第7章 バスティア決戦No.12
バスティアの地下牢。なんだか、特別な牢らしく誰一人もいない。そこに二人一緒に捉えられてしまった。
「うーん…」
「何回、同じことを言っているだろう?」ガルシアは下半身はあぐらをかき、腕組みをし唸っていた。
「うーん…」
「………」
過去を振り返ったが「どうして捕まらなけばならないのか?」頭で考えても分からない。
「うーん…」
「………カレー屋に行ったからじゃね?」
ガルシアは「えっ?」とベルの考えにビックリした。
「えっ?なんで、カレー屋に行ったら捕まるの?その根拠を教えて?」
ガルシアは、あまりにもビックリしてベルの質問に対して問い詰める。
「…まぁ、考えてみりゃよ。カレー屋に行くのが分かったから捕まったんだよ。いいか、最初に何か揉め事だと思って急いで駆けつけるが、肉眼で分からなかったがハッキリと【ガルシア】と【ベル】らしいみたいだと分かる。慌てて連絡をする。まさかと思うが情報で聞いた【カレー屋 マルコ】に行くかもしれない。行ってみよう!と行動するのだが、思いのほか簡単にカレー屋さんに発見!捕まえよう!…てな、感じかな?」
ガルシアは感動のあまり「パチパチ!」と拍手喝采をした!
スゲ〜どこからこんな推理できたんだよ!…待てよ?じゃ、なんで一般の人なのに、情報が出てきたんだ?
「なんで、情報がすぐに漏れてんだよ?重要人物じゃあるまいし一般人だぞ?そりゃ、一回は牢屋にぶち込まれいるけどさぁ…一回じゃ、情報には入んねーだろう?」
ベルは「うーん…」と腕組みをしながら応えていた。
「…重要人物じゃね?」
「オマエかい!!」
ガルシアは思いっきりツッコミを入れた。
そもそも、ベルと出会ったのは間違いだった…ほんま、災厄だ…。
「ちょっと待て…牢屋にぶち込まれた原因は?」
「…オレ」
「脱獄して逃避行しているのも?」
「…オレ」
「カレー屋に行って捕まったのも?」
「オレ?」
「………」
「………」
「全部オマエかい!?」とガルシアは心の中で強く思った。
…まぁ、ここで争っても仕方ない。グッと堪えて今はどうするのかを考えていこう。
「分かるよ!分かる。ベルが悪いもんな!ガルシアの気持ちは痛いほど分かる!」
突然、「パッ!」と振り返るとそこにはある人が立っていた。その人は【ロイド・アンダーソン】だ。ロイドは江上国の頭領である。しかし、今は訳あって不在である…まぁ、聞いたところでくだらないかもしれないが。
「ここ、いいかな?」
ロイドは「ニコニコ」しながら錠で繋がれたカギを、いともカンタに外していた。そして、丁寧に掛けた。
「ん?何かした?」
ロイドは呆気に取られた。
いやいやいや、おかしいでしょう?ここは、牢屋だよ?しかも、ロマーノ王国の首都バスティアだよ?
「…まぁ、気にすんな。色々おかしいことがあるかもしれんが一般的に非常識でも、このオッサンの中では常識だから」
ベルはぶ然した顔をした。
「小さい事は気にしない、気にしない!」
「ガハハハ!」とロイドは笑い飛ばした。
この世の中、おかしいだろ?ロイドはどんなに縛られても、いともカンタに外してくる、いわば天才。反対に俺を含めて一般人は錠が掛けたところで脱出不可…なんなんだ!
「まぁ、色々あるよ」
ロイドは「ポンポン」をガルシアの肩を叩き、笑顔になった。
「ところで、ここは何処か?知っているか?」
ロイドは真剣に言った。
「ここは、厳重に管理してある特別な地下牢だ。一回、二回の脱獄したところで入れるものじゃない。でなければ、隣国の頭領候補として死刑するんじゃないか?しかも、明日ではなくて今日の深夜でも…でなければ説明つかないし」
ガルシアとベルは青ざめて血の気が引いていた。
本当に殺される…確かにそうだ。現実的には「死刑?何それ?」と実感湧かなかったし、深夜には脱獄して逃げようと思ってたし、あんまり湧かなったけど、こうも現実的に突きつけらたら実感が湧く。
ロイドは「ドカッ」と腰を下ろした。
「それでな ?父さん一人で逃げようと思ったんだけど、途中でベルとガルシアの情報を聞き、慌てて帰ったわけよ。父さん、偉い?」
イラッ!
ロイドは「ニヤニヤ」しながら、ガルシアとベルを見渡した。
段々と腹が立ってきたがここは我慢すべき。
「あぁ、偉い!偉い!なんせ、頭領様だからな!偉すぎて付いて行ってしまいますわー」
ベルは皮肉たっぷりに返した。
「まぁ、冗談は置いて脱獄に関する説明をする。前に話をしたように地下牢だが今ここは何処だか分かるよな?」
ロイドはガルシアとベルに対して真剣に向き合った。
「全く分からん」
「………」
ロイドは「コイツら、やる気はあるのか?」と思ったが、ガルシアとベルは真剣だ。
「じゃあ、なんで捕まらないと思ったんだ?」
ロイドはガルシアとベルに対して疑問を投げ泣ける。
ガルシアとベルは、しばらく考えた上でポツンと呟く。
「………勘?」
「………」
しばらく、冷たい空気が吹雪いているように沈黙が続いていた。
「分かった。ここでは脱獄は素人と考えよう。プロと考えたら見落とすからな。ここでの作戦は…」
「あまり、頂けないようですね」
ロイドは「しまった!」と顔に出してしまった。だが、これも一瞬である。ロイドは平然と牢屋外を向き合ってその男が立っている所まで近づいていた。