15話 樲城編11 デイモン戦決着へ
数千年後
私はあの場から逃げることしかできなかった軟弱者だ。必ず、獄炎の王の首に刃を振るう。ヤードのためにも世界のためにも。
そうハージが言った。
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【能力の再構成に成功、進化に成功】
記憶はここで終わったようだ。ハージさんと過ごした2年間。この間、俺は何を学んだ。武術。剣術。体術。様々な技を学んだはずだ。だが、今の俺はどうだ。鞘はデイモンの斬撃でボロボロになり、俺がハールの足を引っ張ってこれでいいのか。
嫌でも思い出すあの日。
「我は龍神族、我の血を贄とし、我の魂を門とする、地獄の門より発生せし魔の血を鎮めよう、
開け地獄門!! 我はもう長くない……ここで死んでも代わりないだろう」
ハージさんに別れ際に言えなかった。
ありがとうと。今でも覚えてる。一緒に食べたカレー。常に高みを目指したあの場所。
小屋から出ると涼しい風のレオナの頬を撫でてそのまま草や花を靡かせていく。それらを感じながら一日また1日が過ぎていく。そのような生活をしていた。この日が永遠に続けばいいのにと思っていた。
また、逢えたらなんて言おう?
「お久しぶりです、ハージさん、、!」
これか?
「ハージさん、いつもと変わりないようで!!」
これか?まず会える日が来るだろうか?そんな時は俺はもうこの世界にいないかもしれない。この記憶はなんだ?
「あぁ、言っときたいことがあるんじゃ。儂のことなど思い返すな。儂はすぐに忘れられる。だが、自分の生き方など迷う必要はない。お主は儂の弟子じゃからな。弟子がそんなちまちま心を折っていると儂も困るぞ」
ハージさんそう言って、大笑いした。飛んだ冗談を言う人になった。ハージさんがこれ以降なんと言ったかはよくわからない。だがレオナはハージさんの記憶を経て目的が一致するハージさんがやり残したこと。ハージさんが果たせなかったこと。今、しみじみ思う。これが、こういうことがあなたのやりたいことだったんですね。
起きろ。レオナ。
動け。
友の為に。師匠のために。
「お前はその程度の人間か。」
誰の声だろう。これはハージさんでもハールでもない。俺が師匠に会う前の記憶。
意識が遠ざかる。知っているこの手なんど握手を交わしただろうか。なんどこの声を聞いたのだろうか。回数などどうでもいい。覚えておくのは数字じゃなく想いや言葉であり数字などあとから手に入る。これはハージさんの声と手だ。
「レオナ。超えろ。」
「起きろ!!レオナ!!」
ハールの声だ。戦っているのか?
でも、今の俺の実力じゃ.....
「くっ!俺はお前の共に戦ってきた!!勝手に死んでんじゃねぇ!!そんなん俺もお前の師匠も誰も望んでいない。」
「そうだ、俺だけ、勝手に....」
「お主は儂に勝った誇れ。年寄りの儂に勝てるぐらいの実力があるんじゃお前は強い。自信を持って突き進んでこい。それがお主の新しい生き方になるのではないのか?」
「ありがとう。」
「ハージさん」
「俺、胸張って生きるよ」
能力解放 【原初の炎】
【フェーイヒカイトを獲得】
【確認しました。能力の再構成。成功。進化に成功。】
【原初の炎と土邪凝固の合成。成功。】
能力解放。
【炎土原初之壊王】 【イグニス】
【フェーイヒカイトを獲得】
「おきて、ハール」
デイモンはすぐに気づいた。やつは強くなったと感じとる。
「何をしたの?」
デイモンがそう問いた。正体の分からない威圧が辺りを埋め尽くす。デイモンはさらに警戒を高めた。
「ああおはよ、おまえ、いつもよりあったかいな。すぐに戻ってくるからよ....」
ハールはレオナの意識が戻るまでレオナに声を掛けてデイモンの攻撃から耐え続けていたのだ。ハールの限界などもうとっくに超えているのだ。しかし、ハールはレオナを信じ続けた。必ずレオナが戻ってくると。レオナは自分の刀を見ていた。自分がもう少し早ければハールは間に合っていたのか。
「チッ炎避球」
無数の炎の球がレオナの四方八方から襲い掛かる。
レオナは、手に炎を纏わせ刀身をそっとなでる。
「炎刀」
その刀身は美しく、輝きを放っている。レオナが使用している刀はハージさんの武器庫にあった物である。その刀は名工ブフフによって制作された神器であり、ブフフが作る神器にはある潜在能力が埋め込まれている。名工ブフフの能力【神器共鳴】装備者と神器が共鳴し、潜在能力を解放する。また、装備者との能力に応じて進化しバフ効果をもたらす。レオナの武器【執炎瀑也刀】は元から刀身は黒く漆黒の刀であった。しかし、レオナの能力が覚醒し神器は主人の能力に合わせて進化するのだ。色は赤黒い色に変化した。これはブフフが作る故の能力でもあるが、ブフフの力はそこの更に上をいく物であった。特定の属性によるバフ効果。これはブフフが名工と言われる所以でもある。執炎瀑也刀の効果。炎による攻撃が威力や鋭利性が増す。
(何この威圧......ここで殺らなきゃ殺られる!)
「一撃で決める」
「こちらも同じだ。そろそろ本気を出したらどうだ。へぼ魔人、いや、魔神」
レオナがそうデイモンに挑発をした。もちろん乗ってくる。
「行き場のない空間に切り裂かれて死ね天地開闢!!」
(兄が放つことに成功した究極の技)
あれが、空間切断....なんて速度。それを実行できる技術。天地開闢は威力が強く又は速度もかなり早い。歴史を変えた五大魔法の一つ。魔法の真骨頂 【天地開闢】空間切断。そのままの意味で空間を切断する。破壊力は桁違いである。切断する時には、線が現れ使用者の意思で発動までの時間が決まる。しかし、同時に他の魔法は使用できない。これにより、空間を押し殺す事が可能になり空気を圧して高速移動が可能になる。
また、空間を圧して攻撃する事も可能である。
だが、デイモンはまだ天地開闢を使いこなせていなかった。
(くそっこの魔法が使えればあいつなんて余裕なのに。私の技量が到底足りない。)
「なぜ、魔神が天使の技を。理論上では魔神はできないはずだ。」
「どうせ死ぬのにそんなこと考えてなんの意味がある」
「そうだなどうせお前は“死ぬ”からな」
レオナの挑発が加速する。
「死ぬのはお前だ!!!!!!」
デイモンが攻撃体勢を取ろうとするがレオナが先手を取った。
「炎刀 極炎刃!!」
動作が細かい刀の動きとその後にくる炎の圧倒的な質量攻撃が強みである。素早い動きでデイモンの腕を細々と小さく切り裂き斬撃を入れる。
「なっ再生が遅いだと.......」
イグニスで敵の腕を炎で覆うことによる。再生阻害。まさにキラーである。しかし、あの天地開闢が厄介だ。あれのせいで思うように前に進めない。
だが、ここままでは再生されるのがオチである。
しかし、この状況を一番理解したのはレオナではなく、デイモンであった。レオナの弱点。それは目の使い方又は視覚である。レオナは己の潜在能力の高さが故に今まで能力頼りの行動に頼ってきたのである。それは、判断力の高さや野生の勘などそういう力ばかり頼ってきた。デイモンは少し前から冷静差を取り戻し、レオナの弱点に気づいた。
レオナがデイモンを見ながら進む。
(このまま、一気に詰める!)
「そこに隙!!」
デイモンは消えたのだ。レオナの視界からだ。デイモンはレオナの隙を見出し姿勢を咄嗟に低くしレオナの視界から消えた。土壇場でこれをするなどデイモンはとても冷静であった。レオナは驚きが隠せなかった。
「なっ!?」
地割崩壊
デイモンが地面を圧倒的な力で踏みつけ地割れを起こし地面が割れ、地が隆起しレオナはその反動で宙に浮いた。10mほど宙に浮く。レオナ。
「着地を狩るッ」
紅拳 デイモンの拳にフーガの炎を纏う。空中での体勢を失ったレオナに対して降り注ぐ拳。避ける間もなかった。強く壁に打ち付けられるレオナ。強く壁に打ち付けられ肋骨が折れていた。レオナは体が動かせずただ呆然と見ることしたできなかった。
「強くなったところで私には勝てない」
(まずい、やられる)
「燃え盛れ炎の渦」
炎の風を一点集中で相手にぶつける技。
(また、負けるのか、俺は)
本丸に響き渡る刀の音。
「なっ」
「やっぱ、防御は二刀流じゃねぇとなぁああ
二刀流 斬擊豪雨一刀斬!!!!!!」
ハールがレオナの目の前に立ち、炎を断ち切った。
「そうだ、俺は1人じゃない。仲間がいるっ!!」
俺の全てのこの技に乗せろ!
「原初の炎 炎岩堕鉨!!!」
隕石を高度1万kmから、落とす。サイズは小さいが強力である。
炎岩堕鉨はデイモンの再生能力を上回る。魔人からしたら炎は再生阻害に有効である。それとともに、高出力、広範囲、高質量の炎岩堕鉨はかなりの威力を誇る技である。
「はぁ???んなの聞いてねぇええええええ..........再生が追いつかないッ」
煙が本丸に漂う。レオナとハールはとても疲れ切っていた。煙が消えてくるとデイモンの姿は跡形もなく消え去っていた。
デイモンがいた場所には黒く水色に光る石のようなものが落ちていた。レオナとハールはそれがよくわからずとりあえずハールの家に持ち帰って調査しようということになった。
デイモンを倒して2日後。城は誰もいなくなってしまったらしい。魔人たちはナール大陸に行ったのだろう。今、現在ナール大陸がどうなっているのかわからない。
ハールの家は相変わらず綺麗で常に整理、整頓されていた。キッチンでは研いだ包丁が置いてあり、窓際には観葉植物が並べてあった。ラーメンかカレーどっちを食べるか聞かれたので、カレーと答えたら、ハールはニコニコしてカレーを作り始めた。
ハールは包丁捌きがとても上手くさすが朧流の人間だと思った。ハールのカレーはお肉がごろごろ入っていた。野菜はあまりなく、ビーフカレーということが一目で分かった。「いただきます」レオナとハールがほぼ同時に言った。
カレーを食べているとハージさんとの思い出が蘇る。ハージさんが作るカレーはとても美味しかったハージさんのカレーはお肉とじゃがいもがごろごろ入っていた。まるで今食べているハールのカレーのように。
「レオナ?」
「ごめん、考えごと」
「何考えてたん?もしや?」
「違うわ、いいから食べるぞ。やることあるんだから」
「ドスさんにあの石を見てもらうんやろ?覚えるってそんなん」
俺はこの風景が永遠に続けばいいのにと思った。
笑顔が絶えない食卓。
ご飯を食べる手が止まらないほど美味しい食事。
これほどまでの幸せを守り続けたい。




