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ガルシア戦記  作者: 千山一
第2巻 砂漠の女王
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第4章 決戦突入No.4

バン!!!


「だから!今すぐ行って戦いましょうよ!」


大きな長椅子の机に響き渡った。ここ大きな砂船の会議室。

砂船の中には王室御用達があり、ゆったりとくつろいでいた。

しかし、王室御用達は不在で暗くシーンと静まり返り寂しくなっていた。要はチャンドラは行方不明になのだ。


『チャンドラ行方不明』


サシル軍の親衛部隊の中に衝撃が走る。

軍内の中には慌てふためいていたが、僅かながら光明が走る。

その人物の証言者はガルシアだ。ガルシアの話を聞くと「敵兵を脱出して“バルブンド帝国”に向かったそうだ!バルブンド帝国は険悪なムードではないのだが、隙あらば攻めようとする雰囲気がしたので、王の方針で距離をとっていた。しかし、緊急時に姫様が決断したのであれば従うしかほかならない。


「さっきからウルセーよ!戦う、戦う、そればっかりじゃねーか!テメーの頭はそれしたないのか!…ったく、いいよな。バーサーカみたいになりやがって!」


ここで、口を挟んだのがカーセムだ。カーセムは長い黒髪は後ろで束ねており“ドカッ”と椅子に座っている。口が悪いが、正義感が強く味方からの信頼は厚い。


「…じゃ、この会議を一つにまとめて下さいよ。ったく、一つにまとめられなくて、どこが隊長ですか!?ちゃんちゃらおかしいですよ!」


クバードは普段なら「絶対服従」として黙って従うのだが、この会議室の雰囲気でヒートアップしていた。


「んだと!コラ!オメーに言わられたくないわ!いっぺん、潰してやる!表に出てこいや!」


怒り心頭なのか、カーセムは立ち上がると走って近づいていた。そして、胸ぐらを掴んで“グアっ”と目を見開いた。


「なんすっか?喧嘩すっか?大人気ないですね!」


こちらも怒り心頭!お互いの胸ぐらを掴んで睨み合いをする。まさに、振り下ろしたら戦争勃発だ。


バン!!!


「やめんか!」


アイヤールは目を見開きながら大声で両手を叩く。その声は砂船中に響き渡っていた。

ガルシアもその一人でウトウトしていたが、あまりにも大きな声を出すもんだから、ビックリして正座をしてしまった。

そして、ガルシアの周りに居た、掃除をしていた軍員達は“ジーッ”と見ていた。


「…なんだよ?」


それを聞いた、軍員達は何事もなかったように無言で掃除をし始めた。ガルシアはというと“ゴロリ”とベッドに横たわり顔を赤くした。

“すんげー恥ずかしい///”



ーーー場面が変わって会議室。

緊迫した会議。

沈黙の時間が続いた。軍幹部は“ゴホン”と咳き込むとその声が響き渡る。なんだか、この空間が凄く重く感じる。


「お前ら、反省しているのか?」


アイヤールは“ギロッ”と目を鋭く睨みつける。


「はい……」

「うすっ……」


クバードとカーセムは反省した様子で頭を下げていた。

アイヤールは“フーーッ”と一呼吸をおき、クバードとカーセムに向けてこう口にした。


「まぁ、反省してないわな。だって、これで反省しているタマじゃねーもんな」


アダヤドは「ガハハハ!」と大笑いし、周囲が呆気をとられた。


「だが、サシル軍の親衛部はどんなことを言われようが真実を曲げない。真の心が必要だ。それを踏まえて聞いて欲しい!」


アダヤドはみんなの前で頭を下げていた。それがどれほどのものか分かっていた。世界一強い軍が頭を下げない。それが頭を下げたのだ!

サシル軍の親衛隊は今や強固な組織になっているが、昔はゴロツキばかりの不良集団ばかりだった。

しかし、アイヤールが来てから親衛隊の雰囲気が変わった。そして、やがて親衛隊がまとまっていき、国民にも軍にも一目、置かれる集団になっていたのだ。


「まず、すぐに攻める件だが今、急いで攻めてもオルールは強固になってしまい中々攻めきれないだろう。しかし姫様を待つ話の件だが、いつか帰ってくる姫様を待つ時間が惜しい、もしくは姫様にはそのようなことは避ければらない」


アイヤールはこのことを話をした。

“おそらく、姫様を待つ件は後者の件だろう”


「結論を言うと明日出発し、明後日の夜には奇襲をかけて決行する!」


アイヤールはそう発言し、幹部隊は「オッーーー」と叫んだ。

幹部隊の士気がますます強くなった。アイヤールはそれを見てサシル軍の親衛隊はますます誇らしくなっていた。

いよいよ、明後日が決戦である。胸の高鳴りが抑えきれなくなってしまった。


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