表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ガルシア戦記  作者: 千山一
第3巻 親友との誓い
93/199

第3章 他国の事務次官 No.10

「フーーーッ!!満足!満足!」


俺はお腹をさすりながら、この世とは思えないぐらいの満面の笑みになった。

“いや〜カレーは一年ぐらいは食べなくて大丈夫だな。その間に『カレー屋マルコ』に教わった食材やレシピなどを学び、研究してみるか……こりゃ、忙しくなるぞ!”

俺は店長のベルドさんに別れを告げ、宿舎に戻る途中だった。いよいよ明日には帰路に着かないと行けない。


「ん?」


とその時、見覚えのある男が歩いていた。


「よっ!ガストン!どこに行ったんだよ!もうカレーはねーぞ」


俺は手を挙げてガストンの方へ歩いていた。ガストンも歩み寄ってきた。

“ん?何か分からないが少し違和感を感じる…何だ?”


ガストンも“ハハハッ”と苦笑いをし、一瞬どこか寂しそうな顔をした。


「カレーはいつでも食べれるよ。このマルクに居たならな」

「あっ!そうか!」


俺は“ポンッ”と両拳を叩き、納得する仕草をした。


「ガルシア、暇だろ?食後の運動を兼ねて散歩しようぜ」


ガストンは“キランッ”と歯が輝くような顔をし、親指を立ててコチラに向いた。


「……ヤダ」


“冗談じゃない!!ここで従ったら、向こうの思うツボだ!”と思って拒否した。


「おいおい!ここは“分かったよ”とか言って従うんだろ?」


ガストンはあたふたし始めた。

“あっやっぱり……“分かったよ”と言ったら、どえらい目にあうぞ。やっぱり拒否しよう…”


「だからヤダ。なんか、すんげー眠たいし、面倒くさいじゃん」

「ぐぬぬぬ…」


無理矢理でも付き合わそうとしている…。凄く怪しい。俺はガストンのことを注意深く観察した。特に変わったことはないようだ。


「仕方がない……よし!カレーの資金を出そう」

「のった!」


俺は即座に答えた!

“チャンドラのことだから店を出すって言っても難癖をつける。しかし、ガストンはどうだ?問答無用で湯水の如く店を出そうが、文句を言わない!よし!ここにしよう!”

俺は不敵な笑みを隠すことはしなかった。


「……俺はいいのか?」

「いいて!いいて!さぁ、一緒に行こうぜ!」


ガストンはしばらく考えいたのと反対に俺はニヤニヤが止まらなかった。

“よし!思わぬ資金援助、ゲットだぜ!”


ーーーー


堤防の波打ち際。


ザァザァザァと海風が心地よい。

俺とガストン、カミルは腰ぐらいある柵に突っ立って眺めていた。


「気持ちいいなぁ…」


“やはり夜の海は気持ちいい。ここに来て正解だったなぁ”と思った俺は感動し、思わず魅入ってしまった。


「夜はどうだった?」

「暴動になりかけた」


俺は包み隠さずに言った。ガストンも素直に応えることに対して苦笑いをした。


「…もう少し、オブラートを包んでいってくれよ」


俺はガストンの様子を観察して見た。

“今のガストンは何を考えているのか分からない”


「まぁ、騎士と市民は良好の関係と言えないわな。しかし、前からそんなことはなかった。前は騎士と市民は助け合って良好な関係を築けていけたんだ!」


俺はビックリしていた。なぜなら、ガストンは怒りに満ちた顔をしていたのだから。


「これもトゥリオが来てからだ!トゥリオが来てから、良好の関係だったのがヒビが入り崩壊しかけている!」


俺はガストンの立場に同情し、ガストンの肩を“ポンポン”と叩いた。ガストンも一瞬、穏やかな顔になった。


「まぁ、気にすんな。もう少ししたら……」

ザクッ!!


俺は何がなんだか分からなかったが、一瞬でお腹の部分で痛みが激痛が走った。そして、その痛みが何なのかを確かめてみる。

“あっ血だ…”

再度、ガストンの方に向き合う。ガストンの手には刺した思えるナイフがそこにあった。

俺はパニックにならずに冷静になって認識した。俺は再びガストンの方に向き合った。

“あぁ、悲しそうな顔だ…”

ガストンは再び俺を抱きしめて2度、3度ナイフを刺す。そして俺の体に力が入らないことを確信すると、小さい声をかけて思いっきり海へ放り投げた。


ザバーーン!


カミルも信じられない顔で立ち尽くす。


「ガストンさん、なんで…?」


カミルも信じられない顔でガストンを見た。

そして、ガストンを見た瞬間、頭が沸点を明らかに超え、思わずナイフを握りしめた。


「おいおい…助けに行った方がいいんじゃないの?」


“そうだ。一刻も早く助けないと…しかし”

カミルは頭の中で迷っていた。頭で分かっていてもガストンを殺したいという気持ちが優っていたのだ。


「今は助けに行くけどそれを解決したら、必ず行くからな!」


そう言って、カミルも海に飛び込んでいた。ガルシアとカミルのいない海は妙に静かであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ