17話 組織編 アズール大陸
転送した場所はおそらくアズール大陸の西側ぐらいだろうか。ハージさんが話していた内容によると北は龍神族の住処で南と東は森であると言っていた。俺とハージさんが住んでいたのは東側で緑が生い茂っていた。西は広く背が高い草が広がる草原だと聞いている。ならば、ここはアズール大陸の西側で間違いないだろう。なぜ俺たちはアズール大陸の西側に転送したのか。そんなこと今考えても仕方があるまい。
「レオナ、あれは村か?」
ハールがそう問いかけてきた。遠くてよく見えはしないが、村であった。行ってみよう。レオナが言った。村の近くに来ると村には灯りが灯っていて、鍛冶屋や道具屋など種類は少ないが店が並んでいた。村人は牛や豚を飼っていた。大きな道からは旅人と思われる人が馬に乗ってこちらに向かっている。村の住人にここの現在地を聞いたら、やはりアズール大陸の西側が間違いなかった。どこからきたか場所を問われたが、「変な石を触ったら転送した」なんてことは言えないだろう。転送なんて魔法や禁呪などのレベルである。デイモンが魔法をあまり習得していないことを察するにデイモン以外の人物が、この石に術式を刻みデイモンの渡したのであろう。恐らく、デイモンより格上の、、三貴魔。
「レオナ、なにぼーっとしてんだよ。聞いてる?」
「え?」
「だから、俺たち次、どこ行こうかって」
「あー」
「俺的にはナール大陸はどうかなって」
ハールが言った。ハールの意見を聞くと、地獄の奴らはナール大陸を主に活動しているらしい。これは少し前に聞いた。ハールが村の人に聞くと、ナール大陸に地獄の者がいるなんて誰も知らないらしい初耳だったと聞いた。村の人によるとそんなことをしたら、天地獄錠令に違反するらしい。第三条に「互いの土地に干渉べからず」と書いてあるという。詳しくは俺も知らないが、そして、ナール大陸に行くにはフィーリン大陸の北に行きそこから、ナール大陸に行けるそうだ。だが、ナール大陸に入るためには入陸証を貰う必要があるらしいのだ、とても面倒くさいシステムになっている。入陸証の獲得の仕方までは分からないらしいが、そこまで情報を入手できればなんとかなりそうだ。村の人々には頭が上がらない。ナール大陸にいけば三貴魔に会えるかもしれない。デイモンが言っていた「王はナール大陸にいる」が本当だとすると、そこでフュエルノルから鍵を取りそこから天界に行く。今の俺で王を倒せるのか?三貴魔にまだあってもないというのに。そう考え事をしているとハールがレオナの顔を覗き込んだ。
「大丈夫か?」
「大丈夫、少し考え事してただけ」
「ハール坊、野菜いるか?」
村のおじいさんが言った。ハールはすでに村の住民と仲良くなっており、レオナはその社交性の凄さに少々驚いていた。
「おっちゃん名前きいてもいい?」
「おう、俺はタスハ・アースだ!ハール坊、忘れるんじゃねえぞ!」
「おう!」
俺とハールは、タスハさんや村の人達に別れを告げ、まずはナール大陸に行くためにフィーリン大陸を目指して冒険を始めた。行き方なら他にアズール大陸の西を北に進み、それからフォルスト大陸を経由しナール大陸にも行けるそうだが、ハールのわがままによりフィーリン大陸を経由する道となった。ハールになんでフィーリン大陸を渡る方にしたん?と聞くと、剣技戦というものが、数日後、フィーリン大陸であるらしい。
「もしや、出たいのかハール?」
ハールは目が輝かせ頷いた。剣技戦の話も先ほどのタスハに聞いたらしい。なんと言っても、刀使いや、魔法使い特醒者が出るとかなんとか、かなりの実力者が集まる大会になりそうだ。
「ハールが出るなら、俺も出るしかないな」
「レオナも出るんかもしかしたら、決勝戦で会うかもな」
「その時は俺降参するかな〜友達と戦いたくないし」
「嘘つきレオナ暴発してんで」
村を出て数十分経ち、もうそろそろ森に入るところであった。この大陸7つをまとめて『新生命区』という。別名『クレアドル』。これは天地獄錠令を立法するときに名付けられた。このアズール大陸は比較的安全な場所である。アズール大陸の特徴といえば、東側でレオナがハージと共に暮らしていた家の上ぐらいに大きな都市『ウィリアム』という街がある。そこはアズール大陸で1番大きな街である。龍神族などや多種族との交流が深く、人々はとても森を大切にしている。アズール大陸の森は比較的穏やかで魔物や盗賊などはあまり居座っておらず静かな森が多く点在している。
森に入るとレオナは森の景色に見惚れていた。レオナはハージとの修行にほとんどを捧げていたため、アズール大陸の森や平原のことはあまり知らずとても新鮮な気持ちでいた。ハールは少し興味津々でリスや動物を追いかけ回していた。この森には小さな川が流れていた。その川に動物たちが水を飲んだり、魚を獲っていた。川には鮎などの小魚が泳いでおり、水質などとても綺麗でこのまま飲めてしまうのではないかと思うくらいであった。葉は風が吹くたびに揺れ、枯れた葉は落ち、土の栄養分となる。また、樫の木の匂いが森に充満していて心が落ち着くような感じがした。森の道中で、果物を見つけた。これはリンゴだ。ハールがレオナの前に立ち、任せてとハールが言った。それにレオナは少し呆れながらもハールに賛同し、ハールに向かってリンゴを投げた。ハールにリンゴを投げると瞬く間に、リンゴは真っ二になった。果汁がレオナの顔面に全部飛んできたが、それは後で叱るとしよう。俺がさっき賛同したから俺も共犯?誰が言ったそんなこと。リンゴはとても甘かった。その代わり俺が顔はべちゃべちゃになったが。川で洗うとしよう。そんなこともあり、俺とハールは徐々に歩みを進めていた。ハールが途端に歩みを止めた。
「人がいる」
とハールが言った。二人のがいる空気に緊張が走る。
森を抜けると、人々が争っていた。




