ラーシャSide 変わり者
いきなりあたしの手をひねりあげた変り者、ルキィルという少女。
あなたは青色の瞳なのね・・・・・・ダイヤモンド・アイの偽物としてギリギリ難を免れた民族・・・・・・。
そんなことを考えていたら、ちょこんとルキィルがあたしの隣に立った。
ちょ、ちょっと、こないでよ!
あたしのスタイルが浮き彫りになるじゃない!
ルキィルとあたしは異なるスタイルをしていた。
ルキィルは背が小さめでゆるふわの水色の髪の毛にかなりたわわな胸を揺らしている。
お尻もかなり丸い・・・・・・とにかくグラマラス。
う、うらやましいわねっ!
あたしは思わず自分の胸に視線を落とした。
申し訳ありません程度になだらかな坂がそこにはあるだけだった。
思わずため息を着いた。
ルキィルに部屋案内されてからと言うもの、鎧を外した胸がさらに虚しく見えてあたしはひたすらにため息をついていた。
そこにいきなりルキィルの手が伸びてきた。
「ハァ・・・・・・ムグッ!?」
あたしがルキィルを見ると、ルキィルは片手に縄を持っていた。
ちょ、ちょ、ちょっと待って!?あなた、それであたしに何する気!?
必死にルキィルの手を振り払うとあたしは言った。
「な、何するのよ!?」
「え・・・・・・?あ・・・・・・ため息をつくと幸せが逃げるとか言うでしょ?だからため息が出ないように口を縛ろうかと・・・・・・本当はガムテープにしようか悩んだんだけど、取るときに痛いかなって・・・・・・私、また何か間違えた・・・・・・?」
間違えた?どころじゃないわよ!
こっちは縄で縛られたら人質気分になるわよ!
全く、本当にどういう子なの!?全然つかめないわ!
「あのね、人は縄で縛っちゃいけないし、ため息をつくと幸せが逃げるなんて、聞いたことないわよ!?」
「え?そうなの?」
うーん・・・・・・ダメ。
この子、突っ込みどころが多過ぎるわ!
ダルキリよりもひどいんじゃないかしら?
「・・・・・・あなた、一体何を学んできたの?今までよくそんな状態で生活出来てたわね。」
「学んだ事は精霊のことが大半・・・・・・あと儀式の事。」
うーんという感じにルキィルは首を傾げた。
「儀式って・・・・・・確かあの長とか言うのと・・・・・・。」
「契りをかわすの。今までの姫巫女の役目はそこで受け継がれる。お婆さまはお母様へ、お母様は私へ、そうやってずっとずっと体は変わることなく受け継がれてきた。姫巫女の役目が異常なのも、過酷なのも知っていた。だけど私が受け継がなければ誰がやるの?そうやってすごしていくしかないのに。」
「何で外見年齢がかわらないのよ?」
「体の時を止めてしまうから。だから姫巫女はいつも外見の異常な若さとかなりの長寿を得る。だけど精神の成長を止めることはできない。時が流れ続けるかぎり、その分体にも無理がたたる。それを支えるのが夫の役目。夫も儀式で長寿を得る。でも姫巫女の負担よりも身体への負担はかなりすくない。」
ルキィルは今までの抜けているような変な感じは感じなかった。
ただ、寂しそうだと思った。
「どうしてそんな顔をするのよ?長寿も若さも手に入れられるんでしょう?」
別に本気ではなかった。
あたしも“他の人が望んでいるものが手に入る”境遇にある、彼女の気持ちがわからないわけではなかったから。
「長く生きることは良いこと?・・・・・・・良いことだよね、民の様子を知れるし。・・・・・・その間に知り合いがどんどん死んでも?・・・・・・仕方ないよね、私がやらなきゃ私の代わりはいないんだから。それは幸せなの?・・・・・・幸せだよ、大好きなこの村の役に立てるんだから。化け物になるだけじゃないの?・・・・・・そんなことない・・・・・・そんなこと、ない!」
彼女は自問自答していた。
全ての問いかけに全て自分を偽っていた。
「感情を捨てて、楽になれればいいのに・・・・・・そんなことしたって何にもならないか・・・・・・これは運命。私が生まれるずっと前から決まっていた運命・・・・・・。」
こんなやりとりをあたしもした事がある。
でもあたしは“定め”なんていって諦めきれなかった。
だから飛び出したのよ。
彼女のことに関してもどうしても他人事だとは思えなかった。
「あなたはそれで本当にいいの?」
「え?」
「他人が決めたレールを歩くのが、本当にあなたの幸せ?」
「あたり・・・・・・まえでしょ・・・・・・どうしてそんなこと聞くの?私の変わりなんてどこにもいないのに。」
ルキィルの顔は歪んでいた。
何かを恨みたいような、今すぐ泣きだしてしまいたいような、そんな複雑な表情を浮かべていた。
「あなたの変わりなんていないに決まってるじゃない。あたしの変わりだっていないわよ。あたしはあたし一人なの。でもだからこそあたしは、あたしの人生を、一生を誰かに決められて生きていくのは嫌だと思ったわ。ねぇ、自分の幸せって本当に他人が決めること?あなた、本当にそれが幸せだと思ってるの?それでいいと思ってるの?あきらめて、逃げているだけじゃないの?」
するとルキィルは勢い良く立ち上がった。
「どうしてあなたはそんな意地悪な事を言うの?」
彼女は私の髪の毛に触れると、抜けていた髪の毛を引っ張り出していきなり結ぶと人型に切り取られている紙に挟んだ。
「ちょっとちょっと!待って!あなた、それで何する気なの!?」
「あなたは意地悪だから・・・・・・呪いをこれからかけるの。あなたの事、私、好きじゃない・・・・・・。」
ぼそぼそとそうつぶやいた。
「物騒な事言わないでよ!あたしはただそれでいいのかって確認しただけじゃない!・・・・・・それに、わかるのよ、あなたの気持ち・・・・・・あたしも同じような立場にいたことあるから。それがおせっかいであたしの事嫌いだっていうなら嫌いなままで構わないわよ。でも、変わりたくない?行動を起こさずにいて、本当に満足?あなたはあなたの人生があるはずなのに?」
ルキィルは黙って俯いてしまった。
「・・・・・・わか・・・・・・らない・・・・・・わからないよっ!」
ルキィルは頭を横に振ってしゃがみこんだ。
どうやら本気でココをとるか捨てるかで悩んでいるらしい。
あたしだってそりゃ、決めるのは楽ではなかったけどね?
でも飛び出してきたことに後悔はしてないわ。
「旅してみたくない?一緒にいけたらきっと楽しいわ。なによりあたしが一番嬉しいかも・・・・・・だって男ばっかりなんてもう散々。」
あたしはすこし肩をすくめた。
「わからない・・・・・・わからないよ・・・・・・!」
彼女はそれを繰り返すばかり。
「今すぐとは言わないわ。考えてみて。」
あたしはその先の記憶がない。
きっとすぐに寝てしまったのだと思う。
作「前回のは別に短くなかったかも……今回のほうが短いかもしれないな……とりあえず、ごめんなさい!」
ラ「どうよ!あたしから仲間にならないかって誘ってみたわ!」
作「うん。」
ラ「うんって何よ!?うんって!?」
作「うん。」
ラ「まさか全部お見通しだったとか!?」
作「うん。」
ラ「ちょっと、聞いてないでしょう?」
作「ううん。」
ラ「そう、それならまぁいいわ。」
作「少しラーシャの世界の神々のお話をする?」
ラ「え?ルージュ・セクプトラスとかテオクレテミス・ネオレオンとか?」
作「この世界にもΤΘΜΙΣΚレΕΣ ΝΕΟΚレΕΟΣっていう人は居たみたいだけどね……。」
ラ「う~ん、たくさん居すぎて話そうとすると……。」
作「ギリシャ神話みたいな感じか……なら長くなりそうだからいい!」
ラ「あ、でも、ルージュもテオクレテミスも実在した人たちなのよ!」
作「簡単に言っちゃえば勇者みたいな?」
ラ「そうかもしれないわね……その神々達があたしの居た国を作った人たちだし……それでね、ルージュがその初代王女で、テオクレテミスが初代国王になるの。初代国王達はとてもすばらしい人たちばかりだったと言い伝えには残っているの。だからいまだに国王の座は偉大すぎるくらい偉大だと言われているのよ。」
作「うん、もういいよ。今回はココまでです。ありがとうございました。」