第1章はじまり No.3
「一家で消えたけど、今まで何してたん?」
夜の居酒屋。居酒屋といっても、ちょっとしたおつまみと酒が出てくるだけで、質素な作りだ。けれど酒が安い!それだけが、このお店が誇れるポイントだ。現に大勢の人で賑わっているが、世間一般からして、あまりガラはよろしくない…
「ん?…あぁ、いろいろあるのよ…それはおいおいで…」
ベルは顔を赤めながら言った。意識があるのだろうか…?まぁ、俺も聞くのがアレだから、酔ぱらって勢いを任せて言ったもんだから、フラフラしている。
「おいおいってなんだよ。ハッキリしろよ」
ガルシアは「グイ」とグラスを傾けた…ヤバイ意識が飛びそうだ。本で書いている主人公はいくらお酒を飲んでも酔っぱらないが、現実の人では、すぐに酔っ払う。なんなら、吐きそうになってきた…。
「話の途中、ゴメン。トイレ行くわ」
ガルシアは話を聞かず「ガタン」と立ち上がった。そして、急いで奥まで行った…トイレの番人になってしまったのだ。
10分後…ドアが開いた。そこには、スッキリしたガルシアの姿があった。
「ふぅ…スッキリした」
今まで、凄く気持ち悪かったのに吐いた後で、こんなにスッキリするなんて…(正直、少し気持ちが悪いのだが)
ガルシアは余韻に浸っていたのだが、フロアの場所で何やら物音が聞こえてきた。「ん?」と思いながら、フロアの前に立つとベルと店の客が腕を掴みながら睨み合っている光景が出くわした。俺は「ヤバイ!」と悟って慌てて駆け足で近づいて仲裁に入る。
「おい!ちょっと待てよ!」
その直後、横から丸椅子を頭の頭上に直撃「ドカッ」と一瞬、時が止まる…「ブチッ」キレた俺はその客にめがけて顔が吹っ飛ぶ。喰らわした客が隣のテーブルにダイブ…そのテーブルの客が怒り、倒れていた客に殴りかかる。それが永遠となってお店が修羅場となった。
その場合にいたお客さんは逃げ出すもの、警察となる警備兵に駆けつけるものもいた。そして警備兵が鎮静。お縄につくものがいた(大半が逃げてしまったが)それが俺たちである。そして、何があったのかを取り調べるべく、部屋に通された。「バタン」ドアの音が響く。見たところ小さく薄暗い部屋でテーブルがポツンを置いてあった。テーブルでは向かいのイスが二つ。何やら丈夫そうな置物が置いてあった。
「ここには真実の輪がある。どれだけ言い訳いようが鳴らしたことには変わりませんが、どうか正しいことを話して下さい」
警備兵は「キリッ」と睨んだ。
警備兵を見たところ、中年太りの男性でいかにもベテランな感じがした。
「では、職業は?」
「バスティアに働いている者です」
「チン…」
無常になった…
「マスティア共和国の出身です。今はバスティアに来たばかりです。カレーを愛する者です」
「…」
くそー!真実の輪バカ!バカ!正直に言わなくてはいけなくなったじゃないか!
ちなみに隣の部屋では「チン!」「チン!」と連呼していった…そして今に至る。