07話 ラルファ
戦斧を振り下ろす。
斧はとても速く、風を切っていた。
大きな音が二の丸に鳴り響き斧は床を強く叩いた。
「これを喰らったらタダじゃすまえねぇな」
「すばしっこいな」
両者は至って冷静。レオナは色んな相手との戦闘経験がまだ浅い。一方、ナーガは、数百年、二の丸を守護してきた。
そう、レオナとナーガの大きさは戦闘経験にある。
(あいつの斧を食らったらやばい、まずは観察から!相手は、斧、弱点は大振りか?いや、その大振りを技などで弱点を中和できるようにしているだろう。)
レオナもそうだ。
レオナの弱点は眼の使い方。それを、判断力と思考力でカバーし合えている。
ハージさんと戦った時も判断力で補ていた。
ナーガが斧を横にふると斬撃が飛ぶ。
斬撃と衝撃派は似ている部分があるが、威力や貫通性は全く違う。
「おらよっと」
(重い斧をあれだけ早く振り下ろせるフィジカルとその感覚!)
急に距離を詰め、腕を落とす!
「ナッ?」
「詰めたら勝てるとでも思ってんのかぁ」
ショルダータックルが放たれる。
ショルダータックルとは、相手の肩に自分の肩を当てるタックル。相手の体勢は大きく崩す。
そして、すぐにナーガの左ストレートがレオナの腹に炸裂した。
「グハッ」
レオナは二の丸の壁に吹き飛ばされた。
なんという、パワーである。
「まだまだ!能力解放」
「ほう、こい」
「土邪凝固!」
「土岩拡散弾」!
岩と岩を当て砕き、弾丸のように飛ばす。
ガガガガガガガ
しかし、その程度の攻撃ではナーガに攻撃が当たらなかった。
「チッ!効かないか」
「無駄だな」
「地割崩壊」
地面を圧倒的な力で殴り付け地割れを起こし攻撃。
相当な力がないとできない技。
ドゴッ
ここで、レオナが壁に触れ、何か考えている。
壁を両足につけ、土邪凝固で壁に岩を生成。
勢いで、レオナがぶっ飛ぶ。
(技術はあるなフッ面白い)
(だがっ甘いっ)
「そこの着地を狩るッ」
フンッ
戦斧を振る。
レオナは知っていた。ナーガがプロの戦斧使いであることを。斧の弱点は空中での大ぶりである。
それを知っている、ナーガは着地を狩ることに意識を向けていた。しかし、レオナは読んでいた。
「猟犬反動侍!」
移動距離の長い回避技。咄嗟の攻撃にも問題なく攻撃を避けられる。
「6連斬り!」
最大6回攻撃ができる。隙の少ない相手にも対応できる。
レオナは猟犬反動侍に続けすぐに、二つ目の技、6連斬りに成功した。
咄嗟に斬撃と攻撃を弾き飛ばすがナーガだが、怪我をする。
チッ(中々やりやがる)
「ここで押し切る!」
「猟犬反動侍!」
「バカがっ」
床をすり抜ける戦斧。
ナーガ。能力解放。
「透撃」
勝負はトドメを刺す時が一番油断に近い。
何かが砕ける音。