第7章 バスティア決戦No.1
「おい!通行証を見せろ!」
ロマーノ兵は、横暴な態度でガルシアに言った。
ムカッ!
コイツ!◯したろうか…隣にいたベルがドン引きしている。まぁ、仕方がないだろう。今日の不審者逃亡(もちろん、ジャックです)、上司に対する激怒、and検問所強化。
当分は緊迫した状況になるだろう。なのに、この高揚感はなんだ!早く、店に行ってカレーを食べたい衝動に襲われる。なのに、あの横柄な態度は!…分かるよ、分かる。この緊迫したピリピリムードに呑まれ、兵士がイライラするのも分かる。けどな、アレはいかん!もう少しでキレそうになったわ…まぁ、ベルを見たら「いかん!」と思って我慢できたけども。
「おまえ、マスティア共和国から来たのか?」
「はい」
ムカッ!
ロマーノ兵はガルシアの通行証を持って冷たい目を送る。我慢!我慢!辛抱だ!
「じゃあ、何しに来た」
「えっと…髪飾りを売買と商品の取引です」
ムカッ!ムカッ!
ロマーノ兵はガルシアの通行証をジッと見つめる。そして「ふんッ」を鼻を鳴らし通行証を渡してもらった。
「どうも」
という言葉を無視して他の業者の人と話す。最初は「イラッ」としたが、最終目的地がすぐそこだと気づき我慢し歩き続けた。
ヒヒーン!
馬糞の匂い。初めは臭いと思っていたが、何だ懐かしいように感じる。暗くて長いトンネルだ。だが、少しの光のトンネルが段々と大きくなってくる。そして、遂に活気と賑やかな雰囲気が待っていた!バスティアだ!
「おい!どけよ!」
「すいません」
見知らぬ男性が肩を叩いて通りすぎていた。正直「イラッ」としたが、今はどうでもいい!目的地は目と鼻の先なのだ。
「なぁ、やっとバスティアに来たな!」
ベルは笑顔で話かける。
「おう!」
「で、これからどうする?」
ベルの問いにガルシアは最高の笑顔で返した。
「そりゃ、カレー屋さんに決まっているだろう!…本当に長かった。お前と一緒に牢屋に入り、脱獄し、もうダメだと思ったけど、お前の夫婦のおかげでここまで来た。今までは恨んでいたけど、今日で帳消しだよ」
「…なんか、複雑だな」
ガルシアは上機嫌に対して、ベルは何だか複雑な気分になった。
「まぁ、いいか!上機嫌になって嬉しいよ」
二人は最終目的地に向かって歩き続けていく。あれから数十分後、賑わっていた人々が、段々と少なくなっていく。そして、誰一人もいなくなってしまった。
「…あれ、おかしいなぁ。確か、ここらへんのはずなんだけどなぁ?」
ガルシアはポケットに入ってあった地図を取り出して眺める。
「どれどれ…あっ!ここ間違ってないか?」
ベルは確かに目的地と地図に照らし合わせたが不一致のような気がした。
「えっ!嘘……?」
ガルシアはマジマジと地図を見る。どうも、地図は苦手だ。
「…ゴメン!引き返そう」
ガルシアは元の道に引き返そうと歩き始めた。
「ちょっと待て!これは冒険者だぜ?冒険者なら、少しのミスが命とりになる。その俺が気付けた。感謝しても仕切れないぐらいだ!」
ベルはニヤニヤして笑っていた。
「…で、どうしたいの?」
ガルシアはウンザリした顔で答えた。
「…そうだなぁ。まずは“ありがとうございます。ベル様のことは一生忘れません“と言って頭を下げることだなぁ」
ベルは調子に乗っていた。それに対してガルシアはプルプル震えて、何か言いかけようとした時、
「謝れよ、にいちゃん。とその前に渡してもらおうか!」
見知らぬ男がこちらに向いて言った。ガルシアとベルは無言で剣を構える。
「周辺に4、5人。どうやら囲まれているみたいだ」
「どうだ?相手は4、5人。もう囲まれいる。よって逃げ場はない。今なら無傷で帰ってもいい!ただし、あり金ぜんぶ置いていきな!」
見知らぬ男は剣を構えて言った。どうやら予想通りのことだ。そして、ガルシアはその発言を聞いてため息をついた。
「な、なんだよ!」
見知らぬ男は狼狽する。
「お決まりセリフしかないんかい!」
ガルシアは思いっきりツッコミを入れた。
「う、うるせー!せっかく無傷で返えそうと思ったのに…もう知らん!生かして返すな!」
ガルシアとベルは緊張の中、剣を持っている拳を握り締める。と、その時、爆破音が炸裂し白い煙で覆われた。
「な、何が起こったんだ!」
ガルシアとベルは「何が起こったんだ!」と思ってパニックになった。と同時に見知らぬ手を掴んで走っていた。
「お、お前は?」
「話は後、逃げるよ!」
「なんだか、よく分からないが取り敢えず走ろう!」そう思ってダッシュで走り去っていった。