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ガルシア戦記  作者: 千山一
第3巻 親友との誓い
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第3章 他国の事務次官 No.4

カルロスは“キョロキョロ”と見渡す。

ここ『王室』はトゥリオ王の希望で“プライベートだから、防音をしっかり!”とのことで、大規模な工事が行われた。だが、大きな声を出す実験で小さな声が、わずかながら聞こえた。

それに激昂したトゥリオ王は責任監督である、貴族を処刑し、その貴族もろとも一家追放した。

それでも部屋の音が聞こえるのが気になり、王室半径50メートルもしくは、一部信頼をおける貴族のみとなった。


「誰にもいないようなので、話をしても良いですよ」


カルロスは誰にもいないことに安心したのか、トゥリオのことに集中して、ゴマすりをし始めた。


「いや〜ガストンの相方の……なんだったかなぁ?たしか……そう、ガルシア!ガルシアって本当にムカつきますよね!?」


カルロスは“ニコニコ”しながら、またもや両手でスリスリしていた。まるで、典型的なゴマすり小僧だ。


「本当、そうじゃ!アレは本当にムカつく。人が平等と思って…我のことを平等に思っておるのか?王と騎手じゃぁ、天と地の差があるぞよ!全く、それが分かっていない!」


トゥリオ王は苛立ちでイスの肘掛けに置いてある指を“トントン”とし始めた。


「ですよね〜その根本が分かっていない!本当のアホですよ。あ〜早く◯ねば良いのに…ねぇ、トゥリオ様!」


カルロスは両手で指を差し笑顔でトゥリオを差して見せた。


「……なんじゃ?それって、バカしとるのか?」


トゥリオ王は白い目でカルロスの方に向いた。


「イヤイヤ、そんなことはないですよ⁉︎

ホラ、昔、よく流行ったじゃないですか。その名残ですよ!」


トゥリオ王もまだ、疑いの目で見ていた。そしてカルロスは又、その弁明に必死になって言い訳をしていた。


「まぁ、良い。とにかく、ガルシアはここで殺すのが確定した。ただ、どう死ぬか?すぐに殺すのも味気ない…カルロス。何かいい案はないか?」


カルロスはガルシアの殺害事項が決定した。

“そもそも、初めっからガルシアは気にくわはない。だから、王になる前にどこかウィークポイントを突いて、この世からいなくなってやろう”とカルロスが心に秘めていた。


「そうですね……」


カルロスは考えているフリをしていた。

そもそも、ガルシアの確定事態はカルロスの確定事項なので凄く嬉しいが、騎手のトップである騎士隊長、ガストが共倒れをしてくれればと思い、ここ半年この案を練りに練って考えていた。それが、ここで発揮するのだ。

だが、すぐにこの案を発表したらすぐに却下になるだろう。なぜなら、トゥリオは自分が目立ちたいだけだからである。

トゥリオが“もうこれ以上、いい案が浮かばん”となったらゴーサインだ。


「あっ!町中、ガルシアを監視して弱み脅して殺すとかはどうですかね?」


カルロスは目を輝いているフリをしながら“僕って凄い⁉︎”という顔をした。


「却下じゃな」


勿論、第一案はどんないい案があったとしても、却下なのは分かりきっていた。むしろ、ハードが低ければ、低いほどこの案が確定する確率も上がってくる。


「う〜ん、何かいい案がないかなぁ…」


カルロスは考えているフリをして腕組みをし、目を瞑る。


「カルロスはこんなピンチに限っていい案が浮かんでくるからのう。ほれ、早く出さんか」


トゥリオ王はカルロスに対して期待するイメージで“何かいい案がないのか?”を求めた。そしてカルロスも“ここだ!”という最高のタイミングで出してくる。


「では、ガストンの指示でガルシアを殺すっていうのはどうでしょうか?」


カルロスは不気味な顔でこの提案を出してきた。いわゆる、将棋でいう“王手”である。だが、トゥリオ王はあまり良い顔をしなかった。


「凄く良い案じゃのう…だが、この案は一歩間違えたら、最後じゃからのう」


“仕方がない。ここは奥の手で使うとするか”とカルロスはその提案を奥の手として出してきた。


「そう思いますよね。しかし、まだこの案の続きがあります。トゥリオ様、少しお耳を貸して頂けないでしょうか?」

「なんじゃ?」


カルロスが最後の一撃を差すべく、トゥリオの耳に囁く。最初は険しい顔だったが、徐々に顔が笑顔になり、最後は高揚感に達した。


「カルロス、お前凄いのう!あと、お前に任せる!いいか、どんな素晴らしい案でも途中で気づかれたら、全部おじゃんじゃ。気を抜くでないぞ」

「はっ、承知しました!」


“これでガストン、ガルシアの殺害することの提案が通った!”

カルロスは内心、心を踊りたい気分になってしまった。だが、トゥリオが言うように、ここで気を引き締めなければ、全て水の泡だ。

カルロスは心踊りつつ、最後のピースまで気を引き締めなければならなかった。


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