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Eyes of diamond and Escape  作者: 空と色
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イリューストSide 再結束

ラーシャが怒っていろいろあって、でも、僕に差し伸べられた手が何故だかとても嬉しかった。

僕が仲間外れじゃないことを確認できたみたいで。

「え?じゃないわよ、これから三人で頑張っていきましょ。嫌になることもあるかもしれないけど仲間じゃない。乗り越えていけるといいわね。みんなで!」

それからまたダルキリがラーシャに抱きついて、殴られて・・・・・・。

ダルキリって勇敢だなぁ。

僕だったら怖すぎて何もできないよ。

ラーシャは当然のように「獣じゃない。」って言うし。

まぁ確かにそうかもしれないけどね。

「グァァァア・・・・・・。」

頭を抱えてまだしゃがみこんでいるダルキリ。

「大丈夫?」

「問題ない。戦うときに比べればなんってことねーよ。」

いやいや、それは比べるものじゃないよ。

というか比べちゃいけないだろ!

戦って負傷した時の話だろ?

下手したら生死をさまよってる最中じゃないか!

というかそんなに威力強かったの?

ラーシャ・・・・・・やっぱり恐ろしいっ!

「何人のことじろじろ見てるのよ?」

「な、なんでもないよ?」

僕は思わずごまかすために笑ったけど引きつった笑みをしていたと思う・・・。

「あら・・・・・・もう・・・・・・夕暮れね・・・・・・。今日は・・・・・・今日も、かしら?ここで休んで、明日明朝にここを出ましょう・・・・・・あ、いえ。ダメだわ、お昼になってからここを出ましょう。」

「え?何で?」

「そうだよ、なんか知らねーけど追われてんだろ?」

ラーシャは僕とダルキリを見てからため息をついた。

「追われているから“こそ”よ。」

「わっかんねーな。」

ダルキリは頭を掻き毟った。

追われているからこそ?どういう事だろう。明朝なら追っ手も少ないんじゃないのかな?

「詰めが甘いわね・・・・・・ダルキリは考えなしに突っ込むタイプでしょ?旅が始まったらそういう行動はつつしんでよね?」

「ラーシャ、どういう事?明朝の方が人気も少ないし、聞かれることもなくていいと思うんだけど。」

「イリューストまでそんな事聞くの?だから人気が少ないからダメなのよ。やつらは血眼であたしを捜し回ってる。きっと明朝や夜なんてあたしが逃げ出すことを計算に入れてるわ!だから昼間なのよ!」

ああ、そういう事か・・・・・・やっと理解した。

つまり、あの人達は高額大金を目の前に夜も眠らず一晩中ラーシャを探してる。

だから下手に明朝の人気(ひとけ)のない時間帯に動きだすとかなりの確率でラーシャは捕まる。

きっとついでに僕達も。

だから人気が出てきて町の人と紛れるくらいの昼の方が逃げやすいと考えたんだ。

すごいなぁ・・・・・・裏の裏までかくのか。

あれ?でも裏の裏って・・・・・・表?

うーんまあいいか。

僕も昼に一利賛成だし。

今日も追い払ったし・・・・・・。

「グゥウウ・・・・・・」

腹の虫?が鳴きはじめ、誰かと見渡すとダルキリがお腹を押さえていた。

「わり・・・・・・んじゃ、肉でも焼くか?」

するとラーシャが前に踏み出した。

「ちょっと待って?そこで“ご飯”ならわかるけど、どうして“お肉”だけしか出てこないの?まさかお肉だけとかじゃないわよね?しかも、お肉の丸焼きみたいなやつじゃないわよね?」

「え?何で?それだけで十分だろ?」

ラーシャの嫌な予感は的中したらしい。

僕はお肉だけでもかまわないけどラーシャはそうとう嫌らしい。

「信じらんないわ・・・・・・せめてサラダくらいつけなさい!」

「えー、めんどくせぇよ・・・・・・それともラーシャ、作ってくれんの?」

ラーシャは少し身構えてから腕をたたいた。

「や、やるわよ!わかったわ、やれば良いんでしょ!?あなたはお肉焼きなさいよね!?サラダはあたしが作るわよ!」

僕はただ茫然と立っていた。

数分後・・・・・・。

「ギャハハハハ!なにその野菜!ひでぇ形!」

「う、うるさいわね!あたしは普段盛り付け担当なのよ!」

・・・・・・何?この構図・・・・・・何か新婚生活を見せられてるみたいだ・・・・・・。

思わずため息をついた。

するとラーシャが僕を見た。

何を思いついたのかラーシャは手をたたくと僕を引っ張りだした。

「わわ!?何するんだよ?」

「イリュースト!あなた、野菜は切れるわね!?」

「切れる・・・・・・けど?」

「じゃああたしが盛り付けするわ!だからあなたが野菜を切って!」

「まぁ・・・いいけど・・・。」

思わずラーシャが切っていた野菜だった何かを見た。

本当にひどい形だ・・・・・・。

「ひでぇ形だよな!」

ダルキリが僕を見ながら笑った。

「うん・・・・・・本当にひどいかも。」

僕も笑った。

「ちょっと!ふたりして笑いすぎよ!あたし・・・・・・獣は切り刻む訓練を受けてたけど、野菜を切り刻む訓練は受けてないのよ!」

訓練?野菜を切るのに訓練なんてあったっけ?

僕は思わず目を点にした。

すると隣でダルキリも僕と同じようなことを思ったらしく、吹き出すとお腹を抱えて笑いだした。

「は!ハーハッハッハッ!野菜を切り刻む訓練を受けてない!?そりゃ誰も訓練なんか受けてねーよ!やべぇ、腹痛い!ちょっとラーシャ!あんま笑わせんなよ!苦しくなってきた!ゲホゲホ!」

ダルキリは途中で蒸せていた。

僕も思わず笑ってしまった。

「訓練はきっと受けてないよ?でもラーシャって案外基本的なところ、抜けてるんだね!」

「だから笑いすぎよ!ふたりして人のことバカにして!もー!!」

ラーシャは赤面しながら怒っていた。

こんなに楽しいのはいつ以来だろう。

リュラがいたときでさえ少なかった気がする。

なのに会ってそんなに間もないラーシャはすぐに僕の心を掴み取ってしまう。

ダルキリも。

本当にこの人達はすごい・・・・・・。

旅が始まったらまた、嫌なことを思い出すかもしれないけど、それでもいい。

この仲間なら乗り越えていけると今なら何の疑いもなく僕は思う。

それくらい、人を寄せ付けて、魅せたりするだけの力があるって事なんだろうな。

これのこと確か・・・・・・その人の魅力って言ったっけ?

僕にも僕だけしかない魅力があればいいのに・・・・・・とつくづく思う。

こんなこと言ったら気味悪がられるかな?

でも、あるかな?僕にも僕だけの魅力が・・・・・・。


作「イリュ、お前はつまらん。というわけでサヨナラ。」

イ「まって、まだ始まってもいないのに!」

作「問答無用!もう少しからかえる話題になってから出てくるんだな!」

イ「ひどい……。」


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