第8章 旅立ちへNo.1
「フーーッ」
ガルシアは天を仰ぐように天井を見上げた。
「やっと、終わった…」
なんだか脱力感になって腰をついてしまった。すると、ロイドが立ち上がり「キョロキョロ」と見渡した。そして、魔族の姿を見てビックリしてダッシュでガルシア方へ向かってきた。
「コレ!お前がやったんか?」
ロイドは目を広げながら両手でガルシアの肩を揺さぶる。
「痛い!痛い!こっちは病人だぞ!」
ロイドはそれに気がついたのか、両手を離し「てへ、ペロ」という顔をした。
……コイツ、◯ろしたろうか?
「いや〜ゴメン!ゴメン!あまりにもビックリしちゃってさぁ〜で、お前が倒したの?」
ロイドは「本当に信じられない」顔をした。ガルシアはそれを見て「ムッ」とした。
…まぁ、俺も信じられないけどな。魔族と対峙して倒す。まるで小学生の文章みたいなものだ…。
「まぁ、偶然弱点みたいなものがあって…それを突いたものだわな…」
ガルシアは歯切れの悪いように「ポリポリ」と頭を掻いた。
「で、その弱点は?」
ロイドは鬼気迫る勢いで食い入るように集中した。
「ちょっと待って!そこまで具体的な説明いる?【魔族と対峙して倒した!】でいいじゃん!」
「ちょっとなぁ…それとお願いごとがあるんだ」
ガルシアは細かい説明に対してウンザリしたが、ロイドは何か考えごとがあるかのように説明をし始めた。
「実はなぁ…すんげぇ言いにくいの事だけど、本来、魔族を対峙したのは俺で最終的に魔族を倒したことにして欲しいんだ!」
ガルシアはビックリして体が硬直してしまった。
「お願いだ!!じゃないと俺が倒したことにしなければカーチャ(副頭領)に叱らるんだ!!だから事細かく説明して欲しい…あっ!倒した立場も譲ってね❤︎」
「………ぷ、はははは!」
ガルシアは拍子抜けしてしまって思わず大笑いをしてしまった。
まぁ、一番の功労者は俺だとカッコつかないし、上の立場だと権力争いもあるからなぁ…おじさん(ロイド)なら一番適任だ。
「いいっすよ。ただし、わきまえは俺のもんで。それが条件」
「よっしゃ!ベルとマッシュもいいよな!」
いつ気がついたのだろうか?ベルとマッシュの二人は立っていた。
「まぁ、当本人は英雄になりたがらないですし、頭領が英雄になれば友好的に進んで良い方向に行くでしょう」
マッシュは呆れた顔をした。そしてベルもまんざらではない様子だ。
「では、細かい説明を…」
ガルシアは細かい説明を説明しようとした瞬間「ダン!」地面が揺れたような音がした。
「あらあら、こんなことにいたんですかぁ〜」
リナは青筋を立てて仁王立ちをした。そして、無言のままこちらに歩いていた。やがて、小走りになり最後には全力でダッシュ!
ロイドとリナはお互い抱きつき口と口で包容し合っていた。
「バカ!いつまで待たせんのよ!」
「ゴメンよ!今は忙しくて出来ないけど、落ち着いたらね」
リナとロイドはお互いイチャイチャしている。そして親子であるベルは地獄である…そりゃ、家出したくなるわなぁ。
「ゴホン!」
ベルは咳払いをした。すると、リナはそれに気付き恥ずかしそう咳払いをした。
「失礼しましたですぅ〜まずはベルさん」
リナは「パンパン」と両手を叩き、忍者はすぐさまベルの拘束を縛った。
「えっ何すんの?」
「申し訳ございません。副頭領の命令なので拘束しました」
ベルは抵抗するも動かない。
「江上国の辛抱ですぅ〜ハイ!」
リナはもう一度両手を叩き、ベルが退場してしまった。
本当に可哀想だなぁ…。
「あの〜イマイチ意味が分からないですが、今どんな状況でしょうか?」
立っていたマッシュである。もちろん、ロマーノ王の安否が最優先なのでロマーノ王の敵だと分かれば実力差があっても戦わないといけない。それぐらいの覚悟であった。
「あ!説明不足でしたねぇ〜ここで一番重要なのはロマーノ王国と江上国が友好関係ですぅ〜でなければ2万人もの江上軍を使って囮にしないですぅ〜」
「確かにそうだ」マッシュはそう思ってしまった。
だいたい、2万人の江上軍が囮だとしても、そんな面倒くさいことしないだろう。
「分かりました。アナタを信じます。では、ロマーノ軍に説明して早速ロマーノ王の捜査しましょう」
マッシュは「ペコリ」と頭を下げながら走っていった。
ーーー数時間
マッシュは必死になってロマーノ軍を説明し、ロマーノ王の捜査隊を決め捜索する。そして玉座の下にある地下道を発見し、奥のまで進んでいく。そしてロマーノ王を発見!
しかしロマーノ王は衰弱し、あと一日遅かったら命が危なかったであろう所まで追い込まれていた。
なので、ロマーノ王はしばらく療養し、江上軍とマッシュと手分けして復興できるように協力して編成をしていった。