01話 始まりと道
【始まりと道】
「ここは....」
高い場所から落ちた気がする。なのにどこも痛みも感じないしまるで輝く虚無を見ていたかのような。なんとも表しにくい感情である。目を開けると青い空が見えた。青より暗い。
影もない。
どこからか足音が聞こえてくる。
「ホッホッホッお主天界から落とされたのか?わざわざ助けてやったのじゃ感謝せい」
困惑があり言葉を詰まらせる。
「あ、ありがとうございます」
「誰にやられたのじゃ?人間か?」
自分の記憶では空から落ちたとしかわからない。
「わからないです」
おじぃちゃんは一旦、レオナの顔をじっと見つめ何か気難しいような顔を浮かべ口を開く。
「お主復讐心に燃えておるな。じゃが......今のお主では勝てんお主は【能力】という概念を知っている
か?
「能力?.....魔法とかですか?」
「魔法とは本質的に違う能力とは自分の体に元々あるものじゃ、だが最近のものは全くもって能力を開花させれておらん能力とは魔法とは格が違う。
力が欲しいか?」
「はい。」
「奴が復活したのなら儂も手伝わん訳にはいかんからのう」
おじぃちゃんは小声でそう言った。
「なんか言いました?」
おじぃちゃんはストレッチを始めた。まるで何かをするかのように。
「ついてこい、訓練じゃ」
「でも、その体で大丈夫ですか?」
「ああ、小僧にいたわれるほどヤワな生き方はしておらん。まずはお主の強さと能力を見極めるついてこい」
「って。どこに。」
おじぃちゃんと出会ってすぐ近くに一つの小屋があった。その小屋は話によるとおじぃちゃんの部屋らしくかなり掃除されていた。小さく訓練するような部屋ではない。
「ここは?」
何も無い広い空間。四角い空間でまるで現実世界にいないかのような感じがする。
「ここはな天才の魔術師が作り出したいくら壁を壊そうとも治る。じゃからいくらでも戦えるのじゃ」
(どーやって、こんな芸当が)
「そして時間の流れも外と比べても遅い死んでも大丈夫じゃ、ここに敵を呼べばいいんじゃないか?と思うだろう?」
「はい」
「ここは外からの攻撃に弱い、外から攻撃されればすぐに壊れるのじゃ」
「死んでも大丈夫じゃ
それに敵を入れてしまえば敵も不死身になる」
そう、この空間では死が存在しなくなる。故に訓練所としてよく使用される。だが、悪用する人もいないわけではない。
「まあ、そんなことは気にする必要はない、お主がすることはただ1つ」
おじぃちゃんは何処か楽しそうに笑みを浮かべていた。そしてレオナに指を差しこう言った。
「ワシと戦い続けることじゃ!!死んでも、負けても向かってこい!見極めてやろう......こっちへこい」
こっちへ来いと言われ案内させられた。この小屋は思っていたより広かったのだ。少し違和感を覚えるレオナ。(なんだ、外から見ると狭かったのに中は広いな)
「武器庫じゃ、好きなものを選べ。
儂は素手じゃ。」
レオナは迷う。斧、大剣、剣、盾、杖?、レオナからすれば何も納得いかなかった。
「一番楽しい武器はなんですか」
「一番楽しい武器か、それりゃあ、刀じゃ」
「それなら刀で」
「よろしい。こい」
(まずは距離を取り相手の動作を見る)
(これは鉄則!!!)
「こないのか?では儂からッッ」
一瞬で距離を詰めるおじぃちゃん、レオナはその速さとレベルの高さに驚く。
(速い、なんだこの爆発的初速!!)
刀と拳のはずなのにおじいちゃんの拳は刀を打つ時と同じ音が響いた。それはかなりの力を要する。そう、おじいちゃんの拳は鉄と同等これは相当の鍛錬と努力が必要である。
蹴りと刀のぶつかり合いしかし、レオナの刀が押される。
(なんだこのおじぃちゃん!?)
「ホイ後ろじゃ」
「なっ!後ろ!?」
足を引っ掛けるおじぃちゃんそれにレオナは引っ掛かり体勢を崩す
「なっ!?」
おじぃちゃんの拳がレオナの腹に入る。衝動でレオナは宙に舞う。
「まだまだじゃッ」
「クッ!」
そして更にレオナのみぞおちに蹴りが入る。
「グホッ!!」
おじぃちゃんはかなり冷静でこちらを見てこう言う。
「儂の能力教えてやろう」
能力名【金銀阿修羅】《きんぎんあしゅら》)
「能力は身体能力向上と体の硬質化じゃ。
これでも弱い能力だが
充分に戦える、それこそお主のような小僧とはな
さあ来い、立ち止まるな」
「はいッ!!」
「お前の能力開花させてやろうッ」
ゆっくりと刀を鞘に入れる
「居合斬り!!」
「ほうッ」
刀が受け流され体勢を崩す。
「なっ..!!」
「能力を開花されると共に技というものを教
えてやろうッ技とは技術!!
受け流したのもその技だ」
てやああああツ
「ならば!!!」
(蹴りを受け流す そして!!!!!)
「獅子斬り!」
前方に跳躍し一回転して攻撃する。一部の敵を地面に叩きつけて起き攻めに繋げられる。
「クッ
やりおるな。まだまだ痒いが」
急いで距離を詰めるレオナ。しかしおじぃちゃんは技を残していた。
タタタッ!!!
「ちょうどこっていたんじゃ」
レオナは刀を振る。が、地と天がひっくり返る。何が起こった?レオナは理解ができなかった。理解はできるはずがない。あれは人間を超えている。
レオナは頭から落ちる。だが相手は容赦がないのだ。そうここでは、“死”が存在しないのだから。
ドンッッ!!
「まだッ!!!!!!!!!」
「イヤッ終わりじゃ」
回し蹴りがモロ入る。レオナは立てなかった。
視界がだんだんと狭くなり辺りが暗くなる。
(あぁ負けたのか)
「ホッホッ今日の修行はこれまでか.......
初めてにしてはやるのう」