第4章 故郷 No.2
「パチッパチッパチッ」
夜、ガルシアとベルの2人は焚き火を囲んで座る。一週間の出来事が相当ショックだったのか、ガルシアとベルは無言のままである。
「………」
「………」
「…マクロスのやろう、ちょっと頭が良いからといってふざけんじゃねーよ」
「…ガルシア、それって嫉妬?」
「…ぐすんっ」
「ごめん…」
ガルシアはベルに対して言ってはならないことを言われてしまった。分かっているよ!ああ、分かっている。俺とマクロスは天と地の差があるくらい頭が悪いよ!
けどな、藩上から追放はやりすぎだ!ちらほら忍者もついてきているし、本当に最悪だ…
「なぁ、峠山って行きたくないよなぁ」
「まぁ、そうだな…峠山かぁ」
真夜中の夜に星空を見上げた。峠山は、今は引退をしているが、かつて英雄「バッツ・アンダーソン」が廃墟と化してた町を一から作り直し、都市を作り上げた場所だ。それからというものの、町長になり町の発展したのだ。まぁ、バッツが作り上げたから居心地は良いはずなんだが、このことをベルに言うと「絶対反対!」と言い出した。うーん、本当の悩みだ…。
けれど、ベルは峠山に対して拒否反応が出るのは何故だろうか…?
こうして悩んでいると峠山に着いてしまった。
峠山の周りを囲むように木の板で覆われていた。しかしまだまだ、中規模ながら都市として発展していて若者が多いのか移住者が多く、活気で町全体にエネルギーがみなぎっていた。
そして、2人は立ち尽くす。
「…やっぱ、ダメ?」
「ダメだよ…忍者もいるし、あきらめな」
「ううう、仕方ない」
ベルは荷物を取り出すと顔にお面を付けた。そのお面は表面は白くひょっとこのお面だ…どこから持ってきたんだよ。
「…よし、行こう」
ガルシアは一瞬、固まったがあえてスルーした。
「いやいや、待て待て待てって何かない?【どこから持ってきたんだよ!】とか【そのお面、何?】とか、ないの?」
「はいはい、分かったよ!そのお面、何?」
「そのセリフ待っていました!家を片づける時にちょっど置いてあって、凄くステキだから拝借したんだよ!」
ベルは「待ってました!」と言わんばかりに明るい声で喋る。いやいや、どーみてもダサいでしょう…そのお面。
「あっ、あげないよ!俺が気に入っているんだから!」
ベルはそのお面を手放さなかった。相当、気に入っているんだな…まぁ、いいけど。それにしても、そのお面、よくカッコいいと思ったんだろうなぁ…。
ガルシアはそのお面に対して憐れみの感情の気分になった。
「分かった、分かったから。今日は一旦宿屋に泊まって明日、早くから家を探そう」
ガルシアは峠山の入り口に入るための長蛇の列を発見し、そこに並んでいた。こりゃ、時間がかかるぞ。
数時間後ー
思ったより時間はかかってしまったが、嬉しい誤算が2つもあった。まず、1つ目はアレほど殺気を醸し出した忍者がいなくなったこと。これで自由だ!ウヒョー!
次に2つ目は関門所の兵士が、誰1人疑問を持たず完全にスルーしたこと。
これは裏で何かが引いているなぁ…。その反面、ベルは「どうだ!参ったか!」と言わんばかりに上機嫌だった。
「ふふふっ見たか!騙してやったぞ!天才である、このベルさんのおかげだな。ベル改めて「策士ベル」と名乗ってもいいぞ!」
とベルは上機嫌で言った。けど、順調すぎる。何か見落としているような…。
ガルシアは「ブツブツ」と独り言のように考えていると、峠山の出口に着いた。そして、開門の兵士が面倒くさそうに大きなドアを開ける。
ギギギーっ
大きなドアは重苦しそうに開くと光が差し込む。そこには慌しい声が聞こえてきた。そしてガルシアとベルは光に導かれるまま歩いていく。
「やっと、峠山だなぁ」
「そうだな。けど、油断は禁物だな。さぁ、宿屋を探して新しい家を探そう」
ガルシアとベルが話し合っていると突然、暗くなる。
「バカモンー!!!」
と叫ぶと何やら大きな物体が空から降ってきた。
ドカッン!
そして、けたたましい音が響くと顔面が下にめり込こんだ。その人物は、よく見ると大きな木刀を持っている。年齢は初老の60歳ぐらい。それにも関わらず、ガッチリした体型だ。
「ったく、今までどこ行っとったんじゃ!」
ガルシアはあまりにも衝撃的すぎて「ポカーン」となっていたが「はっ!」と我にかえり、その初老に聞いた。
「あの〜お知り合いですか?」
「ん?あぁ、すまんすまん、初めてだったかいのう。このバカはウチの孫じゃ」
「孫!?」
ガルシアはビックリした!おいおい、孫って初めてだぞ!ガルシアは何も言えずにいると、兵士は騒音を聞きつけて走って駆け寄る。そして、その人物に気がついたのか跪く。
一方、ガルシアはビックリしたのかキョロキョロと見渡す。
「これ、跪かんか!」
兵士は慌ててガルシアの胸ぐらを掴み、強制的に跪いた。
「これこれ、無理やりしたらいかん!」
「はっ!申し訳ございません!」
兵士は強制的に跪くのをやめ、静止した。そしてガルシアは嫌な予感が頭によぎる。
「ところで、もし間違ってたらごめんなさい。もしかして、バッツ・アンダーソンさん?」
「ん?そうじゃが?」
「えーーー!!!」
ガルシアはこの世と思えないくらい大きな声で叫んでしまった。