第7章 バスティア決戦No.11
確かベルの姿にドン引きして一緒に付いていた後、ベルとの話し合いをした。
「まぁ、気にすんな!誰だってドツク時もある。ましてや、あのロックだぜ?俺もムカついたもん!」
ここは裏路地にある狭い所で二人やっと歩ける道を歩いていた。
「まぁ、そうだよな!俺は悪くないよな!」
ベルは気持ちを切り替えて「パッ」と笑顔になる。
まぁ、俺らが悪いけどなぁ…。
「で、これかどうすんの?」
ベルは明るい声で言った。
そりゃそうだろう。ベルにとっては厳重な監視のある中で唯一と言っていい場所。大都市であるバスティアの監視役も無いからな!
結果、いつでも逃亡する訳だ。
「早いとこヅラかるのも良いが、まずはカレーだな!!カレーを食べながら逃亡先を考えようぜ!」
ガルシアもカレーのことを考えると「ウキウキ」になった。
予定変更だ!カレー食って【ブラック・フロンティア】と呼ばれるアジトに向かうはずだったが、あまりにもムカついたのでこのまま逃亡しちゃる!
ーーー数分後
ガルシアとベルは、ある裏路地の店を立ち止まっていた。その店の看板を『カレー屋 マルコ』。
その店は、そんなに小汚くはない…いや、正直に言ってボロい、小汚いのお店であった。そんな、お店に魅力されていたのかと言うと、ここが目的地、終着点であったからだ。
「ここかぁ……」
ガルシアは感動して今にも涙が溢れ出しそうだった。
やっと…やっとだよ!よく頑張った!思えば、バスティアの牢屋に入った時、絶望感を感じた…それがどうだ!目の前にいるじゃないですか!!
一方、ベルはドン引きしている…。
「はよーいこうや…」
ガルシアは「まだ、食というものが分かっていないな…」と思い両手を挙げてため息をついた。
ムカッ!
ベルは苛立ちを覚えガルシアと向き合った。
「じゃあ、そのカレーというものを食べさせてもらおうか!食べて美味しくなかったら、そのカレー、ボロクソに言うからな!」
ガルシアは「ふん!」と言って上から見下すような顔で目を細めた。
「あぁ、いいぜ。ただし条件がある。それは正直どう思ったか食ってから言ってもらおう!ベルは逆から言うことあるからなぁ!ガハハハ!」
ガルシアは豪快に笑った。
「よーし!分かった!やってやろうじゃないか!?不味かったら奢りなぁ!」
ベルは怒りのあまり勢いで言った。
「よっしゃ!成立な!」
ガルシアもそれで同意する。
ギィ、バンッ‼︎
「たのも!!」
ガルシアは上機嫌で勢いよくドアを開けた。ベルは「どこの時代だよ…」と思い、何だか恥ずかしくなった。
ガルシアは店の空気を読まず、店長の元へ一直線。カウンターの真ん中へ座った。
「店長、久しぶりだな!ずいぶん探したよ!まぁ、色々話したいことはあるが、まずはカレーだな?すぐに頼むよ」
店長は青ざめて何だか焦った様子だ。
「ん?どうした?とりあえず、カレーを…」
背後には見知らぬ男が立っていた。
ガチャン。
上半身に何か冷たい金属片にぶつかった。
よく見たらガルシアの手錠が嵌められた!
「なんじゃこりゃ!」と叫び、回りを見渡す。そこには数名の衛兵が取り囲まれた。
ちなみにベルは手錠を嵌められて羽交締めにされていた。
ヤバい!どうしょう…一層のこと、喧嘩して暴れて回るか?…いや、ダメだ!傷つけてしまう。そうなれば店長に嫌われてカレーを作ってくれないかもしれない。仕方がない…自首するかぁ。
ガルシアは観念したかのように顔を見上げた。
ん?どこかで見覚えがあるような…。
「俺を覚えいるか?」
目の前の衛兵が声をかけてきた。
どこかで会った覚えがあるが、正直覚えていない。
「ぜんぜん」
ガルシアはあっけらかんと言った。
「ないんかい!ほら、脱獄した時、牢屋を管理した衛兵だよ!覚えてないの?」
衛兵は涙目で訴えた。
よく見たら、微かにこの人だったようなぁ…。
「あぁー!あったなぁ!」
ガルシアはなんとなくの感覚に賭ける。それが当たったみたいで嬉しそうに話しかける。
「そっか!良かった!良かった!これで分かった上で拷問できるな!分からないままでは目覚めが悪いからな!」
衛兵は不敵な笑顔になった。。
ガルシアは観念したかのように「フッ」と笑みをこぼした。
「おやっさん…」
「お兄さんだ!これでも20代だぞ!」
「………」
衛兵はすかさずツッコミを入れた。
ガルシアと衛兵の中には冷たい風が吹いていた。
「お兄さん、負けたよ…素直に逮捕するわ。けど、カレー食うまで逮捕しないでくれ。カレーは俺にとって大事な食べ物だからさ…」
衛兵も「フッ」と笑みをこぼした。
「ダーメー!!!」
衛兵はガルシアの顔面に鞘を抜いたままの剣を振り下ろした。