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ガルシア戦記  作者: 千山一
第1巻 バスティアの魔族
41/199

第7章 バスティア決戦No.13

「何か用ですか?衛生兵さん?」


ロイドは作り笑いで「ニコニコ」していた。


「しっかり聞こえましたよ。ロイドさん。それでも脱獄は頂けないですね…しかも、昼間から。居ないはずの人もいてるし…」


衛生兵はため息をついた。そして、ロイドが「ここで聞かれたのはまずいなぁ」と思い、衛生兵が葬りさるタイミングを伺う。

ガルシアも「ヤバい!」と感じ、ロイドの邪魔をしつつ無理やり衛生兵に話掛けた。


「衛生兵さん、何か空耳じゃないですか?」

「じゃ、ロイドはここに居ないじゃん」

「………」

「………」


しまった!!!

脱獄=重罪=死刑もしくは無期懲役。お子様でも分かる問いを分からなかった!!

ガルシアは青ざめてロイドを見る。ロイドは覚悟を決めた姿だ。


「冗談!冗談!俺の名は【マッシュ・バーグ】。ここから出してやるよ…まぁ、あらかたこのロイドが倒したんだけどな(笑)」


ガルシアはビックリしてロイドの顔を見た。ロイドは「それほどでも❤︎」と顔を赤らめる。

ベルの親父さん、スゲーな!下手したらロマーノ城を相手に脱獄も夢じゃないな!


「正直な話、ロマーノ王がおかしいんだけどな。まぁ、お願いがあるんだけど…」

「嫌です!」


ガルシアは両手の耳を塞がり知らんぷりをした。


「まだ、何も言ってないだろう?」

「嫌です!どうせ聞いたのなら協力して欲しいということだろう?そうは行くか!!」


ガルシアはマッシュに唾を吐きつけるように言った。


「…まぁ、身も蓋もないな。正直に話そう。ロマーノ王は魔族とすり替えて違う王になったと話があるんだ。だからその真相を掴んで欲しい。ここにはガルシア達しか居ないんだ!」

「………言っちゃよ。言っちゃった。だから、聞きたくないんだよ。聞いたら協力せざるおえないし、協力しなかったら目覚めが悪いんだろ?」


ガルシアは頭を抱え込んでしゃがんでしまった。


「分かったよ。協力する。ただし、今は脱獄が優先事項だ!ベルの親父は頭領だしベルの一声でロマーノ城を攻めればひとたまりのないだろう?」

「………」


マッシュは無言まま考えていた。

どれぐらい過ぎただろう?1時間とも数分とも感じさせる時間を過ごした。

やがて、マッシュは口を開く。


「いいだろう?ただし、俺も脱獄する。衛生兵長が脱獄の手助けをしたと噂になっちゃうからな」

「よし!成立だ!」


ガルシアとマッシュは「ガッチリ!」握手をする。ベルとロイドはまるで事前に作成で決めたかのように次々と決めていく。


「よし!決まり!気絶するとはいえ、まだ生きているからなぁ。ここは俺が先頭に立って行こう」


ガルシアの脱獄グループが決まった。

マッシュが先頭に立って相手を引きつける(今は衛生兵長として)調整役がロイド。まぁ、頭領だから後方に待機もありだが今はそれどこじゃない!今は、きき目が聞いて判断力が凄い方が良い方が採用する。

そして後方から油断をしないように注意深くするのが仕事だ。


脱獄のため慎重に歩いていく。どれぐらい時間が経ったのだろうか?もう間も無く出口は後、少しになっていた。

しかし、長時間の緊張は緩むもので何気ないドアが気になって開けてしまった。


ギギギィィィ…


中にはロマーノ王みたいな一人座っていた。一瞬でガルシアの体が止まってしまった。

そして、ガルシアはパニックになり「ぺこり」と頭を下げダッシュ!

出口の方へ逃げて行ってしまった。


「お、おい!何処に行くんだよ!」


ベルは一瞬、声をかけていたがすぐ緊急事態だと思いダッシュ。ロイドも呆気に捉えたが、後ろから迫る人を見るとすぐダッシュ。

それと同様にマッシュもダッシュ。


「おいおいおい!シャレになんねーよ!あれはロマーノ王じゃねーか!しかも、ダッシュしているし!」


ベルはダッシュしながらも、ガルシアに声を掛けた。


「じゃ、何でダッシュしてるんだ!?」

「……俺が見つけたから」

「バカやろう!!」


ベルは涙目になりながらもダッシュした。

やがて、広い廊下をダッシュすると大きな広間があった。ガルシアは観念してロマーノ王と間合いをとる。


「……やっと、観念したようじゃな?…はぁ、はぁ、はぁ」


ロマーノ王は強気の姿を見せているが、ダッシュして息切れをしている。しかし、不思議なことに汗もかかない。


「まさか、誰も来ないと思っているじゃなかろうか?」


ガルシアは「そういえば、誰も来ない?」と感じた。

派手に暴れ回ったら、すぐにでも来そうな気がするが誰も来ない?どうしてだ?


「そうじゃろ?そうじゃろ?そのまさかじゃ!なんせストップ【時間停止】の魔法をかけているからのぅ」


ガルシアは目を開き固まった。

ガルシアは「そうかよ」と小さく呟き、覚悟を決め向き直った。


「じゃぁ、生きては返せね気だな?生きて返そうと思うならこんな事しねーもん」


ガルシアは汗びっしょりになった。

魔族とはいえドラゴンやスライムなどのそういった類の種族は見ているが、人類などの喋った魔族は珍しい…それぐらい貴重なのだ。


「じゃ、始めようとするかのう?」


と言った矢先、「グギギ…」と口から漏れ、ロマーノ王の姿は大きくなり続けた。そして見るからに魔族のような姿になった。


「………」


魔族じゃん?どっからどう見ても魔族じゃん?


「さて、どう料理するからの?」


ガルシアは「ガタガタ」震え、パニックになってしまった。

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