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ガルシア戦記  作者: 千山一
第3巻 親友との誓い
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第3章 他国の事務次官 No.7

「オヤジ!!もういっぱい!」

「もうやめましょうよ…」


俺は店のカウンターに座り“グデングデン”なりながら、酔っ払っていた。

そして、その隣にいたカミルが心配そうに座っていた。

“何故、そうなっていたか?”というと、そこには重要なキーワードが入っていた。



ーーーー


ここマルク近辺には、温暖な土地で海も上手く肉も美味い!だから、食文化に対するクオリティは凄く高い。

もちろん、カレーも同様である。

深みと辛味のあるカレーは日々、切磋琢磨して味の研究をしていた。中には世間の噂が絶えない『カレー屋 マルコ』という店があった。

そう、ガルシアの目的はこの『カレー屋 マルコ』だ!

『カレー屋 マルコ』は、数カ国に渡って歩んでいき、とうとう本場の味まで到達した。

それがこの『カレー屋 マルコ』だ!

だが、今日に限って閉まっていた。

“くっそ〜!!何とかならんのか!”


「よし!今から行くぞ!」


俺はお店のドアに近づいて歩いていた。カミルは慌ててガルシアを阻止した。


「ちょ、ちょっと待って下さいよ!店閉まってますよ。明日にはお店が開くので行きましょうよ」


カミルは俺の体を止めつつ、必死に抑えた。俺も今思えば、頭おかしくなったんだと思う。店を閉めたにも関わらず、勢いで開けさせようしていた。


「せっかく、遠い国から来たんだ!上の人にも嫌味言われたんだ!だったら、夜遅くまで開けるのが常識じゃね?」

「閉まっているのが常識です!」


俺は世間的に言う非常識を押し通してきたと思う。だが、生まれてホヤホヤかもしれないが、弟子的な立場なのでそれが通りにくい。

このカミルも体張って『常識』という社会的に教えてもらっていたかもしれない。


「まぁ、まぁ、今日は店閉まって残念だけど、明日には念願のカレーが食べれるって、落ち込まず行こうや」


怒りで忘れてしまったのだが、ガストンも同情する仕草をした。


「ヤダ……『カレー屋 マルコ』は残念ながら閉まっているが、このマルクの町には何軒あるのよ。俺調べて2、3軒はあるとみた」


俺の野生の勘で“まだ、存在する”ことを知って、ますます燃え上がるような気持ちになった。取り残された2人は“いつ調べたんだよ…”と呆れた顔になった。


「よし!店が終わる前に急いでいこうぜ」


と“ランラン”した気分で先頭に立って歩いた。


ーーーー


これが今現在に至る。

俺はマルク中歩き回って3軒の店に寄ったが、ことごとく閉店。もしくは廃業の憂き目に合ってしまった。


しかも、ガストンは急遽、トゥリオ王の呼び出しを食らってしまって王に出向くことのなってしまった。

“まぁ、騎士団長トップとはいえ、応じればすぐに行く。本当に難儀なんだよなぁ…”


「だから、もう帰りましょうよ」

「うっせ!オヤジ、もういっぱい!」


普段なら、酒乱なんて無縁のはずがこうストレスが溜まると酒乱になってしまった…。

本当に今は反省している。


「おいおい、お客さん。体に毒だぜ?もう今日はこの辺にしといた方が良いよ」


ここの店主である、エルナンデスはため息混じりで説得した。ここで2つの選択肢がある。素直に応じなければ穏便に送還するのと、強気に応じれば強制送還の2つである。

まぁ、帰って頂くには変わりはないが…。

ここで思わぬ男からの発言があった。


「アレ?どこかで見たことがあると思ったら、騎士様じゃねーか?」


その男は相当、酔っ払っていた為ここでの発言能力は皆無だった。

“騎士様”

ダマスア王国において一般の人からしても良い印象ではなかった。もちろん、騎士はダマスア王国にとって、トップクラスに誇る地位にあたるが一般人においてそんなに高くない。いや、一般人の心の中では軽蔑ですら思っていた。


「おい?これ騎士様じゃねーよな?見間違いか?もし、そうだったら生きて返してはいけないよな?」


店中の男達は次々と剣や弓、クワに至るまで握り締め、殺気立っていた。それを見た、カミルは“ヤバイ…”と心臓の鼓動が早くなる。


「まぁ、待て」


そこに助け舟を出したのは、店主のエルナンデスである。エルナンデスは差別の目で見るかなのようにコチラを向いた。


「まぁ、見た感じじゃ…この辺のモノじゃないよな?初めてに応じて逃してやる。もう2度くんなよ」

「あぁ」


カミルは素直に応じた。もし、素直でなければ袋叩きにあっていたかもしれない。だが、もう一つ厄介な人がいた。ガルシアである。


「んあぁ?オヤジ、もういっぱい!」


店内は最悪な雰囲気だが、この男の人には関係がない。


エルナンデスが“フーッ”とため息まじりで、奥に引っ込めると中から、お持ち帰り用のグラスを取り出しカミルに渡した。


「これで良いよな?さぁ、帰ってくれ!」

「あの…お勘定は?」

「いらん!」


カミルはそのやり取りはあったのだが、店内は殺気立ってて素直に応じて帰ってしまった。

あとから知った話だが、素直に応じなかった検問の人は袋叩きにあったそうな…。


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