イリューストSide キノコ
ダルキリを怒っているラーシャを見ながらまたはぐらかされた気がするとキノコを手に考えていた。
『っ!?』
いきなりダルキリとラーシャは剣を抜き取り、背中合わせになった。
僕には何も見えない・・・・・・このキノコのせいもあるけど・・・・・・一応剣を抜き取ると構えた。
何も起こらない・・・・・・でも、二人は警戒をゆるめない。
カタカタいう音が近づいてきた。
そして姿を表したのは体は人間、下半身は・・・・・・なんだろうこれ・・・・・・まるで筋肉のついたすっごく大きいトカゲだ。
動物に例えようとすると、いろんな動物に見えてくる気がしなくもない。
「知能を持った魔物ね・・・・・・手強そうだけど、ダルキリ、あなた・・・・・・戦ったことはあるわよね?」
「半分人間半分魔物のハーフと?」
「今回、ハーフだけかはわからないわ・・・・・・クォーターか、それ以上かも。」
ラーシャはうなずきながらニッと笑っていた。
「当然!」
ダルキリも笑っていた。
ねぇ、僕は?
僕、何をすれば良いの?構えてるのは格好だけだよ?
魔物は次々襲い掛かってくる・・・・・・!
「うわぁっ!」
目をつぶって剣を振り回したらその魔物は僕に攻撃することなく、背を向けた。
「え?」
わけがわからない。しかも、魔物は僕に背を向けたまま動こうとしない。
こんなの、殺せといっているのと同じじゃないか・・・・・・どうして僕だけ・・・・・・。
とたんに魔物がくるりとこちらをむいた。
驚いて身が固まる。
でも、魔物は人間よりも澄んでいるその瞳で僕を見つめるばかり。
「僕の言うことが・・・・・・わかるの・・・・・・?」
魔物は頷いた。
〔わかります、あなたが、その言葉言っている・・・・・・いや、失礼しました・・・・・・長らく言葉を発しなかったもので・・・・・・。〕
口は動いていないのに声が聞こえる・・・・・・どうなってるの!?
〔驚かせてしまってごめんなさい。ですが、我々は、口伝いより直接脳内に話し掛けたほうが効率がよいと判断したのです。〕
僕は目が点になった。
心を読んだ!いや、それより、どうして僕にだけ聞こえるんだろう?
どうしてダルキリとラーシャは戦ってるんだろう?
目の前にダルキリが放った火の海が広がっている。
少しだけ故郷を失ったことを思い出してぞっとした。
「僕の言うことが・・・・・・わかるんだよね?」
〔はい・・・・・・。〕
「なら、今すぐ戦うのをやめろ!二人は僕の仲間だ!」
〔それは、なりません。〕
「どうして!?」
〔奴らは敵です。〕
「仲間なんだよ!」
〔あなたは知らないだけです。〕
「イリュースト!」
ラーシャが僕に気付いて手を差し伸べた瞬間・・・・・・。
ゴォォオオ!
「キャァア!!」
ラーシャの姿は炎に包まれた。
「ラーシャ!」
すると、ダルキリが炎が炎を盾にラーシャを守っていた。
「大丈夫か?」
「なんとか・・・・・・。」
それを見た魔物が氷の刄を突き刺す。
「Ein Sichelwiesel!」
ラーシャが必死に氷の刄を切り崩していく。
「やめろ・・・・・・。」
僕は俯きながら声を低くして言った。
何故か体中があつくなった。
「やめろって言ってるんだよ!!」
すると魔物が一瞬、全員がピタリと止まった。
「イリュースト!行くわよ!」
僕はラーシャに捕まれて走りだした。
ずいぶん走った気がする。
ここはどこなんだろう?
何よりさっきの自分じゃないみたいな感覚は何だったんだろう・・・・・・?
さっき、自分は何でもできるような気がした。
キノコは光りだすし、魔物とは喋れるし・・・・・・本当に・・・・・・あれ?キノコは?
僕、キノコはどうしただろう!?
どうやら落としてきたらしい。
この洞窟、不思議なことばかりだ。
「イリュースト、なんであなた・・・・・・無傷なの?」
息の荒れたラーシャが僕を覗き込んできたけど、僕だってわからないんだよー!
僕は魔物と話ができたことをラーシャに言った。
ラーシャは何かを考え始めたけど、ダルキリはそんな考え中のラーシャの頭の上に手と頭を乗せて僕に言った。
「妙なこともあるもんだなぁ。さっきのキノコといい、魔物といい・・・・・・。」
「ちょっと・・・・・・ダルキリ、頭重いわよ、どきなさい?」
ラーシャが顔に特大の怒りマークを浮かべながらニッコリと笑っていた。
怖い・・・・・・怖い!
「ダ、ダルキリ!早く退いた方がいいよ!」
「あ?」
「あ?じゃないわよ!」
次の瞬間、ラーシャはダルキリのみぞおちにパンチを命中させていた。
「ウグッ!?っ~~!」
ダルキリは声にならない声を上げてしゃがみこんだ。
ラーシャは手を叩いてから僕に言った。
「ようやく獣の扱いに慣れてきたわ。」
かわいい笑顔とは似ても似つかないおぞましい言葉がその口をついて出てきた。
僕なら即死決定ものだな・・・・・・。
「何イリューストが震えてるのよ?あなたがあたしに何もしなきゃあたしも何もしないって言ったでしょ?」
ラーシャはスタスタ歩き始めた。
ラーシャ・・・・・・乱暴すぎるよ。
そこら辺から考えるとやっぱりラーシャは王族関係者にはなれないだろうなぁ・・・・・・。
だってあった瞬間気に食わない奴にパンチしそうだもん・・・・・・。
「あれ、またパズルかしら・・・・・・行き止まりね。」
ずいぶんとこの洞窟に目が慣れたらしいラーシャは真っ直ぐ前を指差した。
やっとかまたかはわからないけど、僕の出番のようだ。
全身に力を入れた。
「よしっ!」
僕は指先に神経を集中させた。
問題を解くなら時間は早いほうがいいに越したことはないからだ。
「イリュースト?何してんだ?」
「しっ!」
ラーシャがダルキリの口をふさいで僕を見た。
どうやら僕はとても期待されているらしい。
嬉しいことは嬉しいけど、ほんの少しだけプレッシャーだった。
祈ることはただ、どうか降ってくる文字が読めますように、ということだけだ。
まぁ、それも問題が同じなら・・・・・・の話だけど。
開いた問題は前回のものとは違っていた。
しかもこちらの方がすこし難しいようだ。
カチカチとかわっていく問題が、進みにくいうえに時間が短く感じる。
まずい。
ここでミスを連発したら時間切れになるかもしれない。
そうなったらどうなるんだろう。
無駄なことを考えるうちにそれがプレッシャーになって問題がさらに説きづらいものへと変わっていく。
落ち着け、落ち着くんだ僕。
僕は深呼吸をして汗を拭うと再び問題に取り掛かった。
イ「ねぇ、ラーシャって本当は何者なの?」
作「おいこら、まだ作者が挨拶をしないうちに暴走すんじゃない。」
イ「ねぇ、だからラーシャは……」
作「だぁぁあああ!!うっさい!わかるよ!そのうちな!」
イ「そのうちっていつだよ!?」
作「近いうちだ!近いうち!!」
ラ「あら、二人してなにやってるの?」
作「ラーシャの正体について。」
ラ「ちょ、ヤダ!そんなこと絶対に言わないでよ!?」
イ「どうして?僕は知りたいよ?」
ラ「は、恥ずかしいじゃない?」
イ「何が?」
ラ「その、色々よ。」
イ「色々って?」
ラ「質問攻めにしないでよっ!作者!助けなさいよ!」
作「え~?二人の会話がイライラ……で続いててわりと面白かったんだけどな。」
ラ「そんなのどうでもいいのよ!!」
作「ひどいな、俺自身だってやっとつい最近気づいたってのに……。」
ラ「そ、れ、よ、り、早く助けなさい!?」
作「はいはい、まったく……イリュ、いいか?よぉく聞くんだぞ?お前はラーシャの身分をすぐ知ることになる。独自のルートで。それが正しいか正しくないかはきっとお前が旅する過程で知っていくだろう。」
イ「そうなの?」
ラ「ちょっと!それじゃ最初っからネタばらしみたいで面白くないじゃない!!」
作「おもしろいさ。どうしてそうなったのかをといていくんだよ。イリューストみたいに。」
ラ「え?じゃあイリューストって本当に……。」
作「さぁね?違うかもしれない。」
イ「え?僕が何?ねぇ何?」
ラ「だ、だから人に高圧的な言い方をするのはやめなさい!」
イ「またそれ?別に高圧的な言い方なんてしてないじゃん……。」
ラ「そういいながらなんであたしの腕つかんでるのよ!?離しなさいったったら!作者!助けなさい!!」
作「またかい?君は本当に甘えっこだね。」
ラ「だまらっしゃい!いったい誰のせいでこうなったと思ってるのよ!?こうなったと!」
作「だまらっしゃいとか古……。」
ラ「微妙に笑ってるんじゃないわよ!」
作「そうおこんなよ……小じわが出来やすくなるぞ。」
ラ「失礼な!あたしはまだまだ小じわなんて出来る年齢じゃないわよ!」
作「最近は30代でもまったく小じわが気にならないかない人が増えたしな~。」
ラ「いいから、その話はもういいから助けなさいったら!」
作「じゃ、強制終了ってことで。今回はここまでです、ありがとうございました。」
イ「作者はいつもラーシャの肩ばっかりだ~ずるいよ~。」