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ガルシア戦記  作者: 千山一
第2巻 砂漠の女王
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第3章 隣国の王No.2

首都ゴルクアーーー


モスト帝国の首都であるゴルクアは、山々に覆われて、夏だったら凄く暑いのだが、夏になると若干寒く感じる。つまり冬になると激寒になるのだ。


「おぉ〜!!!」


アゼルは上を見上げた。

そこにあったのは大きなドラゴンが“バサバサ”となびかせていた。しかも1匹ではない。数十匹が目的に向けて飛んでいるのだ。


「なんじゃ、ドラゴンは初めてか?」


チャンドラはビックリして様子を見て歩き続けた。アゼルも慌てて歩き出す。


「いや〜ドラゴンは見たことはあるのですが、1匹だけ、しかも数十匹となると圧感ですね!」


アゼルは目を輝きながらチャンドラの方に向けた。


「そっかぁ、アゼルがいた頃は成立せんだったか?」

「はい、私がバスティアにいた頃、モスト帝国が新生したと聞いていたのですが、まだ使者は来ていません。噂じゃ、ドラゴンを飼った騎士が住んでいるとは聞いたのですが……それ以上ですよ!」


アゼルはまるで少年がタイムスリップしたかのように夢中でドラゴンを眺めていた。


「正確にはドラゴンは飼っておらんのじゃ。ドラゴンと人との協定を結んでWin-Winの関係を結んでおる。つまり、一緒に住んで運ぶ変わりに、人はドラゴンに対価を支払う契約じゃ!見てみい、家も凄く綺麗で人も活気がおるじゃろ?これも協定を結んだからじゃ」


アゼルは“キョロキョロ”見渡す。

“なるほど、ドラゴンがいたから国が発展し活気づいたのか……”


「それだけでは無いんじゃ。その協定の案を進めたのは“ダスク一世”じゃ。当時、ゴルクアはドラゴンが支配してて、人と対立関係にあったんじゃ」


チャンドラは当時を思い返し、真剣な顔になった。


「当然、ドラゴンと人は険悪な関係が続いた。そこで救世主になったのがダスク一世。ダスク一世の案は大半が反対だったが反対を押し切り、単身1人で行った。その結果、見事協定を成立させたんじゃ!」


チャンドラは前を向いて険しい顔をした。


「良かったじゃないですか?血が流れなくて」

「どこが、良かったのじゃ!」


チャンドラは激昂した。それを聞いたアゼルは“えっ”と思い立ち止まってしまった。


「いいか?血が流れないということは、頭が切れて、度胸がある証拠じゃ。しかも人望が厚い……まだまだ成立して間もないが、1つ命令を下すとトコトンまで動き出す…厄介な相手じゃ」


アゼルも“あぁ”と納得した。

“新しい国、すなわち勢いのある、活気のある国だ。勢いの国だったらイケイケムードで攻めるかもしれない。かと言って友好関係であれば仲良くすることに越したことがない。

けれどクーデターで、しかも逃げる身の立場では、下に見られるかもしれない。今後のことを考えてみてりゃ、緊張するのも分かないからなぁ…何も考えずに発言してゴメン”


「そんなに心配しなくていいよ。隊長様」


アゼルは懐かしい声がして“バッ”と振り返った。そこにはベルが立っていた。


「おぉ〜!ベルじゃねーか!?」


アゼルは思わず抱きしめた。


「痛い痛い!アバラ折れるじゃねーか!」


ベルは本気なのか、本気で痛がっていた。


「何じゃ?親しいのう。アゼル、紹介せい」

「はっこちらは…」


アゼルは両者とも紹介した。ちなみにマッシュは偽名で本当の名はアゼルと言った。


「そっかぁ、アゼルかぁ…あっ、そういえばガルシアは?ガルシアだったら、すぐに昔の名前を言ってしまうか?」


ベルは“ニヤニヤ”しながら思い出していた。


「それが…戦闘中、離れ離れになってしまったんだ」


ベルは“ガハハハ”と笑い飛ばした。チャンドラも“ムッ”として顔をしかめる。


「どうしてそんなこと言うんじゃ!?」


チャンドラは“ワラワラ”怒り心頭になった。

“知り合いなのに、どうして簡単に言うんじゃ”


「あのガルシアだぜ?カンタンに死なないよ」


そう言って、ベルは再び“ガハハハ”と笑い飛ばした。


「確かにそうかもしれんのう……」


チャンドラは独り言のように呟いた。

“確かにガルシアの腕前だったら、局面を打破するかもしれない”

チャンドラは少しずつだが光が見えてきた。


「ところでうちの大将(ダスク一世)に何かようか?大将だったら今ならすぐに会えるぜ。

大将は人望が厚く、俺でも気軽に話せるからなぁ…。江上国のババとえらい違いだ。ミスも、あんまり殴らないし、監禁しないからなぁ」


“えっ”とチャンドラはタジロッてしまった。


「えっ?普通はないの?」

「普通はないぞ…そんなことできるのは、江上国だけだぞ」


アゼルは“ポンポン”と同情した。


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