14話 樲城編10 龍神族の生き残り
何時間たった?俺は何しにこの地上に来たのだろうか。目的は全く持たずただ王に会いに行きたい。や、王を倒したい。さまざまな感情が入り乱れる。
俺は何をしてたっけ。それすらも覚えていない。
「動け 友の為に...」
誰かが俺に言っている。これは誰の声だ?俺が初めてハージさんと戦った日。ハージさんはよく笑っていた。俺は怖かったなぜ戦いの最中で笑みが溢れるのだろうか。
『人類、空に近し使は空を制し魔は地を貪る。龍はそれを傍観す』
これはハージさんが言ってた言葉だ。
「人類、使、魔、龍」
創造主が生み出した4関係。人類は空に近づいた。使は.........で、ハージさんはなんと言ったっけ。色々な記憶が溢れ出る。知っている記憶。これは知らない記憶。ハージさんと戦った日はいつも負けていた別にそれに恥は覚えていなかった。俺が、ハージさんと強く繋がったあの日。ハージさんが地獄門を開いた日だった。あの時、俺は地獄に行く前に数多の記憶が俺の中に流れてきた。
数千年前。
「こんな敗北感は久しぶりだ、いつだろう。」
これは存在しない記憶?否、心の奥底に眠る。
いつかの記憶。これはいつだ。知らない記憶。
「ああ、これが僕の初めての敗北か?」
ハージさんでもない。ハールでもない俺が知らない声がこう言った。
「堕ちろ。地に。」
誰の声だ?これは俺の記憶ではない。これは、ハージさんの記憶?
「龍神族なのに固有能力も使えないのか。なんともみっともなく愚かだ。お前は我ら龍神族の顔に泥を塗った。恥を知るがいい」
ハージさんなのか?あの時会った時より身長は低く髪は黒髪である。これは子供の時の.....
「僕はまだやれます。族長!!」
声高い子供がそう言った。しかしその族長とやらの顔が一つも顔色を変えることなくハージの顔を睨んでいた。それはまるで冷えた鉄の塊のようだった。
それから、子供のハージを追ってみた。
彼は、怒られては泣いて怒られて泣いての繰り返しだった。彼らはアズール大陸の北部で過ごしていた。崖が綺麗で空は青色、夜には星がよく見え龍神族たちがよく空を飛んだり、星を眺めたりしていた。上位生命体であるハージは固有能力が使えず泣き続ける毎日だった。皆は使えて僕だけが使えない。
その時、悲劇は訪れた。
第一次地上侵攻が始まったのだ。
原因は獄炎の王の裏切りであった。
獄炎の王天地獄錠令 第二条【使と魔は互いに危害を与えることを罰す】に違反した。
その後、龍神族の村に魔人が攻めてきた。獄炎の王は積極的に上位生命体を殺すために、力のある三貴魔を配置した。多くの上位生命体はこの3人に負けた。それにより上位生命体は数を減らしとても稀有な存在に成り上がっていった。その報告を受け、原初の王は焦りを覚えた。このままでは地上が滅びる。それは原初の王からすれば『計画』が邪魔されるようなものだ。そのため一人の人物がアズール大陸の北部に向かわせた。それは勇者の神 【ユード】。彼は、白髪の男性であった。ユードはこの場所は大変危険であると感じ取った。ハージ意外と人は避難又は殺害された。ユードは原初の王からの命を受け、この地上に立った。王の計画を邪魔する生き物の駆除だ。
(特に、あの三貴魔といったやつか。あいつらは少々手こずる相手だな。とりあえず辺りを散策してみよう。地上など前回に偵察行ったこれっきりだ)
アズール大陸では特に魔人、三貴魔による。被害が大きく数時間で甚大な被害が起こった。そこら中に魔人又は魔神がいるという訳ではないが彼ら3人の力が強大な力ゆえの被害である。ユードが飛んでいると一つの大きな集落を発見した。断崖絶壁の崖の上で岩を積んで建物、施設が建っている。技術はそこまでだが、普通の種族にこんな芸当はできないだとユードは察した。なぜかというと岩のサイズが格段に大きくかなりの質量を含んでいるのだ。集落に立ち寄ってみると誰もおらずにただただ、大粒の雨が地面を強く叩き、岩岩の隙間に水滴が落ちた。家の中を覗いてると数時間前まで誰かが住んでいたのだろうと思えるほど掃除され、焚火が、落ちてくる水滴を蒸発させていた。焚火はまだ新しい木が燃やされていて、今後入れるための木材は雨に浸され腐っていた。机には様々な果物や木の実。野菜やお肉などが並べられ、夕食の途中であったというのがよく分かる。彷徨っていると小さな子供の泣き声が聞こえた。
ユードは動きを止めるほど違和感を感じた。それは気配が感じなかったのだ。子供の泣き声を聞くまで子供がいるということを。感じることができなかった。天界でも上位に君臨する勇者の神ユードが、生後数年の子供一人の気配を感じれなかった。
ユードは子供の存在を探し見つけることができた。
その子供は部屋の奥深くで隠れとても怯えていた。
当たり前だ。お前以外誰にもおらず子供を見捨て逃げるような大人達だ。ユードは少し胸の内に怒りを覚えた。
ユードは子供に話しかけた。
「お前。よく生きているな」
ユードの声は思ったより低く優しい声色だった。
ユードが話しかけてもハージは泣いたままだった。ユードは少し困惑した。
「お前、名前は?」
今にも泣きそうな顔をグッと堪えハージは顔を上げてこう言った。
「ハージ・アストレア・アーサー」
「ハージ.....わかった。男の子なんだからそうわちゃわちゃ泣くな。自信持って生きろ。心が折れれば夢は潰え、希望も無くなり、大切な人にかける時間も費やすことができなくなる」
ユードがそう言った。
「ごめんなさいお兄さん」
「ゴメンナサイオニイサン」
そう誰かがカタコトのような言葉で言った瞬間ハージの後ろから鎌が飛ぶ。ユードは飛んでくる鎌を取りそいつの顔面に投げた。ユードが投げたその鎌は顔面に直撃しそいつは笑った。そいつは角の生やし背は2m近かった。確実に魔人だとユードは思った。
(常に奇妙な笑みを浮かべる訳のわからないやつだ)
ユードは一瞬で察した。彼があの三貴魔だということを、ユードを思考する。あいつの後ろにいるハージが危ない。ハージはまた泣き始めた。よく泣く子供だ。
「お前なあうるせえな」
魔人がそう言った。その時、魔人の顔面を貫通した鎌が魔人の手中に収まりハージへとその鎌を向けた。しかし、魔人の鎌は当たらなかった。ユードがハージを移動させたのだ。あまりの速度に魔人は驚きを隠せなかった。
「そおだ、俺の名はレナトゥス・チューク、実力どおり三貴魔だあ。」
レナトゥスがそう言った。ユードはハージを逃すための時間を作る。
「ハージ!逃げろ俺はこいつを相手にする」
「で...でも」
「行け!!男だろ!任せろ」
「行かせねえよ?」
レナトゥスがハージに攻撃を仕掛けるがレナトゥスの攻撃がハージに届くことはなかった。なんとか、ユードは防ぎ切ることはできたが、相手の物量が想定外に上回った。まるで別次元の力だ。地獄と天界の力は創造主さまにより均等に割り当てられたはずなのだ。だから、今までの衝突ではこのようなことはなく、いつも互角の戦いであった。だから、天地獄錠令が制定され世界のバランスを保ってきたのだ。
「なんか驚いているようだけど?どうかしたの」
レナトゥスが言った。
ユードがレナトゥスの隙を突いて腕と脚を切り落とした。ユードの能力【召剣幅刃】により剣に多種多用なバフをかけることができる能力。使用者の力が極大であればあるほど強さは増強し力を発揮する。
ユードは先の振りで防御無視の魔法とユードの能力のスキル【俊敏の痕】により剣を振る速度を倍増させた。ユードは天界の民または神であり、魔法を使用することができる存在である。ユードが後ろを振り向くとすでにレナトゥスは腕の再生を開始し脚はもう時期、再生が終わろうとしていた。
「どうかした?」
明らかに再生速度が比ではないのだ。
ユードはこれでも冷静を保つ、だが、ユードは信じられなかった。これほどまでの再生能力を持つ魔人を初めて見たからだ。しかし、明らかに効いているはずなのだ。防御無視の魔法をかけながら、断面を炎で焼いているからだ。なのに、レナトゥスはその攻撃より遥かに上回る再生速度でユードを圧倒した。ユードの攻撃が効いているのは確実だ。ほんの少しだが、レナトゥスが怯み、再生速度が遅くはなっている。
「このまま、全て斬る」
ユードがそう言った途端。レナトゥスは「ダメ」と言い、ユードの腕が空に舞う。ユードからの出血が止まらずにいた。しかし、ユードは歩を止めずレナトゥスの首を切り断面を炎で燃やした。やはり炎で燃やすと再生速度が落ち、隙が生まれる。
「忌々しい炎が。全て消え去れよお」
レナトゥスは炎に強い怒りを覚えていた。レナトゥスの能力「断環回帰」肉体の5秒前の状態に即座に巻き戻す能力。
「回帰」
レナトゥスがそう言うと。レナトゥスの体は全てが元に戻り、全回復を遂げていた。この世界には天界には魔法を地獄には禁呪が分け与えられている。
魔法は人々のためや、将来のためや、今後の危機のためなど、あらゆる世界の事象を解決または救うために開発又は、ヴェルンダが受け取ったが禁呪は戦いのたまにしか考えられていないものである。
「禁呪 斬痕迩。あららもう死んじゃった?面白くないなこいつは」
知らない人影がレナトゥスに話しかける。
「レナトゥス。お前は遊びすぎだ。獲物は早く仕留めろ」
「はいはい」
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