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あの時こうしておけばというターニングポイントに戻れたら君ならどうする? ただし性別変わるけど。  作者: KUZ
第八話 交換日記は何度かやったが、長く続いたためし無し。
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3. ハシタナイデショ……

 すっかり春は通り過ぎ、もう6月も終わろうとしている。

 最近は暖かいというよりは、暑いと口をつく日が多くなった気がする。

 あのオレンジの日まであと半分位、折り返し地点まで後わずか。

 しかし依然として俺は、自分の進むべき道を見出だせないままでいる。

 が、分からないまでも、愛情や友情を友やなつきに注ぐ事。

 今俺が出来るのは、せめてそのくらいしかないだろう。


「ふざけんな!

 言いたい事はそれだけか!」


 これこれ葉月さん、女の子がそんな汚い言葉遣い。

 ハシタナイデショ……


「どっちがはしたないのよ!

 女の子が公衆の面前でキスするのは、はしたなくないの!」


 ハシタナイデス……


 今回のあれも、とん吉ヤスコの奴が酔った勢いで……


「いいえ、あの時2人で嬉々としてやってました。

 てか、なに未成年に飲ませてんのよ!」


 俺じゃない!

 呑ませる訳ないだろ!

 あいつがいつの間にか呑んでたんだっ。

 潮干狩りに酒持ってきてんのもアイツだし、俺に勧めてきたのもアイツだし。

 そもそも酒好きなんだよっ、とん吉は!


「バッカじゃないの!

 それはオッサンのとん吉の話でしょ!」


 そ、そうだよ……


「そもそもお酒持って来てたのも、あなたの事が好きだからでしょ!」


 は、はい……


「全部、あんたが悪いんじゃないの?」


 そうなります……

 返す言葉もございません。


「ぬぁにが、ダーリン、キスしてえ。

 バカ、そんなの、口に出すもんじゃない。

 顎クイ、ぶちゅー」


 やめてー! 


「男共は興奮するし、なつきくんはドン引き」


 酔った勢いで、ああいうのはよくあるんだよ!

 よく男同士でぶちゅ~っと。


「ドン引きっていうよりさ、胸がね、ズキッてきたんだ……」


 うっ………………ごめん。


「結局さ、私って、何にも出来ないのよ。

 あんたが調子に乗ってんの、止められないし。

 あんたがキスした時、ぶん殴れないし」


 ……………うん。


「これは、なつきくんの人生なの。

 私はただの傍観者。

 小判鮫みたく張り付いて、おこぼれ貰ってるだけ……」


 ……そんなこと、


「あるよ!

 どうせ私には、何も無いの!

 空っぽの人生に、他人の青春をお情けで分けて貰ってるの!」


 そんな訳ないよ。


「どうして?

 だって、可哀想にってあわれまれて、さげすまれて……

 お情けで他人の人生に同席させて貰ってるのよ?

 無価値なの。

 空っぽでなんの価値のない人生を、ただダラダラ送って来てただけ。

 意味の無い、無駄な人間だったのよ!」


 そんな事あるか!


「!?」


 バカな事言うな。


 確かに、お前が体験しているのは、なつきの青春だよ。

 だからって、お前の生きてきた人生が空っぽな訳ないだろ。

 病室で一人っきりで、頑張ってた日々は無駄なのか?

 寂しくて、窓の外眺めて、想像を膨らませるのは、全く意味が無いのか?


 そんな事はない!


 今のお前を形作ったのは、そんな日々があったからだろっ。

 憎まれ口叩くけど芯には優しさのある、そんな魅力的な個性、そう簡単にはできないぞ!


 お前は一生懸命生きてきた。

 それだけで、なつきと同じ、いや、それ以上の価値がある。



「……本当?

 ほんとに、私は価値、ある?」


 当たり前だろ。

 お前は病気と闘ってないのか?


「ううん……頑張った……」


 痛くなかったか?


「凄く、凄く痛かった……」


 嫌になんなかったか?


「嫌だったよ。

 ずっと、ずっと嫌だったよ……

 何で私だけって、何度もなんども……

 でも、仕方ないじゃない」


 でも、頑張ったんだろ?


「うん。

 辛かったけど、お母さんも、お父さんも、お姉ちゃんも、私を励ましてくれて……

 お母さん、お母さんの……」


 お前の人生は意味あるじゃないか。


「ううっ、うっ、うっ、うん」


 俺はツンデレ大好きだからな。

 今の葉月が一番だよ。


「だ、から、ツンデレって……言う、言ううううえぇぇん」


 いいか、人生に無駄なんて無いんだ。

 あるのは近道や遠回り。

 遠回りなんて思わずに、経験積む寄り道だって思えばいい。

 腐っちまうと無駄だけど、その無駄も後からすれば、良い経験。


「んふっ、な、何でも、ありじゃん……」


 そうだよ、どんなことも経験。

 それを多く重ねた人ほど深みが出る。

 要は、その事に気付いているかどうかなんだ。

 腐ったまんまじゃ無駄のまま……


「じゃあ、あんたは、よっぽど深いね」


 ああ、俺は無駄のかたまりだよっ。

 うちの劇団の御大に昔言われたんだ。

 挫折は諦めた時にする。諦めない限り、永遠にしない。

 前向きだろ。


「ぷふっ、学習能力の無い、あんたにピッタリね……」


 おいおい、ひでえなあ。


「ありがとね……ともか」


 ごめんな、気付いてやれなくて。

 お前はまだ、中学生なんだもんな……


「子供扱いするなっ、ブーーッ!」


 汚ねえっ!

 人の服で鼻噛むなよ!


「どうせ夢なんだから、関係ないでしょ」


 ううう、ほんと酷えなぁ。

 そんな事、女の子が……


 ハシタナイデショ。


読んでいただきまして、ありがとうございます。

次話もどうか、よろしくお願いします。

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