1. キャンプ帰りにて
全てがオレンジ色に染まった秋の夕暮れ。
柄にもなく、その美しく変わった田舎の田園風景に見惚れた俺は、さらに生涯心奪われる事となる微笑みに出会う……
江藤なつきの熱を帯び潤んだ瞳は、俺、八重洲ともかの心を永遠に掴んで離さない。
「ふーん、それでも女作っちゃうんだ……」
葉月さん、人聞きの悪い事言わないで下さい。
「永遠に掴んだ?
高校までの数年間に下方修正して頂けません?」
ま、まあそれはそうなんだけど。
でも心の中にずっと初恋の思いは有ったというか……
「そういうのは、浮気とは言わないんですか?
それぞれ2人に対して!」
ええっ!?
ちょっと、それは……
「この、浮気者ーーーーーー!」
ごめんなさい!
思いが至りませんでした!
「フン、まあいいわ、許したげる」
ありがとう。
ほんとは言いたかっただけでしょ、浮気者ーって。
「うん。
何かさ、大人の恋愛っぽいでしょ、ドロドロしたやつ」
はあ? それが大人か?
あ、でも友達が劇団内でやってたぞ。
ドロドロドロドロ。
「やっぱり!
怖いわね、大人の恋愛って」
おいおい、みんながみんな浮気してる訳ないだろ。
俺なんて真面目なもんだよ。
「そうね、あなたはヘタレだったもんね」
ヘタレと優柔不断と優しい人ってのは同類項で括れんだ。
「じゃあ、なつきくんとあんたは同類ってわけ?」
同類相憐れむってやつ?
お互い惹かれ合って……
って訳じゃないけどさあ。
実際どうよ?
なつき、怒ってる?
「ああ、さっきのキスをごまかした奴?」
やっぱ、なつきにはバレバレだよね。
いやいや、俺がごまかしたんじゃないから。
「ヤスコちゃんの言ってる事を真に受けてるの、ガキんちょだけよ」
やっぱ、そうだよなあ。
「ちゃんと説明しなさいよ」
ああ、分かってる。
ん~、ダメ元で聞くけどさ。
お前は、なつきに直接話したりできる訳じゃないんだろ?
「出来ないわね。
ただ、私の強い感情がなつきくんに影響したり、その逆も、かな」
例えば?
「私がすごく気を付けてって思うと、そこを注意してくれる。
なつきくんが凄く嬉しいと、私も同じ様に嬉しくなる」
おいおいそれって、お前は守護霊なんじゃないの?
「そんな、違う違う。
ただ、魂に寄り添うってのは、魂が繋がるって事みたい」
そうなんだ……
そういえば、今日、何か不機嫌だな。
「あんた今、帰りの車で爆睡中」
ああ、そうだろうね。
「隣のとん吉ヤスコちゃんに超もたれ掛かってんの」
そ、それって。
「なつきくんは、あんたを悪くは思ってないって事ね」
そうか……
俺はこの先どうすべきか。
なつきを幸せに出来れば、葉月も幸福を享受できる。
せめてもの俺の存在意義は、そんな感じかな。
「私にも分かんないけど、あなたがなつきくんの為に必死になってる時、あの方の嬉しい気持ちが流れこんでくるの」
あの方……
「だから今のところ、間違った方向へは向かってないと思う」
そうか、そうだな。
とにかく葉月、お前を幸せにするよ。
「ええっ!?」
たまに連絡に来るから、その時、今の幸福感を教えてくれ。
「あ、ああ、そういう事ね」
あの方がどうとか関係なく、お前となつきには幸せを感じて欲しいしな。
「あんたさ、時々キモいよね」
えーーーーーーーーーーーーっ!
「たびたび発言で問題になるんだからさ、いっぺん整理して喋りなさいよ」
はい。
昔からよく言われます。
「そ。
素直な子は嫌いじゃないわよ」
読んで頂きまして、ありがとうございます。
次話もどうか、よろしくお願いします。




