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ガルシア戦記  作者: 千山一
第1巻 バスティアの魔族
31/199

第7章 バスティア決戦No.3

ガヤガヤ……。


江上国軍、駐屯地。

普段なら狭いテントなのだが、ここは馬鹿でかい。まるで会議室のようである。

…まぁ、しょっちゅう報告があるのだが。


「失礼します」


その男性はテントの表に立っていた。その名は「ベルドナルド」。ベルドナルドは物静かだが、舐めてかかると大きなケガをしてしまう。しかもアンダーソン家命で「自分よりもアンダーソン家が優先」という変わった人だ。


「はい」


もう1人、可愛らしい声の持ち主である女性は「ソラ・ルーレンス」。ソラは初仕事、しかも大軍の指揮官「リナ・アンダーソン」の元補佐である。


「峠のキバから会いたいという密偵の報告がありました。もちろん、公式ではないので裏の交渉ではあるのですが…どうしますか?」

「………」


ソラはド緊張していた。ここには頼りになる「リナ・アンダーソン」が居ない。しかも既に影武者として指揮官を演じなければならないのだ。「どうしてそうなったのだろう…」そう思ったソラは、頭の中で振り返る。確か、峠のキバに到着する直前、リナは2人きりの部屋へ移動した。


「初仕事はどうですかぁ〜?」

「はい!最初は凄く緊張しましたが、お義母さんがいると思う心強くて…今は凄く勉強になります!」


ソラは思いっきりぶりっ子をして演じた。反対にリナは「うんうん」と頷き、笑顔でこう発言をした。


「じゃあ、一人でも大丈夫ですねぇ〜。あと、お願いしますねぇ〜」

「えっ……今…なんて言いましたか?」


ソラは思った。

「聞き間違いなのだろうか。いや、きっと聞き間違いだ!…お願い(涙)聞き間違いになって欲しい」


「だから、あとお願いって言ったんですぅ!プンプン」


ソラはその言葉を聞いて呆然としてしまった。

「えっ!私一人がこの大軍の指揮を執る?いや無理無理!パーティー5人のリーダーだったら、無理やりだけどやったことはあるが、ましてや2万人もの大軍だ…そんなん、できるわけないじゃない!」


リナはソラの様子を見て少し罪悪感を感じたのだが、甘やかす訳にはいかない。ましてや、今の危機的状況で甘えることなど許されないのだ。


「こちらの細かい所は打ち合わせするとして、まずは影武者してドーンとしてもらいますぅ。なので何もしなくてもいいですよぉ(^^)」


ソラはその事を聞いてなんだか「ホッ」とした。しかし、その言葉が奈落の底に突き落とす。


「もちろん、ベルドナルドさんについていると安心ですからぁ、けど、戦争はハプニングがつきものですぅ〜だから、どんなハプニングになっても対処してください〜(^^)」

「………」


ソラはその言葉を聞いて、まるで氷のように一瞬で固まってしまった。


「まぁ、そんなことはありませんけどねぇ〜」


リナはあっけらかんと言った。


それからリナとサラは入念の打ち合わせをした。

話の内容はこうである。

・大軍はあくまでフェイクでこれ以上停止することもない(10日間は留まる)

・これは副頭領、峠のキバの王の二人が交渉した協定である。ただし、噂になるためトップ2人だけの裏取引であるが細かい所まで交渉しているので、ここで発表すると

1.藩上の手前まで留まることができるが、それ以上は行ってはいけない。

1.どちらともケガもしくは重症になった場合、裏取引は破棄し攻める。

1.裏取引の場合、密入国がスムーズになるのだが、首都バスティアは絶対には入らない

などが取り決めになった。


ーーーー


「聞いてますか?副頭領」

「……」

「副頭領!あなたですよね?」


ベルドナルドは呆気を取られたような顔をした。すると、ソラは副頭領は自分だと分かり慌てて影武者を演じる。

それを見たベルドナルドは大きくため息をつく。

「本当大丈夫なのだろうか?」

凄く不安がした。

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