第6章 故郷バスティアへ No.3
「お、お前は!」
ガルシアは後ろを振り返った男性を見た。
「…誰?」
本当に分からないのだ。ガルシアは素直に聞いて見る。
「分からない?フフフ、分からないかぁ…分からないのなら、言って見ましょう!何を隠そう、呼ばれて出てきてロザちゃんです⭐︎」
ロザンは思いっきりぶりっ子の格好で決め台詞を言った。
ムカッ!
ガルシアは無言で剣を握りしめる。
「ち、ちょっと待て!待つっス!悪かったス!」
ロザンは思いっきり焦って両手で手を振っていた。
「外では出来ないから、内なら大丈夫かなと思って冗談のつもりで言ったのに…マジでありえないッス!」
ロザンは「ブツブツ」言いながらも目的地に歩いていく。一方、ベルはムカつきながも我慢する。
しかし、この忍者集団は良く言っても凄く個性的だなぁ。悪く言えば…まぁ、この話は墓場まで持って行こう。
「こっちに来るッス。合わせたい人がいるので…」
急に真剣な顔をしたロザンは真面目な話をした。さすが、忍者集団だ!場の雰囲気を和ませるのも(イラッとしたが…)
ピリッとした雰囲気を出せるのも出来る!
ガルシアは無言で頷いた。
ロザンを先頭にガルシア、ベル、ローランドが歩いていく。
コツン、コツン、コツン…
家のオンボロさに比べれたら凄く綺麗な印象をうける。
「コンコン、失礼します」
ロザンは会釈をしドアをゆっくりあける。そこには30畳の広い空間と向かい合ったソファ、そして、バカでかいデスクに男が座っていた。
そしてその男は立ち上がり、こちら方に向かって歩いてくる。
「おう、久しぶりだな。ローランド。で、噂のベルとガルシアかぁ。そういえば初めましてだな。俺は「ジャック・ロール」。ジャックだ。副頭領から聞いている。難しい作戦になるから、今は待機だ。まぁ、始まってしまったら暴れるから、しっかり暴れてくれよ!」
ジャックは「ガハハハ」と豪快に笑う。ガルシアは苦笑いをして周り見て見ると、ローランドがかしこまって黙っていた。
「ん?ローランドでも知っているんだなぁ」
そういえば、江上国は隠匿のため全員の姿などを知らず謎の集団だったなぁ。
しかし、ジャックという人物は知っていた。それぐらいジャックという人物が有名なんだろう。
「で、こちらは優等生で問題児だな。優等生はほっとくとして、この問題児は監視するぞ。まぁ、問題なければ何もないけどな!」
ジャックは再び「ガハハハ」と豪快に笑った。
ん?待てよ。ベルは問題児として、あらゆる監視役になっているが、俺は優等生だからフリー…しかも、手紙だから発言などが記入されていない!これはチャンスだ!
「あと、ロザン、ローランド!ここまで連れてきてくれてありがとうな!あとは、やるから所定の位置についてくれ」
ジャックは「ペコリ」とお辞儀をする。
これだよなぁ!周りの気配りと笑顔。上から目線でもなく下から目線でもない。ちょっと上の目線でお礼を言う。
これが江上国流の人心掌握術なのだ。
「コンコン」
再びノックの音が聞こえた。
「本当、すいませんね。又、用事だ。すぐ済むんで、ここで待てくれ」
慌てて、ロザンはドアを開ける。そして、その男と行き違いで元の所定の位置についていた。
そしてそこには、太々しい男性が袋を持って立っていた。
「いや〜超特急で通行証屋さんが作ってくれ!と言ったら、すぐ作ってくれましたよ!感謝してほしいッス」
と言って向かって行きながら机に置いてあったコップを飲み干す。
ジャックは「ありがとう。バーニンス」と言って、バーニンスの袋を確認する。
そして、ジャックの動きが一瞬止まった。
「おい、通行証は3つって言ったよなぁ…2つしか入ってないんだけど…」
ジャックはプルプル震えて声を荒げた。
「あ、あれ〜?3つって言ったのに、2つしか入って無かったんですか?おかしいなぁ…あっそうだ!2つは通行証で行って、1人は裏道から入るというのは…」
「出来るか!?…もういい、急いで超特急、通行証を作ってもらえ!」
「はい!!!」
ジャックは思いっきりツッコミを入れた。そして、ガルシアとベルの方に向き合い。
「誠に申し訳ない。見ての通り、あと1日、2日はかかると思いますので…」
ジャックは頭を下げた。
ジャックには申し訳ないことだけど、勝利の方程式は俺たちの方に傾いていた。
今がチャンスだ!じっくり作戦を練って実行していくぞ!
「あの〜疲れたので、他の部屋に行って休ませてもらえませんか?」
ベルは作戦のため、他の部屋に行く必要があると判断した形だ。
「あ、ああ、長旅の疲れはあるのだなぁ。では、ゆっくりするといい。夕食には食事は出てくるので、その時は作戦を話そう」
そう言って、ジャックの部屋を後にした。