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ガルシア戦記  作者: 千山一
第1巻 バスティアの魔族
32/199

第7章 バスティア決戦No.4

ギィィィーーー


俺の名は「リック・ランド」

密談のため、ここ藩上の端の宿屋に来ている。もちろん、俺一人だ。

ドアを開けようと思った瞬間、自然とドアが開いてしまった。そして中から怪しい男が現れる。


「リックさんですね?」

「あぁ」

「お待ちしておりました。さぁ、上司がお待ちです」


リックは、ゆっくりと頷きその男が歩いていた後についていく。リックは「キョロキョロ」と見渡す。藩上の端、スラム街とはいえボロボロで、お世辞とも言えない。

「こんな場所に交渉に行くのか?」と思える気持ちになる。やがて、その男はドアの前に立ち止まりドアをノックする。


コンコン…ガチャ。


その男はドアを開けた。

ドアの中は空き部屋なのか、薄暗いロウソク「ポツン」と一本立ち、小さな椅子に女性とも男性とも見分けが付かない人が座っていた。


「申し訳遅れました。私が【ベルドナルド】。この軍の指揮官の副隊長を務めております。

あのお方は【リナ・アンダーソン】様。

この軍のトップを務めております。身バレ防止のため二人で行いますけど、よろしいかな?」


ベルドナルドは険しい表情で言った。

冗談じゃない!凄く危険な上で、二人対一人だと!?何とか一対一に持ち込まなければ…。


「あの…交渉はサシで行いませんか?お互い人間味があった方がいいと思うんですけど…」

「ダメです。我が江上国は基本は二人で交渉する。そうすれば、顔を見せなくて良いですし、声も特定されないから身バレを防げます。そんな理由です。もし、嫌だと言うのであれば交渉は破談になりますけど、よろしいかな?」


リックは渋々、無言で応じ頷く。


「よろしい。では、こちらに椅子があります。そこで座って下さい」


ベルドナルドはその表情を崩さず、淡々と述べる。

リックは暗闇のため「何処にあるのか?」とキョロキョロしたが、すぐにお目当ての椅子を発見し、その椅子に座る。

ベルドナルドも椅子に座わるのを確認し、リナの近くに立つ。


「先程から分かっていますが、峠のキバさんが交渉したいと言ってこられて裏の交渉ではありますが、こうしてテーブルにつくことができました」


ベルドナルドは「ゴホンッ」と咳をして一呼吸をおいた。


「しかし、アナタ方は勘違いをしている」

「…と言いますと?」


ベルドナルドは真顔で言い放ちた。


「これは【予行演習】。予行演習では勿論、武器は所持していますが決して争うことはない。あくまで、予行演習なのですから。…まぁ、そちらさんがしたいと言うのであれば、戦争も辞さないですが」


リックは手汗をかいてしまった。

予行演習とはいえ2万人ほどの大軍だ。普通、予行演習だったら100人程度の軍でするものだが、それよりも200倍以上の2万人の軍隊を連れて予行演習…。

そんなのありえない!けれど「そんなこと嘘ですよね(^^)」と言えないし…。


リックは考えごとをしていると、


「では、お互い勘違いだったと言うことで。これで帰らせて頂きます。あと、長くて10日間ぐらい、短くて7日間の予定で行いますので。

では」


そう言うとベルドナルドとリナは席を立ってしまった。

予行演習という意味は嬉しいが、では何故、このタイミングで予行演習なのか?考えれば考える程、頭が混乱してきた。

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