼いたしました・・・・・・。あなた達を信じるか?という問いに関しては、私は信じますと答えましょう。ただ、これからこちらがお願いすることはかなり危険です。それでも、ご協力願えますか?」

僕はひとしきり仲間の顔を見渡すと、みんな静かに頷いた。

そりゃそうだろう。

こうなった以上見捨てるわけにもいかないし、地上への帰り方もわからないのだから。

「はい。」

「・・・・・・ありがとうございます。では、お話しましょう・・・・・・私とノイの過去から始まる、今やこの世界とあなた達を巻き込んだ現状を・・・・・・因果を・・・・・・全て。」

少女の顔は真面目になると、バッと目を開いた。

「っ・・・・・・!」

ラーシャが小さな声を上げて顔をそらした。

少女の目は・・・・・・気持ち悪い色をしていた。

白目はきちんと存在するのだが、瞳が妙な色に変わっていて、片方の目にはその色が変わっている部分の中で何か龍らしきものが泳いでいた。

よくみると、龍事態は優雅に泳いでいるのだか、遠くから見ると何か細い虫が目の中を蠢いているようにしか見えない。

ルキィルも静かに顔を反らし、ダルキリは、息をのんで少女を見ていた。

・・・・・・そういえばこの三人はあんまり遠くまで見えないんだっけ・・・・・・じゃああの龍は、虫が蠢いているようにしか見えないのか・・・・・・。

「・・・・・・気持ち悪いでしょう?もう、私は両目が見えなくなっているので自分の目が何色をしているのかわかりませんが・・・・・・こちらの目には今だに龍が泳いでいます。こんなものを見せてごめんなさい。だけど・・・・・・これから話す事と大きく関わってくるのです・・・・・・。」

そういいながら少女は右目を押さえ、目を閉じた。

「・・・・・・見ていて気分のよいものではありませんからね・・・・・・私は・・・・・・神の怒りと呼ばれる呪いを受けました。当日、私とノイはこの外見よりもさらに幼い9歳でしたから、大人たちが言う“宮殿には行ってはいけない”の意味が理解できなかったのです・・・・・・宮殿は、地上には存在しなかったので、私達はまるで宝探しでもしているような感覚でした・・・・・・。」

「でもっ!あの時は俺がミィヤを無理やり巻き込んだだけで、本当ならその呪いは俺が受けるはずだった!」

いきなり怒るように嘆いた少年と、穏やかに語る少女を僕は見た。

「・・・・・・いいえ、私も楽しんでいたもの。これは当然の報い・・・・・・多分もう察しがついているでしょうが・・・・・・そのお察しの通り。私たちが12歳になったとき、地上には無いはずの宮殿を・・・・・・私達は見つけました。宮殿は部外者の侵入を怒り、激しく震え、私はその宮殿が守っている神と呼ばれる石像の前で、この目になりました。昔の言い習わしは・・・・・・神の怒りに触れるもの、いかづちをその身に浴びて、血の涙を流せし後、特別な力を身に宿し、他者により殺されるまで、衰弱していくのみ・・・・・・と。」

「・・・・・・言い習わしは、本当だった。ミィヤは、神と呼ばれる石像の前で・・・・・・いきなり雷に打たれ、その目に龍を宿した。龍を宿した事でミィヤの目は潰れ、見えなくなり、その通り・・・・・・血の涙を流した・・・・・・ミィヤの力は神の怒りを触れたことで、神と同等の力を持つようになり、その強大な力を君悪がって仲間は離れ、いろいろな人に襲われるようになった。」

神と同等の力を身に宿し・・・・・・って事か・・・・・・すごいな。神様が二人か・・・・・・。

僕がそんなことを考えていると、少女は再び口を開いた。

「私は誰かに触れるだけでこの力を相手にわけ与えることとなりました。ただし、自分の何かを犠牲に・・・・・・ですが。これが、衰弱していくのみ、の答えだったのです。もちろん生気を奪われてもそれで死ぬことは出来ません。ただ、私が病弱になっただけでした。時を刻める体に、時を刻めなくなった私が触れるというのは大きな負担となりました。その負担を少しでも和らげるためにノイは・・・・・・。」

「・・・・・・自らの力で自らの体の時間を止めた。でも、ミィヤとは違って死にたいと願えば死ねるし、いつかは俺も死ぬ。」

「・・・・・・この呪いを説く方法は言い習わしにあったとおり、私が死ぬこと・・・・・・だからこそ、私はノイに自分を殺してくれと、願ったのですが・・・・・・。」

「バカ言うんじゃない!俺がミィヤを殺せるわけないだろう。だからミィヤの呪いを説く方法を探してるんだ。それに協力してほしい。」

どうやらそのわかりもしない方法を探すために僕らは召喚?されたらしい。

「・・・・・・待ってよ?何故他者により殺されるまで、なの?自分じゃ死ねないって事?」

ラーシャが少女を見た。

少女は困ったように笑ってから「ええ、残念ながら・・・・・・。」と答えた。

「・・・・・・そう。でも、不思議ね、いろんな人に狙われているならあなたは何故ここにいて無事でいるの?」

「・・・・・・その椅子と鎖がミィヤの力を押さえ付けているからだ。周りの人間はミィヤの気配すらわからん。俺の家は移動してるし、見えないように結界も貼っている。他の奴らがミィヤに近づくこともない。お前たちはミィヤが呼んだから特別に見れたし、入れたし、ミィヤに近付けたんだ。」

ラーシャは「ふーん。」と言うと、「宮殿にもう一度行けば何かがわかったりしないの?」と尋ねた。

「宮殿も常時移動している、もう一度あそこに行って神にヒントを得るために俺は宮殿を探している。だが、やはり一度行ったものはなかなか辿り着けないらしくてな・・・・・・もう何十年も宮殿を見ていない。」

「・・・・・・それであたし達に宮殿を探せというのね。」

「そうだ。」

「いいわ。やりましょう。神だかなんだか知らないけど、呪いをかけるなんて嫌な神様もいたものね。」

ラーシャが呆れていると、少年はクスリと笑った。

「・・・・・・何よ。」

「いや、変な奴もいたものだと思ってな。気にするな。着いてこい。次はお前たちがすごす部屋を案内してやろう。」

そう言って僕らが歩きだすと、ラーシャだけが少女に呼び止められた。

「・・・・・・そこの鎧を纏っている御方。」

「・・・・・・あたし?イリュースト?」

「え?何で僕?」

まぁ、胸当てをしているので一応鎧を纏っている・・・・・・のかな?

「いえ、男性の御方ではなく、女性の御方だけ、よろしいですか?」

「あたしに・・・・・・何か?」

「ラーシャ、じゃあ僕ら、先に行ってるね。」

「わかったわ。」

そうして僕らは別れた。


イ「なんか、久しぶりな気がする……。」

作「そりゃあ作者的には久しぶりだからな。体感時間はイリュとも読者様とも違うよ。本当に便利だよ。予約機能は。作者は半月ほど北海道に行っててこっちを放棄してたからな。」

イ「北海道?」

作「いや、こっちの話。ちなみにいつもと違う方法で次の世界に入ったの、わかってる?」

イ「え?あ、ああ……うん、僕がいきなり川に飛び込んだらしいっていうのは……。」

作「これも一応理由があるんだ。後々紹介するわけじゃないけど、まあ別に、~って見方だけじゃないんだよ~って意味で一種の複線なんだな。」

イ「へ~……?それより、これからどうなっちゃうのかが気になるんだけど。」

作「そんなん、 な る よ う に な る さ !」

イ「うわ~!!なんなの!?それ!どうしてそうなるの!?」

作「なんなの?って……いや、なるようにしかならんって意味だけど?」

イ「……もういいよ!今回はここまでです!ありがとうございました!(これ、毎回本当に誰に言ってるんだろうなぁ……。)」

作「あ、おい!作者の断りなしに勝手に終えるなよ!おい~!!」

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